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NHK【最深日本研究】商店街を知りたい|日本の商店街はなぜ残る?外国人研究者が見た商店街カオスの正体|2025年12月9日★

最深日本研究
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商店街を知りたい

地元の景色だと思っていた商店街を、まったく違う角度から見つめ直すきっかけになる回です。日本文化を深く研究してきたカナダ出身のエドマンド・ホフが、30年近い生活を通して感じてきた『商店街の魅力』を語ります。

カナダ人研究者エドマンド・ホフとは?

エドマンド・ホフは、国士舘大学で現代文化や人類学、言語学を扱う研究者です。日本のサブカルチャーや伝統文化との接点に長く関心を寄せてきました。なかでも、1990年代から向き合ってきたのが『商店街』という空間です。
彼は商店街を「文化が混ざり合う場所」と捉え、生活者の息づかいが見える場だと考えています。個人店が集まり、店主の思いや地域の空気がそのまま形になる商店街は、彼にとって研究対象であると同時に日常の一部にもなってきました。

なぜ商店街を30年も見続けてきたのか

長く日本に暮らす中で、ホフは商店街に『他の国にはない独自の姿』を見つけました。
大型ショッピングモールが都市を支配していく世界的な流れとは対照的に、日本では昔からの商店街が今も息づいています。そこには買い物だけでなく、地域のつながりや文化が残り続ける要因があります。
商店街がなぜ残るのか。その問いを解くには、日々歩き、観察し、生活者として関わる必要があると考えたホフは、30年近く地元の商店街を歩き続けています。商店街を研究する理由は、そこに『現代と伝統が同時に見える場所』があるからです。

世界の都市と日本の商店街ってどう違う?

世界の多くの都市では、大型商業施設が中心になりやすく、個人店がひしめき合う商店街は少数派です。
日本の商店街は歩行者が主役で、八百屋、魚屋、パン屋、飲食店、洋品店などの個人商店がぎっしり詰まっています。住民が毎日の生活の中で利用し、店主との距離も近い。この地域性と日常性こそ、日本特有の魅力です。
さらに、祭りや共同イベントが行われることも多く、商業だけでなく文化とコミュニティの中心になってきました。こうした『生活文化』『地域の歴史』が積み重なった空間が日本の商店街の特徴であり、世界の都市にはあまり見られない構造です。

商店街にひそむ“個性”と“カオス”とは?

ホフが魅力を感じてきたのは、商店街に漂う「個性」と「カオス」です。
個人の価値観がそのまま店に表れ、通りには多様な世界が連続します。統一感のない看板、変わり続ける店舗、手書きのPOP、小さな店の工夫。雑多でありながら、その雑多さがなぜか心地よいのが商店街です。
それは、効率を追い求めた都市空間とはまったく別物で、偶然性が生まれ続ける『文化空間』としての魅力があります。ホフはこの混じり合いこそが商店街の個性だと語ります。

フィールドワークで見えてくる“生活者”の姿

ホフは「研究者」と「生活者」の両方の立場から商店街に関わってきました。毎日通う場所として店主の表情を見つめ、季節で変わる客層の流れを記録し、そこで育つコミュニティを観察してきました。
商店街の魅力は、単なる買い物空間ではなく、人の暮らしがそのまま形になっていることです。誰が、どの時間に、どの店に立ち寄るのか。その流れは日々変化し、地域の生活リズムまで映し出します。
商店街は『人の記憶が積み重なった場所』であり、その観察を続けることで、ホフは日本文化を深く理解してきました。

商店街はポップカルチャーなのか?

ホフが商店街を“ポップカルチャー”と語るのは、商店街が持つ即興性や多層性にあります。
世代も国籍も違う人々が行き交い、伝統的な店と新しい店が自然に並び、昔ながらの文化と現代の感性が混ざり合う。この「雑多さの魅力」はまさに現代文化にも通じます。
個々の店がまとまって一つの物語を作り、地域のカルチャーとして生き続ける。商店街を歩くことは、地域の“リアルな文化”と出会う行為でもあります。

