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Eテレ【きょうの健康】網膜を守る!目の最新治療「視野がぐにゃぐにゃ」 90%が新生血管型?最新注射治療と食生活改善のポイント|10月21日

見え方がぐにゃぐにゃ?実は目の病気かも!『加齢黄斑変性』の最新治療とは

新聞の文字が読みにくい、テレビの人の顔が少し歪んで見える。そんな違和感を「老眼のせい」と思っていませんか?実はそれ、『加齢黄斑変性』という網膜の病気のサインかもしれません。2025年10月21日放送の『きょうの健康』では、年々増加しているこの病気と、その最新治療に迫ります。この記事では、放送前の段階でわかっている情報と、図解データをもとに分かりやすく紹介します。

加齢黄斑変性とは?90%が「新生血管型」

 

『加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)』とは、目の奥にある網膜の中心部分「黄斑(おうはん)」が傷つくことで起こる病気です。黄斑は、ものを見るときに一番細かい部分を担当しており、読む・見る・識別するといった「視る力」の中枢です。ここがダメージを受けると、ものの形がゆがんで見えたり、中心が暗くなったり、色がはっきりしなくなったりします。初期の段階では気づきにくく、放置すると視力が大きく低下してしまうこともあります。

黄斑はカメラでいう「フィルム」にあたる部分で、私たちが見ている映像を脳に伝える重要な働きをしています。そのため、この部分に異常が起きると、周囲は見えても中心だけが見えづらいという特徴的な症状が出ます。特に本や新聞の文字がかすんだり、まっすぐな線が波打つように見えたりすることがあります。

この病気には大きく分けて2つのタイプがあります。

タイプ 割合 特徴
新生血管型(ウェットタイプ) 約90% 網膜の下に新しい血管(脈絡膜新生血管)ができ、それが破れて出血やむくみを起こす。進行が早く、急激な視力低下を招くことがある。
萎縮型(ドライタイプ) 約10% 網膜の細胞が徐々に萎縮していくタイプ。進行はゆるやかだが、長期的には視力が下がる場合もある。

日本人の多くは新生血管型に分類されます。このタイプでは、異常な血管が網膜の下に伸びてくることで、黄斑の構造が壊れ、視野の中心が急にゆがんでしまうことがあります。急激な症状変化が起きるため、早期発見と治療が非常に重要です。

一方、萎縮型は進行がゆっくりで自覚症状が出にくいのが特徴です。しかし放置すると、網膜細胞が少しずつ減っていき、やがて中心視力に影響が及ぶ場合があります。

この病気は50歳以上から増え始め、高齢化社会とともに患者数が増加しています。喫煙・紫外線・高脂肪の食生活・遺伝的要因なども発症に関係しているとされており、生活習慣の改善や定期的な眼科検診が予防につながります。近年では、抗VEGF薬を使った注射治療や、網膜を守る栄養素であるルテイン・ゼアキサンチンなども注目されています。

見え方の変化を感じたら、早めに眼科での検査を受けることが大切です。特に、線が曲がって見える、中心が暗い、色が薄く見えるといった違和感は、黄斑の異常を示すサインです。

見え方の変化に注意!新生血管型の症状

『加齢黄斑変性』の典型的な症状は大きく3つあります。どれも日常の中で気づきにくく、初期段階では「少し見えづらい」「疲れ目かな」と思ってしまう人が多いのが特徴です。

まず1つ目は、ゆがむ(直線が波打つように見える)という症状です。たとえば、ノートの罫線や窓のサッシ、新聞の文字列など、本来まっすぐなものが波打って見えたり、部分的にねじれて見えることがあります。これは、黄斑の細胞が傷つくことで、光の信号が正確に脳へ伝わらなくなり、視覚情報が歪んで処理されてしまうために起こります。この段階で気づくことができれば、治療によって進行を抑える可能性が高くなります。

2つ目は、中心が暗い(真ん中が黒く欠けて見える)という症状です。これを「中心暗点(ちゅうしんあんてん)」と呼びます。視野の真ん中に黒い影のようなものが現れ、人の顔や文字の一部が見えにくくなることがあります。周辺の視野は保たれているため、「見えているつもり」でも中心だけが抜け落ちるように感じるのが特徴です。病気が進行すると、この暗い部分が広がり、生活に大きな支障をきたすこともあります。

