減塩でもおいしい肉じゃがのコツとは
毎日の食事で気になるのが塩分のとりすぎです。そこで注目されているのが、減塩でもしっかりおいしく作れる肉じゃがの工夫です。『5分であさイチ 肉じゃがの“減塩マジック”』(2026年4月5日)でも取り上げられ注目されています。味が薄くなるのではなく、うま味や香りを引き出すことで満足感を高めるのがポイントです。家庭で無理なく続けられる方法として、多くの人に役立つ内容になっています。
この記事でわかること
・減塩でもおいしくなる理由
・肉じゃがの塩分を減らす具体的な方法
・うま味や香りを活かす調理のコツ
・他の料理にも応用できる減塩テクニック
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肉じゃがの塩分を25%カットする“減塩マジック”とは
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減塩が注目されるいちばん大きな理由は、日本では今も塩分のとりすぎが続いているからです。厚生労働省の令和6年「国民健康・栄養調査」では、20歳以上の食塩摂取量の平均は1日9.6gで、健康日本21(第三次)の目標値7gより高い状態です。日本高血圧学会は、高血圧の予防や重症化予防のために1日6g未満をすすめています。つまり、「少しだけ減らす」ではなく、毎日の料理そのものを見直すことが大切だと分かります。
その中で話題になりやすいのが、肉じゃがのような家庭料理です。肉じゃがはやさしい味の料理に見えますが、しょうゆ、みりん、砂糖、だしなどを合わせるため、作り方によっては思った以上に塩分が増えやすい料理でもあります。だからこそ、いつものおかずをおいしさを落とさずに減塩できると、「特別な健康食」ではなく「ふつうのごはん」で続けやすいのです。今回のテーマが注目されたのは、まさにこの続けやすさにあります。4月5日放送の『5分であさイチ 肉じゃがの“減塩マジック”』という題名にも、その実用性がよく出ています。
大事なのは、塩を減らす=味がぼやけるではないということです。減塩で本当に必要なのは、塩味の代わりになる「満足感」をどう作るかです。うま味、香り、甘み、焼き色、食感がそろうと、人は塩分が少なくても「ちゃんとおいしい」と感じやすくなります。だから減塩マジックは、単なる我慢ではなく、料理の組み立て方を変える工夫だと考えると分かりやすいです。
減塩のカギは「少ない煮汁」調理法
このテーマの中心にあるのが、少ない煮汁で作るという考え方です。煮汁が多いと、その分だけしょうゆや塩を増やさないと全体に味が回りにくくなります。逆に、少ない煮汁で作れば、使う調味料の量そのものを減らしやすくなります。これはとても単純ですが、家庭料理ではかなり効果の大きい考え方です。
しかも、少ない煮汁の肉じゃがには別の良さもあります。具材から出る水分やうま味が煮汁に混ざり、それが全体にからみやすくなるので、ただ薄いだけの味になりにくいのです。汁に頼って味をつけるというより、具そのもののおいしさを引き出して、表面に味をまとわせる感じに近くなります。減塩なのに満足しやすいのは、このしくみがあるからです。
ここで理解しておきたいのは、減塩料理は「調味料を減らす」だけでは成功しないということです。水分量、火加減、鍋の中での蒸発、具材の重なり方まで関係します。だから少ない煮汁という発想は、ただの節約ワザではなく、味の濃さの感じ方をコントロールする調理法として意味があります。
肉の下ごしらえで味を引き出す2つのポイント
肉の下ごしらえが大事なのは、減塩ほどごまかしがきかないからです。塩分が少ない料理では、肉のくさみやぼんやりした味がそのまま出やすくなります。だから最初の段階で、余分なにおいを抑えたり、肉のうま味を出しやすくしたりすることが重要です。
