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NHK【チコちゃんに叱られる!】緊急地震速報の音はなぜあの音?環境音楽家・小久保隆が作った“防災音響デザイン”の真実|2025年11月8日

チコちゃんに叱られる!
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緊急地震速報の“あの音”の秘密!命を救うために計算された音の正体とは?

突然スマートフォンから鳴る、あの独特な「ウィウィウィ…」という緊急地震速報の音。
一度聞けば忘れられないほど印象的で、心臓がドキッとする響きですよね。

「どうしてあの音なんだろう?」と思ったことはありませんか?
怖いけれど、つい耳をふさげない。そんな音には、実は人の命を守るための緻密な計算と科学的な理由があるのです。

この記事では、2025年11月8日放送の『チコちゃんに叱られる!』で紹介された内容をもとに、
・緊急地震速報の音が生まれた背景
・あの音を作った音楽家のこだわり
・科学と人の感性が生んだ“命を守る音”の仕組み
を、専門的な視点からわかりやすく解説していきます。

「怖い音=嫌な音」ではなく、「怖い音=人を助ける音」。
この記事を読めば、次に聞くとき、その意味が少し変わって聞こえるはずです。

「寝ている人でも起きる音を」から始まった難題

携帯電話で警報音を鳴らすにあたり、最も重要だった条件はただ一つ。
「寝ている人でも確実に起きる音であること」

当時、携帯電話の着信音はメロディーや和音が中心で、
“警報”というより“音楽”として認識されることが多く、緊急時には不向きでした。

そこで小久保氏は、
・人間が本能的に危険を感じる音域
・睡眠中でも脳が反応する周波数
・不快ではあるが、すぐに行動へ移せるテンポ
これらを一つ一つ検証し、音響心理学と人間の生理反応に基づいて設計を進めていきました。

最終的に生まれた音の構造は、3つの要素から成り立っています。

  1. 低音から高音へ一気に上がる「スウィープ音」
     人間の耳は、高音に近づくほど「危険」と判断しやすくなります。
     雷鳴や緊急車両のサイレンにも似た特性です。
     この“上昇音”が、私たちに「今すぐ注意を払え」と警告しているのです。

  2. 人の耳が最も敏感な2,000〜4,000Hzの周波数を採用
     日常音やテレビの音よりも上の音域。
     騒音の中でも聞き取りやすく、脳が瞬時に反応する高さです。

  3. 3回繰り返すリズム構成
     1回目で「何かが起きた」と気づき、2回目で「緊急だ」と認識し、3回目で「行動に移す」。
     この3ステップは、心理的に人の意識を切り替えるために計算されています。

こうして、「行動を促す音」が完成。
ただ鳴らすためではなく、「聞いた瞬間に体が動く」――それが真の目的でした。

科学の裏づけ ― 京都大学防災研究所の分析

この音を開発するにあたり、監修に携わったのが京都大学防災研究所の山田准教授
山田氏は「音は最も速く危険を伝える“共通言語”だ」と語ります。

人は目より耳のほうが早く反応します。
特に不規則な音や上昇音は、危険を察知したときの“逃避反応”を呼び起こすのです。
つまり、緊急地震速報は人間の生理的反応を利用したシステム。

山田氏は「この音が鳴って行動することで、わずかでも命を救える」と話しました。
実際、2011年の東日本大震災の際には、多くの人がこの警報音を聞いてすぐに身を守る行動を取ったと報告されています。

開発からわずか4年後のことでした。
まさに「音が命を守った」瞬間です。

音楽家・小久保隆の“自然音”へのこだわり

小久保氏は、ただの作曲家ではありません。
彼は長年にわたり世界中を旅し、自然の音を録音し続ける環境音楽家でもあります。

番組では、彼が録音したニュージーランド・アロータウンの川のせせらぎや、
ボルネオ島のチメドリの鳴き声などが紹介されました。
これらの音は「人の心を落ち着かせる癒しの音」として知られています。

興味深いのは、彼が“癒しの音”と“警報音”の両方を追求している点です。
一見正反対のように見えるこの2つの音には、共通点があります。
それは、「人間の心と身体がどう反応するかを理解して作る」という考え方。

彼の作る音には、人間の“自然反応”を科学的に捉える感性が息づいています。
だからこそ、あの警報音には理屈を超えた“人を動かす力”があるのです。

恐怖ではなく「行動」へ導く音

緊急地震速報の音は、恐怖を与えるためではありません。
あくまで「即座に安全行動をとるための音」です。

心理的には、あの音を聞くことで心拍数が一時的に上がりますが、
その後、脳が一気に“集中モード”へ切り替わることが実験でもわかっています。
つまり、「怖いけど冷静になれる」ように設計されているのです。

このバランスは非常に難しく、もし音が不快すぎると人はパニックを起こし、
逆に穏やかすぎると行動に移れません。
その絶妙なラインを突き詰めたのが、小久保氏の音づくりでした。

未来へ続く“命のサウンドデザイン”

今では日本だけでなく、世界中の防災研究者がこの音に注目しています。
海外では「Japan Alert Tone(日本の警報音)」と呼ばれ、
人間工学の教材や国際防災フォーラムで取り上げられることも増えました。

また、AI音響技術を使い、聴覚障がい者にも伝わる多重振動型の警報装置などの開発も進行中。
“音で命を守る”という発想は、これからの防災の中心になっていくでしょう。

あの短い警報音は、半世紀にわたる災害の経験、科学の進歩、そして人の想いが詰まった結晶なのです。

まとめ

この記事のポイントは次の3つです。

・緊急地震速報の音は人の命を救うために計算された音であり、行動を促すための“行動設計”である
・開発のきっかけは阪神・淡路大震災、運用は2007年から。音の誕生は東日本大震災の4年前
・設計した環境音楽家・小久保隆氏は、自然音の研究者でもあり、科学と感性を融合して音を生み出した

次にあの音を聞いたとき、ただ怖がるのではなく、
「これは誰かが命を守るために作った音なんだ」と思い出してみてください。

その一瞬の意識の違いが、未来を変える“最初の行動”になるかもしれません。


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