まけんぞ、諦めない能登の時間がここにある
このページでは『まけんぞ 〜能登・孤立集落の2年〜(2026年1月1日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
能登半島地震と能登豪雨という二つの大きな災害に直面した石川県輪島市大沢集落で、人々がどのように暮らしを守り、何を失い、それでも前に進もうとしてきたのか。その2年間の記録を軸に、この番組が伝えようとしている本質を書いていきます。
能登半島地震が奪った日常と孤立集落という現実
能登半島地震によって、石川県輪島市大沢集落は一瞬で日常を失いました。
海と山に囲まれたこの集落は、もともと道路が限られており、地震による土砂崩れで唯一の生活道路が寸断されたことで、完全な孤立集落となります。
孤立とは、ただ外と行き来できないという意味ではありません。
食料や燃料が入らない、救急車が来られない、修理の人も入れないという、生活そのものが止まる状態です。大沢集落では、電線や水道管の被害も重なり、普段は当たり前だった明かりや水が使えなくなりました。
この状況を受け、住民全員がヘリコプターで集落を離れる判断が取られます。
生まれ育った場所を一時的とはいえ離れることは、住民にとって大きな決断でした。集落に残されたのは、壊れた家屋と静まり返った港、そして元の姿が見えなくなった日常でした。
電気も水もない場所で始まったサバイバルの暮らし
避難後、再び大沢集落に戻った住民を待っていたのは、電気も水も使えない生活でした。
冷蔵庫は動かず、夜になれば真っ暗になり、水は自分たちで確保しなければなりません。
生活の再開は、特別なことからではなく、まず「今日をどう過ごすか」から始まります。
飲み水をどう確保するか、食事をどう作るか、寒さや暑さをどうしのぐか。こうした一つ一つの選択が、そのまま暮らしの形になっていきました。
この段階では、復興という言葉よりも「生き続ける」という感覚が近い状況です。
支援が入るまでの時間、住民たちは自分たちの経験と知恵を頼りに、集落での生活を少しずつ取り戻そうとします。災害後の現実が、特別な出来事ではなく、毎日の積み重ねとして描かれていきます。
手掘りでよみがえらせようとした漁港と生業
輪島市大沢集落にとって、漁港は仕事場であると同時に、生活の中心でした。
しかし地震の影響で地盤が変わり、海水が引いたことで、漁船が出せない状態になります。船が使えないということは、収入が途絶えるだけでなく、集落の役割そのものが失われることを意味します。
重機を入れることが難しい中、住民たちは手作業で漁港を掘り起こす道を選びました。
スコップや簡単な道具を使い、少しずつ土砂を取り除き、再び海とつながる道を作ろうとします。この作業は時間も体力も必要ですが、自分たちの暮らしを自分たちで取り戻す行動でもありました。
やがて海水が戻り始め、漁港としての形が見えてきます。
この変化は、集落にとって大きな希望でした。生業が戻るかもしれないという感覚が、人の気持ちを前向きに動かしていきます。
能登豪雨と土石流が再び突きつけた試練
復旧の兆しが見え始めた中で起きたのが、能登豪雨による土石流です。
山から流れ込んだ大量の土砂は、家屋や畑、そして再生途中だった漁港を一気に覆いました。
地震で傷ついた土地に、さらに追い打ちをかける形となり、被害はより深刻になります。
目の前で積み上げてきたものが失われる現実は、心にも大きな負担を与えました。
この出来事をきっかけに、帰村を諦める住民も出てきます。
自然の力の前で、人の努力が簡単に壊れてしまうことを突きつけられたからです。二重災害という現実は、復興が一直線ではないことを強く示しています。
冬を越えて続く「まけんぞ」の意味
『まけんぞ』という言葉には、単に我慢するという意味だけではなく、簡単には手放さないという強い思いが込められています。
大沢集落では、厳しい冬を迎えながらも、この土地で生き続けるかどうかを、それぞれが考え続けます。
すべての人が同じ答えを出すわけではありません。
離れる選択をする人もいれば、戻る道を探し続ける人もいます。その一つ一つの選択が、災害後の現実として積み重なっていきます。
「まけんぞ」という言葉は、声高に叫ばれるものではなく、日々の行動の中ににじむものです。
壊れても、立ち止まっても、また考え直す。その姿勢そのものが、この言葉の意味を形にしています。
2年間を追い続けたから見えてくる復興のかたち
この番組は、災害直後の混乱だけで終わりません。
2年間という時間をかけて、大沢集落がどう変わり、何が戻らず、何が形を変えて続いているのかを追い続けます。
復興は元に戻ることだけを指す言葉ではありません。
人が減った集落、変わった仕事、以前とは違う生活リズム。そのすべてを含めて、今の暮らしが作られていきます。
能登半島地震と能登豪雨の先にあるのは、完成された答えではなく、続いていく時間です。
この番組は、その途中にある現実を見つめ続ける記録として、多くのことを伝えてくれる内容になると考えられます。
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