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Eテレ【きょうの健康】カラダしなやかエクササイズ「太極拳 転倒しにくい足腰を」八段錦と24式で効果を実感|2025年10月1日

きょうの健康

転びにくい体をつくる太極拳の魅力とは?

毎日の生活で「ふらつくことが増えた」「つまずきやすくなった」と感じていませんか?年齢とともに筋力やバランス感覚は少しずつ低下し、転倒のリスクが高まります。そんな悩みを抱える方にぴったりなのが『太極拳』です。
2025年10月1日に放送されたきょうの健康 カラダしなやかエクササイズ「太極拳 転倒しにくい足腰を」では、初心者でも安心して取り組める基本の動きが紹介されました。この記事では、太極拳の効果や歴史、具体的な動きまで、放送内容をもとに詳しく解説します。

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太極拳ってどんな運動?

太極拳」の写真素材 | 27,194件の無料イラスト画像 | Adobe Stock

太極拳は、中国で生まれた伝統的な武術の一つで、発祥は17世紀中期とされています。武術家の陳王廷が河南省の陳家溝で体系化したと伝えられ、その後さまざまな流派に分かれながら発展してきました。当初は実戦の武術でしたが、時代とともに健康法や養生法として広まり、現在では世界各地で親しまれる存在になっています。

日本でも太極拳の人気は高く、愛好者は100万人以上にのぼるとされます。地域の体育館やカルチャーセンターでは太極拳のサークルや教室が数多く開かれており、初心者から高齢者まで幅広い世代が練習に励んでいます。本場の中国では、朝の公園や広場で多くの人が集まり、ゆったりとした動きを繰り返す光景がよく見られます。これが日常の一部として定着しており、文化的な習慣ともいえるでしょう。

太極拳の最大の特徴は、呼吸に合わせてゆっくりと円を描くように体を動かし続けることです。動きが途切れることなく一定の速さで続くため、まるで流れる水のような一体感があります。激しい動きは少なく、関節に負担をかけにくいのも大きな魅力です。そのため、筋力に自信がない人や運動経験が少ない人でも安心して取り組めます。

また、太極拳は全身をまんべんなく使う有酸素運動でもあります。下半身を安定させる動作が多いため大腿四頭筋大殿筋を鍛えられ、手足を大きくゆっくり動かすことで血流が促され、心肺機能にも良い影響を与えます。さらに、深い呼吸と合わせることで心が落ち着き、集中力やリラックス効果も期待できます。

このように、太極拳は武術としての歴史を持ちながらも、現代では健康維持・転倒予防・心身の調和を目的とした運動法として幅広く活用されています。若者から高齢者まで無理なく続けられる点が、多くの人に支持されている理由です。

誰におすすめできるのか

太極拳は中高年の方だけでなく、若い世代にとっても大きな効果があります。現代の若者は仕事や学業で多くの情報を処理し、慢性的なストレスや疲労を抱えがちです。太極拳のゆったりとした動き腹式呼吸は、自律神経を整えて心を落ち着かせ、緊張を和らげる作用があります。

また、太極拳の動きは体の芯にある腹横筋骨盤底筋群といったインナーマッスルをしっかりと使います。これらの筋肉は体の軸を支える役割を果たし、姿勢の改善や腰痛予防にもつながります。インナーマッスルが鍛えられると、体のバランスが良くなり、日常生活の動作がスムーズになりやすいのです。

加えて、太極拳は深い呼吸を伴うため、肺活量を高め、血流を促進する効果も期待できます。血液循環が良くなることで冷えや肩こりの改善にも役立ち、体だけでなく気分まで軽やかになります。心と体が同時に整うため、運動不足の解消だけでなくリフレッシュ効果が大きいのも特徴です。

