NHK【チコちゃんに叱られる！】ロケット打ち上げ時の白い煙の正体とは？見た目以上に大切な役割｜2025年6月27日放送

ロケット打ち上げ時の煙はなぜ出る？白い煙に隠された科学の秘密

ロケット打ち上げ時の煙はなぜ出る？白い煙に隠された科学の秘密

2025年6月27日（金）放送予定のNHK「チコちゃんに叱られる！」では、誰もが一度は見たことのあるロケットの打ち上げシーンにまつわる、ちょっと不思議な疑問が取り上げられます。それは「ロケットを打ち上げるとき、たくさんの煙が出るのはなぜ？」というものです。煙は迫力満点ですが、あれが一体何の煙なのか、意外と知らない人も多いはずです。今回は、この白い煙に隠された科学的な理由や、ロケットを守るための重要な働きについて解説される予定です。

放送後、さらに詳しい情報がわかり次第、内容を更新していきます。

【チコちゃんに叱られる！】なぜシューマイにグリンピース？日本だけの不思議な食文化とは｜2025年6月27日放送

【チコちゃんに叱られる！】赤ちゃんが泣く理由は“進化”にあった？産声の真実に迫る｜2025年6月27日放送

ロケットの打ち上げに出る煙は、燃料が燃えた煙ではない？

ロケットの打ち上げ映像で、地面から空へと勢いよく吹き上がる白い煙は、燃料が燃えて出た煙だと思われがちですが、実はそれだけではありません。もちろん、ロケットの種類によっては、排気に煙が含まれることもあります。しかし、多くの場合に見られる大量の白い煙の正体は、燃料とは別のものです。

ロケットの燃料にはいくつかの種類があります。液体水素と液体酸素を使うタイプでは、燃焼のあとに出るのはほとんど水蒸気だけなので、見た目にはほとんど煙が出ません。ケロシンという燃料を使うと、黒っぽいすすを含む煙が少し出ますが、これもそこまで大量ではありません。固体燃料のロケットでは白い煙が多く出ますが、それでも打ち上げのときに見えるような、地面を覆い尽くすほどの煙とは少し違います。

白い煙の正体は「水蒸気」だった！

ロケットの打ち上げ時に目立つ白い煙の多くは、発射台に設置された冷却・保護用の装置から出される大量の水が、熱によって一気に蒸発したものです。この水が高温の排気ガスに触れることで水蒸気となり、白い煙のように見えるのです。これは「ウォーター・デルージ」と呼ばれるシステムで、世界中のロケット発射台で使われています。

この仕組みは、ロケットを支える地上の設備を守るために欠かせません。打ち上げ時にロケットのエンジンから出る熱はとても高く、そのままでは地面や機器が壊れてしまいます。水を噴射することで、熱を一気に冷まし、設備を保護する役目を果たしているのです。

また、白い煙のように見える水蒸気は、音の対策にも使われています。ロケットのエンジンが発する爆音は200デシベル近くに達し、これは人間の耳だけでなく、ロケット自体や搭載された機器にも悪影響を与えるレベルです。そこで、噴き出す水が音の衝撃波を和らげるクッションのような働きをして、打ち上げ時の安全を守っているのです。

水蒸気の煙には音や熱を抑える効果がある

ロケットの打ち上げでは、目には見えない「音の圧力」や「衝撃波」が発生します。これがそのまま跳ね返ると、ロケットや発射台に大きなダメージを与えてしまう危険があります。そこで、発射時に大量の水をまき、その水が蒸発してできる水蒸気の雲が音を吸収し、衝撃を分散する働きをしているのです。

さらに、熱対策としても重要な役割があります。エンジンから出る高温のガスや火炎を、水の蒸発によって包み込み、周囲に伝わる熱をやわらげます。特にロケットの発射台や周囲の配管などは、長く使用するためにも熱ダメージを受けにくくする必要があります。水の力で火や熱をやわらげることで、安全にロケットを送り出せるのです。

世界各地でも使われている安全技術

このような水蒸気の仕組みは、アメリカのNASAや日本のJAXAなどでも使われています。NASAのスペースシャトル発射時には、毎分90万ガロンもの水を使って冷却と防音を行っていたとされています。日本の種子島宇宙センターや内之浦宇宙空間観測所でも、同様の水冷システムが導入されています。

また、国によっては水ではなく、発射台の構造を工夫して音や排気を逃す方式を採用している場合もあります。たとえば、ロシアでは極寒の地域が多いため、水を使うと凍ってしまう危険があり、大型の排気溝や音響トレンチで対応しています。このように、ロケットを支える地上技術は、各国の環境や技術力に応じてさまざまです。