願いはどこへ届くのか 絵馬という日本のかたち
このページでは『趣味どきっ! 開運! 神秘のちから 縁起物 神との交信・絵馬(2026年1月20日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
神社に並ぶ無数の絵馬。その一枚一枚には、声に出せない本音や、切実な願いが静かに託されています。なぜ日本人は願いを「書く」ことで神に伝えてきたのか。
馬から始まった絵馬の歴史、形や絵柄に込められた意味、そして紙の絵馬という新しい発想まで。絵馬をたどると、日本人が神と向き合ってきた時間と心の奥が見えてきます。
絵馬は「神への通信手段」
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絵馬は、願いを神へ届けるために生まれた、日本独自の縁起物です。
心の中で思っているだけでは届かない想いを、言葉にし、板に書き、神前に差し出す。その行為そのものが、神との交信になります。
声に出せない願い、不安、希望も、短い文章にすると不思議と輪郭を持ちます。
絵馬は祈りを整理し、形にし、目に見えるものへと変えてくれる道具です。
今回の回では、数ある縁起物の中でも「神と直接つながる力」を持つ絵馬を正面から扱います。
神社にずらりと並ぶ絵馬は、単なる飾りではありません。そこには、いまこの時代を生きる人々の本音と願いが、そのまま積み重なっています。
その場に立つだけで、世の中が何を求め、何に悩み、何を信じているのかが静かに伝わってきます。
絵馬は、願いの集積であり、日本人の心の記録なのです。
馬から板へ 絵馬の起源
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絵馬の始まりは、馬が神の乗り物だと信じられていた古い信仰にあります。
神に願いを届けるため、人々はかつて“生きた馬”を奉納していました。それほど馬は、神と人をつなぐ特別な存在だったのです。
しかし馬は高価で、誰もが用意できるものではありませんでした。
そこで願いの形は少しずつ変わります。土や木で作った馬の像へ、さらに「板に馬の姿を描いて奉納する」方法へと移り変わっていきました。
こうして生まれたのが、絵で表した馬、つまり絵馬です。
ここで大切なのは、絵馬が単なる簡略版ではないという点です。
生きた馬を持たなくても、想いを込めれば神に願いは届く。
その考え方は、祈りを特別な人のものから、誰もが行えるものへと広げました。
絵馬は豪華さを削った代用品ではなく、願いを社会全体にひらいた、静かで力強い発明なのです。
絵柄と形の多様性 願いの見える化
いま目にする絵馬は、もはや馬の姿だけに限られません。
動物、道具、人物、文字、地域の名物など、絵柄も形も驚くほど多様です。その一つ一つに、「何を願っているのか」「どんな神に届けたいのか」が、はっきりと表れます。
同じお願いでも、合格、恋愛、健康、家族、安全、商売では、言葉の選び方も視点も変わります。
だからこそ絵馬は、願いをそのまま書き連ねる場所ではありません。思いを整理し、短い言葉にまとめ、神前に差し出せる形へと整える役割を持ちます。
ばらばらだった気持ちは、絵や言葉を選ぶ過程で一つに集まります。
絵馬は、願いを「見える形」に変え、人の心をはっきり映し出す装置なのです。
珍しい絵馬が語る 人々のリアルな祈り
番組では、思わず足を止めてしまうような絵馬が数多く登場します。
その「珍しさ」は、形が変わっているからではありません。そこに書かれた願いが、あまりにも現実的で切実だからです。
土地の歴史、仕事の悩み、災害への恐れ、病との向き合い方、家族の事情。
それらが、絵柄や言葉の選び方として静かに表れます。絵馬は、ただの願い札ではなく、人々の暮らしと感情をそのまま映し出す記録です。
並んだ絵馬を眺めると、人々が何に困り、何を守り、何を信じてきたのかが自然と見えてきます。
だから絵馬を見る体験は、単なる開運行動では終わりません。
自分の願いを確かめ、他人の祈りに触れ、いまの社会の空気を読み取る。
絵馬は、人と人、そして時代をつなぐ、静かな語り部なのです。
紙の絵馬という発想 願いを広げる
今回の回では、木の板だけでなく「紙に描かれた絵馬」も登場します。
この紙の絵馬は、形こそ違いますが、役割は変わりません。願いを言葉にし、神へ差し出すという本質は、そのまま保たれています。
紙は板よりも自由度が高く、描くことも書くことも軽やかです。大きさや表現に縛られず、思ったままをのびのびと形にできます。そのため、願いがより具体的になり、自分の気持ちと正直に向き合いやすくなります。
形が変わっても、核にあるのは同じです。
願いを具体的な言葉にし、神前に差し出す。その一点において、紙もまた立派な絵馬として機能します。
講師が「紙絵馬で大きな幸運をつかんだ」という体験を語ることで、視点はさらに広がります。
高価な素材や決まった形式ではなく、想いの込め方こそが願いを動かす。紙の絵馬は、そのことを力強く示します。
願いは形に縛られない。
紙の絵馬は、祈りの可能性を大きく広げる存在なのです。
書き方と納め方 願いを届かせる作法
絵馬は、表に絵や象徴的な図柄が描かれ、裏に願いごとを書く形が一般的です。
この配置には意味があります。表は神の目に触れる側、裏は人の本音を託す側。その意識が、自然と書く言葉を引き締めます。
書き方に厳密な決まりはありませんが、「何をどうしたいのか」を短く具体的に書くほど、願いの輪郭ははっきりします。
あいまいな願いはあいまいなまま残りますが、言葉を選ぶことで、自分自身の気持ちも整理されていきます。
書き終えた絵馬は、境内に設けられた絵馬掛けに奉納するのが基本です。
そこに掛ける行為そのものが、「願いを神に預ける」という区切りになります。
持ち帰って祀る考え方が紹介されることもありますが、番組の流れに沿って考えるなら、絵馬は神社に納めて完結するものとして理解すると分かりやすいです。
書く、掛ける、離す。その一連の作法が、願いをきちんと神へ届けるための、大切な道筋なのです。
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