福島の食をたどる旅
このページでは「連食テレビエッセー きみと食べたい(福島県・いわき編)(2026年3月10日放送)」の内容を分かりやすくまとめています。
今回の舞台は福島県いわき市。俳優の吉田羊さんとフードエッセイストの平野紗季子さんが、地元のレストランを訪ねながら食の物語をたどります。
2011年の震災と原発事故をきっかけに、店のあり方を大きく変えたシェフの歩み。そして今、福島の食材だけで作るフルコースが生まれました。料理を入口に見えてくるのは、いわきの生産者や地域の今の姿。食を通して福島の現在を感じる旅が描かれました。
旅の入口は1軒のレストラン
最初に印象に残るのは、旅の目的地が観光地ではなく、いわき市のレストランだったことです。番組公式情報でも、吉田羊さんと平野紗季子さんがいわき市のレストランを訪ね、料理を入り口に福島の今を知っていく構成だと紹介されています。食べることから土地を知るという番組の芯が、最初からはっきり示されていました。
その舞台となったHAGIは、いわき市内郷御台境町にあるフランス料理店です。萩春朋シェフは、いわき生まれで、フランスでの修業を経て地元に店を構えました。今は福島県内の生産者から届く食材を軸に、その日ごとのコースを組み立てる店として知られています。
震災後の決断が店を変えた
番組の大きな柱になっていたのが、2011年の東日本大震災と原発事故のあと、店に客が来なくなり、萩シェフが閉店を覚悟したという過去です。それでも「最後は地元のために」という思いで県内の生産者を訪ねたことが、いまの料理の原点になったと描かれていました。
この流れは、HAGIに関する外部記事でも重なります。震災後、福島の食材を積極的に扱う方向へ大きく舵を切り、生産者とともに歩む店へ変わっていったことが紹介されています。店の転機は経営の工夫というより、土地と一緒に立ち上がろうとした決意だったのだと伝わってきます。
福島の食材だけでつくるフルコース
今回の番組で何より心を引いたのは、福島の食材だけで組み立てるフルコースです。番組概要でも、それから15年を経て、萩シェフが作るコースは福島の食材ばかりだと紹介されていました。1皿ごとに、復興や応援という言葉だけでは足りない、土地の誇りが込められているように感じます。
HAGIはもともと、地元いわきをはじめ福島県の生産者から直接仕入れた食材を使い、鮮度を生かした料理を大切にしている店です。近年は水揚げされたばかりの魚や採れたての野菜の持ち味を引き出すことに力を入れているとされ、番組で描かれたフルコースの考え方とも自然につながります。
生産者を訪ねて見えた福島の底力
番組の旅は、レストランの中だけで終わりませんでした。平野紗季子さんの発信では、旅で訪ねた人としてHAGIの萩春朋さんに加え、ファーム白石の白石長利さん、さんけい魚店の松田義勝さん・幸子さんの名前が挙がっています。料理が完成品ではなく、人から人へ渡ってきた結果だとよく分かる流れでした。
ファーム白石は、いわき市小川町で農薬や化学肥料を使わない自然農法に取り組み、旬に合わせた野菜を育てる生産者です。さんけい魚店は小名浜本町にある鮮魚店で、常磐ものを扱う店として知られています。畑と港の現場をたどることで、1皿の背景がいっそう立体的に見えてきました。
いわきならではの食の豊かさ
いわきの食の強さは、海と陸の距離の近さにあります。市は太平洋に面し、気候が比較的温暖で、海産物にも農産物にも恵まれています。だからこそ、この回ではフレンチの皿の中に、福島の土地そのものが入っているような見え方がありました。これは、いわきという地域の条件があってこその魅力です。
とくに海の恵みでは、「常磐もの」という言葉を外せません。いわき市では、水揚げされた水産物を地域ブランド「常磐もの」として発信しており、築地市場などでも高く評価されてきました。番組内で直接どの魚が中心になったかの細部は場面ごとに異なりますが、いわきの魚を語るうえで、この背景はとても大事です。
料理の向こうに見えた人の物語
この回の良さは、震災から15年という時間を、説明だけでなく食の手ざわりで伝えたところにあります。店が続いていること、生産者が畑や港に立っていること、その食材をいま吉田羊さんと平野紗季子さんが味わっていること。その連なり自体が、福島の今を静かに語っていました。
平野さんの書き下ろしエッセーが重なることで、旅は情報の紹介ではなく、心に残る読後感を持つ紀行になっていました。さらに朗読を原田郁子さんが担当していることも番組情報で示されており、言葉と料理と風景がゆっくり重なるつくりが、この番組らしい余韻を生んでいたと思います。
最後に
「連食テレビエッセー きみと食べたい(福島県・いわき編)」では、吉田羊さんと平野紗季子さんが福島県いわき市を訪れ、レストランの料理を入り口に地域の食と人の物語をたどりました。震災からの歩み、生産者とのつながり、そして福島の食材で作られる料理の魅力が描かれています。
なお本記事は公開時点の情報をもとに整理しているため、実際の放送内容と一部異なる場合があります。
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