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セルフレジ万引きはなぜ増えた?重ねスキャンとAI対策の限界【クローズアップ現代で話題】

生活・暮らし

セルフレジ万引きが注目される理由

買い物が早く済むセルフレジは便利な一方で、店側にとっては新しい悩みも生まれています。特に「重ねスキャン」や「バーコード隠し」といった不正が問題になり、対策には費用も人手もかかります。『クローズアップ現代 無人が便利と思いきや… どう防ぐ?“セルフレジ万引き”(2026年7月6日放送)』でも取り上げられ注目されています。身近な買い物の裏側で何が起きているのか、整理して見ていきます。

この記事でわかること

・セルフレジ万引きが増えやすい理由
・重ねスキャンやバーコード隠しが問題になる背景
・AIだけでは防ぎきれない理由
・客側が誤解されないために確認したいこと

セルフレジ万引きは「便利さ」と「人の目の少なさ」が重なって起きやすい

セルフレジ万引きが注目される一番の理由は、セルフレジの便利さそのものが、不正のすき間にもなりやすいからです。

セルフレジは、客が自分で商品を読み取り、支払いまで行う仕組みです。店員が1点ずつ商品を確認する有人レジと違い、スキャン作業の多くを客に任せます。

そのため、次のようなことが起きやすくなります。

・商品を通したつもりでも、実は読み取れていない
・点数が多くて、客自身も確認しきれない
・店員が全員の手元を同時に見られない
・故意かミスか、外から判断しにくい

たしかにこれは気になります。
普段の買い物でも、バーコードがなかなか反応しなかったり、同じ商品を複数買ったときに「ちゃんと全部通ったかな」と不安になることがあります。

つまり、セルフレジの問題は「万引きをする人がいる」という話だけではありません。
普通に使っている人のミスと、悪意のある不正が見分けにくいところに難しさがあります。

店側から見ると、セルフレジは人手不足の対策にもなります。レジに人を多く置かなくても会計が進み、混雑緩和にもつながります。

一方で、見守りの人員、防犯カメラ、AI検知システム、研修などを入れると、結局コストがかかります。便利だから導入すれば終わり、という単純な話ではないのです。

重ねスキャンとバーコード隠しが問題になる理由

セルフレジ万引きでよく問題になる言葉が、重ねスキャンバーコード隠しです。

ここでは細かな手口をまねできる形では説明しませんが、簡単にいうと、どちらも「本来支払うべき商品が正しく会計に反映されない」不正のことです。

重ねスキャンは、複数の商品があるのに、会計上は一部しか読み取られていない状態が問題になります。
バーコード隠しは、商品のバーコードが正しく読み取られないような形で会計を進めようとする不正です。

これが厄介なのは、店員が遠目で見ただけでは、すべてを正確に判断しにくいところです。

たとえば、客が商品を手に取ってレジに近づけているように見えても、機械が本当に読み取ったかどうかは画面や音を確認しなければわかりません。さらに、商品点数が多いと、店員側も客側も見落としやすくなります。

初めて知ると少し驚きますが、セルフレジの問題は「機械があるから安心」ではなく、「機械と人の確認がズレたときに問題が起きる」という点にあります。

特にスーパーやドラッグストアのように、同じような商品が多く、かごの中の点数も多くなりやすい店では、確認の負担が大きくなります。

だからこそ、店側は単に「疑わしい人を見る」のではなく、画面の表示、スキャン音、商品点数、カゴの中身、支払い完了の有無などを総合的に確認する必要があります。

セルフレジ万引きが店に与える負担

セルフレジ万引きの問題は、商品1個分の損だけでは終わりません。

店にとっては、次のような負担が重なります。

・商品の損失
・防犯カメラ確認の手間
・店員の精神的な負担
・防犯設備の導入費用
・疑いをかけた場合の接客トラブル
・他の客への対応遅れ

個人的には、この中でいちばん大きいのは「現場の店員の負担」だと感じます。

セルフレジは本来、店員の仕事を減らすために導入されることが多いはずです。ところが、不正対策のために見守りや声かけ、トラブル対応が増えると、現場はむしろ神経を使う場面が増えてしまいます。

