病院ラジオとは?埼玉県立がんセンターに一日限りのラジオ局オープン
NHKの番組 病院ラジオ は、サンドウィッチマンが病院の一角に一日限定のラジオ局を開き、患者さんやご家族の「ふだん言えない本音」に耳を傾けるシリーズです。今回の舞台は、埼玉県北足立郡伊奈町にあるがん専門病院 埼玉県立がんセンター。埼玉県のがん医療の中核であり、「都道府県がん診療連携拠点病院」として高度な治療と緩和ケアを担う病院です。
このページでは『病院ラジオ 埼玉県立がんセンター編(2026年2月11日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
パーソナリティはおなじみ サンドウィッチマン の富澤たけしと伊達みきお。笑いを交えながらも、患者さん一人ひとりの人生にまっすぐ向き合う2人だからこそ、重いテーマである がん の話も、不思議と「前を向こう」と思わせてくれます。
乳がんのちえさんが語る、夫を見送り子どもに打ち明けた本音
最初のゲストは、50代のちえさん。舞台はもちろん 埼玉県立がんセンター です。ちえさんは去年 乳がん と診断されました。8年前には夫もがんで亡くしていて、「子どもたちにまた“がん”の話をするのが一番つらかった」と語ります。
子どもを心配させたくない。でも隠し続けるわけにもいかない。ちえさんは揺れながらも、正直に がん を打ち明けました。その背景には、夫の幼なじみで先輩のあきえさんの存在があります。あきえさんは半年前にがんになり、先に闘病を経験していたからこそ、ちえさんの相談に乗り続けてくれました。
気持ちが悪くて何も食べたくないとき、あきえさんが差し入れてくれたのは大好きなマクドナルド。ふだんならうれしいはずなのに「好きだけど、今じゃない」と思ってしまった──そんな、ちょっと笑えて、でも胸がきゅっとするエピソードも語られます。「食べられない自分」を笑い話に変えられるのは、2人の信頼関係があってこそですね。
ここで番組は、乳がん が日本人女性にとって罹患数が最も多いがんの一つであり、40歳以上の女性には2年に1度のマンモグラフィ検診が推奨されていることにも触れます。 早期発見できれば治療の選択肢が広がること、そして「検診に行く」という小さな一歩が、自分と家族を守る行動になることをやさしく伝えていました。
子宮頸がん・白血病…家族を支え合う物語とリクエスト曲に込めた思い
続いて紹介されたのは、2005年に血液の がん(ステージ4)と告げられた方からのお便りです。幸いにも治療は功を奏し、今は「がんピアサポーター」として同じ病院で患者さんの話を聞く立場になりました。「経験者だからこそ言える言葉」が、これから治療に向かう人の背中をそっと押しています。
さらに、左手にふくらみができ、生存率50%という希少がんを宣告された方のお便りも紹介されました。1日に5リットルもの尿を出さないといけなくなり、それを自分で「おしっこ大会」と名づけて乗り切ったというユーモラスな表現に、スタジオも思わず笑顔に。苦しい状況でも、言葉の工夫で少しだけ心を軽くする力を教えてくれるエピソードでした。リクエスト曲はTHE BLUE HEARTSの『リンダリンダ』。ロックバンドのストレートなサウンドが、「生きてやる」という気持ちを代弁しているように感じられます。
2人目のゲストは、50歳のこばやしゆきさん。健診で 子宮頸がん が見つかり、子宮の全摘手術を受けました。3人の子どもに恵まれたこと、部分切除で取り切れないリスクも考えたうえで「全部取る」決断をしたことを、落ち着いた口調で話します。
子宮頸がん は、子宮の入り口にできるがんで、検診とワクチンによって予防できるがんの代表とされています。がんの広がりに応じて、子宮の一部だけを切除する場合もあれば、子宮全体を切除する「全摘出術」を選ぶこともあります。 こばやしさんは、将来の再発リスクと家族のことを天びんにかけたうえで、あえて全摘を選びました。リクエスト曲のペット・ショップ・ボーイズ『Go West』には、「前を向いて進む」という覚悟が重なって聞こえます。
