秋のカゼを防ぐ東洋医学の知恵
秋が近づくと「夏の疲れ」が一気に表に出て、体調を崩す人が増えます。特に今年2025年も猛暑と残暑が長引き、体の基礎力が消耗している人が多いでしょう。「新東洋医学」の観点では、秋のカゼは単なる風邪ではなく、老化を早める危険因子として警戒すべきとされています。この記事では、放送前情報をもとに、番組の見どころと東洋医学的な養生法を整理しました。
秋のカゼが老化を早める理由
秋のカゼは、ただの体調不良にとどまらず、体全体の衰えや老化に直結すると東洋医学では考えられています。夏の間に溜まった疲れや生活習慣の乱れが、秋に入って一気に表面化するからです。
まず大きな原因となるのが「気」の消耗です。気は体を動かすエネルギー源であり、免疫力の基盤でもあります。夏の強い暑さ、冷房、冷たい飲食物で気が大量に使われてしまい、秋に風邪を引くとさらに気が減ります。その結果、体を守る力が落ち、感染症にかかりやすくなります。
次に注意したいのが脾胃(胃腸)の弱りです。夏は冷たい飲み物やアイスなどをとる機会が増え、また食欲不振で栄養が偏りがちです。胃腸が弱ると食べ物から十分にエネルギーや血を作ることができず、体力の回復が遅れます。特に年齢を重ねるほど影響が強く出やすくなります。
さらに秋特有の問題が肺と粘膜の乾燥です。東洋医学では肺は呼吸や皮膚、粘膜の潤いを保つ臓器とされます。乾燥の季節に気や水分が不足すると、鼻や喉が乾きやすくなり、防御力が弱まります。そのため咳や喉の痛み、気管支炎などの症状が出やすくなるのです。
また、風邪をひいた後に修復不足が起こることも問題です。体はウイルスと戦うために大量のエネルギーを使いますが、気や栄養が足りないと細胞の再生や免疫機能の回復が追いつきません。この状態は東洋医学で気血両虚(きけつりょうきょ)と呼ばれ、慢性的な疲労や虚弱体質につながります。
加えて、防御力が落ちると炎症の慢性化が進みます。風邪を何度も繰り返したり、炎症が長引くことで組織にダメージが蓄積し、体の老化が加速するのです。
このような流れによって、秋のカゼをきっかけに肌の乾燥やツヤの低下、疲れやすさや持久力の低下、さらには精神的な落ち込みや睡眠の質の悪化といった老化サインが現れやすくなります。つまり秋のカゼは、単なる季節性の不調ではなく、体の若さや健康を左右する大きな分かれ道になるのです。
東洋医学で考える秋の不調
秋特有の不調には、東洋医学でいう「燥邪(乾燥の邪気)」や、夏に溜まった「脾胃(胃腸)の疲れ」が深く関わっていると考えられています。暑さや冷房、冷たい飲食の影響で弱った体が、そのまま秋を迎えることでバランスを崩しやすくなるのです。
まず影響を受けやすいのが肺です。乾燥が進む秋は、咳や喉の乾燥、声枯れ、そして肌のかさつきといった症状が出やすくなります。肺は呼吸や粘膜の潤いをつかさどる臓器なので、潤い不足が体調に直結します。
次に胃腸の不調です。夏に冷たいものをとりすぎたり、食欲が落ちていた影響で胃腸が弱っていると、秋になっても回復しきれず、食欲不振や下痢、胃もたれといった不調が続きます。エネルギーを作る力が落ちてしまうため、体全体がだるくなりやすいのです。
さらに、夏の疲れから気の不足が起こると、慢性的な倦怠感ややる気の低下につながります。免疫力も弱まり、風邪をひきやすい状態が続くのも特徴です。
加えて、秋は昼夜の寒暖差や台風などの気圧変化が多い季節です。そのため自律神経の乱れが生じやすく、不眠やだるさ、気分の落ち込みなど心身の不調が重なりやすくなります。
このように、秋の不調は単なる季節の変化だけでなく、「夏の疲れを引きずったまま秋を迎えること」が原因となり、体のさまざまな部分に影響を及ぼしているのです。
食養生で秋のカゼを防ぐ
食べ物で体を整える「食養生」は、秋のカゼを防ぎ、体の回復力を高めるためにとても大切です。東洋医学では、季節に合った食材を取り入れることで体のバランスを守り、老化や免疫力低下を防ぐことができると考えられています。
まず意識したいのが肺を潤す食材です。代表的なのは梨、白きくらげ、れんこん、柿、ぶどう、百合根など。乾燥しがちな秋の空気から喉や鼻を守り、粘膜をうるおして風邪を防ぐ働きがあります。梨や柿は旬の果物なので手に入りやすく、デザートとしても取り入れやすいのが魅力です。
次に必要なのは補気・補血の食材です。これは体のエネルギー源を補い、血をしっかり巡らせる働きを持ちます。鶏肉、卵、サンマやサバなどの青魚、さつまいも、栗、クルミはおすすめです。特に秋はサンマや栗がおいしい季節なので、自然に養生ができます。
さらに、夏から続く湿気を体にため込まないために余分な湿をとる食材も欠かせません。はと麦、冬瓜、とうもろこし、小豆はむくみやだるさを取り除き、胃腸の調子を整えます。体が軽くなることで気の巡りも良くなります。
そして気温差が大きい秋には体を温める食材も重要です。生姜やネギを加えたり、温かいスープやお粥をとることで、冷えから体を守ることができます。特に朝に温かい食事をとると、一日のスタートを元気に切れます。
実践の工夫としては、朝は生姜入りのお粥で胃腸を温め、夕食には青魚の煮物で良質なタンパク質と脂を補う。間食には栗やクルミを取り入れ、夜には白きくらげと梨のスープで肺を潤すと、季節の変化に負けない体をつくることができます。
このように、秋は「潤す」「補う」「温める」を意識した食養生を取り入れることで、カゼ予防と同時に老化防止にもつながります。
番組の見どころ
2025年9月15日放送の「明日から使える“新”東洋医学(7)夏の疲れがまねく秋のカゼ」では、木村容子さん、ワタナベマキさん、石垣英俊さん、小田井涼平さん、松本明子さんが登場。夏から秋にかけて体に潜むリスクを、現代視点を取り入れた東洋医学で解説します。特に、カゼと老化の関係に迫る点は注目ポイントです。
まとめと次のステップ
この記事のポイントを整理します。
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秋のカゼは「老化を早める」可能性がある
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原因は「気の消耗」「脾胃の弱り」「肺の乾燥」など
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食養生では潤肺・補気・温めがキーワード
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具体的には梨・白きくらげ・栗・青魚・生姜などが効果的
この記事を読んだあなたは、秋の体調不良をただの風邪と軽く見ず、日常の食事や習慣を少し工夫することで老化予防につなげられることを知ったはずです。
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