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【さわやか自然百景】新春特集 川の国 日本 水が紡ぐ命|日本の川が育む川の生態系と生きものたち 斜里川サクラマスと干潟生態系まで|2026年1月2日

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水の旅が教えてくれる、日本の川が生きている理由

このページでは『さわやか自然百景 新春特集 川の国 日本 水が紡ぐ命(2026年1月2日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
山に降り積もった雪が溶け、川となり、海へとたどり着くまでの間に、どれほど多くの命と暮らしが結びついているのか。番組が描いたのは、日本の川が「流れる水」ではなく、「命をつなぐ道」であるという事実でした。川の上流から下流までを追うことで、自然の仕組みと人の営みが一本の線で見えてきます。

川のはじまりは山の雪から生まれる

川の旅は、北海道の山から始まります。
標高2052メートルの北海道・幌尻岳では、遠い昔に存在した氷河の力によって、山肌がスプーンで削られたような形になっています。この地形は『カール』と呼ばれ、雪がたまりやすい場所です。
冬のあいだに積み重なった大量の雪は、夏になると一気に解け始め、その水が集まって細い流れとなり、やがて一本の川へと姿を変えていきます。

雪解けの時期は、およそ2か月間続きます。この短い期間に、川は一年で最も多くの水をたたえます。
勢いよく流れ出す雪解け水は、山の岩や土を削りながら下流へ向かい、川の骨格をつくっていきます。水量が豊富なこの時期は、川が一年で最も力強い表情を見せる季節でもあります。

雪が少しずつ消え始めると、山の景色は大きく変わります。
地面から顔を出すのは、チングルマミヤマアズマギクといった高山植物です。短い夏を逃すまいと、一斉に花を咲かせ、山全体が色づきます。
その花や草を求めて、エゾナキウサギエゾシカなどの動物たちも姿を見せるようになります。川の始まりは、同時に命が集まる場所でもあります。

この場所は、ヒグマにとっても欠かせない環境です。
ヒグマは暑さが苦手な動物で、夏の強い日差しの中では体温調節が大きな課題になります。カールに残った雪は、ヒグマにとって天然の冷却装置です。雪を食べたり、冷たい雪解け水に体を浸したりすることで、体の熱を下げていると考えられています。

番組では、ヒグマの親子が行動を共にする姿も映し出されました。
雪が残るカールは、子どもを連れたヒグマにとって安全で過ごしやすい場所であり、夏のあいだの避暑地の役割も果たしています。
こうした姿から、川の源流は単なる水の出発点ではなく、動物たちの命を守る大切な空間であることが伝わってきます。

山に降り積もった雪が解け、川となり、多くの命を支えながら流れ出していく。
川の始まりには、静かですが確かな自然のしくみと、季節ごとに繰り返される命の営みが詰まっています。

斜里川で見えるサクラマスの壮大な挑戦

次に描かれたのは、北海道・斜里川です。
この川はオホーツク海へと注ぎ、日本でも有数のサクラマスの遡上河川として知られています。海と川を行き来するサクラマスの一生を、間近で感じられる場所です。

サクラマスは、斜里川で生まれます。
川で育ったあと、一度は海へ下り、数年かけて大きく成長します。そして成熟すると、命をつなぐために再び生まれた川へ戻ってきます。この「帰ってくる旅」が、斜里川で最も印象的な光景を生み出します。

川の途中で、サクラマスの前に立ちはだかるのが高さ約3メートルの滝です。
この滝は、サクラマスの体長と比べるとおよそ5倍にもなります。サクラマスは一度で越えられるわけではありません。流れに押し戻されながらも、何度も跳び続けます。
その挑戦の末、滝を越えることができるのは、全体の約1割とされています。ほとんどの個体が力尽きる中で、わずかな成功が次の世代へとつながります。

滝を越えたサクラマスの旅は、まだ終わりではありません。
そこからさらに20キロほど上流を目指し、約1か月かけてゆっくりと進んでいきます。流れに逆らいながら進むこの区間は、体力だけでなく、川の環境そのものが試される道のりです。

ここで欠かせないのが、斜里岳からしみ出した雪解け水です。
山に積もった雪が時間をかけて地中に染み込み、湧き水となって川へ注ぎ込みます。この水のおかげで、斜里川は一年を通して水温と水量が安定しています。
急激な変化が少ない川は、サクラマスにとって安心して産卵できる場所になります。

川底に目を向けると、そこには産卵に適した砂利が広がっています。
細かすぎず、大きすぎない砂利は、卵を守りながら水を通し、酸素を行き渡らせます。サクラマスが長い旅の末に目指すのは、こうした条件がそろった場所です。