一般に、肉の下ごしらえで意識したいのは、くさみを出にくくすることと、火を入れたときに香りを立たせることです。薄切り肉は広がりやすく、表面積が大きいぶん、焼いたときに香ばしさを作りやすい食材です。食品安全委員会の解説でも、メイラード反応はこんがりした焼き色や香ばしい香りを生み出す反応だとされています。つまり、肉をただ煮るより、最初に焼いて香りを出すほうが、減塩でも満足感を作りやすいのです。
もうひとつは、肉を「味つけの受け身」にしないことです。減塩料理では、最後に濃い煮汁をかけてごまかすやり方が使いにくいので、肉そのものが料理全体のうま味の土台になります。だから下ごしらえは地味でも、完成したときの差が大きい部分です。肉じゃがが「じゃがいもの料理」ではなく、肉のうま味で全体をまとめる料理だと考えると、この工程の意味がよく見えてきます。
野菜の下処理で減塩でもおいしくするコツ
野菜の下処理が大切なのは、野菜にはそれぞれ火の通り方と水分の出方のちがいがあるからです。じゃがいもはでんぷんが多く、玉ねぎは甘みと水分が多く、にんじんは火が通るまで少し時間がかかります。この差を考えずに一気に煮ると、煮汁の量や加熱時間が増えて、結果として調味料も増えがちになります。
特に玉ねぎは、しっかり加熱すると甘みが出やすく、減塩の助けになります。塩味が少なくても「物足りない」ではなく「やさしい甘みがある」と感じやすくなるからです。じゃがいもも、表面がほどよく煮崩れると煮汁がからみやすくなり、少ない調味料でも味を感じやすくなります。つまり野菜の下処理は、食べやすさだけでなく、少ない塩分で味を感じるための準備でもあるのです。
減塩というと調味料ばかりに目が行きますが、実は野菜の扱い方こそ重要です。野菜の甘み、やわらかさ、ほくほく感がうまく出ると、塩味の不足を感じにくくなります。これは子どもや高齢の方にも続けやすいポイントで、家庭料理としての価値が高い部分です。
焼き方が決め手!うま味を引き出す調理テク
減塩料理で焼き方が大切なのは、香りが味の満足感を支えるからです。人は舌だけで味を感じているわけではなく、鼻に抜ける香りや、焼けた見た目、食感も合わせて「おいしい」と判断しています。メイラード反応は、焼き色と香ばしさを作る代表的な反応で、パンや焼き肉の香りにも関係しています。
肉じゃがは煮物ですが、最初に肉や野菜を軽く焼くことで、煮るだけでは出にくい香ばしさを足せます。これがあると、しょうゆを少し減らしても味の輪郭がぼやけにくくなります。減塩なのに「ちゃんと料理した感じ」が出るのは、この焼きの工程があるからです。
比較すると分かりやすいです。煮るだけの肉じゃがは、やわらかくてやさしい反面、味の立ち上がりはおだやかです。一方、焼いてから煮た肉じゃがは、香りの入口があるので、ひと口目の満足感が強くなります。塩味を増やさずに、満足感を増やすという意味で、焼き方はとても合理的なテクニックです。
他の料理にも応用できる減塩テクニックまとめ
このテーマが役立つのは、肉じゃがだけで終わらないところです。少ない煮汁で作る、最初に焼いて香りを出す、具材の甘みやうま味を活かす。この3つは、筑前煮、きんぴら、煮魚、親子煮、炒め煮などにも応用できます。減塩の基本はいつも同じで、塩分を足して満足感を作るのではなく、別の要素で満足感を補うことです。
農林水産省の資料でも、減塩ではうま味を活かすこと、酢や香辛料などを使って塩やしょうゆを減らす工夫が紹介されています。和食文化の文脈でも、うま味を活かすことは健康づくりと相性のよい考え方として位置づけられています。つまり減塩マジックは、特別な裏ワザというより、和食のよさを今の健康課題に合わせて使い直す方法とも言えます。
大切なのは、いきなり完璧を目指さないことです。毎日の料理で、煮汁を少し減らす、だしや素材の甘みを活かす、最初に焼いて香りを足す。その積み重ねだけでも、塩分のとり方は変わっていきます。減塩は我慢の食事ではなく、おいしさの作り方を上手に変えること。そう考えると、肉じゃがはとても良い練習になる料理です。
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