3人目は、30歳のだいちゃん。2年前に 白血病 と診断されました。白バイ隊員として働き、体調が悪くても走り込みに行くほどストイックだっただいちゃんは、食事が取れなくなっても「プロテインバーを1日かけてようやく1本」という状態になるまで、自分の異変をがんばりでごまかしてきました。
病院で検査を受けた結果、「あと1か月で死んでしまうかもしれない」と告げられます。抗がん剤だけでは治りきらず、1年間の入院と 骨髄移植 を受けることに。骨髄移植は、強力な抗がん剤や放射線治療の後に、ドナーからもらった造血幹細胞を点滴で体内に戻して、ふたたび血液をつくる力を取り戻す治療です。
治療の途中で、移植した細胞が内臓を攻撃する反応(いわゆるGVHD)が出て通院治療は今も続いていますが、だいちゃんは「弟のように思っている」という看護師・かわぐちさんの支えや、妻と子どもの存在に勇気をもらっています。仕事中心だった生活から、「1日1日、家族との時間を大事にする」生き方に変わったことが印象的でした。リクエスト曲はサカナクション『怪獣』。不安や恐怖という“心の怪獣”と向き合いながら前に進む、今の彼そのものを表しているようです。
悪性リンパ腫・上行結腸がん・膵臓がん…「生きる」を選び続ける人たち
番組の中盤では、スタジオに届いたお便りも多数紹介されました。
60代の男性は、病院で妻と一緒に病名「悪性リンパ腫」を聞いたときのことを振り返ります。ふたりで顔を見合わせ、「まさか自分たちが」と言葉を失ったこと。帰り道の食事中、妻が不安から泣き出してしまい、「悲しんでばかりいてはいけない」とハッとしたこと。そして今は、妻が気にしている濃い味付けの食生活を改め、大好きなお酒もほどほどにしようと決めた──。病名が、家族の暮らし方そのものを見直すきっかけになったことが伝わってきます。
また、これまで「無敵」だと思っていた母が、手術直後に管につながれ、歩けない状態でベッドに横たわる姿を見てショックを受けたというお便りも。家族が がん になると、「強いと思っていた人が、こんなに弱々しく見えるのか」と現実をつきつけられます。それでも、だからこそ支えたい、寄り添いたいという思いが生まれてくる──そんな心の揺れを、番組は丁寧にすくい上げていました。リクエスト曲はKiroro『未来へ』。親から子へ、子から親へと、思いをバトンのように受け渡していく歌詞が、病院という場所に不思議とよく似合います。
4人目のゲストは、57歳のせきぐちひろみさん。診断は 上行結腸がん。大腸の右側、上に向かう部分にできるがんで、大腸がんの一種です。 ひろみさんは現在、3週間に一度 抗がん剤治療 のために通院していますが、自覚症状はほとんどないと言います。
病気になってから、ひろみさんは「1日1日を前よりもっと大切にしたい」と考えるようになり、むしろ動き回ることが増えたそうです。沖縄旅行を楽しみ、今度は五島列島への旅も計画中。「元気で動いていると、自分が病気だってことを忘れちゃう。それが心の健康につながる」と笑う姿が印象的でした。リクエスト曲は小田和正『すべて去りがたき日々』。何気ない毎日が、かけがえのない時間だったと気づく気持ちが、そのまま重なります。
5人目は、62歳のあべきょうこさん。診断は 膵臓がん ステージ4。2年前に「余命1年」と告げられました。膵臓がんは、おなかの奥にある臓器にできるため見つかりにくく、進行した段階で見つかることも多い、非常に難しい がん とされています。
きょうこさんは、夫と一緒に自営業を営んでいて、自分が担当している仕事の部分をなかなか人に引き継げません。だからこそ、「働けるときは働く」。そのスタンスで、今もできる限り仕事を続けています。病気だから休む、ではなく、「病気だけど、自分の役割を果たす」。その姿勢は、同じ境遇の人にとって大きな励ましになるはずです。
