インテリアが語る安藤秀通さんの暮らし
「心おどるあの人のインテリア(5)」で映し出されたのは、整理収納アドバイザーの安藤秀通さん、通称ひでまるさんの住まいです。番組全体は、8人の家を訪ねながら、それぞれがどんな空間で心をゆるめ、どんな物に囲まれて暮らしているのかを見つめる企画です。今回の主役である安藤さんは、整理収納アドバイザーでありながら、見た目のきれいさだけでは終わらない、気持ちの流れまで整えるような部屋づくりを大切にしている人物として紹介されています。NHK出版の関連情報では、安藤さんは前職で雑貨やミュージアムグッズの企画営業、ディスプレイを担当し、その経験を今の空間づくりにも生かしていると紹介されています。だからこそ、この回の見どころは、片づけのテクニックだけではなく、暮らしの美しさそのものにありました。
安藤さんは「ひでまる」の名で活動し、ルームスタイリストとしての顔も持っています。著書『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』でもわかる通り、ただ物を減らすのではなく、好きな物をどう残し、どう見せるかを大事にしている人です。整理収納という言葉から、つい「しまう」「隠す」を思い浮かべがちですが、この回で伝わってくるのは、住まいはその人の価値観そのものだということでした。部屋は生活の箱ではなく、その人が何を大切にしているかを静かに語る場所なのだと、画面越しにも伝わってきます。
植物に包まれた部屋がつくる心地よさ
今回とくに印象的なのは、部屋の中にたくさんの植物があることです。番組概要でも、安藤さんの部屋には植物が多いことがはっきり打ち出されていました。さらに関連インタビューでは、安藤さんは植物のある暮らしについて継続的に発信しており、AND PLANTSの取材では、パートナーと暮らす1LDK 47㎡のリノベマンションで、植物とインテリアの関係を大切にしている様子が紹介されています。SNSでも「室内で100鉢育てる」と発信しており、植物は飾りではなく、暮らしの中心にある存在だとわかります。
植物が多い部屋というと、にぎやかで手入れが大変そうなイメージを持つ人もいるかもしれません。けれど安藤さんの空間は、物量で押してくる感じではなく、むしろ呼吸がしやすそうな落ち着きを感じさせます。それは、植物の葉の形や高さ、鉢の置き方、光の入り方まで含めて、全体がゆるやかに調和しているからです。植物は1つ置くだけでも部屋の印象を変えますが、数が増えるほど配置の考え方が大事になります。観葉植物は視線の高さを分散させ、部屋に奥行きを出す効果があると一般にいわれており、インテリアの中で「生きた立体物」として機能します。安藤さんの部屋が心地よく見えるのは、その立体感の使い方がとても上手だからです。
小物が多くても美しく見える並べ方の法則
番組情報の中でも興味を引くのが、「小物もけっこうな数があるのに、一見ランダムに見えて、美しく並べる法則を使っている」という部分です。この一文だけでも、安藤さんの整理収納が、ただ物を減らすだけの考え方ではないことがはっきりわかります。前職でディスプレイやVMDに関わってきた経験があるため、見せ方の感覚がふだんの住まいにも自然に息づいているのだと考えられます。VMDは店舗で商品を魅力的に見せるための手法ですが、家の中でも応用すると、物の多さを雑然さではなく個性として見せやすくなります。
小物を美しく見せる基本は、全部を同じ強さで見せないことです。高さ、余白、色のまとまり、素材の近さ、視線が止まるポイントをつくること。こうした要素がそろうと、物は多くても散らかっては見えにくくなります。安藤さんの部屋が「ランダムに見えてきれい」に感じられるのは、たぶん偶然ではありません。飾る物を選び、置く場所を決め、近くにある物どうしの関係を整えているからです。整理収納というと引き算の話だけに見えますが、この回では、残した物をどう生かすかという足し算の発想も大きな魅力でした。好きな物をただ集めるのではなく、好きな物が互いを引き立てるように置く。その考え方が、部屋の表情を豊かにしていたのだと思います。
服と靴を最小限にして整える日常
植物や小物の豊かさとは対照的に、番組では洋服や靴は最小限でまかなう工夫も紹介されました。この対比がとてもおもしろいところです。好きな物にはしっかり場所を使い、毎日使う物は必要以上に増やさない。その線引きがあるからこそ、部屋全体に迷いが出にくいのです。何でも減らすのではなく、何を持ち、何を持たないかを自分で決める。安藤さんの整理収納には、その主体性があります。
収納の世界では、服や靴は数が増えやすく、しかも生活動線に直結するため、散らかりやすい代表格とされています。逆にここが整うと、朝の身支度が早くなり、出し入れのストレスも減ります。安藤さんが服と靴を最小限で回しているのは、単なる節約や我慢ではなく、暮らしの選択を軽くするためでもあるのでしょう。実際、物の数をしぼると、管理の手間が減り、収納スペースにも余白が生まれます。その余白は、見た目の美しさだけでなく、気持ちの落ち着きにもつながります。たくさん持つ豊かさではなく、選び抜いた物と暮らす豊かさ。この回は、その価値を静かに見せてくれます。
整理収納は人生を見直すことという考え方
この回でいちばん心に残る言葉は、やはり「整理とは人生を見直すこと」という考え方です。番組の予告段階から、この言葉は大きな軸として示されていました。片づけ番組や収納記事では、どうしても見た目の変化や便利ワザに目が向きますが、安藤さんが伝えているのはもっと深いところです。物を分けることは、今の自分に必要な物を見きわめることでもあり、言いかえれば、今の自分がどんな暮らしをしたいのかを確かめる作業でもあります。
