【おとな時間研究所】今に生かす古き良き家具
2025年7月18日(金)放送予定の「おとな時間研究所」(NHK Eテレ)は、江戸時代のたんすや格子戸など、古い家具や建具を現代の暮らしにどう生かすかに注目した回です。見た目の美しさと機能性をあわせ持つ古家具が、今なぜ多くの人に選ばれているのか。番組では博物館の展示、職人の技、販売店のアイデア、そして実際の暮らし方まで、幅広く紹介されます。
江戸時代のたんすに宿る美と工夫
江戸時代に作られたたんすは、ただの収納道具ではなく、美しさと使いやすさを兼ね備えた特別な家具でした。素材には、けやきや杉、桐などの質の高い木材が選ばれ、湿気に強く、年月が経つにつれて木肌の色や手ざわりが深まっていくのが特徴です。木目の美しさを活かした作りは、置いてあるだけでその場の雰囲気をやわらかくしてくれます。
細やかなつくりと実用性
たんすの引き出しの内部には、小さな仕切りがあらかじめ作られているものもあり、布や道具を整えて収納できるよう工夫されていました。外側には、家紋や鶴・松・宝づくしなどの縁起の良い模様が刻まれた金具が取り付けられており、装飾性も高く、持ち主の家柄や暮らしの豊かさをさりげなく表していました。
災害に備えた構造と工夫
江戸の町では火事がたびたび起きていたため、持ち運びを考えたたんすも登場しました。「船箪笥(ふなたんす)」は分解できるようになっており、小舟に積んで逃げられるほどの設計がされています。この船箪笥には頑丈な金属のカンヌキや鍵、持ち手も付いていて、盗難防止にも配慮された構造が目を引きます。耐久性も高く、旅や商売の場面でも愛用されていました。
職人の心がこもった一点もの
これらのたんすは、すべて職人の手仕事で作られており、一つひとつが丁寧に仕上げられていたのも大きな特徴です。木のくせや乾き具合、湿度への対応などを考えながら、道具や技術を駆使して形にしていく過程は、まさに「暮らしに寄り添う道具づくり」そのものです。たんすの背板や引き出しの底など、見えにくい部分にも細かな工夫がされており、壊れにくく、使いやすくなるよう配慮されています。
こうした家具は、見た目の美しさだけでなく、使い続ける中で価値が高まる設計になっているため、今でも多くの人に親しまれています。当時の人々の暮らしの知恵や工夫、そして「ものを大切にする心」が今に伝わっているのです。番組では、そうした江戸時代の家具が持つ魅力とともに、今の暮らしにどう生かせるかという視点で紹介される予定です。
現代の暮らしに合わせた再活用アイデア
たんすや格子戸、欄間といった古い家具や建具は、そのまま使うだけでなく、現代の暮らしに合った形にリメイクして取り入れることができます。ちょっとした発想の転換で、古家具はおしゃれで便利なアイテムに生まれ変わります。
和だんすの新しい役割
和だんすはもともと衣類を収納するための家具ですが、高さや幅を生かしてテレビボードやリビング収納に使うアイデアが広がっています。浅めの引き出しにはリモコンや文具類を、深い引き出しには書類や雑誌を収納するなど、使い方も工夫されています。金具や木目の美しさがそのままインテリアのアクセントになり、和モダンな空間をつくり出してくれます。
格子戸や欄間の空間づくり
格子戸は目隠しをしながら風や光を通す特性を生かして、部屋の仕切りや玄関との境界に利用されることが増えています。立てかけるだけでも雰囲気が出て、壁に掛けて飾ることも可能です。欄間は、照明のカバーとして加工すれば、光の影が美しく映るアートのような存在になります。壁に飾るだけでも和の雰囲気を感じられ、空間の印象ががらりと変わります。
小さなリメイクで使い道を広げる
古家具専門店では、こうした使い方を提案するリメイク済みの家具やパーツ販売が増えています。たとえば、引き出しの部分だけを取り出して小物入れとして棚に置いたり、脚を外して上にガラス板をのせてディスプレイ棚に再利用するといった工夫が人気です。木の質感や金具のデザインがひとつひとつ異なるため、世界にひとつだけの家具として楽しめるのも魅力です。
古い家具をリメイクして使うことは、ものを大切にする気持ちや、長く使い続ける工夫を日常に取り入れることにもつながります。番組では、こうしたアイデアや実際の使い方が紹介される予定です。身近な家具の見方が変わる、そんなきっかけになる内容になりそうです。
職人の技でよみがえる家具たち
古い家具は、長い年月を経て傷んでいたり、今の暮らしに合わないサイズや形になっていることがありますが、職人の手によって見事によみがえります。ただ壊れた部分を直すだけではなく、素材の良さを残しつつ、現代の生活に合うように整えていくのが特徴です。
状態の見極めと丁寧な補修
修理を始める前には、まず木の状態や構造のゆがみを細かくチェックします。ぐらつきのある脚は補強し、ゆるんだ接合部はしっかり固定します。表面の塗装がはがれていた場合は、木目を生かしながら再塗装を行い、見た目と保護の両方を回復させます。引き出しがスムーズに開かない場合は、レール部分の調整や内部の削り直しを施して、日常使いでも快適に使えるようにします。
張り替えで見た目も中身も一新
ソファや椅子など、張り地のある家具の場合は、まず古くなった布や中のクッション材をすべて取り除くことから始まります。そのうえで、ウレタンやバネなどの中材も新しく整えたあと、選んだ布で丁寧に張り替える作業を行います。この工程では、見た目の美しさだけでなく、座り心地や耐久性も大切にされます。
また、張り替え後も元の風合いを残すために、飾り鋲やフチの処理に伝統的な技術を用いるなど、細部まで妥協しない工夫が詰まっています。単に新しくするのではなく、古さと味わいを大切にしながら現代に合う形に仕立て直すのが、熟練した職人ならではの仕事です。
