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日本で唯一!世界47か国を巡り段ボールを集める島津冬樹の活動から考える なぜ捨てる箱に価値が生まれるのか 収集と仕事の仕組み【クレイジージャーニーで話題】

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段ボールに人生をかける理由とは

一見ただの箱に見える段ボールですが、実はその中には国ごとの文化や流通のしくみ、暮らしの違いがぎゅっと詰まっています。世界47か国を巡りながら段ボールを集め続ける人物の視点を通すと、何気ない日常の風景がまったく違って見えてきます。『クレイジージャーニー☆日本で唯一!世界47か国を巡り段ボールを集める島津冬樹(2026年4月20日放送)』でも取り上げられ注目されています 。

この記事では、なぜ段ボールがそこまで魅力的なのか、その背景や意味までやさしく解説していきます。

この記事でわかること
・段ボール収集が注目される理由
・世界ごとに違う段ボールの特徴
・段ボールで生きるという働き方の実態
・段ボール拾いのコツと注意点
・幻の段ボールが持つ価値の正体

島津冬樹とは何者か 日本唯一の段ボールピッカーの正体

イベント】島津 冬樹さんによるペンケースや小物入れが作れるワークショップ | 富山大学芸術文化学部

(画像元:【イベント】島津 冬樹さんによるペンケースや小物入れが作れるワークショップ | 富山大学芸術文化学部

島津冬樹さんは、使い終わった段ボールを集め、その柄や文字を生かして財布やカードケースなどへ作り変える活動を続けている人物です。大学時代に自分の財布の代わりとして段ボールで財布を作ったことが、いまの活動の出発点になりました。その後、広告の仕事をしながら活動を続け、やがて「段ボールで生きていく」と決めて進んできたことも語られています。最近もカードケースづくりのワークショップが開かれており、作品販売だけでなく、体験や対話の場も広がっています。

島津さんが注目される理由は、珍しいからだけではありません。大きいのは、ゴミになりやすいものを、持ちたくなる一点物に変えていることです。しかも段ボールの文字や色、へこみやかすれまで「味」として残すため、同じ作品はほとんど生まれません。長財布は2万円程度でも人気があり、美術館のミュージアムショップのような場でも扱われてきました。つまり、段ボールは安い素材でも、見方と手の加え方しだいで、工業製品にも作品にもなると示しているのです。

ここで大事なのは、島津さんが集めているのは「紙」ではなく、その土地の空気をまとった箱だということです。どこの国で、何を入れ、誰に届けるために作られたのか。そこには産地、商売、言葉、色づかい、暮らしの癖が残ります。だから島津さんの活動は、収集でもあり、旅でもあり、同時に文化の観察でもあるのです。

世界47か国で600箱 段ボール収集という異色の旅の理由

世界47か国で600箱以上という数字だけ見ると、まず驚くのは量です。けれど本当に面白いのは、その数の多さより、なぜそんなに集めたくなるのかという気持ちの部分です。観光地そのものより、その国ならではの段ボールを見たいという感覚は、ふつうの旅とはまったく違います。だからこそ、見る側は「この人は何を見ているのか」と引き込まれます。

段ボールは、旅先でいちばん早くその国らしさに触れられる道具のひとつです。食べ物の箱を見れば、その土地で何がよく売られているかわかります。文字を見れば、言葉や表記の文化が見えます。写真や色づかいを見れば、売り方の好みも見えてきます。観光名所は“見せたい顔”ですが、流通の箱は“暮らしの素顔”に近いものです。そのため、段ボール収集は変わった遊びに見えて、実はかなり深い生活観察でもあります。

もうひとつの理由は、世界共通の道具なのに、まったく同じにはならないことです。段ボールはどの国にもありますが、輸出が多い地域、地元向け販売が中心の地域、写真で見せたい地域、文字で説明したい地域では箱の表情が変わります。これが面白いから、1箱拾うごとに「また違う文化が見えた」と感じられるのです。単なるコレクションではなく、世界を比べる方法になっているわけです。

日本と海外の段ボールの違い デザインと文化の特徴

段ボールそのものの歴史を見ると、起点は19世紀の英国で、もともとは帽子の内側の素材として考えられました。その後、米国で包装材として発展し、日本では1909年に国内製造が成功して「段ボール」という名前が広まりました。つまり段ボールは、古くから世界をまたいで進化してきた、とても国際的な道具です。

日本の段ボールが独特なのは、見せ方の細やかさです。番組内でも「水墨画」「ゆるキャラ」「四季」という言葉が出ていましたが、これは日本の包装デザインの特徴とかなり重なります。日本では中身だけでなく、季節感、親しみやすさ、贈り物らしさまで箱にのせようとすることが多く、絵柄や言葉に気を配る傾向があります。箱が単なる輸送道具ではなく、店や産地の“顔”になっているのです。

一方で、海外では箱の役割がもっとはっきり分かれることがあります。輸出が多い地域では、どこの国から来た品物なのか一目で伝える必要があり、国旗や大きなロゴのような、遠くからでもわかる意匠が強くなりやすいです。また、近年はデジタル印刷の広がりで、従来の印刷では難しかった写真や繊細な色表現も段ボールに使いやすくなっており、アジア圏などで写真を前面に出す箱が目立つ背景ともつながります。

ここで比べるとわかりやすいのは、日本の箱が「気持ちや雰囲気も伝えたい」方向に強く、輸出型の箱は「中身や産地をはっきり伝えたい」方向に強いことです。もちろん例外はありますが、前者は情緒、後者は即時性が中心になりやすいのです。だから島津さんは箱を見るだけで、その国の売り方や考え方の違いまで感じ取れるのでしょう。段ボールは、意外なほど文化の差が出るメディアです。

