ミニベロ出会い旅 パラダイス盆地 〜小手伸也が走る宮崎・都城〜
宮崎県の南西部にある都城市は、豊かな自然と文化に囲まれた「盆地のまち」です。そんな土地を走るのにぴったりなのがミニベロ(小型折りたたみ自転車)です。軽くて小回りがきくため、町中をスイスイ走れ、ふとした寄り道や偶然の出会いを楽しめます。徒歩より広く、車より身軽に動けるのが大きな魅力です。今回の旅では俳優の小手伸也さんがミニベロで都城を巡り、グルメや工芸品、地元の人々との出会いを重ねます。
町中に広がる茶畑の風景
都城市の特徴的な景観のひとつが、町の中に突然広がる茶畑です。住宅や商店のすぐそばに鮮やかな緑の畝が広がり、その背景には霧島連山がそびえる風景はまさに「日常の中の非日常」。自転車で走っていると、急に目の前に茶畑が広がり、まるで絵のような景色に出会う瞬間があります。都城盆地は霧が発生しやすく、その気候はお茶の栽培に理想的。香り高い「都城茶」が育つ理由は、この自然の恵みにあります。茶畑には霜避け用の送風機が立ち並び、風を送り込む姿は風物詩のひとつ。畑に吹き抜ける風や太陽の光を浴びながら、のんびり走るミニベロ旅は、都会では味わえない開放感を感じさせてくれます。
匠の技が光る木工芸品
都城は伝統工芸の宝庫でもあります。中でも注目されるのが「宮崎ロクロ工芸」。ろくろを使って木材を削り、美しい器や工芸品に仕上げる技術は、昭和60年に宮崎県の伝統工芸品に指定されています。使われる木材はケヤキやサクラ、かえで、そしてとても希少な**黒柿(くろがき)**など。黒と白が入り混じる独特の模様を持つ黒柿は、「木のダイヤモンド」とも呼ばれています。これを磨き上げて作るワイングラスは、自然の木目を生かした一点もの。職人は半年以上かけて木を乾燥させ、専用の道具を自ら鍛えて削り出すという、気の遠くなるような工程を経て作品を完成させます。手に取れば木の温もりが伝わり、まるで自然と一体になるような感覚。自転車旅の途中で偶然出会うこうした工芸品は、都城の歴史や文化を感じる特別な瞬間になります。
都城の名物「大皿いっぱいのおでん」
都城の食文化の中でも存在感を放つのが「大皿いっぱいのおでん」です。名前の通り、大皿に盛り付けられる豪快さが特徴。出汁は鶏ガラに昆布や鰹の旨味を重ねた深い味わいで、関東のおでんとはまったく異なる魅力があります。具材には、豆の部分が付いたままのおやし(大豆もやし)、軽くつゆにくぐらせるキャベツ、そして8時間以上煮込んでほろほろに柔らかくなった豚なんこつなど、都城ならではのものが並びます。さらに仕上げには柚子や日向夏の皮を散らし、爽やかな香りをプラス。味に奥行きを与えてくれるこのひと工夫が、都城おでんの人気の理由です。地元では一年を通して食べられ、鍋を持参して持ち帰るのが当たり前という独特の文化もあります。大皿おでんは、都城の人々の暮らしに根付いた“心の料理”と言えるでしょう。
年間140万人以上が訪れる道の駅「NiQLL」
旅の締めくくりに立ち寄りたいのが、2023年にリニューアルした道の駅「都城NiQLL(ニクル)」です。「肉(NiQ)」と「ここに来る?(NiQLL)」を掛け合わせた名前の通り、肉のまち都城を象徴する施設です。規模は旧施設の約6倍に拡張され、直売所には牛・豚・鶏の精肉、地元野菜、焼酎、木工品まで揃っています。家族で遊べる木の遊具広場、イベントスペース、カフェなども充実し、観光客にも地元の人にも親しまれる場所になりました。リニューアル初年度だけで140万人以上が訪れ、累計来場者は200万人を突破。短期間でこれだけの人を集めたのは全国的にも珍しく、都城の新しいランドマークになっています。ここで地元のグルメやお土産を楽しめば、旅の思い出がさらに広がります。
なぜ都城を自転車で旅するのか?
都城の魅力は、ただ観光地を巡るだけではなく、「自分のペースで土地を味わえる」点にあります。都城観光協会では、25kmから100kmを超える9つのサイクリングルートを整備しており、初心者から上級者まで楽しめます。霊峰高千穂峰を望むルートや、田園風景が続くルート、廃線跡をたどるルートなど、どれも自転車ならではの発見が待っています。自転車だからこそ、道端のお地蔵さんや小さな橋、地元の人との何気ない会話に出会えるのです。特にミニベロは私服で気軽に乗れ、折りたたんで電車や車に積むことも可能。装備を気にせず、身軽に旅ができる点が魅力です。都城の自然や文化、人々の暮らしに触れるには、自転車旅がもっとも適していると言えます。
まとめ
宮崎・都城は、茶畑の風景、黒柿の木工芸、大皿いっぱいのおでん、道の駅NiQLLといった個性豊かな魅力にあふれています。そして、それらに出会う最良の手段が自転車旅。徒歩よりも遠くへ、車よりも自由に、町を縫うように走ることで、都城の宝物をひとつずつ見つけることができます。ミニベロという身軽な相棒を通して、歴史、文化、食、人との出会いが旅を彩ります。今回の放送では、小手伸也さんがそのすべてをどんなふうに感じ取り、どんな交流を重ねるのか。放送後にはさらに多くの魅力が語られるはずです。都城を知りたい人、自転車旅に興味がある人にとって必見の内容になるでしょう。
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