世界に誇る日本のトンネル技術とは?飛騨トンネルの苦闘と“クセつよ”トンネルたち
今回の「突撃!カネオくん」は、日本のトンネル技術がテーマ。山が多い日本では、道路も鉄道もトンネルなしでは成り立ちません。そんな日本のトンネル工事の最前線に密着し、最新重機から歴史的難工事、SNSで話題のクセの強いトンネルまで幅広く紹介されました。
職人技を再現する“ウルトラ重機”がすごい
トンネル工事で活躍するのが、職人の技術を再現できるウルトラ重機。番組で登場した重機は、直径5センチの穴を高精度であけることができます。この穴は爆薬を仕込むためのもので、以前は熟練の職人が感覚であけていたものです。今では、センサーと制御技術によって機械がその作業を代行し、短時間でより正確に作業を進められるようになっています。人手では難しい繊細な作業も、重機が安全かつ効率的に行えるようになったことで、工事のスピードと安全性が大きく進化しました。
平成の難工事と語り継がれる飛騨トンネル
岐阜県の山あいに位置する飛騨トンネルは、全長10.7kmにもなる日本屈指の道路トンネルです。1996年に着工し、12年の歳月をかけて2008年にようやく開通しました。その道のりは平坦ではなく、地盤の不安定さや大量の地下水の湧出、極度の高土圧といった難題が立ちはだかりました。工事が行われた場所は、地下1000メートルを超える深さにもなる山岳地帯で、予想を大きく超える困難な地質条件が次々に現れたのです。
高性能掘削機と難工事への挑戦
このトンネル工事では、先進坑には「天生太郎(てんしょうたろう)」、本坑には「夢天生2000」という二つの掘削機(TBM)が使われました。天生太郎は直径4.5メートル、夢天生2000は直径12.84メートルと非常に大きく、岩盤を削り進むための強力なマシンでした。しかし掘り進める途中で地盤が崩れたり、大量の水が噴き出すことが何度もあり、掘削機が停止してしまうトラブルが続出しました。そのたびに補強工事や地盤の再処理が必要となり、工事はたびたび中断され、予想以上の長期戦となったのです。
それでも、工事関係者はあきらめずに一つ一つの困難を乗り越えました。現場では安全対策を何よりも重視し、細かな点検と判断がくり返されました。その結果、12年間におよぶ工事で死亡事故ゼロ・殉職者ゼロという驚異的な記録を達成しました。これは日本の土木技術とチームの粘り強さがあってこその成果です。
飛騨トンネル データ表
項目 | 内容 |
---|---|
延長 | 約10,712m(10.7km) |
着工 | 1996年(平成8年)10月 |
本坑貫通 | 2007年(平成19年)1月13日 |
開通 | 2008年(平成20年)7月5日 |
工期 | 約12年 |
掘削機 | 天生太郎(直径4.5m)、夢天生2000(直径12.84m) |
工法 | TBM(トンネル・ボーリング・マシン)工法 |
主な課題 | 不良地山、大量湧水、高土圧 |
安全実績 | 死亡事故0、殉職者0 |
この飛騨トンネルの完成は、単なる交通インフラの整備にとどまらず、日本の土木技術の底力を世界に示した象徴的な工事となりました。どんなに厳しい条件でも、技術と人の力で道を切り開く――そんな日本らしい姿が、このトンネルの中に刻まれています。
全国の“クセつよ”トンネルも登場
番組後半では、SNSで話題になっている全国各地のちょっと不思議なトンネルが紹介されました。たとえば、トンネルの入口がまるでモンスターの口のように見える場所、異世界に続いていそうな薄暗くて長いトンネルなど、見た目のインパクトが強い場所ばかり。地元では有名でも、全国的にはあまり知られていなかった場所も多く、地形や工法の違いによって生まれたユニークな存在でした。
中には、幅が極端に狭くて対向車とすれ違うのが大変なトンネルや、壁面がうねっているようなトンネルもあり、どれも地元の人たちに愛されている“名所”でした。
巨大岩を落とさずに撤去するミッションも