リクエスト曲は竹内まりや『いのちの歌』。「生きてゆくことの意味」「生まれてきたことの意味」を静かにたどるこの曲は、病室だけでなく、テレビの前の視聴者の心にも深く届いたのではないでしょうか。
埼玉県立がんセンターが担うがん医療と、私たちが今知っておきたいこと
今回の 病院ラジオ を通して浮かび上がったのは、「病名」だけでは語れない一人ひとりの人生です。乳がん、子宮頸がん、白血病、悪性リンパ腫、上行結腸がん、膵臓がん…。同じ名前の がん でも、家族構成や仕事、年齢によって、向き合い方も悩みもまったく違います。
一方で、どのエピソードにも共通していたのは、「誰かの存在に支えられている」ということでした。先に闘病した先輩患者、検査を急がせてくれた家族、毎日そばにいる配偶者、そして看護師や医師たち。伊奈町にある 埼玉県立がんセンター は、こうした人たちが出会い、支え合う「拠点」として機能しています。
番組の中で語られた背景として、
・検診で早期に見つかれば、治療の選択肢が増える 乳がん・子宮頸がん の話
・強い治療が必要になる 白血病 や、骨髄・造血幹細胞移植という選択肢
・生活習慣や食生活が影響すると言われる 大腸がん
・早期発見が難しいからこそ、日頃の体調の変化を見逃したくない 膵臓がん
といった、医療的なポイントもさりげなくちりばめられていました。
でも何より大切なのは、「がん=絶望」ではないと知ることです。治療がうまくいき、今は がん 体験者として誰かを支える立場になった人もいれば、治療の途中でも旅行や仕事を続けながら、自分らしい生活を取り戻している人もいます。
この放送をきっかけに、
・しばらく行っていなかった検診に申し込んでみる
・家族の食生活やお酒の量を少しだけ見直してみる
・闘病中の誰かに、そっと一言メッセージを送ってみる
そんな小さな一歩を踏み出す人が増えたら、病院ラジオ が病院の外の世界にも「やさしい連鎖」を広げてくれるかもしれません。
サンドウィッチマンの2人が届けた、埼玉県立がんセンター からの生の声。そこには、涙も笑いも、そして確かに「生きる力」がありました。
【病院ラジオ】北海道大学病院編▼サンドウィッチマン札幌へ|患者の声と移植医療が残した希望 2025年12月28日
埼玉県立がんセンターの特色

埼玉県のがん医療を支える埼玉県立がんセンターについて、筆者からも少し紹介します。番組内でも触れられていましたが、ここは診療だけでなく生活のサポートまで視野に入れた大きな医療拠点です。患者さんが安心して治療に向き合えるよう、設備も専門科もとても充実しています。その様子を、より詳しくお伝えします。
先進的な設備がそろう病院
院内にはPET-CTや全身MRIなど、がんの状態を細かく調べられる検査装置がそろっています。画像がとてもきれいに映るので、治療の方針を決めるときに役立ちます。血液検査や病理検査を行う部門も整っていて、検査の流れがスムーズです。外来から検査、治療までが同じ建物内で完結するつくりで、患者さんの移動の負担が少なくなるよう考えられています。
多くの専門科が連携する体制
診療科の数がとても多く、乳腺外科や血液内科、呼吸器内科など、がんの種類に合わせた治療が受けられます。さらに、外見の変化や治療後の生活をケアする専門外来も充実しています。たとえば、スキンケアやリンパ浮腫の相談ができる外来、化学療法に関する看護相談などがあります。体だけではなく心の支えにもなる場所が院内にあることが大きな特徴です。
患者と家族を支えるサポート
病院の中には相談支援センター、カフェ、売店などがあり、長い治療期間を過ごすうえで助けになる環境が整っています。緩和ケア外来では、痛みやつらさをやわらげる治療を行い、医師や看護師、薬剤師など多くの職種が協力して支える仕組みがあります。治療を続ける日々の中で、どんなときも頼れる場所があるという安心感につながっています。
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