ブラジルのロミオとジュリエット 甘さと塩気が恋するスイーツの物語
ブラジルの家庭で長く愛されてきた伝統スイーツ「ロミオとジュリエット」。その名前の由来はもちろん、シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』です。けれど、ここでの“ロミオ”と“ジュリエット”は登場人物ではなく、2つの食材。甘く濃厚なグアバのペースト「ゴイアバーダ」と、ほんのり塩気のあるフレッシュチーズ。この2つが寄り添うように重なり合い、まるで恋人たちのような調和を生み出します。
口に含むと、最初に広がるのはトロピカルフルーツの芳醇な甘み。続いてチーズのまろやかな塩味が溶け合い、最後にはふわっとした酸味が残ります。このバランスこそが「ロミオとジュリエット」の魅力です。見た目の紅白コントラストも美しく、祝いの席や家庭のデザートとしても人気があります。
自由な発想が生んだブラジルらしい組み合わせ
このスイーツが生まれたのは、19世紀のブラジル南東部ミナスジェライス州。ここでは古くからポルトガルのチーズ作りの文化が根づき、同時に南米原産の果物を使ったジャムやペースト作りも盛んでした。保存食として発展した「ゴイアバーダ」と、地元のチーズが出会い、“甘いものとしょっぱいものを組み合わせる”という大胆な発想が生まれたのです。
自由で陽気なブラジル人の気質がこのスイーツの背景にあり、異なるものを受け入れて新しい味を生み出す――それはまさに“愛”のかたちそのもの。今ではカフェでも家庭でも楽しまれ、チーズの種類や食べ方も地域によってさまざまです。
材料(ロミオとジュリエット6個分/アレンジタルト4個分)
【ゴイアバーダ】
・グアバ:225g
・水:125ml
・粉末寒天:2g
・グラニュー糖:28g
【フレッシュチーズ】
・牛乳:400ml
・レモン汁:30ml
・塩:6g
【アレンジタルト】
・春巻きの皮:1枚
・無塩バター:適量
・粉糖:適量
・ゴイアバーダペースト(ゴイアバーダをペースト状にしたもの):220g
【チーズクリーム】
・生クリーム(乳脂肪分38%):100g
・フレッシュチーズ:100g
・グラニュー糖:16g
【トッピング】
・ピスタチオ:適量
・ゴイアバーダ(さいの目切り):適量
・フレッシュチーズ(さいの目切り):適量
作り方
【ゴイアバーダをつくる】
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グアバの皮をむき、小さく切る。
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ミキサーにかけてピューレ状にし、ざるでこして種を取り除く。
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鍋に水と粉末寒天を入れ、混ぜながら沸騰させる。
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グアバピューレとグラニュー糖を加え、中火でとろみが出るまで煮詰める。
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全体が均一になったら型に流し、冷蔵庫で冷やしてかためる。
【フレッシュチーズをつくる】
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鍋で牛乳を80℃まで温める。
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火を止め、レモン汁を加えてゆっくり混ぜる。
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固まり始めたら塩を加えてとかす。
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水分が分離したらペーパータオルを敷いた型に流し入れ、冷蔵庫で冷やす。
【仕上げる】
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固まったゴイアバーダとフレッシュチーズをそれぞれ型抜きし、交互に重ねる。
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紅白の層を際立たせるように盛りつけると、美しい仕上がりになる。
【アレンジタルトをつくる】
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溶かしたバターを春巻きの皮に塗り、粉糖を振って4等分にする。
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型に敷き、180℃のオーブンで約10分焼く。
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ゴイアバーダをさいの目に切り、残りをペースト状にして絞り袋に入れる。
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別のボウルに生クリーム・グラニュー糖・フレッシュチーズを入れ、8分立てに泡立てて絞り袋に入れる。
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焼き上がった春巻きタルトにチーズとゴイアバーダの角切りをのせ、クリームを絞る。
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仕上げにピスタチオを散らし、彩りよく仕上げる。
【食べごろと保存】
・冷蔵庫で軽く冷やすと味がなじみ、チーズのコクと果実の香りが引き立ちます。
・できたてが一番の食べごろ。当日中にお召し上がりください。
甘さと塩気がつなぐ“愛のかたち”
ブラジルでは、このスイーツを家族や恋人と分け合う時間を大切にします。ゴイアバーダの鮮やかな赤は情熱、チーズの白は純粋な愛を象徴しており、まさに“ロミオとジュリエット”のような関係。
『グレーテルのかまど』では、瀬戸康史さん演じるヘンゼルがサンバのリズムにのってこのスイーツを作りながら、ブラジルの自由で温かな文化を紹介していました。
このお菓子は、ただ甘いだけではなく「異なるものが出会い、調和することの美しさ」を教えてくれます。
ソース
NHK『グレーテルのかまど ブラジルのロミオとジュリエット』(2025年10月20日放送)
https://www.nhk.jp/p/kamado/
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