からだと心を知る!「SMIスコア」で見える更年期のサインとは?
「最近、眠りが浅い」「なんだかイライラしやすい」「体が前より疲れやすい」――そんな変化を感じていませんか?
40代から50代にかけて、女性の体と心にはゆるやかな“波”が訪れます。それがいわゆる「更年期」。けれど、同じ更年期でも人によって症状はまったく違います。
この記事では、そんなあなたの今の状態を客観的に見つめるためのツール『SMIスコア(簡略更年期指数)』について分かりやすく紹介します。自分のタイプを知ることで、治療の第一歩を踏み出せるきっかけになるはずです。
Eテレ【きょうの健康】みんなの「知りたい!」「更年期障害」更年期の職場理解×男性ホルモン×冷え対策ヨガで心も体も整える方法|2025年11月13日
SMIスコアとは?更年期の“見える化”ツール
『SMIスコア(Simplified Menopausal Index)』とは、女性の更年期にあらわれるさまざまな不調を数値で評価し、症状の強さを客観的に把握するための指標です。
更年期外来や婦人科では、問診の際にこのスコアを使って症状の全体像をつかみ、治療方針を考える際の参考にすることがあります。
目的は、「症状の強さを知り、必要に応じて医療機関を受診する目安をつくること」。
スコアは“診断”ではなく、“今の自分の状態を見つめる鏡”のような存在です。たとえば、「疲れやすい」「気分の波がある」といった漠然とした不調を点数で整理することで、自分の体調変化に気づきやすくなります。
また、スコアが低くても油断は禁物。生活のリズムやストレスによって症状が強くなることもあります。逆にスコアが高くても、正しいケアで改善できる場合も多いのです。
質問項目と点数のつけ方
SMIスコアは、以下の10項目について「強・中・弱・無」で自己評価し、合計点を出します。わずか3分ほどでできる簡単なチェックです。
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顔がほてる
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汗をかきやすい
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腰や手足が冷えやすい
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息切れ、動悸がする
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寝つきが悪い、眠りが浅い
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怒りっぽく、すぐイライラする
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くよくよしたり、憂うつになることがある
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頭痛、めまい、吐き気がよくある
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疲れやすい
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肩こり、腰痛、手足の痛みがある
それぞれの項目には点数が設定されています。
「顔がほてる」は強=10点、中=6点、弱=3点、無=0点。
「腰や手足が冷えやすい」は強=14点、中=9点、弱=5点、無=0点。
点数が高いほど症状が強いことを示します。
スコアの目安と解釈
合計点によって、現在の更年期の状態を大まかに把握できます。
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0〜25点:健康的な更年期。バランスの良い生活習慣を継続しましょう。
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26〜50点:やや注意が必要。食事や運動、睡眠リズムを見直す時期です。
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51〜65点:医師への相談を検討する段階。症状に合った治療で改善が期待できます。
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66〜80点:中等症以上。半年〜1年を目安に計画的な治療が必要。
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81〜100点:重症の可能性。婦人科専門医による長期的ケアをおすすめします。
厚生労働省の調査では、40〜49歳女性の約17.7%、50〜59歳女性の約20%が中等症以上に該当する結果となっており、決して珍しいことではありません。
タイプ分けで見つける「自分に合う治療」
同じ更年期障害でも、症状の出方や感じ方には個性があります。
最近では、症状の特徴に応じて以下のようなタイプ分けで治療を検討する流れが一般的です。
・血管運動神経型:ほてり、のぼせ、発汗など体温調整に関係する症状が中心。ホルモン補充療法(HRT)が有効。
・精神神経型:イライラ、不眠、気分の落ち込みなど心の変化が主。漢方薬(加味逍遙散など)や心理的ケアが効果的。
・運動器型:肩こり、腰痛、関節痛など筋肉や関節の症状が目立つタイプ。ストレッチや運動療法、栄養サポートが有効。
タイプを知ることで、「なぜこの治療をするのか」「どんな効果が期待できるのか」を明確に理解できます。
特に、治療を途中でやめてしまう人が3〜4割にのぼるといわれる現状では、自分の症状に合った治療を選ぶことが“継続の鍵”になります。
継続できる治療のために
更年期治療が長続きしない理由の多くは、「効果を実感できない」「副作用が不安」「病院に通うのが大変」といった心理的な要因です。
善方裕美先生(横浜市立大学 産婦人科客員准教授)は、「焦らず、自分のペースで続けることが何より大切」と語っています。
症状が軽くなったからといって急に薬をやめたり、通院をやめたりすると、再び不調がぶり返すケースもあるため、医師と相談しながら段階的に改善を目指すのがポイントです。
セルフケアで日常を整える
治療と並行して、日常生活の中でできる工夫もたくさんあります。
・朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる(体内時計のリセット)
・ウォーキングやヨガなど、無理のない軽い運動を週3回程度行う
・睡眠リズムを一定に保つ(夜更かしを控える)
・食事では、タンパク質・カルシウム・ビタミンDを意識的に摂る
・自分を追い詰めず、リラックスできる時間を持つ
これらの小さな積み重ねが、自律神経やホルモンバランスを整える助けになります。
まとめ
この記事のポイントをおさらいしましょう。
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『SMIスコア』は、更年期の症状を客観的に見える化する便利なツール。
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自分の症状タイプを知ることで、合う治療法を見つけやすくなる。
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継続的な治療と生活改善が、更年期を穏やかに過ごすカギになる。
更年期は「終わり」ではなく、「新しい自分をつくる時期」。
数値で自分の体を知ることは、未来の自分を守る第一歩です。
無理をせず、自分のペースでケアを続けていきましょう。
最後に、番組の内容と異なる場合があります。
参考・出典リンク
・ナース専科「更年期障害とSMIスコアの基礎知識」
https://knowledge.nurse-senka.jp/501010
・本宮市公式サイト「女性の健康支援 更年期障害とは」
https://www.city.motomiya.lg.jp/soshiki/11/kounennkisyougai.html
・厚生労働省「女性の健康の包括的支援に関する資料」
https://www.mhlw.go.jp/content/000969136.pdf
・産科・婦人科 小室医院「簡略更年期指数(SMI)セルフチェック」
https://www.komuroclinic.or.jp/kounenki-selfcheck.php
・はま夢「SMIスコア判定表(簡略更年期指数)」
https://hamayume.com/pdf/smi.pdf
・長池産婦人科(仙台市)「更年期セルフチェックと対処法」
https://nagaike-clinic.com/pdf/gynecology/smi.pdf
・鳥取県公式サイト「女性の健康チェックリスト(SMIスコア表)」
https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1340740/check_woman.pdf
・東京大学医学部附属病院「女性外来 問診票・簡略更年期指数(SMI)」
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/jyoseisanka/pdf/pa_a_joseika02_naibunpitsu_monshin.pdf
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