ぬか漬けで旬野菜を楽しむ!初夏に始めるかんたん手仕事
6月16日放送予定のNHK「きょうの料理」は、“はじめての手仕事”シリーズから「ぬか漬け」がテーマです。発酵にぴったりな季節である5月から6月は、ぬか床作りを始める絶好のチャンス。今回は、30年以上ぬか漬けを楽しんでいる料理研究家の白崎裕子さんが、基本のぬか床の作り方から、旬の野菜の漬け方、そしてぬか漬けを使った簡単なアレンジ料理まで教えてくれます。ぬか床の仕組みや手入れのポイントまで紹介される予定なので、これからぬか漬けを始めてみたい方にはぴったりの内容です。
ぬか床作りに必要な材料と特徴
今回紹介されるぬか床の材料は、どれもスーパーなどで手軽に手に入るものばかりです。ぬか床の発酵を促すための工夫も紹介されます。
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いりぬか:450g
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乾燥米こうじ:50g(塊の場合は細かくする)
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粗塩:55〜56g(ミネラルが多く含まれたもの)
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ぬるま湯(人肌程度):550ml
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保存容器:清潔でフタができるもの
加熱済みのいりぬかはそのままでは発酵しにくいため、米こうじの酵素を使って発酵を助けるのがコツです。粗塩には、ぬか床に必要なミネラルと雑菌の抑制効果があります。米こうじは乾燥タイプのものを使い、塊であれば手でほぐしてから使用します。
基本のぬか床の作り方
ぬか床は1日で簡単に準備できます。以下の流れで作っていきます。
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保存容器に米こうじを入れて全体に広げる
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ぬるま湯を加え、フタをして30分間おいてなじませる
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粗塩を加えてよく混ぜ、しっかり溶かす
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いりぬかを少しずつ加えて、容器の中でこぼさないように混ぜる
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表面を平らにならしたら完成
完成後すぐに野菜を漬けられます。夏場は冷蔵庫に入れて保存しますが、冷蔵庫に入れっぱなしにすると酸味が強くなるので、時々常温に戻して発酵のバランスを保ちましょう。
ぬか床は1日1回、底からかき混ぜることが大切です。空気を抜くように表面を押さえてならし、容器の縁に付いたぬかはカビの原因になるのできれいに拭き取ります。
ぬか漬けフライドポテトのレシピ
ぬか漬けの風味がじゃがいもにしっかり染み込んだ、驚きの一品です。じゃがいもをぬか床で漬けてから揚げることで、奥深い味わいと濃厚なうまみが生まれます。普段のフライドポテトとは一味も二味も違う、発酵の魅力を楽しめるレシピです。
材料(つくりやすい分量)
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じゃがいも:2~3コ(中サイズがおすすめ)
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揚げ油:適量
作り方
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じゃがいもは皮をよく洗い、くし形にカットします。大きさは食べやすいサイズに揃えるのがポイントです。
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切ったじゃがいもをよく発酵したぬか床に2~3時間漬けます。この時間でぬかの香りと旨味がしっかりと染み込みます。
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漬けたじゃがいもを取り出し、ぬかみそをサッと水で洗い流します。強く洗いすぎないように注意しながら、表面のぬかを落とします。
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清潔なふきんやキッチンペーパーで水けをしっかりと拭き取ります。ここで水分が残っていると、揚げるときに油がはねる原因になります。
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常温の揚げ油にじゃがいもを入れてから中火で加熱をスタートします。冷たい油から加熱することで、じゃがいもが中までしっかり火が通ります。
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時々上下を返しながら、表面がふくらみ、うっすらとこんがりした色になるまで約10分間揚げます。焦げつかないように目を離さず、様子を見ながら丁寧に揚げていきます。
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揚げ終わったら油をしっかり切って器に盛りつけます。そのままでも十分おいしいですが、お好みで粗びき黒こしょう(分量外)をふると香りが立ち、さらにおつまみにぴったりの一品になります。
