鳥たちが集うサトウキビ畑の物語
このページでは『ニッポンの里山 ふるさとの絶景に出会う旅(2026年2月8日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
沖縄・多良間島の広い大地には、島を象徴する サトウキビ畑 がどこまでも続き、そこは多くの野鳥たちが命をつなぐ大切な場所です。
耕された畑で虫を探す姿や、静かな葉陰でヒナを守る親鳥の営みが、ゆったり流れる時間の中で息づいています。
小さな島で寄り添う自然と暮らしの物語へ、一緒に入っていきましょう。
サトウキビ畑が野鳥の楽園になるわけ
多良間島は、まわりをサンゴ礁の海に囲まれた平らな島で、島の大部分を サトウキビ畑 が占めています。人口はおよそ1100人ほどですが、その何倍もの数の牛が飼われ、畑と牧場がゆったりと広がる、のどかな農業の島です。
この島では、一年のどの季節にも サトウキビ畑 がどこかで植え付け・生育・収穫のどれかの段階にあります。そのおかげで、野鳥たちはいつ来ても「えさ場」と「隠れ家」の両方を見つけることができます。植え付け前に土を起こした畑には、土の中から虫や小さな生き物が顔を出し、鳥たちにとってはビュッフェのような場所になります。
一方で、背の高く伸びたサトウキビがびっしり並ぶ畑は、外敵から身を守るための「ジャングル」のような空間です。風に揺れる葉の音にまぎれながら、鳥たちは静かに巣を作り、子育てをします。人が見ても、どこに鳥がいるのか分からないほどの密度なので、鳥にとってはとても居心地のよい場所なのです。
沖縄県・多良間島という小さな島の素顔
多良間島は、宮古島と石垣島のちょうど中間あたりに位置する島で、周囲は約20km。大きな山も川もなく、ゆるやかに広がる畑と牧場、そして黒糖の原料となる サトウキビ畑 が島の風景をつくっています。
この島は「黒糖生産量日本一」としても知られ、サトウキビは島の経済を支える大事な作物です。同時に、そのサトウキビがあるからこそ、野鳥たちの生活空間も守られています。農業と自然保護がきちんと分かれているのではなく、「同じ場所の中で支え合っている」というのが ニッポンの里山 の象徴的な姿だといえます。
番組では、風にそよぐサトウキビの上を、野鳥たちが低く飛び交ったり、畑のあぜ道を小さな体でちょこちょこと歩いたりする様子が映し出されていました。その画面からは、「人が畑を耕し、鳥がその変化をすかさず利用する」という、ごく自然なリズムが伝わってきます。
トラクターと鳥がつくる「ごちそうタイム」
番組の中でも印象的なのが、トラクターが畑を耕すシーンです。重いタイヤが土をかき混ぜるたびに、その後ろを追いかけるようにして、たくさんの鳥たちが集まってきます。
トラクターに驚いた虫たちが土の中から飛び出したり、地表近くでじっとしていた小さな生き物が動き出したりすると、それを見逃さずに鳥たちがついばみます。人間から見ると「仕事中に鳥が寄ってきている」光景ですが、鳥から見ると、まさにごちそうが次々と掘り起こされるチャンスです。
この瞬間、畑は「人が作る農地」であると同時に、「鳥たちが暮らす自然の一部」にもなっています。農作業が環境を壊すのではなく、虫を食べてくれる鳥たちのえさ場になることで、結果的に害虫が増えすぎないよう手助けもしている。そんな、さりげない共生の姿が、画面越しにも伝わってきました。
サトウキビ畑が野鳥の子育てを支える仕組み
背丈ほどに伸びた サトウキビ畑 の中は、人間が足を踏み入れると少し心細くなるほど薄暗く、葉っぱが視界をさえぎります。しかし鳥たちにとっては、ここがいちばん安心できる「保育園」のような場所です。
番組では、繁殖期になると、鳥たちがこのサトウキビの密林をうまく使いながら、巣を作ったり、ヒナを育てたりする様子が紹介されました。外からはほとんど見えない場所に巣を隠すことで、猛禽類やイタチのような外敵から身を守ることができます。
一方で、畑の中ばかりではなく、畑と畑のあいだのあぜ道や農道も大事な通り道です。朝や夕方には、畑の中から出てきた鳥たちが、この道を使って別の畑へ移動します。草丈の低い場所と、背の高い サトウキビ畑 の両方をうまく使い分けることで、食事と子育てを両立させているのです。
行列で歩くミフウズラ親子の不思議な暮らし
今回の回で、ひときわ心をつかむ存在が「ミフウズラ」という小さな鳥です。体長はおよそ14センチほどで、丸い体つきに短い尾。主に地面を歩いて暮らし、草丈の低い草地や サトウキビ畑 のような農地を好む鳥です。
番組では、このミフウズラの親子が、列をつくって移動する様子が紹介されました。先頭を行く親鳥の後ろを、ヒナたちが一列になってちょこちょことついていきます。その姿は、まるで親子遠足の行列のようで、とてもかわいらしい光景です。
ミフウズラは、沖縄や奄美の島々にすむ留鳥で、多良間島を含むサトウキビ産地では、昔から身近な鳥として知られてきました。沖縄では方言で「ウジラー」などと呼ばれることもあり、畑で見かける小さな常連さんです。
興味深いのは、ミフウズラの子育てのスタイルです。一般的な鳥と違い、メスが積極的にオスを選び、卵を産んだあとの抱卵やヒナの世話は、主にオスが担当する「一妻多夫」という珍しい形をとります。
こうした少し変わった生態も、サトウキビ畑のように隠れる場所が多く、えさも豊富な環境があってこそ続けられてきたと考えられます。
ニッポンの里山が教えてくれる、人と自然のほどよい距離感
ニッポンの里山 シリーズがいつも教えてくれるのは、「人の暮らし」と「野生の生き物」のあいだに、きれいに線を引かない世界の大切さです。
多良間島の サトウキビ畑 では、人は生活のために土地を耕し、野鳥はその変化に合わせてえさを見つけ、子どもを育てています。農作業の音に驚いて飛び立つ鳥もいれば、そのあとに土から出てきた虫をすかさずついばむ鳥もいる。そんな日常が積み重なることで、「里山」という風景が形づくられていきます。
今回の多良間島の回は、派手な観光名所や大きな建物が出てくるわけではありません。それでも、畑を渡る風の音や、ミフウズラ親子の足音が聞こえてきそうな静かな映像から、「人と自然が同じリズムで息をしている場所」が確かにあることを教えてくれました。
サトウキビが揺れる音の向こうで、今日もどこかの畑では、ミフウズラの親子が列をつくって歩いているのかもしれません。
まとめ
沖縄・多良間島の広がる サトウキビ畑 を舞台に、野鳥たちが四季を通してどのように畑を利用して暮らしているかが紹介されました。耕した直後の畑で虫を探す姿や、密集した葉陰を「安全なゆりかご」にして子育てする様子、そしてミフウズラ親子が行列で歩く愛らしいシーンが心に残ります。
本記事の内容は放送内容と異なる場合があります。
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