3つ目は、色が不鮮明(ものの色味がくすんで見える)という症状です。たとえば、赤い花が茶色っぽく見えたり、洋服の色が以前よりも dull(鈍く)感じられたりします。これは、黄斑の中で色を識別する視細胞が損なわれているために起こります。色彩のコントラストが失われることで、景色が全体的に灰色がかって見えることもあります。

これらの症状は、単なる老眼や一時的な疲れ目とはまったく異なります。黄斑が障害を受けているサインであり、放置すると視力の中心部分を永久的に失うおそれがあります。進行すると文字が読めない、顔の表情がわからない、信号の色が判断しにくいなど、日常生活への影響が大きくなります。

早期に発見するためには、片目ずつチェックをすることが大切です。特に、線がゆがんで見える、真ん中だけがぼやける、色が濁って見えるといった違和感を感じたときは、すぐに眼科を受診して検査を受けることがすすめられています。黄斑の異常は進行してからでは回復が難しいため、「おかしいな」と感じた時点での受診が視力を守る第一歩になります。

原因と進行を早める要因

『加齢黄斑変性』は名前の通り、加齢によって発症しやすくなる病気ですが、年齢だけが原因ではありません。実際には、喫煙・紫外線・偏った食生活といった生活習慣も大きく関係しています。特に喫煙は、世界中の研究で最も強く関連すると指摘されているリスク要因のひとつです。

タバコに含まれる有害物質は、血管を収縮させ、網膜の血流を悪化させます。その結果、網膜に必要な酸素や栄養が届きにくくなり、細胞が傷つきやすくなります。ある研究では、喫煙者は非喫煙者に比べて『加齢黄斑変性』を発症する確率が2〜5倍に高まることが分かっています。また、長年吸っている人ほど進行が早く、禁煙後も数年はリスクが残るとされています。

一方で、日常の中で意外と見落としがちな要因が紫外線です。長時間の屋外活動や日差しの強い環境で目を保護せずに過ごすと、網膜が光によるストレスを受け、細胞の老化を早めてしまう可能性があります。サングラスや帽子で目を守ることは、予防の第一歩です。

さらに、食生活の乱れも無視できません。脂質の多い食事や野菜不足が続くと、体内の「活性酸素」が増え、網膜の細胞が酸化によって傷つきやすくなります。これを防ぐために大切なのが、ビタミンC・ビタミンE・亜鉛・ルテインといった抗酸化栄養素です。これらは網膜を酸化ストレスから守り、細胞の老化を抑える働きがあります。特にルテインは、黄斑の中心に多く含まれる色素で、ブルーライトなどの光から目を保護する役割を持っています。

最近では、世界的に注目されている「地中海型食事」が、目の健康維持にも効果的と報告されています。これは、魚・緑黄色野菜・果物・オリーブ油・ナッツ類などを中心にした食事スタイルで、抗酸化物質と良質な脂質が豊富に含まれています。実際、地中海型の食生活を続けている人は、『加齢黄斑変性』の発症リスクが低いという研究結果もあります。

また、青魚に多く含まれるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸も、網膜の健康に欠かせません。これらは血流を良くし、炎症を抑える働きがあるため、魚を週に2回以上食べることが推奨されています。

つまり、黄斑変性を防ぐためには「禁煙」「紫外線対策」「抗酸化栄養の摂取」が三本柱です。特に、食事から目を守るという意識を持つことが、長く健康な視力を保つ秘訣になります。

治療はどう変わった?注射から長期型治療へ

これまで『加齢黄斑変性』の治療は限られており、一度進行すると視力の回復が難しいとされていました。しかし近年は、医療技術の進歩によって効果的な治療法が次々と登場しています。なかでも大きな転機となったのが、抗VEGF薬注射(こうVEGFやくちゅうしゃ)の普及です。

この治療は、病気の原因となる異常な血管(脈絡膜新生血管)の成長を抑えることで、網膜のむくみや出血を防ぐものです。VEGFとは「血管内皮増殖因子(けっかんないひぞうしょくいんし)」というたんぱく質で、本来は血管を作るために必要な物質ですが、過剰に働くと網膜の下に異常な血管が生え出し、出血や腫れを引き起こします。抗VEGF薬はこのVEGFの働きをブロックし、黄斑へのダメージを抑えます。