このレシピでは、ぬか漬けにする時間を短めに設定しており、浅漬けのぬか風味がほんのり感じられます。じゃがいもの甘みとぬかの酸味、そして揚げた香ばしさが合わさって、家庭で楽しめる発酵グルメとしても注目される一皿です。普段のポテトフライとは異なる味わいで、食卓が一気に特別な雰囲気になります。
いわしのぬか炊きのレシピ
ぬかみその風味を活かしながら、青魚のくさみをやさしく抑え、甘露煮のような奥深い味わいに仕上がる伝統的な一品です。冷蔵庫で時間をかけて寝かせてから煮ることで、魚の旨みがぬかに引き出され、しっかりと味が染み込んだ仕上がりになります。
材料(2〜4人分)
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いわし(頭とワタを除いたもの):4匹分(約350g)
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ぬかみそ:適量
A(煮汁)
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水:カップ1
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みりん・酒:各大さじ4
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しょうゆ:大さじ2~3
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てんさい糖(またはきび糖):大さじ1
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しょうが(薄切り):1かけ分
作り方
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いわしは丁寧に洗い、表面とお腹の中の水けをしっかりとふき取ります。ぬかがなじみやすくなるように、キッチンペーパーなどで拭き残しのないようにします。
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いわしの腹の中に、ぬかみそをしっかりと詰め込みます。さらに、全体の表面にもぬかみそを塗りつけます。この工程でぬかの香りと酸味がいわしに染み込み、風味が格段に増します。
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ぬかみそを塗ったいわしは、1匹ずつラップで包み、冷蔵庫に入れて1〜2日間寝かせます。この時間で発酵の力が魚に浸透し、うまみが増します。
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調理する際は、いわしを冷蔵庫から取り出し、ラップをはがして表面のぬかみそを指で軽く落とします。こすりすぎず、ぬかの香りが残る程度に整えます。
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腹に詰めたぬかみそは、指ではさんで中からギュッと押し出すようにして取り除きます。煮る際に煮汁が濁りすぎないようにするためです。
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鍋にいわしを重ならないように並べ、Aの調味料(すべて)を加えて中火にかけます。しょうがの香りが、いわしの風味を引き立てます。
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煮立ったら落としぶたをして弱火にします。そのまま30〜40分間、汁けがなくなるまでじっくりと煮ます。火加減を調整しながら煮崩れないよう注意します。
煮あがったいわしは、ぬかのまろやかな酸味としょうがの爽やかな香りが絶妙に合わさり、ご飯にも合うしっとりとした和の主菜になります。ぬか漬けが副菜として知られる中、ぬかを主役にしたこの煮物は、発酵の深みと家庭の温もりを感じさせる一皿として印象的です。常備菜にもおすすめで、冷めても味わいがしっかり残ります。
ほかの野菜のぬか漬けも楽しもう
ぬか床が安定してきたら、いろいろな野菜を試してみましょう。野菜によって準備や漬け時間が違います。
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きゅうり:塩で板ずりしてアク抜き後、常温で3~12時間
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パプリカ:種を取りぬかを詰めて6~12時間
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ミニトマト:ヘタを取ってそのまま6~12時間
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キャベツ:葉をぬかで巻いて半日~1日
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なす:塩をすり込み、よく絞ってから6~12時間
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オクラ:ヘタ付きのまま6~12時間
すべての野菜は、ぬかみそを水でさっと洗い流し、食べやすく切って盛りつけます。オリーブオイルをかけて食べるのも白崎さんおすすめの方法です。
ぬか漬けの調整と手入れ方法
ぬか漬けの味が塩辛いと感じたときは、ぬかみそをつけたまま水につけて塩出しします。ぬかの塩分が呼び塩となり、余分な塩分が抜けやすくなります。
また、ぬか床が水っぽくなった場合は、角の部分をへこませて水をため、取り除くことで調整します。ぬかが減ってきたときは、いりぬか50g+粗塩5gを混ぜた「足しぬか」を加えてなじませましょう。
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