「肺炎の治療・予防 徹底対策」
肺炎は、日本人の死因でも上位に位置する深刻な病気です。特に高齢者がかかりやすい『誤嚥性肺炎』や、子どもや若者に広がる『マイコプラズマ肺炎』は注意が必要。あなたや家族も「咳が続いているけど大丈夫かな?」と不安を感じたことはありませんか?私たちが油断しがちなサインを見逃さないことが、命を守る第一歩です。この記事では、NHK Eテレで2025年9月21日に放送予定のチョイス@病気になったとき「肺炎の治療・予防 徹底対策」 の内容をベースに、肺炎の原因や予防法をわかりやすく整理します。
誤嚥性肺炎に気をつける理由
誤嚥性肺炎は、高齢者に特に多く、命に直結する危険性がある肺炎です。食べ物や唾液が誤って気管に入ることで細菌が肺に入り炎症を起こします。厄介なのは、発熱や強い咳などの典型的な症状が目立たないことが多く、「元気がない」「食欲が落ちた」「なんとなくぼんやりしている」といった小さな変化が重要なサインになります。一度発症すると再発しやすく、繰り返すたびに体力や免疫力が削られ重症化しやすくなります。
死亡原因としての重さ
日本では肺炎が高齢者の死亡原因の上位にあり、その多くが誤嚥性肺炎です。施設や在宅の場面でも、誤嚥性肺炎で命を落とす例は少なくありません。
非典型的な症状の難しさ
高熱や激しい咳といった典型的症状が出にくいため、発見が遅れることがあります。小さな違和感を早めに気づくことが大切です。
再発のリスク
嚥下機能の低下や口腔環境の悪化が続くと再発しやすく、繰り返すごとに抵抗力が弱まり予後が悪化します。
複数要因の重なり
嚥下機能や咳反射、口腔内環境、免疫力、体力など複数の要因が重なり発症します。これらは加齢や病気で悪化しやすいのが特徴です。
生活への影響
発症すると食事形態の変更や口腔ケア、嚥下訓練が必要になり、家族や介護者の負担が大きくなります。生活の質全体に関わる問題です。
予防可能性
嚥下訓練・口腔ケア・栄養管理・姿勢の工夫・ワクチン接種といった対策でリスクを下げられます。日常生活の中でできる予防が多い点が特徴です。
表:誤嚥性肺炎リスク要因とその影響
リスク要因 | 影響内容 |
---|---|
嚥下機能の低下 | 飲み込みが弱くなり、誤嚥を起こしやすくなる |
咳反射の弱まり | 気管に入ったものを外に出せず炎症を起こす |
口腔内の細菌増加 | 細菌が肺に入り、炎症の原因になる |
免疫力・体力低下 | 小さな誤嚥でも肺炎に発展しやすくなる |
栄養状態の悪化 | 筋力や嚥下力の低下につながり、肺炎リスクが上がる |
このように、誤嚥性肺炎は日常の小さな変化や習慣に大きく影響される病気です。だからこそ日々の予防行動が命を守るカギになります。
マイコプラズマ肺炎の特徴と対応
一方で、若者や子どもに多いのが『マイコプラズマ肺炎』です。初期症状は風邪ととても似ているため見逃されやすいのですが、最大の特徴は乾いた咳が3〜4週間以上続くことです。普通の風邪であれば数日から1週間ほどで落ち着くのに対し、この咳は長く続き、夜間に強く出て眠れないこともあります。さらに、発熱や全身のだるさ、頭痛を伴う場合があり、体力を消耗しやすいのも注意点です。
重症化のリスク
放置してしまうと、咳の悪化や肺の炎症が広がり、入院が必要になるケースもあります。特に体力が弱い子どもや高齢者、基礎疾患を持っている人では重症化しやすく、早期の受診が重要です。合併症として胸膜炎や中耳炎などを引き起こすこともあり、軽く見てはいけません。
治療の基本
治療ではマクロライド系抗菌薬が第一選択とされています。しかし近年はマクロライドが効かない耐性菌の存在も増えており、その場合は他の抗菌薬を使うことになります。市販の風邪薬では改善が期待できず、咳止めだけでは根本的に治りません。そのため、「咳が長引いている」「風邪薬を飲んでも改善しない」というときは、必ず医療機関を受診する必要があります。
早めに気づくことの大切さ
この病気は潜伏期間が2〜3週間と長く、気づいたときには家族や学校などで感染が広がっていることも少なくありません。早めに「ただの風邪ではないかもしれない」と気づくことが、自分の健康だけでなく周囲への感染拡大を防ぐことにもつながります。
このように『マイコプラズマ肺炎』は、咳の長さと治療の特殊性が大きな特徴です。風邪と間違えて放置せず、早めの受診と正しい治療で対応することが、重症化を防ぐ一番の近道になります。
肺炎球菌ワクチンで重症化を防ぐ
肺炎球菌は、肺炎を引き起こす代表的な原因菌のひとつです。とくに高齢者や体力の落ちた人にとっては、命に関わるほど重症化する危険があるため、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNPなど)の接種が大切です。このワクチンを打つことで、肺炎の重症化や死亡のリスクを大きく下げられることが、多くの研究で確かめられています。
