京料理人・高橋拓児が提案!定番「肉じゃが」「きんぴら」を“ほうじ茶”とアイデアで再構築
2025年5月28日(水)放送のNHK Eテレ『きょうの料理』(21:00〜21:25)は、「京料理人の次代を担う新和食」シリーズの5月編。京都の名店「木乃婦(きのぶ)」の三代目主人である高橋拓児さんが登場し、和食の定番料理を“いまの時代に合った新しいかたち”へとアレンジして紹介します。今回のテーマは「肉じゃが」と「きんぴらごぼう」。昔から親しまれてきた料理を、味の基本を大切にしながらも、現代的な感性を加えたアレンジで再提案します。特に注目なのが、肉じゃがに「ほうじ茶」を取り入れるという大胆な発想です。
肉じゃが ベーシック|高橋拓児さんが伝える“和食の基本”とコツ
和食の代表とも言える肉じゃがを、プロの視点でよりおいしく仕上げるためのコツがたっぷり詰まった内容です。牛肉の香ばしさ、煮込みのだしの量、そして仕上げのじゃがいもの扱い方など、“ちょっとした工夫”が味の差を生むことを実感できるレシピです。
とくに注目すべきは、牛肉に焼き色をつけて香ばしさを引き出す工程と、煮るときのだしを控えめにすることで、肉の食感を柔らかく保つ工夫。さらに最後にじゃがいもを少し煮くずすことで、具材と煮汁が一体化し、まろやかなソースのようなとろみが生まれるという、プロならではの仕上げが光ります。
肉じゃが ベーシックの材料(2~3人分)
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牛薄切り肉…200g
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じゃがいも(男爵/大)…2個(約460g)
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たまねぎ…1個(約200g)
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だし…カップ2
A
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しょうゆ…大さじ3
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みりん…大さじ3
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酒…大さじ3
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砂糖…大さじ1/2
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サラダ油…大さじ2/3
肉じゃが ベーシックの作り方・レシピ
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じゃがいもは皮をむいて大きめの乱切りにし、水にさらしてアクを取る
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耐熱皿に並べ、水大さじ2をふりかけてラップをかける
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竹串で数か所刺し、電子レンジ(600W)で約5分加熱。竹串がスッと通るまで様子を見ながら調整する
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たまねぎは大きめのくし形に切る
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牛肉は食べやすい長さに切っておく
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鍋にサラダ油を入れて、弱めの中火で全体に油をなじませる
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牛肉を加え、中火にして表面に焼き色がつくまで炒めることで香ばしさをプラス
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たまねぎとじゃがいもを加え、だしを注ぎ入れる
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調味料A(しょうゆ・みりん・酒・砂糖)を加える
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落としぶたをして、汁気がある程度減るまでじっくりと煮る
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最後に軽く全体を混ぜ、じゃがいもの角をややくずしてとろみを出す
ポイント①:牛肉は最初にしっかり焼き色をつけることで、香りと深みが加わり、煮込み後も肉の存在感が際立ちます。
ポイント②:だしの量は控えめにし、煮込みすぎず肉をやわらかく保つ工夫が重要です。
ポイント③:仕上げにじゃがいもをくずすことで、煮汁と混ざり合い、料理全体がまろやかな味わいにまとまります。
見た目はごく普通の肉じゃがですが、一手間加えるだけで、ぐっと奥深い味わいになるのが今回のレシピの魅力です。特別な材料を使わず、手順もシンプルなのに、どこか“品のある”和の一皿に仕上がるのは、京料理人ならではのアプローチと言えるでしょう。
このレシピは、普段の家庭料理にしっかりとした基本を取り入れたい方や、初めて肉じゃがを作る人にとっても、失敗しにくく、満足度の高い一品となります。定番だからこそ丁寧に。そんな気持ちで作りたくなる、ベーシック肉じゃがです。
肉じゃが アレンジ|高橋拓児さんが紹介する“ほうじ茶香る新定番”
煮込みの出汁をほうじ茶で取るという大胆な発想ながら、仕上がりはとても上品で優しい味わい。家庭でも手軽にできる工程が丁寧に解説されており、再現しやすいのも特徴です。じゃがいもやたまねぎの甘さと、ほうじ茶の香ばしさがバランスよく調和する、まさに“新しい和食のかたち”です。
肉じゃが アレンジの材料(2~3人分)
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牛薄切り肉…200g
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じゃがいも(男爵/大)…2個(約460g)
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たまねぎ…1個(約200g)
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ほうじ茶の茶葉(またはティーバッグ)…15g
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水…カップ4
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サラダ油…大さじ2/3
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砂糖…2〜3つまみ
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しょうゆ…大さじ3
肉じゃが アレンジの作り方・レシピ
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鍋に水カップ4を入れて中火にかける
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お茶用パックにほうじ茶の茶葉を入れる
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沸騰した湯にパックを入れ、弱火で5分間しっかり煮出す
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煮出した後は、パックを取り除いて香り高いほうじ茶だしを完成させる
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じゃがいもは皮をむいて大きめの乱切りに
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水にサッとさらしてアクを軽く抜く
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耐熱皿に並べ、水大さじ2をふってラップをする