代表的な薬剤には、アイリーア(Aflibercept)ルセンティス(Ranibizumab)、**ベオビュ(Brolucizumab)などがあり、いずれも眼の中(硝子体)に直接注射して治療を行います。以前は1〜2か月ごとの頻回な注射が必要でしたが、近年は薬の改良によって作用期間が長くなり、「長期間効果が続くタイプ」**の薬剤も登場しています。これにより、通院回数を減らしながら安定した視力を保つことが可能になりました。

また、治療の目的は「失われた視力を取り戻す」ことではなく、「これ以上悪化させないように抑える」ことにあります。早期に治療を開始すれば、視力を維持できるケースが増えており、生活の質(QOL)を保つことが期待できます。実際、抗VEGF薬の登場後は視力を保てる患者が大幅に増えたという報告もあります。

番組では、上尾中央総合病院 特任副院長・飯田知弘医師が出演し、こうした最新治療についてわかりやすく解説します。抗VEGF薬の仕組みや効果の持続期間、治療の流れ、さらに今後期待される新しい治療法など、最新の医療情報を紹介する内容になっています。

近年では、注射に代わる投与デバイスの開発や、患者の負担をさらに軽減する「リフィル型インプラント治療」の研究も進んでおり、今後は通院頻度を抑えながら長期間安定した治療が受けられる可能性が広がっています。こうした進歩によって、『加齢黄斑変性』は「治らない病気」から「コントロールできる病気」へと変わりつつあります。

自宅でできる早期チェック法

視力の異変を早期に見つけるには、アムスラーチャートと呼ばれるチェック方法がとても有効です。これは、方眼紙のような格子模様の中心に小さな点が描かれたシートで、『加齢黄斑変性』の初期サインを自分で確認できる簡単な検査ツールです。

やり方はとてもシンプルです。まず、部屋の明るさを保ち、眼鏡やコンタクトを普段どおりに着けた状態で、片目ずつ確認します。片方の目を手で軽く覆い、もう片方の目で中心の点を見つめながら、格子の線がまっすぐに見えるか、あるいはゆがんで見える部分がないかをチェックします。線が波打っていたり、一部が欠けて見える場合は、黄斑の異常が起きている可能性があります。

特に『加齢黄斑変性』の初期段階では、両目で見ていると健康なほうの目がもう一方を補ってしまい、異常に気づきにくくなることがあります。そのため、必ず片目ずつ行うことが重要です。日常の中で「本や新聞の文字が読みにくい」「まっすぐな線が歪んで見える」と感じたときも、この方法で確認してみると良いでしょう。

アムスラーチャートは、眼科や病院、さらには日本眼科学会や各自治体の医療機関のウェブサイトなどでも無料で入手できます。プリントして自宅で定期的にチェックすることで、異常の早期発見につながります。

もし、ゆがみや暗点、線の欠けなどの異常があった場合は、すぐに眼科を受診することが大切です。眼底検査を受けることで、加齢黄斑変性やほかの網膜疾患を早期に診断できます。放置すれば視力の中心が失われる危険がありますが、早めに治療を始めれば進行を抑えることができます。

視力は一度失うと取り戻すのが難しいため、「気づいたときに受診する」ではなく、「気づく前に確認する」ことが何よりも重要です。

まとめ

この記事のポイントは3つです。

  1. 加齢黄斑変性は高齢化とともに増加しており、視野の中心がゆがむ・暗くなるのが特徴。

  2. 喫煙や栄養不足、紫外線などが進行を早める。食生活の改善と禁煙が予防の鍵。

  3. 抗VEGF薬や長期型治療など、視力を守る最新の選択肢が登場している。

見え方の違和感は、老眼だけではありません。早期発見・早期治療が、未来の視界を守ります。放送後には、番組で紹介される最新の治療内容を追記予定です。

【出演】飯田知弘(上尾中央総合病院 特任副院長)、岩田まこ都、大川悠介
【番組】NHK Eテレ『きょうの健康 網膜を守る!目の最新治療「視野がぐにゃぐにゃ」』
【放送日】2025年10月21日(火)20:30〜20:45
【ソース】NHK公式:https://www.nhk.jp/p/kenko/


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