斜里川では、毎年およそ3000匹のサクラマスが滝に挑みます。
その多くは途中で力尽きますが、わずかな成功が次の命を生みます。
過酷な旅の末にたどり着いたこの上流域こそが、次の世代を生み出すために欠かせない環境であり、斜里川が特別な川である理由でもあります。

同じ魚が選ぶ二つの生き方

斜里川の水中映像では、ヤマメの姿も映し出されました。
一見すると別の魚のように見えますが、ヤマメサクラマスは、実は同じ種類の魚です。同じ川で生まれながら、その後の生き方が分かれていきます。

川に残り、一生を淡水で過ごすのがヤマメです。
一方で、海へ下る道を選ぶのがサクラマスです。サクラマスは川で育ったあと海へ出て、豊富な餌を得ながら大きく成長します。そして数年後、産卵の時期になると再び生まれた川へ戻ってきます。

9月になると、斜里川の上流では命をつなぐ場面が重なります。
海から戻ってきたサクラマスが産卵を行い、同じ川の中でヤマメもまた産卵します。
同じ水、同じ砂利、同じ流れの中で、異なる時間を生きてきた魚たちが並んで命を残します。

産卵を終えたサクラマスは、そのまま力尽きます。
体をすり減らし、長い距離を遡上し、すべてを使い切った末の最期です。その姿は静かですが、川に新しい命を託した証でもあります。

この光景が伝えてくれるのは、川の懐の深さです。
川は、一つの命に対して一つの生き方だけを示す場所ではありません。
流れの強さ餌の量水温環境の変化によって、川にとどまる道も、海へ向かう道も用意されています。

斜里川は、魚に選択を迫るのではなく、選べる環境を整えています。
同じ川で、違う人生を歩むことが許されている。その事実が、水中の静かな映像から、はっきりと伝わってきました。

中流では人の近くで生きる力が試される

山を離れた川は、次第に人の暮らしに近づいていきます。
埼玉県・高麗川の中流域では、ホンドタヌキが川に入り、魚を捕まえて食べる様子が記録されました。山奥ではなく、人の生活圏に近い場所で見られる行動です。

高麗川には、カワセミカイツブリも生息しています。
水面近くを鋭く飛ぶカワセミ、静かに水に潜るカイツブリ。どちらも、川に魚や水生生物が安定していることを示す存在です。
中流域は、流れが極端に速すぎず、浅瀬と深みが交互に現れます。そのため、魚が隠れやすく、鳥や哺乳類が狙いやすい環境が整っています。

この場所は、自然と人がせめぎ合う最前線でもあります。
家や道路が近くにあっても、野生の動物たちは川を手放しません。活動する時間帯を変えたり、人の少ない瞬間を選んだりしながら、川を生活の場として使い続けています。
夜明け前や日没後など、人の動きが落ち着く時間は、動物たちにとって貴重な行動の時間になります。

中流の川は、完全な野生でも、完全な人の世界でもありません。
川そのものが、自然と人の境目となり、両方をゆるやかにつないでいます。
水が流れ続ける限り、そこには命が集まり、暮らしと野生が重なり合う風景が生まれ続けます。

下流の干潟が支える命のゆりかご

川はやがてへとたどり着きます。
佐賀県・田古里川の河口には、視界いっぱいに広がる干潟が残されています。川が長い時間をかけて運んできた砂や泥が積み重なり、ここでしか見られない独特の環境が形づくられてきました。

干潟は、陸でも海でもない場所です。
潮が引くと地面が現れ、満ちると再び海に沈みます。この繰り返しが、特別な生きものたちの居場所を生み出しています。
初夏になると、干潟の表面にはムツゴロウが姿を現します。泥の上を跳ね、空気中でも活動できる姿は、干潟ならではの光景です。

同じ場所では、ヤマトオサガニが巣穴から出てきて活発に動き回ります。
さらに注目されたのが、ハラグクレチゴガニです。このカニは、生息できる場所が限られており、環境の変化に弱い存在として知られています。
複数のカニや魚が同時に見られることは、この干潟が今も健全な状態を保っている証でもあります。

有明海沿岸では、これまで干拓が進み、多くの干潟が姿を消してきました。
田畑や港として利用される一方で、本来あった生きものの居場所は減少してきました。その中で、田古里川の河口に残された干潟は、かつての海辺の姿を今に伝える貴重な環境です。

川が山から運び続けてきた土や栄養分は、ここで止まりません。
それらは干潟を育て、干潟は生きものを育て、さらに海へとつながっていきます。
川が海へ渡すものは、単なる水や土ではなく、次の命を支えるための土台そのものです。