安藤さん自身、部屋を整えたことで人生が変わったという趣旨の紹介がNHK関連の発信でもなされています。整理収納は、部屋をきれいにする行動であると同時に、自分の時間の使い方、人との関わり方、気分の整え方まで見直すきっかけになります。これは近年よく語られる「片づけはメンタルにも影響する」という考え方とも重なります。もちろん片づけだけで人生のすべてが変わるわけではありませんが、目に入る物の量や配置は、日々のストレスや集中力に影響しやすいとされています。だからこそ安藤さんの言葉には、整理収納の技術者としてだけでなく、暮らしの伴走者のような重みがあります。
ひでまるさんの部屋から見えてくる自分らしい住まい方
安藤秀通さんの回を見ていると、部屋づくりの正解は1つではないとよくわかります。植物が多いこと、小物が多いこと、でも服や靴はしぼっていること。そのどれもが、流行をそのままなぞった結果ではなく、自分が気持ちよく暮らすための答えとして選ばれていました。だからこの回は、単なるおしゃれな部屋の紹介で終わりません。見た目の美しさの先に、その人らしい基準をどう持つかという問いが残ります。
インテリアは家具や雑貨の話だけではなく、暮らし方の表現です。安藤さんの住まいには、好きな物をきちんと愛しながら、必要以上に抱え込みすぎないという姿勢が通っています。植物のうるおいも、小物の楽しさも、最小限の衣類も、全部がばらばらではなく、1つの生き方につながって見えるのです。番組タイトルの通り、見ているこちらの心まで少しおどるのは、その部屋がきれいだからではなく、そこに暮らす人の考え方がまっすぐ伝わってくるからでしょう。自分の部屋を見直したくなる。そんな静かな後押しをくれる30分だったといえます。
この記事をどの専門職で書くと相性がいいか
インテリアコーディネーター / 整理収納アドバイザー
この回は、見た目の美しさだけでなく、収納の考え方、物の選び方、植物との暮らし、人生観まで含めて語る内容です。そのため、インテリアの演出と整理収納の両方を説明できる立場が最も合っています。
まとめ
整理収納アドバイザー安藤秀通さんの住まいには、植物と小物が心地よく並び、見ているだけで気持ちが整っていくような空間が広がっていました。好きな物を大切にしながら、必要以上に増やさないという考え方は、整理収納とインテリアの両方のヒントになります。暮らしを整えることは、自分の時間や気持ちを見直すことでもあります。なお、本記事は公開されている情報をもとにまとめているため、実際の放送内容と異なる場合があります。
Eテレ【心おどる あの人のインテリア(4)】津田蘭子×カラフルインテリアの実例 真っ黄色の玄関とストライプ壁のDIYが映す“色で暮らす家”|2026年3月3日
安藤秀通さんという人物

ここで少しだけ、番組に登場した整理収納アドバイザー安藤秀通さんについて、背景となる情報を補足として紹介します。
番組ではインテリアと暮らしの考え方が中心でしたが、安藤秀通さんの歩みを知ると、その部屋づくりの理由がさらによく見えてきます。好きな物に囲まれながらも、物に振り回されない暮らし。その考え方は、これまでの仕事や経験の積み重ねから生まれてきたものです。ここでは、安藤秀通さんの経歴や活動、そして代表的な本について、番組理解の手がかりとして整理して紹介します。
経歴
安藤秀通さんは千葉県出身で、社会人としての最初の仕事は電力会社でした。住宅設備や契約に関わる部署で働きながら、住まいに関する知識を身につけていきます。また第二種電気工事士の資格も取得しており、住宅設備の仕組みを理解している点は住まいの専門家としての土台になっています。その後、東京ディズニーシーのアトラクションキャストとして働き、接客や空間演出の考え方を学びました。さらにディズニーストアの販売スタッフとして商品ディスプレイの経験を積み、物の見せ方や配置の工夫を体で覚えていきます。こうした経験のあと、美術館や水族館のミュージアムショップを運営する企業に勤務し、企画営業やディスプレイの仕事に携わりました。この時期に培った展示の考え方が、現在のインテリアと整理収納の活動にも生かされています。
活動と実績
安藤秀通さんは整理収納アドバイザーとルームスタイリストの資格を取得し、住まいの整え方を伝える専門家として活動しています。活動名の「ひでまる」としてSNSでも発信しており、部屋づくりや収納の工夫を紹介する投稿は多くの人に読まれています。またセミナーやオンライン講座、整理収納サポートなども行い、実際の住まいを整える手助けを続けています。安藤秀通さんが特徴的なのは、単に片づけを教えるのではなく、好きな物をどう残すかという考え方を大切にしている点です。物を減らすことだけが整理ではなく、本当に大切な物を選び取ることこそが整理収納だという考え方です。この視点が、多くの共感を集めています。
代表作
安藤秀通さんの代表的な著書として知られているのが「47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り」です。この本では、東京の47㎡の住まいでパートナーと暮らす実際の生活をもとに、部屋づくりの考え方が紹介されています。広い家でなくても、好きな物を大切にしながら心地よく暮らすことはできるということが、写真と具体的な工夫でわかりやすく説明されています。収納の方法だけでなく、家具の配置や植物の取り入れ方、物の選び方など、暮らしを整えるヒントが詰まった一冊です。番組で紹介された安藤秀通さんのインテリアの考え方も、この本に通じるものが多く、好きな物が並ぶ部屋こそが心を整える場所になるというメッセージが強く伝わってきます。
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