「−196℃でのサウナ!?アンチエイジング最前線」
「冷たいサウナ」と聞くだけでゾクッとしますが、世界ではそれが“若返りの鍵”として注目されているのをご存じでしょうか。
今回の『所さん!事件ですよ』では、マドンナやレディー・ガガなどセレブが夢中になるマイナス196℃の液体窒素サウナを中心に、アンチエイジングの最前線を徹底取材。なんと年間3億円を投じる富豪も登場し、さらに日本では小学生にまで広がる“若さ信仰”の実態も明らかになります。
年齢を重ねることが「事件」になる時代──その現実を番組が鋭く切り取ります。
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セレブが熱狂する「マイナス196℃サウナ」とは?
番組の冒頭で紹介されたのは、いま世界の富裕層やトップアスリートの間で話題になっているクライオサウナ(Cryosauna)。特殊な装置の内部で液体窒素を用い、空気をマイナス130〜196℃という極限の低温まで冷却し、わずか2〜3分間、全身をその冷気にさらす施術です。
この短時間の冷却によって、体表面の血管が一気に収縮と拡張を繰り返し、血流が活性化。冷却後は、温かくなった血液が体の隅々まで巡ることで代謝が高まり、老廃物の排出が促進されるといわれています。血流の改善は肌のターンオーバーにも影響を与え、コラーゲン生成を促す効果が期待されているため、美容分野でも注目を集めています。
欧米では、ハリウッド俳優やモデルが撮影前のコンディション調整として利用するほか、NBAやサッカーのプロ選手が疲労回復や筋肉再生を目的に取り入れるケースも増加中。短時間で体の深部まで刺激を与えられるため、「氷風呂より効率的」とする声も多く、いまや“成功者のルーティン”として定着しつつあります。
さらに驚くべきは、若返りのために年間3億円を投じる世界的富豪の存在。彼らはクライオサウナだけでなく、ホルモン補充療法、DNA検査、幹細胞治療などの再生医療を組み合わせ、自らの“生物学的年齢”を10歳若返らせることを本気で追求しています。
実際、アメリカではアンチエイジングを専門とするクリニックが急増し、医師監修のもとで「クライオセラピー(全身冷却療法)」を導入する施設も増えています。中には、冷却後に酸素吸入や光治療を組み合わせるハイブリッド型のスパも登場し、美容と医療の境界線がますます曖昧になっています。
日本でも、東京都港区の℃RYO TOKYO® NEOのように、液体窒素による全身冷却体験を提供するサロンが登場。利用者の多くは美容や健康への関心が高く、施術後に「体が軽くなる」「肌のキメが整う」といった体感を語る人もいます。
冷却によって体がリセットされたように感じるこの感覚。短時間で“目が覚めるような爽快感”と“細胞が目を覚ますような刺激”を得られることから、クライオサウナは今後さらに広がりを見せるとみられています。
日本でも広がるアンチエイジングの波
番組では、日本におけるアンチエイジング医療の最前線にも焦点が当てられました。いまや「若さを維持する」というテーマは、美容だけでなく医療・科学の領域にまで広がっています。
その中心にあるのが、日本抗加齢医学会(JAAM)。全国の医師・研究者が参加するこの学会では、加齢を「治療可能なプロセス」としてとらえ、生活習慣病の予防や細胞の再生医療、ホルモンバランスの最適化などを組み合わせた医療モデルを提唱しています。現在、東京大学医学部附属病院や慶應義塾大学病院などの名門大学でも「抗加齢外来」が設置され、老化を遅らせるための臨床研究や個別治療が進められています。
こうした動きに呼応する形で、日本国内の美容医療市場も急成長を続けています。2025年時点でその規模は1兆円を突破し、特に銀座や表参道といった都心の高級エリアでは、DNA検査やエピジェネティック年齢測定を導入した“個別化アンチエイジングプラン”が人気を集めています。これらの検査では、遺伝子やエピジェネティック情報(環境や生活習慣による遺伝子の変化)を分析し、体の「生物学的年齢」を数値化。自分の老化スピードを可視化できる点が支持を得ています。
中でも注目されたのが、東京都港区麻布十番にある℃RYO TOKYO® NEO(クリオ・トウキョウ・ネオ)。この施設では、マイナス140℃の冷気に約3分間全身をさらす「Cryo Ice Sauna」を体験できます。液体窒素を使って体を一気に冷却することで血管が収縮し、施術後には一転して体の芯から温かくなる“リバウンド効果”が生じるのが特徴です。この急激な温度変化が代謝を刺激し、体の循環機能を整えるとされています。利用者の多くが「体が軽くなる」「頭がスッキリする」「肌の調子が整う」といった感想を口にしています。
医療・美容・テクノロジーが融合するこの流れが、今後の日本のアンチエイジング文化をどう変えていくのか――その一端を感じさせる特集でした。
小学生にも広がる「若さ信仰」
