重症化が迫る“静かな肺の異変”に迫る
このページでは『きょうの健康 肺炎 予防と治療の最新情報「重症化に注意! 間質性肺炎」(2026年2月11日)』の内容を分かりやすくまとめています。
息切れの原因が見えないまま進み、気づいた時には日常の動きすらつらくなる――そんな見えない脅威が 間質性肺炎 です。肺が硬くなることで酸素が取り込みにくくなり、静かに体を追い詰めていきます。
番組では、専門医が語る最新の治療法や、進行を少しでも遅らせるための生活ケアまで掘り下げています。
間質性肺炎とは?肺が硬くなる病気の正体
NHKの医療情報番組 きょうの健康 では、今回「肺炎 予防と治療の最新情報」の中で、特に重症化しやすい 間質性肺炎 を取り上げます。間質性肺炎は、肺の中でも「肺胞(はいほう)」という酸素と二酸化炭素をやり取りする袋の、壁の部分(間質)に炎症が起き、だんだんと線維(硬い組織)に置き換わっていく病気です。炎症と線維化が進むと、肺全体がゴワゴワと硬くなり、薄くて柔らかいスポンジだった肺が、硬い消しゴムのようなイメージに近づいていきます。その結果、肺に空気は入っているのに、十分な酸素が血液に取り込みにくくなり、体中が慢性的な酸素不足になってしまいます。
一般的な「細菌性肺炎」は、抗菌薬が効きやすく、しっかり治療すれば元の状態に近く戻ることも多いのに対して、間質性肺炎 はいったん線維化が進むと、元通りの柔らかい肺に戻すことが難しいのが大きな特徴です。このため、番組では「治す」というより「進行をできるだけ遅らせる」「生活の質を保つ」という視点で、最新の薬やリハビリ、栄養管理まで総合的な治療戦略を紹介すると考えられます。また、進行すると少し動いただけでも息切れし、さらに進むと、トイレや着替えなど日常の何気ない動作もつらくなることが強調されるはずです。
主な原因とタイプ 特発性から膠原病性まで
番組で講師を務める 宮崎泰成 教授は、びまん性肺疾患・間質性肺炎 の専門家として知られ、 東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 統合呼吸器病学講座の教授として診療と研究にあたっています。 間質性肺炎にはいくつかのタイプがあり、大きく「原因がはっきりしないタイプ」と「別の病気や環境が原因のタイプ」に分けられます。
原因がはっきりしない代表が 特発性肺線維症(IPF) です。中高年以降の男性に多く、ゆっくりと進行しますが、急激に悪化することもあるため、難病に指定されています。原因が分からないとはいえ、喫煙歴や年齢、遺伝的な体質が関わっていると考えられています。
一方、原因があるタイプとしては、シリカ粉じんなどを長期間吸い込むことで起こる じん肺、関節リウマチや強皮症などの 膠原病に伴う間質性肺炎、一定の薬(抗がん剤や抗リウマチ薬など)による 薬剤性肺炎、カビや鳥のフン・羽毛などを吸い続けることで起こる 過敏性肺炎 などがあります。 番組では、「半数以上は原因が特定できないが、背景にこうした病気や環境が隠れていることも多い」と説明し、原因検索のために職業歴や趣味、ペット、家のカビ・ほこりなど、生活環境を細かく聞き取ることの重要性にも触れると考えられます。
間質性肺炎の症状と重症化サイン
間質性肺炎 の代表的な症状は、少し動いただけで息が切れる「労作時呼吸困難」と、痰の少ない「乾いたせき」です。初期には「年のせいかな」「運動不足かも」と見過ごされやすく、坂道や階段を上るときだけ息苦しい、早歩きすると胸が苦しい、といった形で静かに始まります。進行すると、平らな道を歩くだけでも苦しくなり、やがては室内を少し移動するだけでも息切れを感じるようになります。
診察では、聴診器で背中から肺の音を聞いたときに、「パリパリ」「ジジジ」とビニール袋をこすったような音(捻髪音)が聞こえることがあります。また、指先の爪の付け根が丸くふくらむ「ばち指」が見られる場合もあります。画像検査では、胸部X線写真や 高分解能CT(HRCT) で両方の肺にスリガラス影や網状影、ハチの巣状(ハニカム)と呼ばれる変化が映し出されます。呼吸機能検査では、肺活量(FVC)の低下やガス交換能(DLCO)の低下が見つかり、「肺が縮んで硬くなっている」ことが数値としても確認されます。
重症化のサインとして番組で強調されそうなのは、「いつもより急に息切れが強くなった」「数日で一気に階段が上れなくなった」「安静にしていても息苦しい」「少し熱が出て、せきと息切れが同時に悪化した」といった状況です。これは 急性増悪 と呼ばれる状態の可能性があり、命に関わることもあるため、すぐに受診が必要だと解説されるでしょう。自己判断で様子を見るのではなく、かかりつけ医や専門医に早めに相談することが大切です。
最新の薬物治療 抗線維化薬で進行を遅らせる
かつては、間質性肺炎 とくに特発性肺線維症に対して、ステロイド薬と免疫抑制薬を組み合わせる治療が行われていましたが、その後の研究で効果が乏しく、むしろ害が大きいことが分かり、最新のガイドラインでは「原則として使わない」方向に変わっています。 代わって登場したのが、病気の進行を遅らせる 抗線維化薬 です。代表的なのは ピルフェニドン(商品名ピレスパ)と ニンテダニブ(商品名オフェブ)で、どちらも肺の線維化が進むスピードを抑え、肺機能の低下をゆるやかにする効果が、大規模な臨床試験で示されています。
