鈴木奈穂子が見た“台湾のいま”と歴史のつながり
台湾の街や人の暮らしには、昔と今、日本と世界がゆるやかに交差する瞬間があります。今回のあさイチでは、鈴木奈穂子アナウンサーが現地を訪れ、知られざる台湾の魅力や歴史、そして家族や文化のつながりを見つめました。この記事では、番組で紹介された全エピソードを通して、台湾という国の深い歩みと、そこに息づく“人のあたたかさ”をお伝えします。
NHK【午後LIVEニュースーン】台湾から中継!台北に誕生「国立鉄道博物館」1935年工場跡地が文化拠点に|2025年9月11日放送
古都・台南で出会った「記憶の町並み」
台湾南部の台南は、古くからの歴史が色濃く残る町。鈴木奈穂子アナは、60年以上続く市場や、かつて日本人の名前がついた百貨店を訪ねました。
その百貨店「林百貨店」は1932年、日本統治時代に誕生した建物で、約10年前にリニューアル。外観も内装も当時の面影を残し、訪れる人々に「時間の層」を感じさせます。カフェで味わった名物『豆花(トウファ)』は、台湾スイーツの定番で、やさしい甘みが旅の疲れを癒しました。
百貨店から少し歩くと現れるのが「赤崁楼(せきかんろう)」。約400年前、オランダ人によって建てられた史跡で、台南市文化局史跡解説員・黄国棟さんは「この400年の間、オランダ、清朝、日本と、さまざまな時代背景が台湾を形づくってきた」と語ります。
また、老舗の下駄店では「祖父が日本の職人から技術を学んだ」と話す店主の姿も。時を超えて受け継がれる職人の技が、今も台南の町に息づいていました。
台北の朝、市場から見える“暮らしのリズム”
番組は台湾の首都・台北からも生中継。活気あふれる屋内市場では、早朝から水餃子や麺線の香りが立ち込め、現地の人たちの一日が始まります。
翻訳家の張克柔さんは「『君たちはどう生きるか』や『翔んで埼玉』の映画字幕を手がけた」と紹介され、日本文化と台湾の架け橋として活躍。台湾では外食文化が根づき、なんと20%以上の人が1日3食外食なのだそうです。
今回紹介されたのは『麺線(ミェンシェン)』。とろみのあるスープに細い麺が入った家庭的な味で、台湾人にとって“朝の定番”でもあります。市場の人々の表情や声から、生活の温度が伝わってくるようでした。
16の先住民族と、パイワン族の誇り
台湾には現在、政府が認定する16の先住民族が暮らしています。その中のひとつ、パイワン族の村・平和村を鈴木アナが訪ねました。
男性は戦の功績を示すタトゥーを、女性は結婚前に刺青を入れるという独特の文化を持ち、服の刺繍には団結や踊りのモチーフが込められています。取材では、伝統料理『ディヌクル』でもてなされました。
案内してくれたラフランス・カラユンヤンさんは「台湾の先住民族は約8000年の歴史があり、その文化を守り伝えてきた」と語ります。過去には土地や言語を奪われた時代もありましたが、1990年代以降、文化保護の動きが高まりました。パイワン語を話せる人を育て、文化を未来へつなぐ努力が続いています。
一青窈が語る台湾の“記憶”と“音”
スタジオゲストには、歌手の一青窈さんとお笑いコンビおぎやはぎ・矢作兼さんが登場。一青さんは父が台湾出身で、5歳まで現地で過ごしていたそうです。
「市場では台湾語、家では日本語、学校では中国語を使っていた」と語り、複数の文化が重なる環境が今の感性を育んだと話しました。矢作さんも「台湾では自分のことを知ってくれている人が多くてうれしい」と笑顔を見せ、台湾の人々の親日ぶりに触れました。
台北の共働き夫婦、家庭と仕事のバランス
台湾では共働き世帯が多く、男性も育児や家事に積極的に関わります。番組では、台北で暮らすご竺娟さんと夫の林寛達さん夫妻に密着。
朝は寛達さんが子どもを学校へ送り、夕方にはごみ出しや夕食づくりも担当。妻の竺娟さんは仕事を終えると、宿題を見たり子どもと会話したりする時間を大切にしています。週末は夫が趣味のテニス、妻がマッサージや旅行を楽しむなど、家庭と個人の時間を両立させる工夫が印象的でした。
張克柔さんによると、台湾ではベビーシッターへの公的補助の所得制限が撤廃され、育児支援が進む一方で、少子化は日本以上に深刻だといいます。こうした政策の背景には、家庭を支える社会全体の意識の変化があるようです。
台湾で人気の味と文化の広がり
番組の終盤では、台湾で今人気のグルメ『スイカウーロン茶』が紹介されました。フルーティーな香りとさっぱりした味わいが話題で、若者を中心にブームになっているそうです。
また、一青窈さんのお気に入りスイーツ『地瓜球(ディーグァチウ)』も登場。もちもちした食感のさつまいも団子で、夜市では行列ができる定番メニューです。
一青さんがオススメするスポットとして挙げたのは、南部のアート特区。歴史の町・台南から新しい文化が生まれる場所として注目されています。
まとめ
今回のあさイチ台湾特集では、歴史・文化・家族・食という多面的な魅力が描かれました。
この記事のポイントは以下の3つです。
・台南では日本統治時代の記憶が今も街並みに息づいている
・16の先住民族が伝統を守りながら未来へとつなげている
・現代の台北では共働き家庭を支える制度や文化が進んでいる
古き良きものを大切にしながらも、新しい生き方を模索する台湾。鈴木奈穂子アナの取材からは、“過去と現在が調和する国”としての台湾の姿が浮かび上がりました。
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