番組の後半では、現代の“若さ信仰”がついに子ども世代にまで及んでいるという衝撃的な実態が紹介されました。美容やアンチエイジングが一部の大人の関心事だった時代は過去のものとなり、SNSや動画文化の中で、子どもたちの間にも「老けたくない」「美しく見られたい」という価値観が浸透しつつあります。
番組では、アメリカやイギリスで10歳前後の子どもが「アンチエイジングクリームが欲しい」と親にねだるケースが相次いでいると報じられました。背景には、人気インフルエンサーや美容系YouTuberが日々配信するスキンケアルーティン動画の影響があります。彼らの華やかな世界観に憧れた子どもたちが、同じ化粧水や美容液を真似して使うようになっているのです。
この傾向は日本でも広がりを見せており、小学生がSNSでスキンケア動画を投稿したり、「夜の美容ルーティン」と題して大人顔負けのケアを紹介する様子が話題になっています。
さらに番組では、外見ばかりを意識する風潮が心の成長や自己肯定感にも影響を与えかねないと指摘されました。「自分の見た目が良くないと価値がない」と思い込んでしまうことで、子どもたちの心にプレッシャーが生まれる可能性があるのです。SNS上では「すっぴんを出せない」「加工しないと恥ずかしい」と感じる若年層も増えており、美容と自己評価が直結する時代の課題が浮き彫りになっています。
この日の放送は、単なる美容トレンドの紹介にとどまらず、社会全体が抱える“若さへの執着”という問題に一石を投じる内容となりました。
世界の若返りコンテストと未来の方向性
番組では、今後の人類の“若返り研究”を象徴する国際的な挑戦として、アメリカで開催されている「XPRIZE Healthspan(エックスプライズ・ヘルススパン)」が紹介されました。これは、50〜80歳の参加者の筋肉・免疫・認知機能を10年以上若返らせることを目標に掲げた壮大な研究コンテストで、見事成果を上げたチームには賞金1億ドル(約150億円)が授与されるという、世界規模の科学プロジェクトです。
このXPRIZEは、かつて民間宇宙開発を後押しした「宇宙旅行XPRIZE」や、環境技術の進化を促した「炭素除去XPRIZE」と並ぶ大型の科学競技であり、今回は「健康寿命(Healthspan)」を延ばすことに焦点を当てています。単に寿命を延ばすのではなく、「心身ともに健康に生きられる年齢を引き上げる」ことを目的としています。
挑戦のテーマは細胞老化(セルラーセネセンス)やエピジェネティクス(遺伝子発現の制御)など、近年急速に発展している最先端の生命科学分野。参加チームは、老化の原因とされる細胞の酸化ストレスやDNA損傷を抑える技術、あるいは遺伝子の“スイッチ”を若い状態に戻す手法などを競い合っています。中には、AIによる老化予測モデルや再生医療とデータサイエンスの融合をテーマにする研究もあり、人間の加齢メカニズムを科学的にコントロールするという新しい時代の幕開けを感じさせます。
番組では、日本の大学やバイオベンチャーもこの挑戦に参加していると紹介されました。特に注目されているのは、日本の研究チームが発見した「AP2A1」というタンパク質の抑制によって細胞の老化を逆転させる可能性。これは加齢に伴う細胞の機能低下を食い止める鍵になると考えられており、世界の研究者からも注目されています。こうした知見が積み重なれば、未来には「加齢をコントロールする医療」が現実になるかもしれません。
“老化を逆転させる時代”の到来が現実味を帯びる一方で、そこに立ち止まって考えるべき倫理と人間性。その対比が、視聴者の心に深く残る内容でした。
感想
今回の放送は、美容や医療を超えて「人間の生き方」そのものを考えさせる内容でした。
−196℃の世界を体験するクライオサウナ、科学が挑む若返り、そして子どもたちまで巻き込む“若さへの欲望”。どれも驚く一方で、「自分の時間をどう生きるか」というテーマにもつながっています。
“年を重ねる”ことを恐れるのではなく、“元気に年を重ねる”という考え方こそ、これからの時代に必要なアンチエイジングかもしれません。
参考・出典リンク
・Cryomed Official Site(全身クライオサウナ製品)
https://cryomed.pro
・℃RYO TOKYO® NEO(東京・麻布十番)
https://cryo-neo.tokyo
・日本抗加齢医学会(JAAM)
https://www.jaam.or.jp
・XPRIZE Foundation(Healthspan プロジェクト)
https://www.xprize.org
・The Guardian(若返りブームと子どものスキンケア)
https://www.theguardian.com
・BIANCA GINZA(日本の美容・再生医療クリニック)
https://biancaginza.com
(※放送後の内容をもとに、詳細情報を追記予定です)
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