近年は、特発性肺線維症 だけでなく、膠原病に伴う間質性肺炎など、他のタイプの「進行性線維化」を示す症例にも 抗線維化薬 を使う研究や実臨床が増えており、「線維化の進行をいかに止めるか」が治療の大きなテーマになっています。 一方で、膠原病が原因のタイプでは、ミコフェノール酸モフェチルやシクロホスファミドなどの 免疫抑制薬 を使って炎症を抑え、そのうえで必要に応じて抗線維化薬を追加する「組み合わせ治療」も行われています。
番組では、こうした薬の「効き方」だけでなく、肝機能障害や下痢・食欲低下などの副作用、内服を続けるためのコツ、定期的な採血・外来受診の重要性など、日常生活との付き合い方にも踏み込んだ解説が期待されます。「病気の進行は完全には止められないが、抗線維化薬 によって『ゆっくり進める』ことで、できるだけ長く自分らしい生活を続けることを目指す」というメッセージになるでしょう。
呼吸リハビリと栄養管理 在宅生活を支えるケア
間質性肺炎 の治療は薬だけではなく、呼吸リハビリ や 栄養管理、そして 在宅酸素療法 などを組み合わせることで、はじめて効果を発揮します。呼吸リハビリでは、理学療法士などの専門職と一緒に、ウォーキングやエルゴメーターを使った有酸素運動、太ももや体幹の筋力トレーニング、口すぼめ呼吸などの呼吸法を行い、「息切れとうまく付き合いながら動ける体」をつくっていきます。最近の報告では、間質性肺炎患者さんに早期からリハビリを導入することで、入院期間が短くなり、自宅退院できる人が増えたというデータも出ています。
栄養面では、体重減少や筋力低下を防ぐための 栄養療法 がとても重要です。間質性肺炎では、呼吸のために通常より多くのエネルギーを使う一方で、息苦しさから食事量が減ってしまいがちで、低栄養に陥る危険があります。そのため、タンパク質をしっかりとりつつ、少量ずつ回数を分けて食べる工夫や、必要に応じて栄養補助食品を使うことが勧められています。
病状が進み、安静時にも血中酸素が低下するようになった場合には、在宅酸素療法(HOT) が導入されます。日本の調査では、在宅酸素療法を受けている患者さんの約3割が「肺線維症・間質性肺炎」であり、慢性の呼吸不全の中でも大きな割合を占めていることが分かっています。 酸素療法は「最後の手段」ではなく、「全身の臓器を守り、少しでも楽に動けるようにするための治療」として位置づけられ、番組でも、酸素ボンベや携帯酸素を使いながら外出やリハビリを続けている患者さんの様子が紹介される可能性があります。
早期発見と専門医受診のポイント
間質性肺炎 は、早い段階で見つけて治療を始めるほど、進行を抑えやすい病気です。番組では、「息切れやせきが長引いているのに、レントゲンを撮っていない」「健診で肺の影を指摘されたが、忙しくて再検査に行っていない」といったケースに注意を促すはずです。特に、中高年で喫煙歴がある人、膠原病を指摘されている人、粉じんを吸いやすい仕事についている人などは、長引くせきや階段での息切れを「年齢のせい」と片づけず、早めに検査を受けることがすすめられます。
診断のカギになるのは、胸部CT(できれば高分解能CT)と、呼吸機能検査、血液検査などを組み合わせた総合的な評価です。難しい症例では、呼吸器内科医・放射線科医・病理医などが集まる「多職種カンファレンス」で診断を検討することもあり、日本では学会や患者会(J-BREATHなど)がこうした専門診療体制の整備を進めています。
今回の放送では、東京科学大学 の専門チームが行っている最新治療とともに、「どんな症状が出たら専門医を受診したほうがよいか」「かかりつけ医とどう連携していくか」といった、視聴者がすぐに役立てられる実践的なポイントが具体的に語られると考えられます。息切れや長引くせきが気になる方は、この回をきっかけに、自分の肺の状態を見直し、早めに医療機関へ相談してほしい、というのが番組全体を通したメッセージになるでしょう。
※ここで紹介した内容は、2026年時点で公開されている医学情報やガイドラインをもとにした一般的な解説です。実際の診断や治療は、必ず呼吸器内科などの専門医と相談して決めてください。
まとめと注意点
ここまで 間質性肺炎 の特徴や最新治療について紹介しましたが、実際の放送内容と異なる場合があります。あくまで事前の情報をもとにまとめた内容であり、詳しい治療方針や症状の捉え方は専門医によって異なることがあります。
今回の放送では、息切れが進む理由や線維化を抑える方法など、日常に役立つ知識が語られる見込みです。見えにくい病気だからこそ、早めの気づきが大切です。
Eテレ【きょうの健康】肺炎 予防と治療の最新情報「見逃さないで! 高齢者の肺炎」|高齢者の肺炎兆候と誤嚥性肺炎の予防方法を深掘り・むせ込みとインフルエンザ後リスクを見逃さない【2026年2月9日】
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