巨大怪鳥ハシビロコウの知られざる素顔
このページでは『ダーウィンが来た!「強く優しい!巨大怪鳥ハシビロコウ」(2025年1月25日)』の内容を分かりやすくまとめています。
アフリカの湿地にひっそりとたたずむハシビロコウは、恐竜のような姿で知られながら、生態の多くが長く謎に包まれてきました。
今回、取材班はその奥地での長期密着に成功し、これまで見えなかった“二つの顔”を記録します。獲物を豪快にしとめる“強さ”と、ヒナを守り育てる“やさしさ”。
巨大怪鳥のイメージが一変する、ドラマチックな発見が次々と明らかになります。
巨大怪鳥ハシビロコウとは何者か
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ハシビロコウは、アフリカの広大な湿地に生きる大型の水鳥で、分類上はペリカン目ハシビロコウ科ハシビロコウ属に属しています。この科・この属にはこの1種しか存在せず、世界的にもきわめて特異な鳥として知られています。学名は Balaeniceps rex。この「rex」はラテン語で「王」を意味し、湿地に堂々と立つ姿から“湿地の王”とも呼ばれています。
体の大きさは全長1メートル以上、翼を広げると2メートル近くに達し、鳥類の中でも存在感は群を抜いています。中でも目を引くのが、くつのような形をした巨大なくちばしです。このくちばしは単なる見た目の特徴ではなく、獲物を確実に仕留めるために進化した、極めて実用的な道具でもあります。その異様なシルエットが、「巨大怪鳥」という言葉を自然と連想させます。
恐竜を思わせる風貌から強そうな印象を持たれがちですが、実はその数は非常に少なく、希少な存在です。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧種に分類され、野生の個体数は数千羽程度と推定されています。番組では、この圧倒的な見た目と、絶滅の危機にあるという現実、その両方を軸にしながら、ハシビロコウの本当の姿が描かれていきます。
アフリカ湿地に生きる“動かない鳥”のくらし
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ハシビロコウが暮らすのは、アフリカ東部から中部にかけて広がる淡水性の湿地帯です。南スーダンやウガンダ、タンザニア西部、コンゴ民主共和国、ザンビア北部など、人の立ち入りが難しい地域が主な生息地とされています。背の高いパピルスが密生し、水路と陸地が複雑に入り組んだ環境は、人間にとっても過酷な場所です。
この湿地で、ハシビロコウは非常に独特な狩りのスタイルをとります。泥に足を取られないよう慎重に立ち、獲物が現れるまでほとんど動かずに待ち続けます。数十分、時には数時間も同じ姿勢を保つことがあり、その姿から“動かない鳥”とも呼ばれています。しかし、じっとしている間も決して気を抜いているわけではなく、水面のわずかな揺れや音に全神経を集中させています。
番組では、こうした湿地の奥深くにカメラが入り、ねぐらの場所や狩り場への移動ルート、他の動物たちとの距離感など、これまで断片的にしか知られてこなかった日常が映し出されます。人の目が届きにくい場所で、ハシビロコウがどのように一日を過ごしているのかを知ることができる点は、大きな見どころです。
豪快ハンターの意外に優しい子育ての素顔
ハシビロコウは、その巨大なくちばしを使って獲物を一瞬で仕留める、非常に力強いハンターです。主にハイギョなどの大型魚を狙い、獲物を見つけた瞬間、静止状態から一気に動き出します。その鋭い動作は、まさに湿地の頂点捕食者と呼ぶにふさわしいものです。
ところが、繁殖期になると、その印象は大きく変わります。巣は湿地の中でも比較的安定した場所につくられ、草や枝を丁寧に積み重ねて整えられます。親鳥は長時間巣を離れず、卵やヒナを守り続けます。強い日差しが照りつけると、くちばしで水をすくってヒナにかけ、体温が上がりすぎないよう気を配る姿も確認されています。
番組では、こうした子育ての様子が長期密着によって記録され、巨大なくちばしを持つ親が、驚くほど繊細にヒナと向き合う姿が映し出されます。強さとやさしさを同時に持つ生き物であることが、視覚的にもはっきりと伝わってきます。
個体数わずか数千羽…絶滅危惧種になった理由
ハシビロコウが絶滅の危機にさらされている最大の理由は、生息地である湿地の急速な減少です。農地開発や放牧による湿地の改変、水質の悪化、山火事や焼き畑など、人間の活動が湿地環境に大きな影響を与えてきました。
