竹林に光を取り戻す若者たちの挑戦
このページではひむバス!(2026年1月22日)の内容を分かりやすくまとめています。
埼玉県本庄市の静かな竹林に、ひっそりと積み重なってきた“放置”の時間があります。そんな場所に立ち向かったのが、早稲田大学の学生サークルBAM部と、番組のバスを走らせる日村勇紀さんでした。
再び日の光を届けるため、竹を切り、運び、形を変えて未来につなげる——その一つひとつの作業には、若い力が地域の課題を動かす瞬間が詰まっています。
ひむバス!が本庄市の放置竹林へ
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ひむバス!の今回の目的地は、埼玉県北部の本庄市でした。依頼を送ってきたのは、早稲田大学で活動する学生サークル・BAM部のメンバーたちです。テーマは観光案内でもグルメ探訪でもなく、「荒れ果てた放置竹林をどうにかしたい」という社会課題そのものです。
番組の運転手である日村勇紀さんは、学生たちの強い思いを受け、まずは本庄市内の竹林へ向けてバスを走らせます。この竹林は、市役所のすぐ近くにあるものの、地元の自治会だけでは管理が追いつかず、竹が一気に広がってしまっているという“典型的な放置竹林”でした。
さらにこの場所は、BAM部が約2年前から整備を続けてきた場所で、今回は半年ぶりの作業ということもあり、竹が再び密集している状態。学生たちも驚くほど竹が成長し、林内は薄暗く、倒竹が地面に絡みつく危険な環境になっていました。
そこで日村さんは送迎役だけでなく、“現場の労働力”としても参戦。竹を切り、運び、学生たちと肩を並べて本気で作業する回となりました。
竹が大繁殖するメカニズムと放置竹林問題の現在
今回の取材で大きく取り上げられたのが、全国的に深刻化している放置竹林問題です。竹は「世界でもっとも成長が速い植物」と言われ、条件が整うと1日に1メートル近く伸びます。
しかし人が適度に間伐しないと、竹はすぐに周囲へ侵入し、光を遮り、もともとあった植物の成長を止めてしまいます。これにより本来あるべき生態系が崩れ、鳥や昆虫が減り、さらに土地の保水力も低下してしまいます。
林野庁の資料では、竹林面積は増加を続け、約17万ヘクタールのうち大部分が管理されていない状態とされています。竹材の需要低下、高齢化による担い手不足、農業の衰退などが背景にあります。
本庄市も例外ではありません。地元自治会は「分かっていても切りにいけない」現実と向き合い続けています。竹は密集すると視界も足元も悪くなり、作業どころか中に入ることすら危険になります。
今回番組が訪れた竹林は、まさにこの問題の縮図。学生たちはその解決に挑み、日村さんもその現場に立ち会う形になりました。
早稲田大学BAM部とは?竹に魅せられた学生たち
依頼をした早稲田大学BAM部は、放置竹林の課題解決を目的とする学生主体の団体です。彼らは竹林を整備するだけでなく、伐採した竹を活用し、地域につなげる取り組みを行っています。
BAM部の特徴は、「竹を切って終わり」ではなく、竹を資源として循環させることに力を入れている点です。竹チップを土壌改良に使ったり、竹炭に加工したり、あるいは竹を使ったワークショップやオブジェ制作を通じ、地域の人たちに竹林問題を知ってもらう場をつくっています。
今回の舞台である本庄市は、学生たちの主要な活動拠点です。地元の竹林を整備しながら、地域住民と一緒に竹あかりイベントやフィールドワークを行うなど、竹が地域の文化をつなぐ素材へと変わる過程を丁寧に作り出しています。
竹という素材を入口に、学生たちは「環境」「地域」「文化」「学び」をひとつにつなげようとしているのです。
本庄市の竹林で行われた伐採作業のリアルな一日
番組では、学生たちと日村さんが竹林に到着し、まずは装備を整えるところから始まりました。ヘルメット、手袋、ノコギリ、そして長靴。足元には折れた竹が複雑に絡み、傾いた竹が頭上を覆う緊張感のある環境です。
今回の作業では、まず細く弱った竹を間伐し、倒れた竹を処理し、安全に作業できる道を確保するところからスタートします。竹は軽そうに見えて実際は重く、長さもあるため運ぶのがひと苦労。日村さんは学生に混じって汗を流し、一本一本運んでいきました。
伐採した竹は一定の長さに揃え、専用のチップ機にかけて粉砕されます。こうしてできた竹チップは、本庄市内の畑や家庭菜園で“再利用”される予定です。竹林整備をしながら、同時に資源として地域に戻していく循環型の取り組みが、この活動の大きな魅力でもあります。
作業後の竹林は、驚くほど明るくなりました。空を覆っていた竹が減り、地面まで光が届き、風も通るようになります。雑木や下草が再び育つ環境が整い、生態系も回復へ向かいます。
日村さんが「こんなに変わるんだ」と声を漏らすシーンは、竹林整備の効果が瞬時に伝わる印象的な瞬間でした。
伐採した竹が早稲田祭の「竹あかり」としてよみがえる
今回の放送で最も象徴的だったのは、伐採した竹がその後どのように生かされるのか、という部分です。作業を終えた日村さんは、学生たちが早稲田祭で使用する竹をバスに積み込み、大学のキャンパスへと運びました。
学生たちはその竹にドリルで穴を開け、細かい模様をつけ、内部に光を入れることで幻想的な竹あかりを制作します。夜になると柔らかな光が竹の模様からこぼれ、訪れた人々が足を止める美しい展示になります。
早稲田祭の会場では、ブースに訪れた来場者へ学生たちが自分たちの活動を説明し、竹林問題をより多くの人に知ってもらう機会にもなっていました。
竹という植物が、山での伐採作業から、キャンパスの芸術作品へと姿を変え、地域と大学をつなぐ。その流れが一本につながる様子を、番組は丁寧に描いていました。
今回のひむバス!は、バラエティの枠を超え、地域課題と若い世代の挑戦を描く回となりました。竹という身近な自然素材が、環境問題と地域再生のどちらにも深くつながっていることを、改めて実感できる内容でした。
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