寒い夜にぴったり!『豚バラ大根の常夜鍋風』
肌寒くなる季節、ふっと「温かい煮物が食べたいな」と思う瞬間ってありますよね。でも、出汁を取るのが面倒…材料をそろえるのも大変…そんな時にうれしいのが、ピカ子さんが【あさイチ】のみんな!ゴハンだよで紹介した『豚バラ大根の酒煮』です。
このレシピ、驚くほどシンプル。使う調味料は「うす口しょうゆ」と「みりん」だけ。出汁もいりません。主役はなんと「酒」。酒がもつうまみと香りを最大限に生かした、まさに“大人のための簡単煮物”です。
香ばしい豚バラのコクと、じゅわっと味のしみた大根の甘み。湯気と一緒に立ちのぼる香りを感じた瞬間、台所がまるで料亭のように変わる――そんな一皿です。
常夜鍋から生まれた“酒香る煮物”
もともと『豚バラ大根の酒煮』は、常夜鍋(じょうやなべ)と呼ばれる料理をアレンジしたものです。常夜鍋とは、ほぼ毎晩食べても飽きないほどあっさりしていて、しかも栄養満点の鍋。そこからヒントを得たピカ子さんは、具材を絞り込み、鍋ではなく煮物仕立てにしました。
出汁の代わりに使うのは、たっぷりの「酒」。火にかけてアルコールを飛ばすことで、まろやかな甘みと香りが立ち、豚肉や大根に深くしみ込んでいきます。酒の分子が肉をやわらかくするため、長時間煮込まなくても驚くほどしっとり。
さらに仕上げにふる「黒こしょう」が全体の味を引き締め、ただの煮物を“香りのごちそう”へと変えてくれます。
材料(2〜3人分)
| 材料 | 分量 | ポイント |
|---|---|---|
| 豚バラ肉(薄切り) | 200g(3〜4cm幅に切る) | コクと旨みの要。薄切りで火通りが早い。 |
| 小松菜 | 4〜5株 | 彩りとシャキッとした食感をプラス。 |
| 大根 | 6cm | 皮ごと使うのがポイント。うまみを逃がさない。 |
| 酒 | 360ml(辛口がおすすめ) | 出汁代わりに使う。風味の決め手。 |
| 黒こしょう(粒) | 適量 | 粗く砕くと香りが引き立つ。 |
| うす口しょうゆ | 30ml | 仕上げの塩味を整える。 |
| みりん | 30ml | ほんのりとした甘みと照りを出す。 |
| 水 | 30ml | 全体の味をまとめる役割。 |
※お好みで溶き卵(2コ分/分量外)を加えると、まろやかでご飯が進む味に。
作り方
① 小松菜は根元を切り落とし、6cm長さに切って「葉」と「軸」に分けておきます。軸の方が火が通りにくいので、後でタイミングをずらして入れるのがポイントです。
② 大根は皮をむかずに1.5cm幅・3mm厚さの短冊切りにします。皮付きにすることで食感が残り、風味もアップ。
③ 鍋に酒360mlを入れて中火にかけ、アルコール分をしっかり飛ばします。ここで焦らず、湯気がやわらかくなるまで待つのがコツ。
④ 火を止めて、A(うす口しょうゆ・みりん・水 各30ml)を加えます。
⑤ 豚バラ肉を入れ、菜箸で軽くほぐしながら火を通します。豚肉から脂が出てきて、スープ全体が乳白色に変われば理想的。
⑥ 大根を加えて2分ほど煮ます。大根が透明がかってきたら次のステップへ。
⑦ 小松菜の軸を加え、ふたをしてひと煮立ち。続けて葉を入れ、火が通るまで軽く煮込みます。
⑧ 器に盛り、粗く砕いた黒こしょうを全体にふりかければ完成です。香りが立ち上がった瞬間、ほっとため息が出るような香ばしさに包まれます。
味の決め手は「酒」と「黒こしょう」
この料理の肝は、何といっても酒の使い方です。一般的な煮物では水や出汁を使いますが、このレシピでは酒を主役にすることで、うまみ成分のグルタミン酸とアミノ酸が具材にしっかり浸透します。
特に豚バラ肉の脂と反応してまろやかなコクが生まれ、大根にはやさしい甘みが引き出されます。
仕上げの黒こしょうは、粒を包丁の背で軽く叩いて砕くのがポイント。粗挽きよりも香りが強く、口に含んだ時にピリッとした刺激が走ります。この“余韻のスパイス”が全体をまとめてくれるのです。
ピカ子さんが伝えたかった「引き算の美学」
ピカ子さんの料理には共通する哲学があります。それは「味を重ねすぎないこと」。素材本来の味を生かし、調味料を最小限にとどめる。
『豚バラ大根の酒煮』もその代表例です。出汁を引かず、酒としょうゆとみりんだけで勝負。だからこそ、素材の持ち味が生きる。
また、大根を皮ごと使うのもピカ子さんらしい工夫です。皮に近い部分にはうまみが多く含まれており、食感も心地よく残ります。こうした小さな“引き算”が、家庭料理を一段上の味へと導いてくれるのです。
卵でとじれば、もう一つの絶品アレンジに
放送では、「ここに溶き卵を加えてとじてもおいしいですよ」とピカ子さんがコメント。
ぐつぐつと煮立ったところに溶き卵を回し入れると、ふんわりとした卵がスープを包み込み、まるで親子丼のようなやさしい味に変化します。
ご飯にかけて丼にするのもおすすめ。黒こしょうの刺激と卵のまろやかさが合わさり、ひと口ごとに違う表情が楽しめます。
食卓がやさしくなる一皿
この『豚バラ大根の酒煮』は、時間のない日でも15分ほどで完成します。
帰宅してからさっと作れるのに、手抜き感はゼロ。豚の香り、酒の風味、大根のやわらかさ――それぞれが調和して、まるで何時間も煮込んだような深みのある味になります。
寒い夜に湯気の立つ鍋を囲む。そんな日常の小さな幸せを思い出させてくれる一品です。
まとめ
この記事のポイントは3つです。
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出汁なしでもうまみ十分! 酒が具材の甘みとコクを引き出す。
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黒こしょうの香りが味を締める。 粗く砕いて香りを立てるのがコツ。
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溶き卵アレンジで変化を楽しむ。 食卓がぐっと豊かに。
忙しい毎日の中で、心まで温めてくれる煮物。それが『豚バラ大根の酒煮』です。
料理は手間をかけることだけがすべてではなく、素材の声を聞くことが大切――そんなメッセージがこの一皿から伝わってきます。
シンプルで奥深い、ピカ子さんの“引き算のごはん”。今日の夕食に、ぜひ作ってみてください。
出典:NHK「あさイチ」みんな!ゴハンだよ
https://www.nhk.jp/p/asaichi/
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