記事内には、広告が含まれています。

NHK【ドキュメント72時間】渋谷駅前で今も続く“新聞スタンド”の記憶|スクランブル交差点に残された最後の紙風景|2025年8月1日放送

ドキュメント72時間

渋谷駅前“最後の新聞スタンド”で出会った紙の物語

今ではすっかり姿を消しつつある「新聞スタンド」。そんな中、東京・渋谷の真ん中、スクランブル交差点のすぐそばに、昔ながらのスタイルで営業を続ける新聞スタンドがあります。雑誌や新聞を直接販売するこのスタンドは、デジタル化が進んだ現代において、ほとんど唯一ともいえる存在です。

この場所は、観光客も多く行き交う渋谷の繁華街にありながら、時間がゆっくり流れているような、不思議な空間です。人々がスマートフォンで情報を読む時代に、紙の新聞をあえて買いにくる人がいます。そんな人たちを、NHK「ドキュメント72時間」が3日間にわたって見つめました。

忙しない街の中で、あえて紙の新聞を買う人たちの理由

紙の新聞を買う行動は、今では特別なことに見えるかもしれません。スマートフォンやタブレットでニュースを読める時代、情報はすぐに、どこでも手に入ります。それでもこの新聞スタンドには、毎日、新聞を求めて訪れる人がいます。駅に向かう途中で足を止めるビジネスマン、仕事帰りに決まった紙面を手に取る人、休日に雑誌をじっくり選ぶ若者の姿もあるかもしれません。

紙の新聞は、ページをめくるという動作があり、見出しの大小、レイアウト、写真の配置など、情報を“空間”として体感できるメディアです。スマホのように流し読みせず、ひとつひとつの情報に向き合う時間が自然と生まれます。デジタルに慣れた世代の中にも、そうした「紙を読む」ことの特別さに魅力を感じている人がいます。さらにこのスタンドは、ただ新聞を売るだけではなく、立ち止まるきっかけ、街と接続する“小さな窓”にもなっているのです。

販売しているのは朝刊、夕刊、スポーツ紙、週刊誌など。観光客が記念に買っていくこともあるでしょう。紙という形で手元に残る新聞には、記録としての価値もあります。まさに「持ち帰れる街の一部」として、人々の記憶に残っていくのです。

6月24日(火)釣りファン、競馬好き、推し活男子、新聞読み比べ女性

1日目の火曜日、朝から多くの常連がスタンドを訪れました。釣りが趣味の男性は、毎週かかさず釣り関係の新聞や雑誌を購入し、記事に目を通すのが楽しみとのことでした。観光地でもある渋谷では、外国人が道を尋ねる姿も多く、店先で地図を広げる場面もありました。

この日、40年以上通っているという競馬ファンの男性が現れました。いつものように競馬新聞を手に取り、「ここで買うのが習慣」と言いながら、すぐにページをめくって立ち読みを始めていました。また、推し活をしているという若い男性も訪れました。アイドルの特集記事が載った新聞を、ネットで調べてわざわざ買いに来たそうです。記事は「必ず紙で持っておきたい」と話し、大切そうに折りたたんで持ち帰っていきました。

さらに、毎日夕刊を3紙購入するという女性が登場しました。それぞれの新聞を読み比べ、「視点が違って面白い」と楽しんでいる様子でした。夕方には、店員が売り上げを集計しながら閉店準備を進める姿がありました。

6月25日(水)新聞配達経験のある店員と、英字新聞を買う講師

2日目は、水曜日。開店準備をしていたのは昨日とは別の男性で、かつてこの店に新聞を配達していた経験があるそうです。その縁で、今もときどき手伝いに来ているとのことでした。「このあたりで新聞スタンドは、もうここだけになってしまった」と語っていました。

この日、渋谷に50年以上暮らすという女性が通りがかり、スタンドの店員と軽く挨拶を交わしていました。立ち寄って話すのが日課になっているそうで、このスタンドが街の一部になっていることがよく伝わってきました。

