『人類究極の欲望 “宇宙移住” 火星に100万人都市!?計画最前線』
このページでは『NHKスペシャル 人類究極の欲望“宇宙移住”火星に100万人都市!?計画最前線(2025年12月14日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
人類は出アフリカによって地球全体へ広がり、人口は80億人を超えました。その延長線上にあるのが「出地球」という発想です。番組は、月や火星への移住計画を最先端の科学、遺伝子研究、人間の心理、そして未来社会の視点から描き、人類はどこへ向かうのかを問いかけました。
地球を離れるという現実 宇宙移住はどこまで来ているのか
現在、人間が活動できる最も遠い場所は地上約400kmの国際宇宙ステーションです。月までは約38万km、火星までは約6000万kmと、距離は一気に広がります。それでも人類は、火星に定住する未来を本気で考え始めています。
かつての『アポロ計画』で人類は月に到達しましたが、アポロ17号以降、月へ行く技術は長く更新されてきませんでした。そこで始まったのが、アメリカ航空宇宙局を中心とする『アルテミス計画』です。日本を含む50か国以上が参加し、2027年には月面で長期間滞在できる基地建設、2040年代には火星への有人飛行を目指しています。早ければ近い将来、4人の宇宙飛行士が月の周囲を飛行して帰還する実験も予定されています。
月と火星に都市を築く挑戦 国家と民間が動き出した
アルテミス計画と並行して、民間宇宙開発も急速に進んでいます。イーロン・マスクが率いるスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズは、巨大宇宙船『スターシップ』を開発し、月や火星への大量輸送を現実のものにしようとしています。
番組では、ロケットのブースターを何度も再利用する構想も紹介されました。回収したブースターを短時間で整備できれば、数時間後に再び打ち上げることも可能になります。これは、宇宙への移動を特別なものから日常に近づける技術です。
地下洞窟ときのこが鍵になる 宇宙で暮らすための最新技術
最新のレーダー観測により、月の地下に大規模な洞窟が存在することが確認されています。地下は放射線や隕石から身を守ることができ、温度も20℃前後と安定しているという研究結果があります。人類は、この洞窟を拠点として月面都市を広げようとしています。
火星では、さらに意外な技術が登場します。NASAエイムズ研究センターのリン教授が研究するのは、火星の砂と結合して成長する特殊な菌糸です。この菌糸は放射線を防ぎ、成長すると砂を固める性質があります。フィルム内で育てることで、椅子やベッド、さらには巨大な居住施設まで作れる可能性が示されました。建物を「運ぶ」のではなく「育てる」という発想が、火星移住を現実に近づけています。
火星で生きる人間の身体と社会 戻れない世界の覚悟
火星や月では重力が地球より小さいため、長期間滞在すると筋力や骨密度が低下し、内臓疾患のリスクも高まります。そのため、宇宙移住には厳しいトレーニングが欠かせません。
月は3日ほどで帰還できますが、火星は2年に1回しか地球へ戻るチャンスがありません。子どもが火星で生まれた場合、大きくなるまで地球に帰れず、「火星が故郷」と感じる世代が生まれる可能性があります。番組で紹介されたドラマ『火星の女王』について、鈴木亮平さんは、火星への故郷意識が芽生える世代の描写が印象的だったと語っていました。ここからが本当の意味での宇宙居住の始まりだと、専門家は指摘します。
新天地へ向かう遺伝子 不安を感じにくい人類の進化
なぜ人間は未知の世界へ向かうのか。その背景として、遺伝子研究も紹介されました。出アフリカ以前に、一部の祖先の『VMAT1遺伝子』が変化し、不安を感じにくいタイプの人が現れたことが分かっています。
出アフリカを経て世界に広がった民族ほど、不安を感じにくいタイプの割合が高い傾向があります。東北大学の河田教授は、こうした人たちがパイオニアになった可能性を指摘しました。一方で、不安を感じやすい人も共に世界へ広がり、未来を想像し危機に備える力が人類を支えてきたとも語られました。
関根教授は、人を桃太郎タイプと浦島太郎タイプに例え、不安を論理で補う人と、不安をあまり感じない人がパートナーを組んできたことが人類の強さだと説明しました。
宇宙移住は地球を捨てることではない 持続可能な未来への問い
宇宙に出る理由の根底には、不安と希望の両方があります。環境問題を解決しながら宇宙開発を進める必要があると、専門家は語ります。
若田光一さんは、宇宙から地球を見ると、地球そのものが宇宙船のように感じられると話しました。国際宇宙会議では『持続可能な宇宙』と『回復する地球』がテーマとなり、地球を守るためにこそ宇宙へ出るという議論も行われています。
ブルーオリジンは、環境を汚染する産業を月や火星へ移す構想を掲げ、賛否を巻き起こしています。一方で、地球の回復力を信じ、地球に住み続ける努力を最優先すべきだという意見も示されました。火星では利他的な考えがなければ生きられず、その価値観こそが、これからの地球社会にも必要になるという指摘が印象的でした。
ヒューマンエイジが問いかけるもの 人類はどこへ向かうのか
人類は困難に直面するたび、新たな技術を生み出して繁栄してきましたが、その一方で滅亡のリスクも抱えてきました。それでも人間は「もっと豊かに」と願い続けてきた存在です。
鈴木亮平さんは、今の常識が100年後には変わっているかもしれないが、変わらないものは何かを考え続けることが大切だと語りました。『出地球』という挑戦は、遠い未来の話ではなく、地球と人類のこれからを映す鏡として、すでに始まっています。
NHK【クローズアップ現代】宇宙ビジネス最前線!日本企業の月面挑戦と勝ち筋は?2025年7月2日放送
過去のSF作品と番組内容の違い 想像の火星から現実の宇宙移住へ

ここでは、過去の代表的なSF作品と今回のNHKスペシャルを比べながら、火星や宇宙移住がどのように描かれてきたのかの違いを紹介します。SFが想像で描いてきた世界と、いま現実に進み始めている計画との差が見えてきます。
2001年宇宙の旅 火星は舞台、人類のテーマは進化
映画『2001年宇宙の旅』は、猿人から未来の人類までをつなぎ、人類の進化や意識の変化そのものを描いた作品です。モノリスや人工知能HAL9000といった象徴的な存在を通して、未知との遭遇や人間とは何かを問いかけます。
宇宙や火星は登場しますが、都市建設や移住計画を具体的に描く内容ではなく、宇宙は人類の存在を考えるための舞台として使われています。
火星年代記 新天地に映し出される人間社会
『火星年代記』は、人類が火星へ移住したあとの出来事を短編で描いた作品です。火星人との関係や移住者の葛藤、地球文明を持ち込むことで起きる衝突など、科学技術よりも人間の心や社会の問題に焦点が当たっています。
火星は希望の星であると同時に、人類がどこへ行っても抱え続ける課題を映す鏡として描かれています。
トータル・リコール すでに植民地化された火星の光と影
映画『トータル・リコール』では、火星はすでに人類が住み、働き、争っている場所として描かれています。酸素や資源を管理する支配者が存在し、一般市民との格差や抑圧が社会問題になっています。
記憶操作や陰謀といった要素が物語の中心ですが、火星は単なる背景ではなく、資源をめぐる支配と自由の象徴的な舞台になっています。ここでは、宇宙移住が必ずしも理想郷ではないことが強調されています。
NHKスペシャル SFではなく現実としての宇宙移住
今回のNHKスペシャルは、SF作品と違い、現実の科学技術と研究成果に基づいて宇宙移住を描いている点が大きな特徴です。月や火星での基地建設計画、地下洞窟の利用、菌糸を使った建築、遺伝子と不安の関係など、すべてが実際に進んでいる研究や構想として紹介されています。
SFが「もしも火星に住んだら」を描いてきたのに対し、この番組は、人類が本当に『出地球』へ踏み出し始めている現状を伝えています。想像の物語ではなく、今この時代に選択を迫られている未来として、宇宙移住が語られている点が大きな違いです。
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