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NHK【あさイチ】わたしの台所物語|海辺で生き直す元女性研究者の静かな再出発 千葉の海がくれた自由|2025年10月29日

あさイチ
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おばあちゃんの味がつなぐ“心の台所”の物語

料理をするとき、ふと「この味、誰かの味に似ている」と感じたことはありませんか?懐かしい香りや湯気の向こうに浮かぶのは、あの人の笑顔や声。そんな“記憶の味”は、人生のどこかで心を支えてくれる大切な存在です。2025年10月29日のあさイチでは、シリーズ第9弾となる『わたしの台所物語』が放送されました。今回も世代や暮らし方の異なる3人の女性の台所を訪ね、そこに込められた愛情と人生を紐解いています。この記事では、その3つの物語を丁寧にたどりながら、料理がいかに人の心をつなぎ、生き方を映し出すのかを紹介します。

岡山の住宅街に残る“おばあちゃんの味”を受け継ぐ孫の想い

最初に登場したのは、岡山県の住宅街にある一軒の家。コンロの下は扉が外され、鍋やフライパンがすぐに取り出せるように工夫された、長年使い込まれた台所です。この家で長年、近所の4世帯分のご飯を作ってきたのは、料理上手で気配り上手なおばあちゃん。そしてその台所を今、受け継いでいるのが鎌谷実玲さん(25歳)です。

実玲さんは子どもの頃からこの台所でおばあちゃんの料理を見て育ちました。おばあちゃんの味は、家族の思い出そのものでした。3年前に奈良県へ引っ越した実玲さんのもとへ、おばあちゃんは幾度となく電車を乗り継いで訪ねてきてくれました。仕事で疲れ果てた日には、いつも『長芋のすまし汁』と温かな手紙を添えて励ましてくれたそうです。

しかし、半年前におばあちゃんが体調を崩して入院。空っぽになった台所を見つめながら、実玲さんは「おばあちゃんの味を自分でも作れるようになりたい」と決意します。何度も練習しますが、なかなか思い通りの味にはなりません。そんな中、半年の入院を経ておばあちゃんが退院。再びこの台所に笑い声が戻ってきました。

現在は、実玲さんが中心となって料理を作り、おばあちゃんがアドバイスを送るという新しいスタイルに変わりました。味つけを確認しながら「ちょっと塩を足してみたら?」というおばあちゃんの声が響く中、家族が囲む食卓には10人分以上の料理が並びます。実玲さんは岡山に戻ってから『長芋をふわふわにするコツ』もつかみ、ようやくあの味に近づけたと話します。マキタスポーツさんも「愛情の連鎖が素晴らしいですね」とコメントしていました。

この台所には、料理という行為を超えて、“世代を超えたやさしさの循環”が息づいています。

千葉・海沿いのマンションで再び見つけた静かな幸福

次に訪れたのは、千葉県の海を望むマンションの11階。潮風が吹き抜ける明るいキッチンで暮らしているのは、佐野文子さん(67歳)です。ガス台もシンクもピカピカに磨かれたその台所には、長年の職人気質と几帳面な性格がにじみ出ています。

佐野さんは、かつて大学教授として動物の病気を研究していました。10年間で自分のための休みはわずか3日ほど。研究の合間にひらめきが降りてくる瞬間が何よりも楽しかったといいます。しかし、AI技術の進化が急速に進み、21歳の若者が半年で自分の三十年分の知識を超えていく現実を目の当たりにしました。「もう自分の役目は終わったのかもしれない」――そう感じ、定年まで4か月を残して退職。研究生活に終止符を打ちました。

その後、両親が暮らしていたマンションへ移り住み、静かな一人暮らしを始めます。父と一緒に出かけた潮干狩りの記憶をたどりながら、アサリで作る『アサリの刺し連』をこしらえるのが日課。貝殻を洗い、出汁の香りを確かめると、懐かしい父の笑顔が浮かぶといいます。近所に住む獣医師仲間が訪ねてきて、料理を囲んで語らうこともあるそうです。

「戻ってきて幸せ。ストレスがないもんね」と語る佐野さんの笑顔は、研究の世界では得られなかった穏やかさに満ちていました。福田麻貴(3時のヒロイン)さんも、「めちゃめちゃいい人生。地元に戻ってからの活力が料理にあふれていて、こういう女性になりたい」とコメント。台所に立つその背中は、自由と自立の象徴のように見えました。

50代女性ふたりの台所が映す“自然体の幸せ”

そして3つ目の物語は、須田きくみさん田畑葉子さんの二人暮らしの台所。シンクが2つある広々としたキッチンには、建築士である田畑さんの設計センスが生かされています。朝の光が差し込む台所で、畑から収穫した野菜を並べるのがきくみさんの日課。

きくみさんは中学1年生の頃、女性に初恋をしました。しかし、その気持ちを誰にも打ち明けられず、苦しさのあまり摂食障害を発症。男性と付き合ってみても病状は悪化するばかりでした。社会人になってカミングアウトしても、周囲から「気持ち悪い」と言われ、孤独を感じたといいます。

そんな中で出会ったのが田畑さんでした。38歳のときに出会い、一緒に暮らすようになって17年。都会を離れ、自然のそばで暮らす今の生活は「毎日がバケーションのよう」と語ります。畑でとれたナスやズッキーニを使って作る『豚肉とズッキーニのしょうが焼き』や『キャベツの千切りサラダ』など、7品の料理がテーブルに並びました。

2人が料理をしている姿はまるで呼吸を合わせるようで、お互いの存在を大切にしているのが伝わります。かつて否定していた両親も、最終的に2人の結婚式に出席してくれました。「ようやく心から笑えるようになった」と話すきくみさんの表情は、長い葛藤を乗り越えた安らぎに満ちていました。

マキタスポーツさんは「腹くくった瞬間から人生が変わったという言葉が印象的」と感想を述べ、大平一枝さんも「きくみさんは、きょう1日ここに立てることを感謝しているんだろうなと感じました」とコメント。台所は、ただ料理をする場所ではなく、“心を養う場所”であることを改めて感じさせる言葉でした。

台所は、記憶と愛情が交わる“人生の原点”

今回の『わたしの台所物語』は、どのエピソードも「料理=生き方」という深いメッセージを伝えていました。祖母から受け継ぐ家庭の味、自分を取り戻した静かな台所、そして愛する人と築く自然体の暮らし。どの台所にも、それぞれの“人生の温度”がありました。

この記事のポイントは次の3つです。
・台所は家族の記憶や想いを受け継ぐ「心の拠り所」
・料理を通じて、過去と未来、人と人とがつながる
・年齢や形が違っても、台所にはその人らしい“生き方”が映し出される

次にあなたが台所に立つとき、ぜひ少し立ち止まってみてください。その香りや音の中に、きっと誰かの愛情や記憶が生き続けているはずです。あなたの“わたしの台所物語”も、もうすでに始まっています。


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