記事内には、広告が含まれています。

NHK【最深日本研究】外国人研究者が読み解く商店街の文化人類学──エドマンド・ホフの下北沢“カオス”と大須のコスプレ文化研究|2026年1月31日

最深日本研究
メール購読のご案内

いつも「気になるNHK」をご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、NHKの番組紹介や見どころ、新着情報などをいち早くお届けしています。

スポンサーリンク

外国人博士が見つけた“日本の深層”へようこそ

このページでは『最深日本研究〜外国人博士の目〜 商店街を知りたい(2026年1月31日)』の内容を分かりやすくまとめています。
カナダ出身の研究者エドマンド・ホフが歩くのは、私たちの暮らしのすぐそばにある 商店街

当たり前の風景のはずなのに、彼の目を通すと一気に“未知の世界”へ変わります。古い看板、入り組んだ路地、個性がぶつかり合う店々。そこには大型モールでは絶対に生まれない、日本だけの“カオスと魅力”が息づいていました。

商店街の奥に隠れた物語を、一緒にのぞいてみませんか。

商店街を知りたい:外国人博士が見つけた日本の「最深部」

日本の【商店街】は、地元の人には当たり前すぎて、その凄さに気づきにくい場所です。ところがカナダ出身の文化人類学者・エドマンド・ホフは、ここにこそ日本の「最深部」が現れていると断言します。
郊外型ショッピングセンターが当たり前だった国から来たホフにとって、駅前から延びる細い通りに、雑多な店・神社仏閣・学校・住まいがごちゃっと共存している日本の商店街は、まさに衝撃。その違和感がやがて研究テーマとなり、27年以上にわたって日本各地の商店街を歩き続けることになりました。

番組では、東京・世田谷区の梅丘から下北沢、足立区の北千住、さらに名古屋の大須商店街まで、ホフが歩いてきたフィールドワークの軌跡をたどりながら、日本の商店街が「なぜ残り続けているのか」「なぜ世界の研究者まで惹きつけるのか」を鮮やかに浮き彫りにしていきます。

外国人博士エドマンド・ホフが見た日本の商店街の魅力

エドマンド・ホフはカナダ・バンクーバー出身。日系コミュニティが身近にある環境で育ち、若い頃から「日本ルーツの人びと」の歴史や文化に強い関心を持ってきました。26歳のときに来日し、そのまま日本に根を下ろして研究者となります。現在は国士舘大学に所属し、【商店街の歴史と進化】、そして【伝統文化と若者文化の接点】をテーマに研究を続けています。

ホフの研究スタイルは、とにかく自然体です。白衣もスーツも着ません。普通のバックパックを背負い、商店街の客として歩き回りながら、何度も同じ店を覗き、時には店主と雑談し、街の空気を身体ごと浴びるように確かめていきます。
彼が大切にしているのは、統計データではつかめない「肌ざわり」です。夕方、学校帰りの子どもが自転車で駆け抜けるスピード。古い八百屋に貼られた少し色あせたポスター。夜になって急に増える飲食店の灯り。そうした細部が積み重なって、商店街という「文化の器」をつくっている、とホフは考えています。

番組の中でも、彼は専門用語を振りかざすのではなく、「ここ、すごく面白いですよね」と、楽しそうに語りかけるように街を読み解いていきます。その姿はまさに、研究者でありながら、いち商店街ファンでもあることを物語っていました。

梅丘商店街で浮かび上がる「カオス」と日本らしいゆるさ

ホフがまず歩いたのは、東京・世田谷区の【梅丘商店街】。小田急線梅ヶ丘駅前から伸びるこの商店街には、スーパー、飲食店、薬局、病院、生活雑貨店など、およそ180店舗が加盟していて、暮らしに必要なものが一通り揃います。

いかにも「便利な街」に見えるこの一角で、ホフが真っ先に注目したのは街灯や看板のデザインでした。電柱ごとに違う形の街灯、古いまま残った看板、新しく付け替えられたLEDの照明。整然としたモールとは対照的に、統一感のない景色がずらりと続きます。
ホフはこの状態を、日本ならではの【カオス】だと語ります。きれいに揃ったモールのデザインに比べると、確かにバラバラに見えます。しかしその「バラバラ」は、誰かが厳しく管理しているのではなく、それぞれの店が自分のペースで変わったり変わらなかったりしてきた結果です。

