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Eテレ【きょうの健康】網膜を守る!目の最新治療「視野が欠ける ゆがんで見える!」|40代から注意!気づかない“見え方の異変”とは|2025年10月20日

きょうの健康

見え方の異変、それは「網膜」からのサインかも?

目の疲れだと思っていた“見えにくさ”が、実は網膜の病気によるものかもしれません。「視野が欠ける」「まっすぐの線がゆがんで見える」などの症状は、放っておくと失明につながることもあります。番組『きょうの健康』(2025年10月20日放送)では、そんな網膜の病気に注目。中でも患者が増えている「網膜剥離」と「黄斑円孔」について、最新の治療法と予防のポイントを紹介しました。

番組では、上尾中央総合病院 特任副院長・飯田知弘医師が専門家として登場。目の構造をわかりやすく図で説明しながら、私たちが普段なかなか気づきにくい“網膜の異変”を早期に発見するためのヒントを伝えました。

網膜とは?目の奥で光を感じ取る「スクリーン」

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番組の最初に紹介されたのが、網膜の構造です。目の断面図を使いながら、専門医の飯田知弘さんがわかりやすく説明しました。目の奥には、ピントを合わせる役割を持つ水晶体があり、そのすぐ後ろにはゼリー状の透明な組織である硝子体が広がっています。そして、そのさらに奥にある薄い黄色の膜が網膜です。厚さはわずか0.2ミリほどしかありませんが、この小さな膜が「光や色を感じ取る」という非常に重要な働きを担っています。

網膜は、カメラでいえばフィルムやイメージセンサーに相当します。外から入ってきた光を受け取り、視覚情報として電気信号に変換し、それを視神経を通じて脳へ伝えることで、私たちは「見ている」と感じるのです。もしこの部分に異常が起きると、目自体は動いていても、正しく“映像を送れない状態”になってしまいます。

興味深いのは、片方の目に異常があっても、もう片方の目が自然に補ってしまう点です。人間は両目で見ているため、片目の異変があっても脳が“正常な視界”として処理してしまいます。例えば、右目に小さな黒い影があっても、左目がそれを補ってくれるため、気づかないことが多いのです。その結果、「視野が欠ける」「物がゆがんで見える」といった症状が出てから受診するケースが多く、発見が遅れることにつながります。

番組では、健康な目と異常のある目の見え方を比較する映像も紹介されました。正常な網膜では文字や線がはっきり見えるのに対し、網膜に障害があると中心部分がぼやけたり、まっすぐな線が波打って見えたりします。こうした見え方の違いを理解することで、早めに異変を察知することが大切だと強調されていました。

視野が欠ける「網膜剥離」とは?

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まず取り上げられたのが、網膜剥離です。これは、目の奥にある網膜が眼球の内側の壁からはがれてしまう病気で、見える範囲が少しずつ欠けていくのが大きな特徴です。番組では、専門医が模型を使いながら「網膜はとても薄い膜で、一度はがれると自然には戻らない」と説明していました。

原因として多いのは、加齢による硝子体の変化です。年齢を重ねると、ゼリー状の硝子体が徐々に収縮して液化し、網膜を引っ張って裂け目を作ってしまうことがあります。また、強度近視の人は眼球が長く伸びているため網膜が薄くなり、はがれやすい傾向があります。さらに、スポーツや事故などによる外傷もきっかけになることがあります。

初期症状では、「視界に黒い点が飛ぶ(飛蚊症)」と感じたり、「光がチカチカする(光視症)」という違和感が出ることがあります。これらは網膜が引っ張られる際に起こる刺激によるもので、見え方の変化が一時的に現れることもあります。進行すると、まるで黒いカーテンが視界の一部を覆うように見えることがあり、その範囲が広がると視野の欠損が顕著になります。放置すれば、やがて失明に至ることもあります。

治療では、はがれた網膜を元の位置に戻すための硝子体手術が中心に行われます。手術では硝子体を除去し、網膜を再び眼球壁に密着させる処置を行い、場合によってはガスやシリコンオイルを注入して内側から固定します。軽度の場合は、裂け目をふさぐためのレーザー光凝固治療で進行を防ぐこともできます。

最近では、医療技術の進歩により手術時間も短縮され、術後の視力回復も改善しています。早期に治療を受ければ視力の温存が期待できるため、「異変を感じたらすぐ眼科へ」が合言葉のように強調されていました。特に近視の強い人や、過去に網膜の異常を指摘されたことのある人は、定期的な眼底検査が重要とされています。

ものがゆがんで見える「黄斑円孔」とは?