さらに言えば、段ボールは見た目だけでなく構造も優秀です。波形の芯をはさんだつくりはトラス構造に通じる考え方で、軽いのに強く、輸送に向いています。つまり世界中で広く使われるのは、安いからだけではなく、合理的だからでもあります。実用品として優秀で、しかも印刷次第で文化を映す。だから段ボールは、地味に見えて実はとても表情が豊かな素材なのです。

段ボール拾いの方法とルール 現地でのリアルな実態

段ボール拾いは、ただ道ばたで見つけて持ち帰ればいい、という話ではありません。島津さんが語っていたように、市場やバザールのような物がたくさん動く場所を狙うのは合理的です。そこでは毎日たくさんの箱が使われ、しかもお店ごとに異なる柄や産地の箱が集まります。段ボールを見たい人にとって、市場は観光地以上に情報の宝庫なのです。

ただし、ここで大切なのは地元のルールです。店の持ち物なのか、廃棄前の資材なのか、回収ルートに入る予定のものなのかで、勝手に持ち出していいかは変わります。国や地域によっては、路上や市場の資材に手を出すこと自体が怪しまれやすい場合もあります。だから笑顔で話す、相手に意図を伝える、怪しまれないようにする、という島津さんの姿勢は、面白エピソードではなく、安全と信頼のための実践といえます。

持ち帰り方にも工夫があります。巨大スーツケースや特大ビニール袋を使い、さらに手荷物として持ち帰るという話からもわかるように、段ボールは軽い反面、かさばりやすく、折れやすく、雨や汚れにも弱い素材です。つまり収集の難しさは、見つけることだけでなく、きれいな状態で持ち帰ることにもあります。旅の荷物として考えるとかなり大変で、だからこそ600箱以上という数に重みが出ます。

VRゴーグルでシミュレーションするという話も、一見ふざけているようでいて、実は本気の準備の表れです。どこに市場があり、どんな動線で回れば出会えるかを事前に想像することは、収集の効率にも安全にも関わります。こうした積み重ねを見ると、段ボール拾いは思いつきではなく、観察力と行動力のいるフィールドワークだとわかります。

段ボール財布で生計を立てる仕組みと価値

いちばん不思議に感じる人が多いのは、「本当に段ボールで仕事になるのか」という点だと思います。ここで重要なのは、売っているのが単なる箱の切れ端ではなく、物語をまとった一点物だということです。どこの国で見つけたのか、どんなロゴが入っているのか、なぜその柄を生かしたのか。そうした背景が作品の価値になります。大量生産の財布にはない“出会い”が、値段の理由になるのです。

しかも段ボール財布は、環境にやさしいだけではありません。よくあるリサイクルは、いったん材料に戻して別のものを作りますが、島津さんの仕事は元の印刷や痕跡をできるだけ生かしたまま価値を上げるアップサイクルに近い考え方です。日本の段ボールは回収率97.8%と非常に高く、もともと資源循環の優等生ですが、その前の段階で「すぐ古紙にする」のではなく、「まず別の使い道を見つける」視点を持ち込んでいるところに独自性があります。

ここには、いまの時代らしい価値観もあります。新品で整ったものだけが良いのではなく、少し傷があること、使われた跡があること、土地の名前や手書きの文字が残っていることに魅力を感じる人が増えています。段ボール財布は、その感覚にぴったり合います。きれいすぎないことが、むしろ面白い。そう考えると、島津さんの作品は財布であると同時に、消費のしかたを見直す提案でもあるのです。

また、仕事として成り立つ理由は販売だけではありません。展示、ワークショップ、空間デザイン、出版、映像化など、活動が広がるほど収入の柱も増えます。つまり「段ボール財布を売る人」ではなく、段ボールという視点を社会にひらく表現者として見たほうが実態に近いのです。これが、珍しい活動が長く続く大きな理由でもあります。

幻の段ボールとは何か 警視庁やテレビ局が注目される理由

島津さんが未入手の幻として挙げていた警視庁の段ボールや、テレビ局の小道具が入った段ボールが面白いのは、単に珍しいからではありません。それらは、ふつうの人がなかなか近づけない現場で使われる箱だからです。つまり箱そのものが特別なのではなく、その箱がいた場所が特別なのです。

こうした“幻”の魅力は、コレクション全体の考え方ともつながっています。果物や飲料の箱は市場で出会える可能性がありますが、捜査や放送現場の箱は、流通量が少ないうえに外に出にくい。しかも用途がはっきりしていて、文字や扱い方にも独特の緊張感があります。だから手に入るかどうかよりも、「そんな箱がこの世に存在する」という想像自体が、収集家の心をくすぐるのです。

この話が多くの人に刺さるのは、私たちも実は日常の中で似た感覚を持っているからです。たとえば学校の備品箱、昔の商店の紙袋、引っ越し業者のロゴ入り資材などを見ると、その場の空気まで思い出すことがあります。箱はすぐ捨てられるのに、意外と記憶を運んでいる。島津さんが幻の段ボールに惹かれるのは、珍品集めというより、現場の気配が残るものを求めているからだと考えるとよくわかります。

結局のところ、段ボール収集がここまで注目されるのは、誰もが見ているのに、ほとんど誰も見ていなかったものに光を当てているからです。段ボールは、運び終えたら役目を終える脇役です。けれど見方を変えると、国の違いも、商売の工夫も、暮らしの癖も、資源の循環も全部のせている主役になります。島津冬樹さんの旅は、そのことをとてもわかりやすく教えてくれます。段ボールを見る目が変わること自体が、このテーマのいちばん大きな価値なのだと思います。


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