山から始まった一滴の水は、最後にこの場所で多くの命を受け止めます。
干潟は、川の旅の終点であり、同時に新しい命が始まる場所でもあります。

川がつくる奇跡の景色

番組では、日本各地の川が生み出す風景も紹介されました。
川は命を育てるだけでなく、その土地ならではの景色を形づくしています。

岩手県岩泉町を流れる清水川は、地元で『しずがわ』と呼ばれています。
この川には、龍泉洞から湧き出した地下水が流れ込んでいます。龍泉洞の内部では、長い年月をかけて水が石灰岩を少しずつ溶かし、再び結晶化することで鍾乳石がつくられてきました。
その水は洞窟の中だけにとどまらず、外へと流れ出し、清水川となって森を潤します。豊富で安定した水は周囲の森を育て、森が育つことで、さらに川の水質が保たれるという循環が生まれています。

一方、北海道・十勝川の河口付近では、まったく異なる表情が見られます。
冬の厳しい寒さの中で現れるのが、『ジュエリーアイス』と『フロストフラワー』です。
川の水が凍り、流氷のかけらとなって浜に打ち上げられ、朝日を受けて宝石のように輝きます。フロストフラワーは、冷え込んだ朝に水蒸気が一気に凍りつき、氷の花のような模様を描く現象です。
これらは、寒さ、そして川の流れがそろったときにだけ生まれる、ほんの一瞬の景色です。

南へ目を向けると、沖縄・西表島の川の風景が映し出されました。
島を流れる浦内川や、深い森に囲まれたマヤグスクの滝の周辺には、日本最大規模のマングローブ林が広がっています。
汽水域に根を張るマングローブは、海と川の境目で命を支える存在です。川辺では、『サガリバナ』の花が夜に咲き、朝には水面へと落ちていきます。その光景は、川と植物が強く結びついていることを感じさせます。

北の氷の川、岩の洞窟から生まれる清流、亜熱帯のマングローブの川。
場所によって姿は大きく異なりますが、どの川にも共通しているのは、命を集め、景色を生み出す力です。
川は流れる場所ごとに違う表情を見せながら、日本列島の自然を静かに形づくっています。

川の恵みと人の暮らし

川は、人の暮らしとも深く結びついています。
番組では、川が生活や仕事を支えてきた具体的な姿が各地で紹介されました。

牛渡川では、毎年の季節の流れに合わせて鮭漁が行われています。
海で育った鮭が川へ戻ってくる時期を見極め、自然の動きに合わせて漁が続けられてきました。川の水量や流れを知り尽くしていなければ成り立たない営みです。

大浦川では、『唐臼』と呼ばれる道具が紹介されました。
唐臼は、水の流れを利用して杵を上下させ、穀物をつく昔ながらの仕組みです。人の力を使わず、川の力そのものを生活に取り入れてきた知恵が形として残っています。

岐阜県郡上市八幡町には、長良川の支流である吉田川が流れています。
町の中には、長い年月をかけてつくられてきた用水路が張り巡らされており、今も現役で使われています。
用水路は、野菜を洗ったり、生活用水として使われたりと、日々の暮らしに欠かせない存在です。これらは行政任せではなく、住民の手によって定期的に整備され、守られ続けています。

長良川本流に目を向けると、そこには多くの生きものが暮らしています。
川の中にはアユアジメドジョウカワヒガイが生息し、川辺にはアオサギカワウの姿が見られます。さらに、清らかな水を好むオオサンショウウオも生息しており、長良川の環境の豊かさを物語っています。

岐阜市では、『瀬張網漁』が行われています。
瀬張網漁は、川の流れを読み、魚が通る位置を見極めて網を張る漁法です。水の速さや水位の変化を肌で感じながら行うため、川を深く知ることが欠かせません。
この漁は、単なる作業ではなく、川と向き合う経験の積み重ねによって受け継がれてきました。

川は、水を与えるだけの存在ではありません。
仕事を生み、文化を育て、人と自然を結び続けてきました。
川を知ることは、その土地で生きてきた人々の知恵と歴史を知ることでもあります。

水が紡ぐ命の物語

山の雪解けから始まり、川となり、海へと注ぐまでの道のりには、数えきれない命と暮らしが重なっています。日本の川は、ただ流れているのではありません。水は、土地を形づくり、生きものを育て、人の生活を支えてきました。
『川の国 日本 水が紡ぐ命』という言葉どおり、川は今も静かに、命と時間をつなぎ続けています。

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