さらに彼を驚かせたのが、商店街の途中に突然あらわれる【宗教施設】です。お寺や神社が、店と店のあいだに当たり前のように入り込んでいる。参道なのか商店街なのか境目があいまいな空間が、東京の住宅地のど真ん中に広がっている。この「生活と信仰の混在」も、ホフにとっては強烈な日本体験でした。

梅丘周辺は、大型ショッピングモールがほとんどないエリアです。そのかわり、日常の買い物は駅前の商店街で完結します。穏やかな住宅地でありながら、駅前には街の人が自然と集まる「日常の広場」が残っている。ホフは、こうした【生活と商いの一体感】こそが、日本の商店街の強みだと見抜いていました。

下北沢・758店舗の巨大商店街と「個性」の力

続いてホフが向かったのは、同じ世田谷区の【下北沢】。小田急線と京王井の頭線が交わるこの街には、6つの商店街が連なり、全体でおよそ758店舗が軒を連ねると言われています。ライブハウスや小劇場、古着屋、雑貨店、カフェが入り混じる、東京を代表するサブカルチャーの街です。

その中でもホフが特に気にしているのが【下北沢一番街商店街】。昭和初期から続くこの商店街には、昔ながらの惣菜店や街の中華屋と並んで、個性的なバーやギャラリー、古着店が肩を並べています。
一見すると「とりとめのないラインナップ」に見えるかもしれませんが、ホフはここに【個性が集まる仕組み】を見ています。

番組では、ホフが以前から気になっていたという小さな店を訪ね、店主に「なぜこの場所で店を開こうと思ったのか」を尋ねていきます。外からはちょっと入りづらい雰囲気の店も、話してみると「下北沢だからこそ、自分の好きなことを思い切りやれる気がした」「チェーンではできないことを試せる場所だと思った」といった答えが返ってきます。
下北沢には、本多劇場やザ・スズナリなど、小規模ながら全国に名を知られる劇場も点在し、街全体が「表現する人」を受け止めてきました。

ホフは、こうした【小さな個性の集積】がショッピングモールには真似できない魅力を生んでいると断言します。モールに入る店は、基本的にチェーンや大資本ばかり。どこへ行っても同じ光景になりがちです。それに対して下北沢の商店街は、店主の性格も品揃えも「バラバラ」。だからこそ、歩くたびに新しい出会いがあり、世界中の旅人が惹きつけられる街になっているのです。

ショッピングセンターと商店街のちがいに見える日本社会の構造

番組の中盤、ホフは紙に図を描きながら、【ショッピングセンター】と【商店街】の構造の違いを説明します。
ショッピングセンターの中心には、マネジメント会社があります。その周りに大規模テナント、小規模テナント、顧客、自治体、近隣住民が控え、「管理会社」が全体をトップダウンでコントロールする形になります。テナント料は高く、入れるのは一定の売上が見込めるチェーン店やブランド店が中心。郊外に巨大な駐車場を構え、天気に左右されない快適な空間を提供する代わりに、「どこも似た景色」になってしまうのが宿命です。

一方、日本の【商店街】の図には、店舗、顧客、住民、自治体に加え、商店街振興組合、銀行、学校、宗教施設など、多様なステークホルダーが横並びで描かれます。誰か一人が全体を支配しているわけではなく、ゆるやかな合意と習慣で成り立っている。
例えば下北沢の商店街では、振興組合に入るかどうかは店の自由です。長年組合に入っていなかった酒屋が、代替わりをきっかけに参加したケースも紹介されていました。入るのもやめるのも自由。それでも街全体はうまく回っている。この【ゆるさ】こそが、日本の商店街を支える構造だとホフは強調します。