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竹串で数か所穴を開け、電子レンジ(600W)で約5分加熱
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竹串がスッと入る程度まで、様子を見ながら加熱調整
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たまねぎは大きめのくし形にカット
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牛肉は食べやすい大きさに切りそろえる
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鍋にサラダ油を入れて、弱めの中火で熱し、全体に油をなじませる
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牛肉を加え、砂糖を2〜3つまみふって炒めることで香ばしさを引き出す
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肉の表面に焼き色がついてきたら、たまねぎとじゃがいもを加える
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そこにほうじ茶だしとしょうゆを加える
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落としぶたをして15〜20分間じっくり煮込む
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煮込みの途中で上下を軽く返すと味が均一に染み込む
このレシピの最大の特長は、ほうじ茶が持つ独特の香ばしさとまろやかさが全体を包み込み、しょうゆの味を引き立てることです。牛肉のうまみと野菜の甘みが優しく混ざり合い、重たくなりすぎず、後味もすっきりとした仕上がりになります。見た目にも上品で、京料理らしい控えめな美しさと奥深さを感じさせる一品です。
忙しい日にも手軽に作れる工程ながら、普段の肉じゃがに変化をつけたい時や、おもてなし料理としてもぴったりです。また、使用する食材も手に入りやすく、難しい技法は一切ありません。定番を見直し、ちょっとした工夫で味わいがぐんと広がる、まさに「新しい和食」を体験できるレシピです。
きんぴらごぼう ベーシック|炒めてから煮る“京流の深い味わい”
家庭でもおなじみの副菜「きんぴらごぼう」ですが、炒めてから煮るというひと手間が加わることで、だしが素材の芯まで染みわたり、より一層深い味わいに仕上がるのが特徴です。
番組内では、高橋さんが京料理の基本である“だしの使い方”と“味の重なり”を丁寧に伝えており、まず調味料の味が舌にのり、噛むごとにだしの旨みが口いっぱいに広がる構成を目指す調理法が紹介されました。一見シンプルな家庭料理の中にも、職人の技と考えが詰まった一皿です。
きんぴらごぼう ベーシックの材料(2人分)
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ごぼう…100g
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にんじん…40g
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生しいたけ…3枚
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だし…カップ1/2
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サラダ油…大さじ2/3
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酒…大さじ2
A
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しょうゆ…大さじ1
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みりん…大さじ1
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砂糖…小さじ1
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白ごま…適量
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七味とうがらし…適量
きんぴらごぼう ベーシックの作り方・レシピ
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ごぼうはたわしで皮をこすり落とし、5cmの長さに切ってから3〜5㎜の薄切り→細切りにし、水にさらす
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にんじんも同様に5cmの長さに切ってから、薄切り→細切りに
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しいたけは軸を取って、3〜5㎜の薄切りにする
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フライパンにサラダ油を熱し、水けを切ったごぼう、にんじん、しいたけを入れる
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強めの中火で炒め、しんなりしてくるまでしっかり火を通す
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酒を加えて香りを引き立てる
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続けてだしを加え、具材がやわらかくなるまで煮る
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汁気が減ってきたら、調味料A(しょうゆ・みりん・砂糖)を加える
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フライパンを軽くあおりながら炒め、全体に調味料を均一に絡める
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汁気が再び減ってきたところで白ごまを加える
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ごまの香りが立つまで炒めて完成
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盛りつけ後、お好みで七味とうがらしをふる
このレシピでは、炒めてから煮ることで具材の内部にしっかりとだしが染み込み、奥行きのある味に仕上がるのが最大の特徴です。また、調味料を最後に加えることで、表面に香りと甘辛さをまとわせるという技法も印象的です。
仕上げの白ごまの香ばしさと、七味のピリッとした刺激が、全体の味をぐっと引き締めてくれます。素材の切り方にも気を配り、食感に変化を持たせることで、箸が止まらなくなる副菜になります。
短時間で作れるシンプルなおかずながら、だしの力と調味の順序が味に与える影響を感じられるレシピです。日々の常備菜やお弁当のおかずとしてもおすすめで、いつものきんぴらを、ワンランク上の味わいに変えてくれる一品です。
きんぴらごぼう アレンジ|ごぼうは香ばしく、具材はとろとろ餡仕立ての新提案
伝統的なきんぴらとは一線を画す、ごぼうとほかの具材を別調理する構成で、味の層がより立体的に感じられる“進化系きんぴら”です。
ポイントは、ごぼうだけに「きんぴら風の味つけ」をしっかりと行い、にんじん・しいたけ・鶏ひき肉は別に煮てあんかけ風に仕上げるという構成。こうすることで、食材ごとの香りや食感、味の変化が引き立ち、それぞれの個性が際立つ一皿になります。
高橋さんのレシピでは、「和える」「煮る」「とろみをつける」といった技法を一品の中で丁寧に組み合わせており、プロの発想と家庭でも再現できる工夫が見事に融合しています。
きんぴらごぼう アレンジの材料(2人分)
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ごぼう…100g
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にんじん…30g