また、英語を勉強しているという塾講師の男性が現れ、英字新聞を1部購入していきました。日々の学習のため、毎日ここに来ているとのことです。夕方になると人通りが少し落ち着き、静かな時間が流れました。店員は「なるようにしかならないね」と言いながら、穏やかな表情で店先に立ち続けていました。

6月26日(木)常連も新顔も訪れる“最後の場所”

3日目の木曜日には、娘の仕事を手伝うために毎週渋谷を訪れているという男性がやってきました。この新聞スタンドには数年前から通っていて、紙の新聞を買うことが日課になっているそうです。「店員さんの笑顔が好きで通っている」と話し、新聞を受け取るとすぐにその場をあとにしました。

昨日も訪れていた塾講師の男性が、ほぼ同じ時間に再び姿を見せました。彼にとっては英字新聞を買うことが、毎日の学びを積み重ねるリズムになっているようでした。午後5時ごろ、10年ぶりにこのスタンドに立ち寄ったという男性も登場しました。「ここは自分にとって日常のひとつだった」と語り、懐かしそうに新聞を手に取っていました。

この日初めて訪れたという若者の姿もありました。また、長く病気の治療を続けていたという男性が、「落ち着いたのでまた通おうと思って」と、新聞を買っていきました。スタンドの前には、新しい出会いと、長く続く習慣が混ざり合い、ゆっくりとした時間が流れていました。

紙の新聞を買う理由とは?スマホ時代に選ばれる“紙の魅力”

しげゆき
しげゆき

ここからは、私からの提案です。現代ではほとんどの人がスマートフォンやパソコンでニュースを読んでいますが、それでも紙の新聞を買う人がいます。渋谷の新聞スタンドにも、毎日新聞を手にする人がいます。その理由は、ただ「習慣だから」ではなく、紙だからこそ得られる価値があるからです。

情報を一目で把握できる“見やすさ”

紙の新聞は、開いたときにページ全体を一度に見渡せるのが特徴です。スマホでは画面が小さいため、スクロールしないと全体が見えませんが、新聞なら見出しや写真、記事の配置がひと目でわかります。これにより、どんなニュースが起きているのかをざっくり把握しやすくなります。

手に残る記録としての“保存性”

新聞は形として残る媒体です。印象に残った記事や特別な日の新聞は、そのまま保存しておくことができます。スポーツの優勝記事や災害の記録、大切な人の載った紙面など、あとから見返すことで、そのときの記憶も一緒によみがえるのです。こうした「手元に置いておける」という特徴は、デジタルにはない魅力です。

ゆっくり読む時間と集中力

スマホでは通知や広告が入ってきて、集中して読むのが難しいこともあります。紙の新聞にはそうした割り込みが一切なく、記事に集中できます。また、ページをめくるという行為にはリズムがあり、読むという行動が**“落ち着いた時間”に変わる**こともポイントです。

表:紙とデジタルの特徴の違い

特徴項目 紙の新聞 スマホのニュース
情報の一覧性 〇 一目で把握しやすい △ 見出しは見えるが全体像は見にくい
保存のしやすさ ◎ そのまま保管できる △ URL保存やスクショが必要
読書の集中力 ◎ 通知などに邪魔されない △ 他アプリに注意が向きやすい
操作性 ◎ ページを直感的にめくれる △ タップやスクロール操作が必要

記念や贈り物にもなる“紙の価値”

特別な日の新聞は、記念品としての役割も果たします。たとえば、誕生日の新聞、結婚の日の紙面、子どもが載った地元紙などは、額に入れて飾る人もいます。最近では「昔の新聞を印刷して贈れる」サービスも人気で、紙の新聞が“贈り物”になる時代です。

紙の新聞には、単なる情報源を超えた人の思い出や記録が刻まれる媒体としての魅力があります。渋谷の新聞スタンドで人々が立ち止まり、手に取る姿には、こうした“紙の意味”が感じられるのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました