物価高の時代に問われる2026春闘の行方
このページでは「クローズアップ現代(物価高を超える“賃上げ”なるか 2026春闘のゆくえ)(2026年3月17日)」の内容を分かりやすくまとめています。
ここ数年、日本では賃上げが進んでも、それを上回る物価高の影響で生活が楽になったと感じにくい状況が続いてきました。2026年の春闘では、物価上昇に負けない賃上げを実現できるのかが大きな焦点となっています。
企業は人材確保や社員の意欲向上を背景に賃上げに前向きな姿勢を見せていますが、日本経済の好循環につながるのかも注目されています。番組では、企業の分配のあり方や賃金交渉の現場を詳しく取材します。
【クローズアップ現代】家で介護が受けられない!?〜迫る“訪問介護 危機”〜|2025年4月14日放送
2026春闘の焦点 物価高を超える賃上げは実現するのか
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2026年の春闘は、日本の賃金の流れを左右する重要な交渉として注目されています。労働組合の中央組織である連合は、平均で約5.9%の賃上げを求めており、近年では非常に高い水準の要求となっています。実際、2025年春闘では平均5.25%の賃上げが実現し、約30年以上ぶりの高水準となりました。
2026年の賃上げ率も5%前後の高水準が続く可能性が指摘されています。しかし最大の課題は、物価上昇を上回る賃上げができるかどうかです。これまでの賃上げは、いわば物価上昇に対する「追いつき型」が多く、生活が楽になったという実感にはつながりにくいとされてきました。
そのため2026年春闘では、単なる賃上げではなく実質賃金を増やす賃上げができるかが大きな焦点になっています。日本経済が長年続いた低賃金構造から抜け出せるかどうかの分岐点ともいわれています。
賃上げしても生活が楽にならない理由 物価上昇との関係
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「給料は上がったのに生活が苦しい」と感じる理由は、実質賃金という考え方にあります。実質賃金とは、名目の給与額から物価上昇の影響を差し引いた、実際の生活水準を示す指標です。
例えば、給料が3%上がっても、食料品や電気代などの物価が4%上昇すれば、生活に使えるお金の価値は実質的に減ってしまいます。日本では近年、こうした状況が続き、賃上げがあっても生活改善を実感しにくい状態が続いてきました。
最近の統計では、名目賃金は上昇しているものの、長く続いた物価高の影響で実質賃金が伸びにくい状況が続いていました。ただし2026年には物価上昇がやや落ち着いたことで、実質賃金がプラスに転じる兆しも見られ始めています。
つまり、生活が楽になるかどうかは、賃上げそのものではなく賃上げと物価のバランスに大きく左右されるのです。
企業は賃金にどこまで回すのか 株主還元から分配見直しへ
今回の春闘で大きな議論になっているのが、企業が利益をどこに分配するのかという問題です。
日本企業は長い間、利益を内部留保として蓄えたり、株主への配当など株主還元に回す傾向が強いと指摘されてきました。実際、日本の大企業が保有する現預金は約80兆円規模ともいわれ、資金を十分に活用していないという批判もあります。
こうした背景から、政府や専門家の間では、企業の利益を従業員の賃金や人的投資に回すべきだという議論が強まっています。
もし企業の利益が賃金として従業員に分配されれば、家計の消費が増え、企業の売上が伸び、さらに賃上げができるという好循環が生まれる可能性があります。この「企業利益の分配のあり方」が、2026春闘の大きなテーマになっています。
人材確保と企業競争力 賃上げに踏み出す企業の事情
企業が賃上げに踏み切る理由は、単に社会的な要請だけではありません。実は最大の理由は人手不足です。
日本では少子高齢化が進み、働き手が年々減少しています。企業が人材を確保するためには、給与や待遇を改善する必要があり、賃上げは避けて通れない課題になっています。
調査では、企業が賃上げを行う理由として最も多いのが「人材確保のため」です。つまり賃上げはコストではなく、企業が成長するための人への投資として考えられるようになってきました。
また、賃金を引き上げることで社員のモチベーションを高め、生産性を向上させる効果も期待されています。このように、賃上げは企業競争力を維持するための重要な戦略になりつつあります。
日本経済の好循環は生まれるのか 2026春闘の分岐点
経済の専門家が注目しているのは、賃上げが日本経済の好循環につながるかどうかです。
理想的な経済の流れは、
賃上げ → 消費拡大 → 企業収益増加 → さらなる賃上げ
という循環が生まれることです。これが実現すれば、日本は長く続いたデフレ型経済から脱却し、持続的な成長へと向かう可能性があります。
しかし、この好循環を実現するためには、大企業だけでなく中小企業にも賃上げが広がることが不可欠です。大企業では5%以上の賃上げが進んでも、中小企業ではそれより低い水準にとどまるケースが多く、賃金格差が課題となっています。
2026年の春闘は、単なる労使交渉ではなく、日本の経済構造を変える可能性を持つ重要な局面です。物価高に負けない賃上げが実現し、家計と企業の双方が成長する経済へと進めるのか、多くの人がその行方を注視しています。
2026春闘と賃上げの行方まとめ
今回の「クローズアップ現代」では、物価上昇が続く中で賃上げが生活改善につながるのかという点に注目し、2026年の春闘の現場を取材します。企業が人材確保や社員の意欲向上のために賃金をどこまで引き上げるのか、そして企業の利益配分のあり方が変わるのかが重要なポイントになります。
なお、この記事は放送前の情報をもとにまとめているため、実際の放送内容と一部異なる場合があります。番組放送後、内容を確認したうえで必要に応じて追記・修正していきます。
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