しかも、セルフレジでは「ミス」と「不正」の境目がわかりにくいです。

本当にうっかり読み取り忘れただけの人に強い言い方をすれば、店の印象が悪くなります。
反対に、遠慮しすぎると不正を見逃す可能性があります。

このバランスがとても難しいところです。

店側は「疑う接客」ではなく、「自然に確認できる接客」を目指す必要があります。たとえば、困っていそうな客に声をかける、レジ周辺を明るくする、操作に迷わない表示にする、といった工夫です。

防犯というと厳しい監視をイメージしがちですが、実際には「見られている安心感」と「困ったときに助けてもらえる空気」の両方が大事になります。

AI対策だけでは防ぎきれない現場の難しさ

セルフレジ万引き対策として、AIカメラや画像認識などの技術に期待が集まっています。

AIを使えば、人の目だけでは見落としやすい動きや、スキャンされていない可能性のある行動を検知しやすくなります。店員がずっと全員を見続けるより、負担を減らせる面もあります。

ただし、AIだけですべて解決するわけではありません。

理由は大きく分けて3つあります。

1つ目は、導入コストです。
AIカメラやシステムを入れるには、機器代、設置費、運用費、メンテナンス費がかかります。大型店舗なら導入しやすくても、小さな店舗では負担が大きくなります。

2つ目は、誤検知の問題です。
客が商品を持ち替えただけ、バーコードを探していただけ、子どもが商品に触っただけでも、不自然な動きに見える場合があります。AIが反応しても、それを人が確認しなければなりません。

3つ目は、個人情報やプライバシーへの配慮です。
防犯カメラや画像データをどう扱うのか、どこまで共有してよいのかは簡単な問題ではありません。防犯のためとはいえ、客が「監視されている」と感じすぎると、店への信頼にも関わります。

実際に選ぶならここは確認したいところです。
AI対策は便利ですが、最終的には「人がどう判断し、どう声をかけるか」が残ります。

つまり、これからのセルフレジ対策は、AIか人かの二択ではありません。
AIで気づきやすくし、人が自然に対応する。この組み合わせが重要になります。

大久保智生教授が注目する「人の目」と「声かけ」

セルフレジ万引き対策で重要な考え方の1つが、人の目声かけです。

防犯というと、カメラや警備員を増やすことを思い浮かべる人も多いと思います。もちろん、それも大切です。

ただ、店内で自然な声かけがあるだけでも、不正をしようとする人には心理的なブレーキになります。

たとえば、次のような声かけです。

・「操作でお困りのことはありませんか」
・「こちらでお手伝いしますね」
・「お支払い完了まで画面をご確認ください」
・「同じ商品は点数の確認をお願いします」

大事なのは、相手を疑う言い方にしないことです。

「万引きしていませんか」という空気を出すのではなく、「困っていないか確認しています」という接客にする。これなら、普通の客にも不快感を与えにくく、操作ミスの防止にもつながります。

個人的にも、セルフレジで店員さんが近くにいてくれると安心します。
監視されているというより、操作に迷ったときに聞ける人がいるだけで、買い物のストレスが減ります。

この「安心」と「防犯」が同時に働くところが、声かけの大きな意味です。

セルフレジ万引きを防ぐには、犯人を捕まえることだけを考えるのではなく、「不正が起きにくい空気」をつくることが大切です。
店員がレジ周辺にいる、客と目が合う、困った人にすぐ声をかける。こうした小さな積み重ねが、結果的に防犯につながります。

海外で有人レジに戻す動きが出ている背景

海外では、一部の小売店でセルフレジを減らしたり、有人レジに戻したりする動きも出ています。

背景には、万引きや商品の損失だけでなく、客の不満もあります。

セルフレジは便利な一方で、次のような不満が出やすいです。

・バーコードが読み取れない
・年齢確認や割引処理で止まる
・袋詰めスペースが狭い
・商品点数が多いと時間がかかる
・結局、店員を呼ばないと進まない

これ、買い物をしている側としても少しわかります。
空いているときのセルフレジはとても便利ですが、エラーが出ると急に焦ります。後ろに人が並んでいると、余計にプレッシャーを感じます。