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生しいたけ…6枚
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鶏ひき肉…80g
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だし…カップ1
酢水用
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水…500ml
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酢…大さじ1/2
A(きんぴら用調味料)
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だし…カップ1/2
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酒…大さじ2
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しょうゆ…大さじ1
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みりん…大さじ1
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砂糖…大さじ1/2
水溶きかたくり粉
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かたくり粉…大さじ1
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水…大さじ2
仕上げ用
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酒…大さじ2
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薄口しょうゆ…小さじ1
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塩…少々
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サラダ油…適量
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白ごま・七味とうがらし…適量
きんぴらごぼう アレンジの作り方・レシピ
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ごぼうはたわしでよく洗い、5mm厚さの斜め切りに
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鍋に酢水(水500ml+酢大さじ1/2)を沸かし、ごぼうを柔らかくなるまで下ゆで
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ゆでた後は水にさらして冷まし、水けをしっかりと切る
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にんじんは5cm長さ→5mm厚さの薄切り→細切りに
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しいたけは軸を除き、かさだけを使用
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鶏ひき肉には塩少々をふって軽く混ぜておく
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フライパンにサラダ油大さじ2/3を熱し、ごぼうを中火で炒める
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香ばしい焼き色がついたら、調味料Aを加えて煮込む
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汁気がなくなったら火を強め、さらに炒めて香りを引き出す
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完成したごぼうはボウルに取り出しておく
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フライパンをきれいにして、サラダ油大さじ1を入れる
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しいたけのかさを下にして並べ、中火で木ベラで押しながら両面を焼く
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端に寄せ、空いたスペースでひき肉を菜箸でほぐしながら炒める
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肉の色が変わってきたら、酒を加えて煮汁をとばす
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にんじん、だし、薄口しょうゆ、塩少々を加えてひと煮立ち
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アクを取り、水溶きかたくり粉でとろみをつける
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仕上げに、とろみ餡に香ばしいごぼうを加えて軽く混ぜる
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器に盛り、七味とうがらしをふって完成
このレシピの魅力は、ごぼう本来の香ばしさと、しいたけ・ひき肉・にんじんの優しい旨みを別々に際立たせながら、最終的には一体化させる構成にあります。あんかけ仕立てにすることで、上品でやさしい口当たりが生まれ、家庭のおかずでありながら料亭のような満足感を味わえます。
また、通常のきんぴらとは異なり、あえて“混ぜずに仕上げる工程”をはさむことで、ごぼうの香ばしさを壊さずに保つのもプロならではの工夫。だしの使い方、火加減、煮詰め方すべてに無駄がなく、ひとつひとつの工程に意味がある構成です。
お弁当のおかずにも、おもてなしの一皿にもなる、和のテクニックが詰まったアレンジきんぴら。日常の中に、ちょっとした“特別感”を加えたい時にぴったりのレシピです。
高橋拓児さんの“今に生きる京料理”の真髄
番組に出演する高橋拓児さんは、伝統を受け継ぎながらも、時代に合わせた料理を生み出し続ける職人です。京都の老舗料亭「木乃婦」の三代目であり、食材の本質に寄り添いながら、その味を最大限に引き出すことにこだわっています。
・和食の基本に忠実でありながら、柔軟な発想を大切に
・家庭でも真似できるよう、丁寧に調理工程を解説
・伝統的な素材に、現代の知恵を加えて魅力を倍増
今回の肉じゃがやきんぴらは、そんな高橋さんの料理哲学を体現するレシピになることでしょう。
今後の放送にも注目!和食の魅力を再発見
『きょうの料理』では毎月、旬のテーマに沿って、魅力的な料理人が登場します。2025年5月の放送では、「定番料理の見直し」を軸に、現代に合わせた和食の姿を提案しています。
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忙しい現代人でも実践できる手順
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昔ながらの料理に“新しさ”を加えたバランス感覚
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健康的で、毎日食べても飽きないレシピ構成
料理を見直すことは、暮らしを見直すことでもあります。高橋さんの料理は、そのことをやさしく教えてくれる存在です。
おわりに
2025年5月28日(水)の『きょうの料理』は、和食の伝統と革新が交差する貴重な回です。肉じゃがときんぴらという定番料理が、ほうじ茶や創意工夫によって、新しい魅力をまとって登場します。家庭料理にひと手間加えてみたい方、毎日の食事に新しい発見を求める方に、ぜひ見ていただきたい内容です。
放送後、詳しい内容が分かり次第、最新の情報を更新します。
放送の内容と異なる場合があります。
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