このように、太極拳は年齢を問わず実践できる「生涯スポーツ」といえます。高齢者には転倒予防や筋力維持、若い世代にはストレス緩和や集中力向上という形で、それぞれに合った恩恵を与えてくれるのです。中国や日本だけでなく欧米でも広まり、今では健康法として世界的に注目されています。

転倒予防に役立つ理由

太極拳の動きには、私たちが毎日行っている立つ・座る・歩くといった基本動作に欠かせない筋肉を自然に鍛える要素がたくさん含まれています。

まず特徴的なのが、中腰の姿勢を保ちながら動くことです。この姿勢を続けることで、太ももの前にある大腿四頭筋、お尻の大きな筋肉である大殿筋、ふくらはぎの下腿三頭筋がしっかり鍛えられます。これらの筋肉は、椅子から立ち上がる動作や階段の上り下り、日常の歩行などに大きく関わっており、衰えると生活の質が低下しやすくなります。太極拳では自然な動きの中でこれらをバランスよく強化できるのです。

次に、つま先を上げ下ろしする動作があります。この動きは、すねの前にある前脛骨筋を鍛えることにつながります。前脛骨筋は足を持ち上げる働きを担い、ここが弱くなると小さな段差でつまずきやすくなります。太極拳でこの筋肉を刺激することで、転倒のリスクを減らすことが期待できます。

さらに、片脚で立つ姿勢も重要です。片脚で体を支えることで、下半身の筋肉だけでなくバランス能力そのものが養われます。バランス力が高まると歩行が安定し、外出時の安心感や日常生活での自立にもつながります。

加えて、科学的な裏付けも進んでいます。山梨県で行われた研究では、女性の高齢者30名が5か月間太極拳を継続して行ったところ、研究期間中の転倒率が大幅に低下したという報告があります。この結果は研究終了後の半年間も続き、太極拳が転倒予防に有効であることを示しました。国内外でも同様の研究が数多く行われており、太極拳の効果は医学的にも証明されつつあります。

このように太極拳は、ただの体操ではなく、筋力強化・バランス改善・転倒予防を兼ね備えた実践的な運動法です。年齢を問わず取り入れられる点が、多くの人から支持されている理由といえます。

太極拳の前に行う準備運動「八段錦」

太極拳を始める前に行われる準備運動が『八段錦』です。これは800年以上受け継がれてきた歴史ある8種類の健康体操で、全身をじっくりとほぐし、血流を良くしてから本格的な動きに入れるようにします。呼吸と動作を合わせながらゆっくりと行うため、体を無理なく整えることができます。

両手托天理三焦

両足を肩幅に開き、両手を体の前で丸いボールを支えるように組みます。息を吸いながら両腕を天に向かって大きく伸ばし、背筋をまっすぐに引き上げることで、全身がすっと伸び、呼吸が深まります。その後、息を吐きながら円を描くように腕をゆっくりと下ろすことで、上半身の緊張が和らぎます。

調理脾胃須単挙

両足を肩幅に開いた姿勢から、両手でボールを抱えるように構えます。そこから片手を上に、もう片手を下に向けて伸ばす動きを左右交互に行います。まるで天地を分けるように手を広げることで、体の中心が安定し、体幹がしっかりと鍛えられるのが特徴です。繰り返すことで姿勢も整い、内臓の働きを助ける効果も期待できます。

五労七傷往後瞧

両手を大地に向けて押さえるように下げ、足を肩幅に開きます。膝を軽く曲げて腰を落とし、そこから膝を伸ばしながら手のひらを返して両腕を持ち上げ、左後方を見るという動作を行います。続いて右後方も同じように行い、左右交互に繰り返します。これにより腰回りや背中の筋肉がじっくりと伸ばされ、しなやかさが生まれるのです。

これらの動きを組み合わせることで、体全体の血流が良くなり、筋肉や関節が柔らかくなります。その結果、太極拳のゆったりとした動きにスムーズに入ることができ、ケガを防ぎながら効果を高める準備が整います。