商店街が今も生き続ける理由と未来

モールやネット通販が発達した2025年でも、多くの商店街は地域に根づき続けています。
それは、商店街が『買う場所』だけでなく、『人がつながる場所』『地域文化を支える場所』としての役割を持つからです。
各地で商店街を守る取り組みが行われ、まちづくりの中心として再評価される動きも広がっています。
そして今、ホフのような外国人研究者の視点が入ることで、日本人が気づかなかった商店街の魅力が見えてきています。商店街は過去の遺物ではなく、未来に向けて価値が高まる可能性を秘めています。

まとめ

番組では、エドマンド・ホフが日本の商店街をどのように見つめ、何を感じてきたのかが語られます。商店街がなぜ残るのか、どんな文化が息づいているのか、その背景がわかる内容です。
まだ放送前のため、詳しいエピソードは放送後に追記しますが、商店街の魅力を深く知るきっかけになる回になりそうです。

商店街の現状データから見える「なぜ残る/存続が難しいか」の背景

しげゆき
しげゆき

ここからは、筆者からの追加情報として、日本全国の商店街が置かれている今の状況を紹介します。商店街がなぜ残り続けるのか、そしてなぜ存続がむずかしくなっているのかが、数字を見ると一気に立体的になります。

空き店舗率と“増える予兆”が同時に存在している

全国の商店街の平均空き店舗率は13.6%で、これは歩けば必ず空き店舗が目に入るくらいの割合です。さらに1商店街あたりの平均空き店舗数は約5.5店で、多くの商店街が複数の空き区画を抱えています。
ここで注目したいのは、商店街自身が「今後さらに空き店舗が増える」と考えている割合が49.9%とほぼ半数にのぼる点です。つまり、“今ある空白”だけでなく、“これから広がる空白”に対する不安が強くあるということで、商店街の未来に影を落としている要素です。

それでも商店街の店数は維持されている

一方で、興味深い数字があります。商店街全体で見ると、1商店街あたりの平均店舗数は51.2店と報告されており、これは以前と比べてわずかに増加しています。さらに、商店街の中でチェーン店が占める割合は10.6%で、個人店を中心としながらも新しいタイプの店舗が入り始めています。
この数字から読み取れるのは、空き店舗があるにもかかわらず、商店街という枠組みそのものが縮小し続けているわけではないという点です。新しいお店が入ったり、チェーン店が生活の便利さを加えるなど、商店街は「変わりながら生き続けている」という姿を見せています。

多様な店が並ぶ“地域密着の強さ”

平均で50店以上が集まる商店街は、小売、飲食、サービスなど多様な店がそろい、住民が日常の中でちょっとした買い物を済ませられる便利な場所になっています。大型モールのような華やかさはなくても、家から歩いて行ける距離に“必要なものがある”という生活動線の近さが、地域で長く愛される理由につながっています。
これは、日本の生活文化とも深く結びついていて、商店街が単なる買い物の場所ではなく地域の生活基盤として続いてきた背景でもあります。

コミュニティの場としての価値

たとえ空き店舗があっても、商店街には今も人と人のつながりがあります。個人店の店主同士が顔なじみだったり、地域のお祭りやイベントの拠点になったりすることで、商店街は“文化と暮らしの場”として機能しています。
このようなコミュニティ性が、経済的に不利な状況でも商店街が残り続ける大きな理由となっています。

変化を受け入れながら続く“再構築の力”

商店街は、空き店舗の増加やチェーン化の波を受けても、その中で新しい形を模索し続けています。古い店が閉じても、新しい業態の店が入り、若い世代の挑戦が見られる商店街も増えています。
こうした変化の積み重ねが、商店街を「消えていく場所」ではなく、「新しく作り直され続ける場所」へと変えています。古い店と新しい店が並ぶことで、少しごちゃっとした印象になることもありますが、それは商店街が生きている証として受け取ることができます。

数字が教えてくれる“粘り強さ”

空き店舗率は高く、将来への不安もある。それでも商店街が消えずに残っているのは、地域で育まれてきた暮らしの文化があるからです。数字だけでは測れない価値が、商店街を支え続けています。
こうした背景を知ると、商店街が“なくならない理由”が、経済合理性だけでは説明できないことがよくわかります。商店街が今も人を引きつけ、研究の対象にもなるのは、この独特の歩み続ける力があるからだと感じます。


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