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【最深日本研究】〜外国人博士の目〜 日本酒を知りたい|なぜ日本酒は海外で評価されるのか・フランスと日本酒文化・下り酒とテロワール・クラフトサケの未来|2026年1月1日

最深日本研究
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世界が惹かれる『日本酒』の正体を、外国人博士の目で見つめ直す

いま日本酒は、国内だけでなくフランスをはじめとした海外で高い評価を受けています。その背景には、単なる飲み物としてではなく、歴史・宗教・流通・土地・人の営みが重なり合ってきた長い物語があります。
このページでは「最深日本研究 〜外国人博士の目〜 日本酒を知りたい(2026年1月1日放送)」の内容をもとに、フランス人研究者が見つめてきた日本酒の歩みと、これからの可能性をたどっていきます。

フランス人研究者が感じた日本酒文化の違和感と魅力

文化地理学者のボーメール・ニコラさんは、研究者として来日し、初めて日本酒を飲んだ体験をきっかけに、日本酒と日本人の関係を長年にわたって見つめてきました。
彼が強く印象に残ったのは、フランスでは料理が中心にあり、酒はそれを引き立てる存在として位置づけられるのに対し、日本では「飲むこと」そのものが場の主役になることです。

居酒屋でカウンター席が好まれ、料理人や店主と自然に言葉を交わしながら酒を飲む光景は、日本酒が人と人をつなぐ役割を持っていることを象徴しています。
このような酒のあり方は、食事の形式やマナーを重視するフランスの文化とは大きく異なり、日本酒を単なるアルコール飲料ではなく、社会的な行為として捉える視点を生みました。

2011年にはフランスで初となる日本酒専門書を発表し、日本酒の歴史や文化をフランス語で体系的に紹介しました。
また、フランスで開催されている『KURA MASTER』のような品評会を通じ、日本酒がワインと同じ基準で語られる土壌が整い、フランス国内での評価と理解が広がっていきました。

『サケ』という言葉が語る、宗教と日本酒の深い関係

番組では、「サケ」という言葉がフランスでどのように受け止められてきたかにも触れられました。
フランスでこの言葉が記録に残るのは1667年ごろとされていますが、それ以前から日本酒に関心を示していた存在として、宣教師のフランシスコ・ザビエルが紹介されました。

ザビエルは日本での布教活動の中で、ミサに用いるワインの代わりとして日本酒を使ったとされています。
この事実は、日本酒が早い段階から宗教的な儀礼とも結びつき、異文化の中でも特別な意味を持つ飲み物として扱われていたことを示しています。

また、「酒」という漢字の成り立ちについても解説がありました。
発酵用の壺を表す「酉」と、水を示す「氵」から構成されるこの文字は、日本酒が自然の力と人の知恵によって生まれた存在であることを端的に表しています。
言葉や文字の背景から、日本酒が文化そのものとして育まれてきたことが伝わってきます。

古事記と日本書紀に刻まれた酒の役割

ボーメール・ニコラさんは、パリで研究をしていた時代に『古事記』や『日本書紀』と出会い、そこに記された酒に関する記述をすべて調べ上げました。
この作業には4年もの時間を要し、日本酒がどのような場面で登場し、どんな意味を持っていたのかを丁寧に読み解いていきました。

その結果、日本酒はワインと同様に、神事や祭礼と深く結びついた存在であることが明らかになります。
神に供えられ、人と神をつなぐ媒介として使われていた酒は、信仰と切り離せないものでした。

しかし江戸時代初期になると、日本酒の役割は次第に変化していきます。
儀式のための酒から、人々が楽しむための酒へと位置づけが移り、製造技術が整えられ、大量生産が可能になりました。
この流れの中で居酒屋が誕生し、酒は日常の中に深く入り込んでいきます。
1698年の調査では、人口約2600万人に対して酒蔵が約2万7000軒存在していたことが記録されており、日本酒が生活の隅々まで行き渡っていた様子がうかがえます。

海が運んだ『下り酒』と日本酒の広がり

江戸時代に日本酒が広く飲まれるようになった背景には、流通の変化がありました。
番組では、上方で造られた酒が海路で江戸へ運ばれた『下り酒』が、その象徴として紹介されています。

海のルートを使った大量輸送によって、酒は安定した品質のまま江戸に届けられるようになりました。
特に関西地方は酒造技術が高く、優れた酒が特産品として江戸に集まりました。
この流通革命によって、日本酒は一部の特別な飲み物ではなく、町の人々が日常的に口にする存在へと変わっていきます。

「日本酒」という呼び名が定着していく過程も、この時代と重なります。
酒は単なる商品ではなく、日本人の暮らしや価値観を象徴するものとして意識されるようになり、文化的な意味合いを強めていきました。

酒米の調査から見えた日本酒の特徴

来日後、ボーメール・ニコラさんは文化地理学の視点から、日本全国の酒蔵にアンケート調査を行いました。
200以上の酒蔵から寄せられた回答を分析した結果、多くの蔵が『山田錦』か『五百万石』という限られた酒米を使っていることが分かりました。

ワイン用ブドウが数千種類あるワイン文化と比べると、この点は日本酒の大きな特徴です。
日本酒では米の品種が限られている分、精米歩合、水の性質、酵母、蔵の温度管理や技術といった要素が、味の違いを生み出します。

同じ米を使っていても、土地や蔵が違えば酒の表情は大きく変わります。
ここに、日本酒が「どこで、誰が、どのようにつくったか」という背景と切り離せない存在であることがはっきりと表れています。

クラフトサケと『テロワール』という新しい流れ

現在、日本酒の世界では新しい動きが広がっています。
伝統的な製法にとらわれない若い世代が、『クラフトサケ』という新しいジャンルに挑戦し始めました。
米を原料としながらも、これまでの日本酒の枠を超えた表現が生まれています。

同時に、地方の酒蔵では地元の酒米を使い、その土地ならではの味を追求する動きが活発になっています。
ここで重ねられる考え方が、フランスの『テロワール』です。
気候、土壌、水といった自然条件すべてが酒の風味を形づくるという視点は、日本酒にも新たな価値をもたらしています。

伝統を守るだけでなく、土地の個性を前面に出すことで、日本酒はより多様な表情を持つようになっています。

海から空へ、日本酒が向かう未来

番組の終盤、ボーメール・ニコラさんが訪れたのは、伊勢湾を望む港でした。
ここには、かつて江戸時代に酒を運ぶ船が停泊していた痕跡が残っています。

彼は「海運は消えたが、その遺構は残っている」と語り、さらに「日本酒の未来は空港のほうにある」と続けました。
かつて海を通じて広がった日本酒は、いまや空港を起点に世界へ運ばれる時代に入っています。

歴史の中で流通の形を変えながら、日本酒は人々の暮らしとともに進化してきました。
海から空へと舞台を移し、日本酒はこれからも世界とのつながりを広げていきます。

まとめ

フランス人博士の視点を通して見えてきたのは、日本酒が単なる飲み物ではなく、宗教、歴史、流通、土地、人の営みが重なって生まれてきた文化そのものだという姿です。
過去から現在、そして未来へ。日本酒はこれからも形を変えながら、世界とつながっていきます。

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