夏に増える皮膚トラブル「あせも」対策と予防のコツ
2025年6月17日放送のNHK Eテレ「きょうの健康」では、蒸し暑い夏に注意したい皮膚トラブル「汗疹(あせも)」をはじめ、汗によって引き起こされる様々な肌トラブルについて特集される予定です。番組では、順天堂大学の渡邉玲教授が講師を務め、トラブルが起こる原因や仕組み、そして自宅でできる対処法や予防の工夫まで、わかりやすく紹介していきます。
夏に起きやすい皮膚トラブルとその特徴
番組では、汗が原因となって起こる代表的な皮膚トラブルがいくつか紹介される見込みです。それぞれに異なる特徴がありますが、早めの気づきとケアが大切です。
あせも(汗疹)は、汗腺の出口が詰まり、皮膚の下に汗がたまって炎症が起きることで発症します。水晶様汗疹は小さな透明の水ぶくれができ、かゆみはあまりありませんが、紅色汗疹になると赤い発疹ができ、かゆみやヒリヒリとした刺激を感じます。さらに重症化すると深在性汗疹と呼ばれる状態になり、青白く盛り上がったような発疹が肌の奥に出てきます。
汗かぶれは、汗に含まれる塩分やアンモニアなどが皮膚を刺激してかぶれを引き起こす症状です。あせもより広い範囲に赤みが広がり、ブツブツではなく面状に炎症が広がるのが特徴です。
汗疱(異汗性湿疹)は、手のひらや足の裏、指の側面などに小さな水ぶくれがたくさんできる症状で、かゆみや痛みを強く感じることがあります。若い世代によく見られ、原因ははっきりしませんが汗の刺激が関係しているとされています。
金属アレルギーも汗が関係します。汗により溶け出した金属イオンが肌に吸収されることで、ネックレスやベルトの金属部分が触れた箇所にかぶれや湿疹が出ることがあります。
そのほか、夏場に注意したいのが紫外線によるトラブルです。日焼け(サンバーン・サンタン)によって皮膚が赤く腫れたり、後から黒く変色したりします。光線過敏症では、わずかな日光でも肌に強い炎症が出る場合があります。
汗のトラブルはどうして起きるのか
肌トラブルの背景には、汗が皮膚にどのように影響するのかを知ることが重要です。まず、汗腺が詰まって汗が皮膚の外に出られなくなると、肌の中に汗がたまり炎症が起こりやすくなります。これはあせもの典型的な仕組みです。
次に、汗に含まれる塩分やアンモニアなどの成分が、皮膚に長くとどまることで刺激になり、汗かぶれを引き起こします。特に肌が弱っているときや、乾燥してバリア機能が落ちているときには影響が大きくなります。
また、汗で濡れた状態が長く続くと、肌がふやけて外からの刺激に弱くなるため、摩擦や化学物質の影響を受けやすくなります。衣類の縫い目やベルト、アクセサリーが接触する場所に症状が出るのはこのためです。
さらに、高温多湿の環境では汗が多く出て皮膚表面にたまりやすくなり、細菌や真菌(カビ)が増えてしまうこともあります。こうしたことが複雑に絡み合って、かゆみや炎症、さらには化膿などのトラブルにつながっていくのです。
日常で取り入れたい予防の工夫
肌トラブルを未然に防ぐためには、毎日の習慣が大切です。番組では、すぐに実践できる予防のポイントも紹介される予定です。
・綿や麻など通気性がよく吸湿性の高い素材の衣服を選び、肌への刺激を減らす
・室内ではエアコンや扇風機を使って湿度を下げ、涼しい環境を保つ
・汗をかいたらこまめにタオルやシートでやさしく拭き取り、湿った服は着替える
・帰宅後や入浴時にはぬるめのシャワーで汗を流し、肌を清潔に保つ
・冷たいタオルで肌を冷やすなど、クールダウンの工夫も有効
・軽い運動や入浴で、汗をかく習慣を日常に取り入れると、汗腺が整ってトラブルを起こしにくくなる
こうした習慣を続けることで、肌の状態を良好に保つことができ、夏の不快感やかゆみを予防できます。
症状が出てしまったときの対処法
予防していても、あせもや汗かぶれが出てしまうことはあります。そんなときは、まず涼しい場所に移動し、扇風機やエアコンで体を冷やして汗をとめることが基本です。シャワーを浴びて肌を清潔にしたあとは、保湿や冷却を意識したケアが効果的です。
かゆみが強い場合には、市販のヒドロコルチゾンクリーム(ステロイド薬)やカラミンローションなどを塗ると炎症を抑える効果が期待できます。ただし、薬を使用しても3日以上症状が続いたり、ジュクジュクしたり、熱をもったりする場合は早めに皮膚科を受診することが大切です。
また、夜中にかきむしって悪化させないよう、爪を短く整えたり、ガーゼなどで保護するのもポイントです。
放送を通じて伝えたいこと
今回の「きょうの健康」では、夏に起こりやすい皮膚トラブルを理解し、正しく対処する方法を知ることで、日々の暮らしを快適に過ごすための知識が深まる内容になると期待されます。あせもや汗かぶれは、我慢するものではなく、正しい知識でしっかり防ぎ、早めに対処することが大切です。
放送では、スキンケアの選び方や、家族全員で取り組める予防習慣なども取り上げられる見込みです。特に小さな子どもや高齢の方は汗の調節機能が弱いため、家庭全体での意識づけがより重要になります。
※この記事は放送前の内容をもとに構成しています内容が放送と一部異なる可能性がありますのでご了承ください。
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