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NHK【新プロジェクトX】ペシャワール会と中村哲の“マルワリード用水路” アフガニスタン干ばつ復興と用水路の仕組みを徹底解説|2025年12月6日★

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「ペシャワール会」中村哲がつないだ“命の水”の挑戦

アフガニスタンの乾いた大地に、もう一度命の色を取り戻した日本人がいます。中村哲
戦乱と干ばつで、作物が育たず、子どもたちが栄養を失い、病に苦しむ人があふれていた地域で、彼は一つの答えにたどりつきました。

「診療所をいくつ建てても、土地が枯れたままでは人は生きられない」
その考えのもと、医師でありながら“用水路をつくる”という大きな挑戦に向かって歩き出します。

この記事では、今回の『新プロジェクトX〜挑戦者たち〜 ペシャワール会』で描かれる物語をもとに、背景と広がった成果をより深く紹介します。
※まだ放送前のため、放送後に内容を反映して書き直します。

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中村哲とはどんな人物か

中村哲は1946年に福岡県で生まれ、九州大学医学部を卒業後、パキスタンの難民キャンプで医療支援に携わりました。現地では、ハンセン病患者の治療や一般的な医療活動を続け、深く信頼される存在となっていきます。

1990年代になると、活動の場をアフガニスタンへ広げました。そこで彼が直面したのは、戦争だけでなく、深刻な干ばつによって畑が割れ、食べ物が育たず、人々が衰弱していく現実でした。
診療所に来る患者の多くは、薬で治す以前に「食べられない」「水がない」ことが原因で体を壊している状況でした。

中村は医師としての経験から、治療を続けながらも、「この土地が変わらなければ、人々はまた病気になってしまう」という思いに強く突き動かされます。
その決断が、後に大きな奇跡を生み出します。

「診療所より一本の用水路」その意味

アフガニスタンでは長年の干ばつで、人々は飲み水もままならず、農作物が育たない状態が続いていました。井戸を掘る活動は続け、結果として1600本もの井戸がつくられましたが、井戸だけでは農村の環境を回復させるには限界がありました。

だからこそ中村は、農地まで水を運ぶ“灌漑用水路”こそ未来を変える道だと確信します。

水が来れば、畑が耕せる。
畑が耕せれば、食べ物が生まれる。
食べ物が生まれれば、病気になりにくい生活が戻る。

このシンプルで確かな循環を取り戻すために、医師でありながら「用水路づくり」に踏み切ったのです。

用水路建設の挑戦と広がった大地の変化

2003年から本格的に始まった用水路建設は、専門技術も重機も限られる環境での作業でした。
それでも、中村とペシャワール会、現地の住民たちは力を合わせ、地形を測り、石を積み、手作業も交えて一歩ずつ進めていきました。

その象徴ともいえるのが、全長約25kmにおよぶ「マルワリード用水路」です。
水が流れた瞬間、長年砂に覆われていた土地に草が生え、やがて畑が広がり、果樹が実り始めます。

用水路によって蘇った農地は、約1万6千ヘクタールにも及ぶとされています。
かつて干上がっていた村が、川の流れる農村へと姿を変え、人々が再び耕し、収穫する日常が戻りました。

この環境の復活によって、報告では65万人以上の命が支えられたとも言われています。
農業が安定し、乳製品や野菜、穀物を得られることで、子どもたちの栄養状態も大きく改善していきました。

さらに、稲作ができるほど水が行き届く場所も生まれ、バナナやザクロ、柑橘などの果樹園が広がる地域も出てきました。
水が戻れば、大地は応えてくれる。その事実が、村全体の希望になっていきます。

ペシャワール会が示した“医療×水×農”の支え

ペシャワール会は、現地事業体のPMS(Peace Japan Medical Services)とともに、医療・灌漑・農村再生を組み合わせた独自の支援を行っています。

病気を治すことだけが医療ではない。
生きるための水を守り、食べられる環境を整え、人々が自分の手で未来をつくる力を育てる。

中村の活動が世界的に高く評価されている理由は、この包括的なアプローチにあります。

奇跡と呼ばれた理由

中村が挑んだのは、医師一人では到底成しえない規模の事業でした。治安が不安定で、道路も整備されていない場所で、川を堰き止め、水を導き、延々と続く水路をつくる。そのすべてが、困難の連続でした。

それでも中村は、現地の人々と肩を並べて作業し、知恵を交わしながら前へ進んでいきました。
水が出た瞬間に歓声が上がり、緑が戻った村を見て涙を流す住民の姿もありました。