接種対象と効果
対象となるのは、65歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ人です。日本では定期接種の制度が整っていて、多くの自治体で助成も行われています。効果はおよそ5年間持続するとされ、特に初回接種後は免疫がしっかり働きます。研究データでは、重症な肺炎の発症を約40〜45%防げると報告されており、これは数字としても大きな安心材料になります。
ワクチンの仕組みと限界
肺炎球菌には90種類以上の型がありますが、ワクチンはそのうち重症化を引き起こしやすい型を中心にカバーしています。代表的な「23価肺炎球菌ワクチン」は、成人で問題となる23種類の菌に対応しています。ただし、すべての肺炎を防げるわけではありません。ウイルス性の肺炎や、ワクチン対象外の菌による肺炎には効果がないため、接種後も日常生活の工夫は欠かせません。
期待できる効果と生活への安心
それでも、接種するかしないかで結果は大きく変わります。ワクチンを打った人は、打たない人に比べて入院のリスクや死亡率が低いことが統計で示されています。特に体力が落ちやすい高齢者にとって、ワクチン接種は生活の質を守る大きな手段になります。全てのリスクを消すことはできなくても、「重症化を防ぐ」確かな備えとして大きな意味を持っているのです。
日常生活でできる肺炎予防行動
肺炎を防ぐためには、薬やワクチンだけでなく、毎日の生活習慣がとても大きな役割を果たします。身近な工夫を続けることで、発症リスクを下げ、健康を守ることができます。
口腔ケア
口の中の清潔を保つことは肺炎予防の第一歩です。毎食後にしっかり歯みがきを行い、夜寝る前にも磨くことが基本です。入れ歯を使っている場合は、夜には外して丁寧に洗浄し、細菌の繁殖を防ぐことが欠かせません。さらに、定期的に歯科を受診し、専門的なクリーニングを受けることで、口腔内の細菌を減らし肺炎の原因を遠ざけることができます。
嚥下体操
飲み込む力を保つことも大切です。簡単にできる方法として、「パ・タ・カ・ラ」と発音する体操は唇や舌の筋肉を鍛え、嚥下力を維持する助けになります。また、唾液腺を指で軽くマッサージすると唾液の分泌が促され、口の中が潤い誤嚥を防ぎやすくなります。嚥下機能を日常的に鍛えることが、誤嚥性肺炎の予防につながります。
食事姿勢
食事中の姿勢も油断できません。背筋をまっすぐ伸ばし、あごを軽く引いて食べると、飲み込みがスムーズになり誤嚥を防げます。食べ物は小さく切ってゆっくりかむこともポイントです。さらに、食後すぐ横にならずにしばらく座って過ごすことで、食べ物や飲み物が逆流して気管に入り込むのを防げます。
運動習慣
体を動かすことは免疫力を高め、肺炎のリスクを下げる重要な要素です。特に毎日の散歩は無理なく続けられる運動で、血流をよくして体力を維持できます。長時間でなくても、20〜30分の軽い散歩や買い物ついでの歩行でも効果があります。継続することが最大のポイントです。
感染予防
肺炎はウイルスや細菌がきっかけになることも多いため、基本的な感染対策は欠かせません。外出後の手洗い、帰宅時のうがい、混雑した場所でのマスク着用、そして室内の換気を意識的に行うことが重要です。これらはどれも手軽にできる行動ですが、積み重ねることで大きな予防効果につながります。
このように、日常の小さな工夫を重ねることで、肺炎のリスクをしっかり下げることができます。
まとめ
この記事のポイントは以下の3つです。
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誤嚥性肺炎は「典型的な症状が出ない」ため見逃されやすい
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マイコプラズマ肺炎は「長引く乾いた咳」が最大の特徴
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肺炎球菌ワクチンや日常の生活習慣で重症化を防ぐことができる
肺炎は誰にとっても身近なリスクですが、予防や早期発見で大きく未来は変わります。あなたや大切な家族を守るために、今日からできることを始めましょう。
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ソース:
NHK 番組表「チョイス@病気になったとき『肺炎の治療・予防 徹底対策』」
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