この「カオスに見えて実は民主的」という構図は、日本社会全体にも通じるとホフは見ています。きっちりしたルールと契約で動くモール型ビジネスと違い、商店街は顔見知りの関係や、暗黙の了解、地元の祭りとの結びつきなど、目に見えない糸が何本も交差してできたネットワークです。だからこそ、一気に壊れない粘り強さを持ち、都市化が進んだ今も、形を変えながら生き残っているのです。

大須商店街と世界コスプレサミットが示した「商店街×ポップカルチャー」

ホフの研究人生を大きく変えた場所として、番組では名古屋の【大須商店街】も紹介されます。ここで毎年開催されているのが、世界最大級のコスプレイベント【世界コスプレサミット】。2003年にスタートし、翌年からは大須商店街を舞台に大規模なコスプレパレードが行われるようになりました。

ホフは、通訳としてこのイベントに関わったことで、【商店街】と【ポップカルチャー】の結びつきに衝撃を受けます。アニメやゲームのキャラクターに扮したコスプレイヤーが、地元の八百屋や老舗の寺院、電気街の店の前を堂々と歩いていく。観光地ではなく、日常の買い物の場で、世界中の若者が自分の「好き」を表現している。この光景は、ショッピングモールの整然とした空間ではまず生まれません。

ホフは、大須商店街を例に「商店街は単なる買い物の場ではなく、文化が立ち上がるステージでもある」と分析します。店舗の間を流れる路地空間は、イベントのパレードルートにもなり、コスプレイヤーと地元の人が自然に混ざり合う「舞台裏のない劇場」のような役割を果たします。
この経験をきっかけに、ホフは【商店街×ポップカルチャー】の関係に本格的に取り組むようになり、名古屋・大須をケーススタディとした論文を執筆。日本の商店街が世界の研究者からも注目される存在になっていく流れを、自らのフィールドワークで示していきました。

北千住宿場町通り商店街に息づく江戸の記憶と新しいチャレンジ

最後にホフが歩いたのは、東京・足立区の【北千住】。ここには大型ショッピングセンターが2つあり、その周囲に9つもの商店街が広がっています。そのひとつ【宿場町通り商店街】は、江戸時代の旧日光街道の宿場町の中心だったエリア。刀傷が残る古い商家「横山家」や、蔵造りの建物、七福神めぐりの寺社など、歴史の痕跡が今も色濃く残っています。

表通りにはシャッターの閉まった店も目立ち、かつての賑わいだけを見ると「元気がない」と感じるかもしれません。しかしホフは、むしろ看板や建物に刻まれた【歴史と記憶】に注目します。商店街の一角にある観光案内所で資料を読み込みながら、道路拡張や鉄道敷設、戦争、郊外型商業施設の登場など、時代ごとの変化にどう対応してきたのかを丁寧に追っていきます。

そんな中で彼が心をつかまれたのが、レトロポップな雰囲気の喫茶店。8年前にオープンしたこの店は、あえて昔の純喫茶のような外観とメニューにこだわりつつ、若い世代にも刺さる世界観をつくり上げていました。店主は「ショッピングモールにない空気を出したかった」と語り、宿場町通り商店街の歴史を逆手に取って、自分なりの【個性ある店づくり】に挑んでいます。

夕方を過ぎると、北千住の街には会社帰りの人や学生が増え、居酒屋や飲食店の灯りが一斉にともります。大型ショッピングセンターで買い物を済ませた人たちが、最後に足を運ぶのは、結局こうした「顔が見える店」なのだとホフは感じていました。歴史ある宿場町の空気と、新しいチャレンジ精神。その両方を抱え込んだ商店街が、2026年の今も、確かに生き続けているのです。

ホフの視線を通して見直すと、日本の商店街はただの買い物スポットではなく、歴史と暮らし、ポップカルチャーと信仰、個性とゆるやかなつながりが折り重なった、とんでもなく奥深い「都市の心臓部」であることがはっきりと伝わってきます。

NHK【最深日本研究 〜外国人博士の目〜 [終]“コミケ”を知りたい】タイ人博士ヴィニットポン・ルジラットが語る同人文化の魅力|2025年9月23日


気になるNHKをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました