自閉症の若者がつかんだ“言葉の力”が世界を変えた物語
2025年11月28日放送の午後LIVE ニュースーン・午後3時台では、2014年にNHKで放送された『時をかけるテレビ 君が僕の息子について教えてくれたこと』が取り上げられました。
中心となるのは、自閉症のある東田直樹さん。声で会話ができない彼が、文字を通して世界とつながり、家族や社会に大きな“理解の扉”を開いた過程が紹介されました。
番組では、13歳でエッセイを書き上げた直樹さんの背景、海外の読者に届いた理由、そして現在22歳となった彼の活動まで、過去から未来へと流れる時間を立体的に描いています。
自閉症と診断された少年が見つけた“表現できる場所”
東田直樹さんが自閉症と診断されたのは5歳のときでした。
言葉を声に出すことが難しい一方で、文字の学習力は驚くほど高く、漢字の読み書きも早くから習得しました。
番組で紹介された家族の証言によると、直樹さんは幼い頃から「頭の中では考えられるのに、声にできない」もどかしさを抱えていたといいます。
それでも、文字に触れることで世界は少しずつ広がっていきました。
13歳のとき、ついに彼はエッセイ『自閉症の僕が跳びはねる理由』を書き上げます。
自閉症のある少年が、日々の行動の理由や、周囲に誤解されやすい気持ちをまっすぐ言葉にした内容は、多くの読者に新しい視点を与えました。
この本が出版された当時、家族も「直樹の世界が文字でこんなに伝わるとは」と驚いた様子が番組で紹介されました。
世界に広がった一冊の本と、アイルランドの父親の決断
番組の大きな軸となっていたのが、アイルランドの作家デイビッド・ミッチェルさんとの出会いです。
ミッチェルさんには、重度の自閉症のある8歳の息子がいます。
息子さんの行動の一つひとつに理由があると分かっていても、どう理解すればよいのか悩む日々が続いていました。
そんなとき手にしたのが『自閉症の僕が跳びはねる理由』でした。
読み進めるうちに、
「息子の行動は決して“意味不明なもの”ではない」
「息子にも気持ちがあり、想いがある」
と気づけたと番組で語っています。
この経験から、ミッチェルさんは自ら翻訳に名乗り出ます。
翻訳版は世界20か国以上で出版され、同じ悩みを抱える多くの家族の光となりました。
番組では、妻とともに翻訳に向き合った当時の思い、エッセイに出会った衝撃、息子への理解が深まった実感が紹介されました。
東京で実現した“文字でつながる対話”
2014年、東田直樹さんとデイビッド・ミッチェルさんが東京で初めて会いました。
この場面は番組の中でも特に印象的でした。
直樹さんはPCを使い、ゆっくりと、自分の思いを確かめるように文字を打ち込みます。
ミッチェルさんはその言葉を読み、うなずきながら受け止めていました。
声を使わないコミュニケーションでも、二人の間には確かな“対話の空気”が流れていたのが伝わってきました。
翻訳者として、そして自閉症の子どもを持つ父として、ミッチェルさんは直樹さんの存在に深い敬意を抱いている様子でした。
番組では当時の映像が流れ、二人の穏やかな表情や、ゆっくり積み重なる言葉がそのまま映し出されていました。
22歳になった現在の東田さんは、未来へ向けて歩き出している
番組後半では、現在22歳になった東田直樹さんの姿が紹介されました。
声で会話をすることは依然として難しいものの、PCでの入力はよりスムーズになり、自分の意思や考えをはっきり表現できるようになっています。
「書くことで、自分の気持ちを届けたい」
その思いを胸に、作家としての活動を本格的に進めている様子が映し出されました。
自閉症と向き合いながら、“伝える”という行為を自分の手でつかみ続けてきた直樹さん。
13歳で開いた扉は、22歳の現在も確かに続いていることが伝わってきます。
番組では、直樹さんを見守る家族の姿も紹介され、日々の小さな積み重ねの大切さがそっと語られていました。
まとめ
今回の午後LIVE ニュースーンでは、一冊のエッセイが世界を動かした理由が改めて示されました。
・自閉症のある東田直樹さんが見つけた“文字でつながる世界”
・エッセイを通して息子への理解が深まったデイビッド・ミッチェルさん
・2014年の出会いと、2025年の現在へ続く物語
この特集は、言葉が届くことで人と人がつながる力を静かに、しかし強く伝える内容でした。
直樹さんが未来へ紡ぐ言葉が、これからも多くの人の心を照らしていくと感じられる放送回でした。
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