平戸の“お菓子の島”スイーツ物語
2025年5月26日放送の『グレーテルのかまど』では、長崎県平戸の歴史ある南蛮菓子「カスドース」が特集されました。舞台は“お菓子の島”と呼ばれる平戸。戦国時代から海外と交流し、いち早く西洋の砂糖や製菓技術を取り入れたこの地では、文化人としても知られる殿様たちが茶道とともに菓子文化を育ててきました。番組では、そんな平戸の2冊の貴重な菓子図鑑を紐解きながら、カステラを使った黄金色のお菓子「カスドース」作りに瀬戸康史さんが挑戦。見た目も美しく、長い伝統の中で守られてきた味の魅力がたっぷり紹介されました。
平戸が“お菓子の島”と呼ばれる理由
平戸は、1550年にポルトガル船が初めて来航して以来、日本と西洋をつなぐ重要な貿易港として栄えました。港町には砂糖や小麦粉、卵など、当時の日本では珍しかった食材がもたらされ、西洋風の製菓技術と融合した独自の菓子文化が育ちました。そんな中、平戸藩を治めていた松浦家の殿様たちは、文武両道に優れた文化人でした。なかでも10代藩主の松浦熈は、茶道の流派「鎮信流」の継承者として知られ、和と洋を織り交ぜた菓子文化を愛しました。
彼は100種類もの菓子のレシピを図にまとめた『百菓之図』を編み、さらにもう1冊、貴重な菓子図鑑を残しています。これらの図鑑は、平戸の菓子文化を知る手がかりとして、現在も大切に保管されています。菓子はただの甘い食べ物ではなく、茶席でのもてなしや季節を感じるための道具として、文化の一部として育まれてきたのです。こうして平戸は、いつしか“お菓子の島”と呼ばれるようになりました。
カスドースとは? 平戸で受け継がれる黄金のお菓子
今回取り上げられた「カスドース」は、カステラを卵黄にくぐらせ、糖みつで軽く煮てからグラニュー糖をまぶした、とても華やかなお菓子です。見た目は黄金色に輝き、口に入れると外はしゃりっと、中はふんわりとした不思議な食感が広がります。このカスドース、実は江戸時代には藩主しか食べられなかった「お留め菓子」とされ、門外不出の存在でした。
平戸藩主の御用菓子司だった「平戸 蔦屋」が、代々このカスドースを製造してきました。現在も24代目が伝統のレシピと技法を守り、平戸を訪れる人々に歴史ある味を届けています。放送では、ヘンゼルこと瀬戸康史さんがこのカスドース作りに挑戦。最初にカステラを焼くところから始め、卵黄、糖みつ、グラニュー糖と、何層にも手をかける工程に苦戦しながらも、最後には見事なカスドースを完成させました。
番組では、当時の図鑑や製法の再現だけでなく、味と見た目の両方で時代を超えて受け継がれる価値が丁寧に描かれていました。
材料(約15個分)
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全卵(Mサイズ)…3個(150g)
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上白糖…120g
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はちみつ…50g
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サラダ油…10g
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薄力粉…140g
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卵黄(Mサイズ)…6個(表面にくぐらせる用 120g)
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グラニュー糖…50g(まぶす用)
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グラニュー糖(シロップ用)…150g
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水(シロップ用)…150g
● ほうじ茶アレンジ
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グラニュー糖…50g
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ほうじ茶葉…10g
● レモン風味のチーズクリーム
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クリームチーズ…100g
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グラニュー糖…30g
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レモン(国産)の表皮…1個分
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レモン果汁…1個分
作り方
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型の準備
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18cm角×8cmのステンレス枠を用意し、オーブンペーパーを縦横十文字に敷く
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厚紙を天板に置き、その上に型をセット
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下準備
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上白糖をざるでこす
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薄力粉をふるう
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オーブンを160℃に予熱
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カステラ生地を作る
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卵に上白糖を加えて混ぜ、湯せんで人肌に温める
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はちみつとサラダ油を合わせて湯せんにかける
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卵液をミキサーでリボン状になるまで泡立てる
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油とはちみつを加えてよく混ぜる
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薄力粉を加えて混ぜ、生地をざるでこす
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型に流し入れ、オーブンで25分焼く
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竹串を刺して生地がついてこなければ焼き上がり
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焼き上がった生地を冷まし、3×5cmにカット
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端と焼き色部分を切り落とす
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仕上げ
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卵黄をこしてカステラをくぐらせ、余分を落とす
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シロップ(グラニュー糖+水)を煮立て、カステラを数秒間くぐらせる
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ペーパータオルで水気を切り、グラニュー糖をまぶす
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ほうじ茶アレンジ
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ほうじ茶葉を粉末にし、グラニュー糖と混ぜて表面にまぶす
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チーズクリームの作り方
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クリームチーズを練り、グラニュー糖を加えて混ぜる
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レモンの表皮と果汁を数回に分けて加えてよく混ぜる
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● 保存方法と食べごろ
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常温保存で当日中に食べるのがおすすめです。時間が経つとかたくなるため、できたてを楽しみましょう。
まとめ
平戸で育まれた菓子文化は、単なる甘いお菓子の域を超えています。茶道、貿易、そして殿様の感性が交差する中で生まれた「カスドース」は、まさに文化と歴史の詰まった一品です。番組ではその背景にあるストーリーや、図鑑の中に残る菓子の姿、職人の手業が丁寧に映し出されていました。
放送の内容と異なる場合があります。
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