さらに、その珍しい姿ゆえに、過去には標本目的や観賞用としての捕獲、違法取引も問題となりました。こうした要因が重なり、かつてはもっと多く存在していたと考えられる個体数は、現在では5,000羽前後まで減少したとされています。
生息地が点在していることも、回復を難しくしています。群れが分断されやすく、一度数が減ると自然に増えるまでに長い時間がかかります。番組では、アフリカの湿地で実際に起きている環境変化が、ハシビロコウのくらしにどのような影響を及ぼしているのかが、具体的な映像とともに伝えられると考えられます。
研究者たちの保護プロジェクトと「ダーウィンが来た!」の密着取材
ハシビロコウを守るため、現地の研究者や国際的な保護団体はさまざまな取り組みを続けています。重要な湿地を保護区に指定し、繁殖地を長期的に調査する活動や、違法な捕獲を防ぐための啓発活動が進められています。また、現地の人々と協力し、保護と生活を両立させる仕組みづくりも重要なテーマです。
動物園でも繁殖への挑戦が行われていますが、ハシビロコウの繁殖は非常に難しく、成功例はごくわずかです。それだけに、野生での保全活動がいかに重要かが分かります。
今回の「ダーウィンが来た!」では、アフリカの湿地での長期密着取材に初挑戦し、謎に包まれてきた巨大怪鳥のくらしと、それを支える研究者たちの努力が重ねて描かれます。強さとやさしさを併せ持つ巨大怪鳥ハシビロコウの姿が、これまで以上に立体的に伝わる回になりそうです。
まとめ
ハシビロコウは、恐竜のような姿とは裏腹に、繊細で愛情深い一面をあわせ持つ、極めて希少な鳥です。アフリカの湿地という過酷な環境で生き抜く強さ、そしてヒナを守り育てるやさしさは、多くの人が抱いてきたイメージを大きく変えるものです。
ダーウィンが来た!では、長期密着だからこそ見えてきた生態や、研究者たちによる保護活動を通して、巨大怪鳥の“本当の姿”が描かれます。自然と人との関わりを考えるうえでも、非常に示唆に富んだ内容と言えるでしょう。
※本記事の内容は放送前情報や番組概要をもとにまとめているため、実際の放送内容と異なる場合があります。
※放送後に内容を確認し、必要に応じて追記・修正します。
NHK【ダーウィンが来た!】真冬に子育て!?へんてこクチバシ鳥の秘密|イスカの生態と下北半島の冬繁殖の理由を徹底解説|2025年1月18日
日本の動物園と野生で異なるハシビロコウの行動を紹介します

日本の動物園で見られるハシビロコウは、野生の個体と同じように長時間じっと立つことが多いですが、その理由や背景には明確なちがいがあります。ここでは、そのちがいを具体的に紹介します。
動物園では「静止行動」がより目立つ理由
動物園では、決まった時間に餌が与えられるため、野生のように長い時間をかけて獲物を探す必要がありません。このため、展示スペースでじっと立つ姿がより多く見られます。野生では、この静止は水面の動きを集中して探るための行動で、数時間かかることもあります。動物園では環境が安定しているので、同じ姿勢でも野生のような緊張ではなく、落ち着いて過ごす時間として表れています。展示スペースが一定であることから、体の向きや立つ位置が安定しやすく、訪れた人が「まるで置物のよう」と感じやすいのも特徴です。
野生では「待つこと」が生きるための技
野生のハシビロコウは、広い湿地を慎重に歩き回り、魚やハイギョを探します。水辺に立つと、その場で動かずにじっと獲物を待ちます。この行動は、気配を悟られずに近づく獲物を確実にとらえるための重要な技です。湿地は泥が深く、草が高く茂り、歩き続けるだけでも体力を使うので、一度よい場所を見つけると動かずに粘り強く待ちます。捕食の瞬間には一気に体を前に倒し、くちばしで獲物をはさみます。この一瞬の動きに成功率が左右されるため、長い待ち時間は生きるために欠かせない行動です。
行動の種類が変わる理由
動物園の個体は、飛ぶ距離や移動範囲が限られているため、野生のように広い湿地を移動する行動が少なくなります。野生では場所を変えながら湿地の環境を読み取り、よりよい狩り場や安全な休む場所を探します。動物園では天敵がいない環境で暮らしているため、野生ほど警戒する動作が多くありません。翼を大きく広げて体を乾かす行動や、羽づくろいの回数が増えるなど、生活の中でゆとりが生まれたような行動が見られる場合があります。展示スペースの構造によっては、野生ではあまり見せない細かな動きが観察できることもあります。
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