初心者にも取り組みやすい「24式太極拳」

現在、日本で広く普及しているのが『24式太極拳』です。これは1956年に中国政府が健康体操として体系化したもので、複雑な動きを簡略化し、誰でも始めやすいように24の型で構成されています。伝統的な太極拳の流れを残しながらも、初心者でも学びやすく継続しやすい内容になっているのが特徴です。番組では、この中から代表的な型と応用動作が紹介されました。

左右野馬分鬃

『左右野馬分鬃』は、馬のたてがみを左右に分けるように腕を広げる動きです。両脚を肩幅に開いて安定した姿勢をとり、腰を軽く落としながら腕を左右に分けていきます。重心を移動させながら繰り返すことで、下半身の筋肉をしっかりと鍛えることができます。特に太ももやお尻の大きな筋肉が使われ、歩行や立ち上がりの動作が安定します。

左右倒巻肱

**『左右倒巻肱』**は、腕を大きく開いて巻き戻すような動作です。腕を左右に広げながら体を回旋させ、胸を開くようにして行います。肩回りの筋肉や背中、さらに体幹部が自然に鍛えられるのが特徴です。肩の柔軟性を高め、姿勢を整える効果も期待でき、長時間のデスクワークで凝り固まった体をほぐすのにも役立ちます。

左下勢独立・右下勢独立

応用動作として紹介されたのが『左下勢独立』『右下勢独立』です。片脚で体を支えながら、もう一方の脚を大きくしゃがみ込ませる動きで、深く沈み込みながらバランスをとることが求められます。この動作は脚力と柔軟性、そしてバランス能力を同時に鍛える高度な型です。しゃがみ込みと片脚立ちが組み合わされるため、下半身の安定感が増し、転倒予防にもつながります。

24式太極拳はこのように、シンプルながらも全身の筋力・柔軟性・バランスを総合的に養う動きが含まれています。初心者でも基本の型から始め、少しずつ応用動作に挑戦することで、無理なくステップアップできるのが魅力です。

太極拳を続けるコツ

太極拳を行うときに最も大切なのは、息を止めずに腹式呼吸を意識することです。お腹を膨らませながら息を吸い、ゆっくり吐き出す呼吸法を動きに合わせることで、全身に酸素が行き渡りやすくなります。呼吸と動作が一体になると心が落ち着き、筋肉も余分な力が抜けてスムーズに動かせるようになります。

リラックスした状態でゆったりと体を動かすと、筋肉が伸びながら力を発揮する『遠心性収縮』が自然に生まれます。この働きは、筋肉を傷めにくくしながら効率的に強くしていく方法で、特に高齢者や運動初心者にとって安全性の高いトレーニングになります。階段の上り下りや立ち上がりなど、日常生活に直結する筋力を養えるのが大きな特徴です。

また、太極拳は特別な道具を必要としないのも続けやすい理由の一つです。畳一枚ほどの広さがあれば十分に練習でき、自宅のリビングや公園の一角など、身近な場所で始められます。準備に手間がかからないため、毎日の生活の中に自然と取り入れやすいのです。

毎日数分でも続けていけば、少しずつ体の変化を感じられます。最初は姿勢が安定するようになり、次第にバランス力持久力の向上を実感できます。研究でも、継続的に太極拳を行った人は転倒率が下がり、血流や柔軟性の改善がみられると報告されています。日常の安心感を支える力を、無理なく養うことができるのです。

まとめ

この記事のポイントは以下の3つです。

  1. 太極拳は呼吸とゆったりした動きで筋力・バランス力を高め、転倒予防に効果的

  2. 八段錦や24式太極拳など初心者でも始めやすい型が整備されている

  3. 年齢や体力を問わず、自宅で気軽に続けられる健康法としておすすめ

太極拳は、高齢者だけでなく若い世代にとっても心身を整える有効な運動です。今日から取り入れることで、転倒しにくく安定した体づくりにつながります。


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