さらに、高速道路のトンネルの上にそびえ立つ巨大な岩を、崩さずに撤去する工事にも密着。もし小さな石ひとつでも落ちたら、走行中の車に危険が及ぶため、慎重を極めた作業でした。そこで使われたのが、トンネルの上に組まれた超巨大な足場。人も重機も乗れる頑丈な構造で、その上から少しずつ岩を削り取っていくという方法が取られていました。普通では考えられない規模と慎重さが求められる作業ですが、日本の技術とチームワークがしっかりと支えていました。
【ソース】
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Wikipedia:飛騨トンネル https://ja.wikipedia.org/wiki/飛騨トンネル
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土木学会 委員会サイト:https://committees.jsce.or.jp
飛騨トンネル周辺を訪れるなら外せない観光スポット

ここからは、私からの提案です。飛騨トンネルを目的に訪れたら、周辺にはそのまま立ち寄れる魅力的な観光地がたくさんあります。トンネルという土木の世界を感じたあとは、歴史、自然、温泉といった飛騨ならではの豊かな文化や風景も一緒に楽しめます。
飛騨高山の古い町並と歴史エリア
高山市内には江戸時代からの情緒あふれる町並みが今も残っており、歩くだけでまるで時代をさかのぼったような気分になります。格子戸の町屋や、石畳の小路、用水路に流れる清水など、どこを見ても絵になります。特に「高山陣屋」は江戸時代の役所をそのまま残した貴重な建物で、内部の見学も可能です。また、「飛騨の里」では合掌造りの古民家が再現され、飛騨地方の暮らしや文化を学ぶことができます。宮川沿いの朝市や地酒を楽しめる酒蔵巡りも人気のアクティビティです。
世界遺産・白川郷の合掌造り集落
飛騨と並んで人気なのが白川郷・荻町合掌造り集落。三角屋根の茅葺き民家が連なる景観は、まさに日本の原風景です。和田家や旧遠山家などは内部を見学でき、昔の生活を知ることができます。集落の中心を流れる庄川にかかる「であい橋」を渡ると、風情あふれる町並みに包まれます。さらに、集落全体を一望できる「荻町城跡展望台」からの眺めは絶景。季節ごとの美しさ(春の新緑、夏の青空、秋の紅葉、冬の雪化粧)も楽しめます。
白山白川郷ホワイトロードで大自然ドライブ
ドライブ好きなら外せないのが「白山白川郷ホワイトロード」です。白山国立公園内を走る全長33kmの山岳道路で、標高の高い場所を通るため視界が一気に開ける絶景が続きます。途中には滝や展望台もあり、紅葉の時期(9〜10月)や夏の新緑が特におすすめ。ただし、冬季は通行止めになるので注意が必要です。
大白川露天風呂で山と湖に癒される
白川郷から車で30分ほどの場所にある大白川露天風呂(平瀬温泉)は、自然の中にぽつんとある秘湯です。白水湖のすぐそばにあり、硫黄の香り漂う乳白色のお湯に浸かりながら山々と湖を一望できます。アクセスは少し険しい山道を進みますが、到着すればそこはまさに非日常。夏は新緑、秋は紅葉、晴れた日は星空も堪能できます。
観光スポットまとめ表
目的 | 見どころや内容例 |
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歴史・文化を感じる | 飛騨高山の古い町並、高山陣屋、飛騨の里、酒蔵巡り |
世界遺産体験 | 白川郷の合掌造り集落、和田家、遠山家、であい橋、展望台など |
絶景ドライブ | 白山白川郷ホワイトロード、滝スポット、高原ビュー |
温泉で癒し | 大白川露天風呂(平瀬温泉)、白水湖と山々の景色に包まれて入浴体験 |
飛騨トンネルのスケールや技術に驚いたあと、地域の自然や暮らしにふれることで、「人と自然が共にある風景」や「技術と文化のつながり」をじっくり体感できます。旅のテーマを少し広げて、飛騨エリアの奥深さを味わう旅にしてみてはいかがでしょうか。
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