続いて紹介されたのが、黄斑円孔です。これは、網膜の中心にある黄斑部という場所に小さな穴があく病気で、物がゆがんで見えたり、文字がかすんで読みにくくなるのが特徴です。黄斑部は、ものを見るときに最もよく使う部分で、視力の大半を担っています。このため、ほんの小さな損傷でも「中心が見えにくい」「線が波打って見える」といった違和感を強く感じるようになります。

発症の多くは60歳以上の女性に見られ、加齢による硝子体の収縮が主な原因です。硝子体が黄斑部を引っ張ることで、その中心部分に裂け目が生じ、やがて穴が開いてしまいます。また、強度近視の人や、網膜の薄い体質の人にも発症しやすい傾向があります。

番組では、健康な目と黄斑円孔の目の見え方の違いを、分かりやすい図解で紹介。正常な視界ではまっすぐに見える線が、黄斑円孔があると波打って見える様子や、文字がゆがんで読みにくくなる例が映し出されました。スマートフォンの画面の文字がにじんだり、顔を見たときに相手の表情がぼやけるといった訴えが多く、初期段階では「疲れ目」と勘違いしてしまう人も少なくありません。

治療には主に硝子体手術が用いられます。これは、黄斑部を引っ張っている硝子体を取り除き、網膜にかかった力を取り除く手術です。さらに、網膜の表面にある薄い膜を慎重に剥がす内境界膜剥離手術を行い、穴を自然にふさがる状態に導きます。手術後は、網膜が元の位置に定着するまでの間、ガスを注入して目の中から支える方法が取られることもあります。

最新の医療技術では、手術の侵襲も少なくなり、入院期間も短縮。早い人では数日から1週間ほどで退院できるようになっています。術後の視力回復も良好で、早期発見・早期治療ができれば、再び読書やスマートフォン操作ができるほどの回復を見込める例も多いとされています。

番組の最後で専門医の飯田知弘さんは、「まっすぐの線がゆがんで見える、文字が読みにくいと感じたら、すぐ眼科へ。黄斑円孔は放置すると視力が戻らなくなることもある」と強調していました。

どう防ぐ?網膜を守るための生活習慣

飯田知弘医師は、「網膜の病気は予防と早期発見が何より大切」と強調しました。番組の中で、誰でも今日からできる3つの実践ポイントを紹介していました。

まず1つ目は、定期的な眼底検査を受けることです。特に40代以降は、年に1回の検査が理想とされています。網膜の異常は自覚症状がほとんどないまま進行するため、見え方に問題がなくても定期的に検査を受けることが重要です。眼底検査では、網膜や血管の状態を直接確認でき、初期の異変を早い段階で見つけることができます。番組では、検査によって偶然、早期の網膜裂孔糖尿病網膜症が見つかったケースも紹介されていました。

2つ目は、スマホやパソコン作業の合間に遠くを見る習慣を持つこと。長時間の近距離作業は、目の筋肉が緊張した状態を続けることになり、網膜への負担や血流の低下を招きます。飯田医師は「1時間に1回、10メートル以上先を10秒見るだけでも効果がある」と話していました。さらに、夜遅くまでの画面作業や暗い場所でのスマホ使用も避けるよう呼びかけていました。

3つ目は、糖尿病や高血圧など生活習慣病の管理です。これらの病気は、網膜の毛細血管に負担をかけ、糖尿病網膜症網膜静脈閉塞症などの合併症を引き起こす原因になります。食事や運動、睡眠のバランスを整えることが、結果的に網膜の健康維持につながります。特に塩分を控え、野菜中心の食生活を意識することが勧められました。

さらに、網膜を守る栄養素としてルテインゼアキサンチンも紹介されました。これらは「天然のサングラス」と呼ばれるほど、紫外線やブルーライトなどの光ダメージから目を守る働きを持っています。ルテインはほうれんそう・ブロッコリー・ケールなどの緑黄色野菜に多く含まれ、ゼアキサンチンは卵黄やとうもろこしなどから摂取できます。番組では、これらを毎日の食事に無理なく取り入れることで、長期的に目の老化を防ぐ効果が期待できると説明されていました。

また、日常生活の中で意識すべきこととして、十分な睡眠とストレス管理の大切さにも触れていました。目の健康は全身の健康と密接に関係しており、規則正しい生活こそが網膜を守る第一歩になるとまとめられていました。

まとめ:早めの受診で“見える未来”を守ろう

この記事のポイントは以下の3つです。
・網膜は「光や色を感じる」目の中で最も重要な部分
・視野が欠ける「網膜剥離」や、物がゆがむ「黄斑円孔」は初期症状に気づきにくい
・早期発見・治療と、生活習慣の見直しが視力を守るカギ

小さな違和感を「疲れ目」と見過ごさず、気になる症状があれば眼科での検査を受けることが大切です。番組で示されたように、最新の治療は進化しています。自分の目の“今”を知り、見える未来を守りましょう。


出典:NHK『きょうの健康 網膜を守る!目の最新治療「視野が欠ける ゆがんで見える!」』(2025年10月20日放送)
https://www.nhk.jp/p/kyounokenkou


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