番組では、こうした工程で使われる道具の紹介や作業風景、職人たちの技や想いにも迫る予定です。ひとつの家具を修理するために必要な時間や手間、そして細やかな気配りを知ることで、古家具の価値がより深く伝わる内容になりそうです。見た目が美しくなるだけでなく、新しい命を吹き込まれた家具が再び暮らしの中で活躍する姿に、多くの人が心を動かされることでしょう。
今に取り入れるヒント満載の暮らしぶり
番組では、古い家具や建具を現代のインテリアに上手に取り入れている実例がいくつも紹介される予定です。江戸時代の和だんすや格子戸、欄間といった伝統的な道具が、少しの工夫でおしゃれに生まれ変わり、今の生活空間にも自然になじんでいます。
和家具の役割を変えて楽しむ
たとえば、和だんすをテレビ台として使っている家庭では、引き出しにDVDやゲーム機を収納し、上にはテレビを置いています。昔ながらの金具や木の色が、部屋のアクセントになっており、インテリアとしても存在感があります。また、玄関に置かれた小ぶりな和だんすが、鍵やマスクなど外出時の小物置き場になっている例もあります。
格子戸は、リビングと寝室の仕切りや、ちょっとした目隠しスペースに活用されており、壁に立てかけているだけでも和の趣を演出してくれます。欄間は、天井に近い部分に間接照明と組み合わせて設置され、木の透かし模様が光を通すことで、陰影のある美しい演出をつくり出しています。
Japandiスタイルで和と北欧の融合
さらに注目なのが、Japandi(ジャパンディ)スタイルと呼ばれる新しいインテリアの流れです。これは、日本の静けさや自然素材を大切にする考え方と、北欧デザインのシンプルさや機能性を合わせたスタイルで、近年とても人気があります。たとえば、無垢材のローテーブルに、江戸時代のたんすを並べて設置することで、落ち着きと個性が調和した空間が生まれます。
Japandiの空間では、使う家具の数は少なくても、木や布のぬくもり、古い道具がもつ歴史の重みが部屋全体に奥行きを与えます。あえて新品ではない家具を取り入れることで、暮らしに深みと温かさが生まれているのが特徴です。
番組では、こうした空間を実際に楽しんでいる方の自宅や工夫の数々が紹介される予定です。「新しいものに囲まれた生活」ではなく、「長く使えるものとともにある生活」へのヒントが詰まった内容になりそうです。古いものを今に生かすことで、暮らしにゆとりと彩りを添えるアイデアがたくさん紹介されることでしょう。
【ソース一覧】
・NHK 番組表「おとな時間研究所」:
https://www.nhk.jp/p/ts/X97Y65G3J3/episode/te/
・note「家具の再活用事例」:
https://note.com/miura_home/n/n8ac30ceb54f9
・ELEMINIST「KibiCraft職人の仕事」:
https://eleminist.com/article/910
・Daniel 公式ブログ(修理のこだわり):
https://www.daniel.co.jp/blog/2023/07/01/327
・Wikipedia Japandi:
https://en.wikipedia.org/wiki/Japandi
・The Times「Japandi Interior Style」:
https://www.thetimes.co.uk/article/japandi-style-home-interiors-summer-p0c7h627c
・BHG.com「Japanese Living Room Design」:
https://www.bhg.com/japanese-living-room-design-8737298
家具別・再活用アイデアの早見表

ここからは、私からの提案です。古い家具や建具を今の暮らしに取り入れるには、それぞれの特徴を活かした使い方が大切です。和だんす・格子戸・欄間は、形も素材も異なるため、活用方法もさまざまです。ここでは、それぞれの家具が持つ魅力や、現代での具体的な使い方を整理しました。
再活用の具体例と工夫ポイント
家具・建具 | 活用アイデア | 工夫ポイントと具体的な使い方 |
---|---|---|
和だんす | テレビボード/リビング収納/玄関用小物入れ/花台 | 引き出しのサイズや配置を活かして、リモコンや文房具などを収納。高さの低いタイプならテレビ台としてぴったり。玄関では、鍵やマスクなどの置き場に使われる例もあります。上に花や置物を飾って和の演出を加えることもできます。 |
格子戸 | 部屋の仕切り/壁の装飾/窓の目隠し/ドア代わり | 部屋の間仕切りとして立てかけたり、壁に取り付けてアクセントに。視線は遮りながらも光や風を通すので、圧迫感がなく開放的。カーテン代わりに使う人も増えており、和の雰囲気を手軽に加えることができます。 |
欄間 | 照明カバー/壁面アート/間接照明の演出用パネル | 彫り細工が美しい欄間は、光を通すことで影が壁に映りこみ、幻想的な空間を作ります。照明器具と組み合わせて取り付けることで、光と影の演出が際立ち、空間に深みが生まれます。壁飾りとしてそのまま掛けても存在感があります。 |
これらの活用法は、ただの装飾ではなく、機能性と美しさの両立を目指した実用的なアイデアです。古い家具を現代の生活に合わせて使うことで、新しい価値が生まれ、暮らしがより豊かになります。番組では、実際にこうした家具を使っている人の暮らしや空間づくりの様子も紹介される予定です。自宅のインテリアに取り入れやすいヒントが見つかる内容になりそうです。
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