店側も同じで、便利にするために入れたはずのセルフレジが、万引き対策や操作サポートでかえって手間を増やす場合があります。

そのため、海外ではすべてを無人化するのではなく、有人レジとセルフレジを使い分ける考え方が広がっています。

たとえば、少量の買い物はセルフレジ。
大量の買い物やサポートが必要な客には有人レジ。
このように分けることで、便利さと安心感の両方を守りやすくなります。

日本でも、今後は「全部セルフにする」よりも、「店の規模や客層に合わせて使い分ける」方向が大事になりそうです。

客側が誤解されないために気をつけたい会計行動

セルフレジ万引きの話題を見ると、「普通に買い物していても疑われるのでは」と不安になる人もいるかもしれません。

でも、基本的には落ち着いて確認すれば大丈夫です。

客側が気をつけたいのは、次のような点です。

・スキャン音や画面表示を確認する
・同じ商品を複数買うときは点数を見る
・支払い完了画面まで確認する
・レシートをすぐ捨てず、店を出るまでは持っておく
・読み取りにくい商品は無理せず店員に聞く
・カゴやカートの下に商品を置き忘れない

特に大事なのは、支払い完了まで画面を見ることです。

セルフレジでは、商品を読み取っただけでは会計が終わっていません。支払い方法を選び、決済が完了して、レシートや完了画面を確認するところまでが会計です。

また、エコバッグやマイバッグを使うときも、未会計の商品と会計済みの商品が混ざらないようにした方が安心です。

実際に使うなら、急いでいるときほど注意したいところです。
「いつもの操作だから大丈夫」と思っていると、読み取り漏れや支払い忘れが起きやすくなります。

セルフレジは、客にも少しだけ確認する責任がある仕組みです。面倒に感じるかもしれませんが、数秒確認するだけで、誤解やトラブルをかなり減らせます。

セルフレジはなくなるのではなく使い方が見直される

セルフレジ万引きが問題になっているからといって、セルフレジがすぐになくなるわけではありません。

人手不足、レジ待ちの短縮、キャッシュレス決済への対応など、セルフレジには大きなメリットがあります。少量の買い物なら、自分でさっと会計できる便利さもあります。

ただし、これからは「無人で便利ならよい」という考え方だけでは難しくなります。

必要なのは、次のような見直しです。

・店員が見守りやすいレイアウトにする
・操作に迷わない画面表示にする
・AIやカメラを補助的に使う
・困っている客に自然に声をかける
・大量購入は有人レジに誘導する
・店員教育を防犯と接客の両面で行う

セルフレジ万引きの問題は、単なる犯罪対策ではなく、これからの買い物の形を考える話でもあります。

便利さを優先しすぎると、店側の負担が増える。
監視を強めすぎると、客側が窮屈に感じる。
その間で、どこまで安心して使える仕組みにできるかが問われています。

個人的には、セルフレジは「完全無人」よりも「近くに人がいるセルフレジ」の方が使いやすいと感じます。
困ったときに聞ける安心感があり、店側にとっても不正を防ぎやすいからです。

セルフレジ万引きの対策で大切なのは、疑うことを前面に出すことではありません。
客が迷わず使えて、店員が自然に見守れて、不正をしにくい環境をつくることです。

まとめ

セルフレジ万引きが注目されているのは、セルフレジの普及によって、これまでとは違う形の不正やミスが見えやすくなっているからです。

重ねスキャンやバーコード隠しのような問題は、店側にとって大きな損失につながります。一方で、客側の単なる操作ミスと見分けにくい点もあり、対応は簡単ではありません。

AIカメラなどの最新技術は有効ですが、それだけで完全に防げるわけではありません。
最終的には、店員の声かけ、見守りやすい配置、わかりやすい操作画面、客側の確認が組み合わさることで、安心して使えるセルフレジに近づいていきます。

私たち利用者ができることは、スキャン音、画面、支払い完了、レシートをきちんと確認することです。

セルフレジは、便利さだけでなく、店と客の信頼で成り立つ仕組みです。
これからは「早く会計できるか」だけでなく、「安心して使えるか」も大切なポイントになっていきそうです。

参考リンク

・番組内容とセルフレジ万引きの概要 (TVでた蔵)
・万引き被害額3460億円の推計とセルフレジへの懸念 (全国万引犯罪防止機構)
・香川大学と香川県警によるセルフレジ不正対策の取り組み (香川大学)
・声かけやホスピタリティを重視した万引き防止の検証 (香川大学)
・海外小売店でセルフレジを減らす動き (businessinsider.com)


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