十勝・カマンベールチーズ工場を探検!白カビが生み出すうまみの秘密
2025年8月23日放送のNHK総合「探検ファクトリー」では、北海道・十勝のチーズ工場が紹介されました。番組のテーマは、私たちの食卓を彩る人気食品「カマンベールチーズ」。特にチーズ独特のうまみや風味を生み出す白カビの役割や、チーズの製造工程、そして研究施設での最先端の取り組みに迫りました。この記事では、チーズ作りの面白さと奥深さを詳しく紹介します。
「どうして十勝でチーズが盛んなの?」「カマンベールチーズってどうやって作られるの?」「チーズ研究って何をしているの?」といった疑問を持つ方に、この記事を読めば答えが見つかります。さらに家庭で楽しめる簡単チーズ料理のレシピも紹介します。
十勝がチーズの名産地である理由
北海道の十勝地方は、チーズづくりにぴったりの環境が整っています。最大の理由は、新鮮で豊富な生乳が手に入ることです。十勝には大きな牧場がたくさんあり、ホルスタイン種の牛が飼育されています。この牛から毎日集められる大量の生乳が、チーズ工場に運ばれてきます。
さらに注目すべきは気候です。十勝の冷涼で乾燥した環境は、ヨーロッパの伝統的なチーズ産地であるフランスやイギリスに似ています。こうした条件が重なり、十勝は「日本のチーズ王国」と呼ばれるようになったのです。
番組では「名前に地名がついていないチーズはどれ?」というクイズが登場しました。答えは「モッツァレラチーズ」。カマンベールはフランスのカマンベール村、チェダーはイギリスのチェダー村に由来しています。地名とチーズが深く結びついていることも、チーズの面白さのひとつです。
カマンベールチーズができるまで
工場の中には、1000トンもの生乳を貯めておく巨大なタンクがあります。ここに集まる生乳は、十勝の牧場を中心に北海道全域から集められたものです。
しかし、生乳はそのままではチーズになりません。季節や地域によって、タンパク質や乳脂肪分の割合が微妙に違うため、それを調整する「標準化」という工程を行います。これにより、カマンベールチーズに最適な状態の生乳が作られます。
その後、いよいよチーズ作りのスタートです。生乳に乳酸菌、レンネット、そして液体状の白カビを加えます。白カビは、日本人の味覚に合うように選ばれたものを専門業者から仕入れています。
加えると生乳は固まり、まるで豆腐のような状態に変わります。これを小さくカットしてかき混ぜることで水分を抜き、カードと呼ばれるチーズのもとを作ります。カードは型に入れて形を整え、食塩水に浸して塩味と保存性を加えるのが次のステップです。最後に熟成庫へ移し、数週間〜数か月かけて白カビと乳酸菌の力で熟成。あのやわらかく濃厚な味わいのカマンベールが完成します。
白カビの役割と日本人の味覚
白カビは、カマンベールチーズに欠かせない存在です。外側に白く生えるこのカビは、見た目だけでなくチーズ全体の風味を作り出す大切な役割を持っています。熟成が進むと、白カビは外から中へとじわじわ広がり、たんぱく質を分解してまろやかなうまみを作ります。
日本の工場で使われる白カビは、日本人に好まれる風味に合わせて調整されたものです。クセが強すぎず、口当たりのやさしいカマンベールができるのは、この工夫のおかげといえるでしょう。
十勝チーズ研究センターの最先端研究
番組では、チーズを科学的に研究する専門施設「十勝チーズ研究センター」も紹介されました。ここではチーズの発酵や熟成を徹底的に分析し、新しい製品開発や技術改良を進めています。
3人の出演者は、熟成前のチーズ、熟成後のチーズ、そして実際に店頭に並ぶ製品を食べ比べ、その違いを体感しました。熟成前は淡白で、熟成後は香りとコクが増し、完成品はよりバランスのとれた味になっているのがわかりました。
さらに研究センターでは、新しい乳酸菌の発見が報告されました。これを使うことで、なんとパルメザンチーズの熟成期間を従来の2年から約6か月に短縮できるのです。長い熟成が必要とされるチーズを、短い期間でおいしく仕上げられる技術は世界的に注目されています。
簡単に楽しめるチーズ料理
番組の最後には、チーズ工場のプロがオススメする家庭で作れる簡単レシピが紹介されました。
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カマンベールとスイートコーンの炊き込みごはん
炊飯器で炊いたごはんにカマンベールチーズとスイートコーンを加えるだけ。濃厚なコクとコーンの甘みが調和し、子どもから大人まで楽しめます。 -
スイートホットカマンベール
とろけるカマンベールに少し辛みのあるソースを合わせるアレンジ。甘さと辛さのバランスが絶妙で、おつまみやパーティーメニューにぴったりです。
このようにチーズはそのまま食べるだけでなく、料理に取り入れることで幅広い楽しみ方ができます。
まとめ
今回の「探検ファクトリー」では、十勝がチーズの一大産地である理由、カマンベールチーズの製造工程、そして研究センターでの最先端の取り組みが詳しく紹介されました。新鮮な生乳と自然環境、そして技術革新が合わさり、日本人の味覚に合ったおいしいチーズが日々生まれています。
さらに家庭でも簡単に楽しめる料理が紹介されたことで、チーズをより身近に感じられる内容でした。スーパーで「十勝産」のチーズを見かけたら、その背景にある自然と技術、研究者たちの努力を思い出しながら味わってみると、より一層おいしく感じられるはずです。
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