砂漠が緑に変わる。
荒れ地が果樹園に変わる。

この劇的な変化こそ、「奇跡」と呼ばれるゆえんです。

引き継がれている中村哲の遺志

中村哲は2019年、現地で襲撃されて命を落としました。
しかし、彼の遺した道は止まっていません。

ペシャワール会とPMSは、現在も用水路事業や農業再生を続けています。
国際機関との連携も進み、今後の水路拡張や農作物の安定生産にも取り組む計画があります。

中村が信じた「水があれば土地は蘇る」という考え方は、今もアフガニスタンで息づいています。

まとめ

中村哲が示した挑戦は、医療の枠を超えて「人が生きるとはどういうことか」を教えてくれます。
水があり、食べられ、家族が暮らせる土地がある。それだけで、人は健康を取り戻し、未来を築けます。

砂漠だった土地に流れ込んだ一本の水路は、人々の生きる力を照らす光でした。
今回の新プロジェクトXでは、その挑戦がどのように描かれるのか、放送後に改めて内容を反映して記事を更新します。

用水路建設で大事な「地形の読み方」を紹介します

しげゆき
しげゆき

ここからは、私からの提案です。用水路づくりに欠かせない地形の見極め方をさらに詳しく伝えます。実際の工事では、目の前の土地をよく観察し、その性質を深く理解することが欠かせません。とくにアフガニスタンのような乾いた土地では、地形の読み違いがそのまま水不足や農作物の不作につながるため、細かい判断がひとつずつ積み重ねられていきます。

勾配(傾斜)の見極め

用水路は、水が自分の力だけで流れるように、ちょうどよい傾きをつけることが大切です。傾きが弱いと水が止まり、強すぎると土が削られて水がこぼれてしまいます。一般的な農地用の水路は「1:500」や「1:300」ほどの、わずかな傾きが目安になります。山が続く場所や、起伏の多い土地では、自然の斜面を慎重に読み取りながら、できるだけ均一な傾きで進められるルートを探していきます。こうした作業は、地図の数字だけではわからない小さな起伏まで読み取る必要があり、土地との対話のような作業になります。

地形の高低差を正しくつかむ

水の流れを安定させるためには、谷や尾根、土の盛り上がりを正しく理解することが欠かせません。地図に描かれた等高線(コンターライン)をたよりに、どこが高く、どこが低いのかを細かくチェックします。とくに急な下り坂が現れる場所では、水が勢いを持ちすぎてしまうため、落差をやわらげるための構造を入れたり、水のスピードを調整する工夫が必要になります。こうした調整があることで、長い距離の水路でも安心して水を運ぶことができます。

地質を理解して、水がもれるのを防ぐ

砂や砂利が多い地域では、地面が水を吸ってしまうため、せっかくの水が途中で減ってしまいます。そこで重要なのが、水路の底や壁に使う防水の工夫です。ライニングと呼ばれる方法で、地面に水がしみこみにくい素材を敷き、水の流れを保つようにします。これは水をただ運ぶだけでなく、農地全体の水の量を安定させるための大切な作業です。また、地盤が弱い場所では、時間がたつと水路が崩れることもあるため、土の強さも慎重に調べます。

水源と取水口の最適な位置を読む

どこから水を取り入れるかは、水路づくりで最も重要な判断のひとつです。川の流れ方、山の形、水が集まりやすい場所など、自然の仕組みを丁寧に読み取りながら取水口の位置を決めます。また、大雨や洪水の時に水路が壊れないように、流れすぎた水を逃がす場所も必要になります。こうした仕組みがしっかりとつくられることで、長い期間にわたって水が安定して届けられるようになります。

地元の人々と自然との調和を考える

水路が完成したあとは、地域の人たちが長く使い続けていくことになります。そのため、地形に無理をさせず、地域の暮らしのリズムに合ったルートを考えることも大切です。季節の雨の変化や、雪解け水が流れ込む時期などを踏まえながら、自然の力に逆らわずに水が流れる道を整えていきます。こうした配慮があることで、地域に根づいた水の仕組みとして、長い年月を支える存在になります。

地形を読むことは、いのちをつなぐ道を描くこと

用水路づくりは、ただ地面を掘るだけの作業ではありません。その土地の姿、水が進む道、土の性質、季節の変化を理解しながら、水がいちばん自然に進むルートを探していきます。こうした丁寧な積み重ねによって、生きものや人々の暮らしを支える“水の道”が生まれます。緑が戻り、作物が育ち、人々の生活が守られるのは、この地形を読み取る技術と、自然と向き合う姿勢があってこそです。


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