その腰の違和感、まだ引き返せます
このページでは『未病息災を願います「腰」が痛いと感じたら(2026年1月25日)』の内容を分かりやすくまとめています。
わずかな張りや重さでも、腰痛は静かに進行し、気づいた頃には立ち上がる一歩さえつらくなることがあります。けれど、まだ痛みが深く刻まれる前なら、体は必ず応えてくれます。
“見えない腰痛”を味方につけるチャンスは今。インナーマッスルと脳の働きを整えれば、毎日の動きが驚くほど軽くなる。その瞬間を目指して、一緒に腰の未来を守っていきます。
見えない腰痛と見える腰痛の違い
腰の痛みは、年齢や体力とは関係なく誰にでも起こり得るトラブルです。実際、腰痛は日本人の8割以上が一生のうちに経験し、その多くが「原因不明」とされるケースです。この“原因不明”こそが、検査で異常が見つからない見えない腰痛です。
見えない理由は「異常がない」からではありません。筋肉や靭帯、関節に起きたごく微細な損傷は、MRIやレントゲンでは読み取りきれないことがあります。そのため“異常なし”と判断されがちですが、実際にはじわじわと小さなダメージが積み重なり、腰の深部で炎症や機能低下が進んでいる状態です。
この段階で放っておくと、損傷は少しずつ拡大します。背骨をつなぐ椎間板への負荷が増し、ついには中身が飛び出してしまう椎間板ヘルニアや、神経の通り道が狭くなってしまう脊柱管狭窄症といった見える腰痛へ移行してしまうことがあります。これが「痛みが急に強くなった」「歩くと足がしびれる」などの深刻な症状を生み、日常生活を大きく制限してしまいます。
番組で解説した早稲田大学の金岡恒治教授は、日本のスポーツ医科学を牽引する専門家で、腰痛研究の第一人者です。金岡教授は、見えない腰痛の段階なら、背骨を支えるインナーマッスルが目覚めることで、自然治癒力が働き、元の状態に戻れると強調します。腰痛はただの「痛み」ではなく、体の使い方が徐々に崩れてきたサイン。姿勢のクセや筋肉の偏りを整えることで、痛みの根本にアプローチできると説明します。
そしてもう一つの重要な要素が「脳」です。福島県立医科大学の二階堂琢也准教授は、脳の働きと痛みの関係を研究する医師で、慢性痛治療のスペシャリスト。二階堂准教授によると、人は痛みを感じると、体の異常だけでなく、心理的なストレスや緊張が脳の活動を弱めてしまうことがあります。
脳が疲れたりストレスを抱え込みすぎると、本来備わっている“痛みを和らげる働き”が弱まり、実際の損傷以上に痛みを強く感じてしまう——これが脳の腰痛です。
「検査で異常がないのに痛い」「痛みが数か月取れない」といったケースの多くは、筋肉や関節の損傷に加えて、脳の痛み抑制システムが十分に働いていない可能性があります。
つまり、腰痛には
・体の損傷(筋肉・関節)
・脳の働き(ストレス・緊張・不安)
この二つが深く関わっており、どちらも整えることで回復が大きく前進します。
見えない腰痛の段階で気づき、適切な運動と心のケアを組み合わせれば、痛みが本格的な“見える腰痛”へ進む前に引き返すことができます。腰の声を聞き、早めに対策することが、未来の自分を守る最強の方法です。
腰の危険度を見極めるセルフチェック
腰の痛みは、“今すぐ治療が必要な段階”なのか、“まだ引き返せる段階”なのかを見極めることがとても重要です。番組で紹介された3つのセルフチェックは、どれも自宅で簡単にできる動きですが、無理をすると症状を悪化させることがあります。痛みが鋭かったり、しびれが強まったりした場合は、必ずその場で中止することが大切です。
ここでは、番組の説明に基づきつつ、なぜその動きで腰の状態が分かるのか、その背景も含めて詳しく紹介します。
前屈テスト
足を肩幅に開き、ひざを伸ばしたままゆっくり上半身を前に倒していきます。手を床に向けて伸ばすだけのシンプルな動きですが、この姿勢では椎間板に前方から圧力がかかります。もし椎間板の一部が後ろ側に突出し始めている状態であれば、この圧力によって神経に負担がかかりやすく、鋭い痛みや足へのしびれが出ることがあります。こうした場合、椎間板ヘルニアの前兆や進行した状態が疑われます。
脚上げテスト
仰向けになり、片脚ずつひざを伸ばしたまま上げていきます。目安は70~90度ですが、その途中でピリッと電気が走るような痛みが太もも裏やふくらはぎに出る場合、椎間板ヘルニアが神経を圧迫している可能性があります。これは「SLRテスト」と呼ばれ、実際に病院でも行われる評価方法です。上げる角度が低い段階で痛みが出るほど、神経の圧迫が強い傾向があります。
上体反らしテスト
腕を胸の前で組み、上体をゆっくり反らし、次に右後ろ・左後ろへと角度を変えて反らしていきます。この動きは脊柱の後ろ側に負荷がかかるため、脊柱管が狭くなっている場合、神経の通り道がさらに圧迫され、強い痛みやしびれが出ます。とくに中高年で足のしびれ・歩きづらさがある人は注意が必要で、脊柱管狭窄症のチェックとして効果的です。
セルフチェックの結果の見方
どのテストでも“強い痛み”が出た場合は、必ず整形外科など医療機関へ。早めの検査が重症化を防ぎます。
一方で、「痛みまではいかないが重い」「引っ張られるような違和感がある」程度であれば、まだ見えない腰痛の段階である可能性が高いと考えられます。このタイミングで運動療法や生活改善を始めると、症状の進行を大きく食い止めることができます。
セルフチェックは、腰の“今”を知るための大切なコンパスです。腰からの小さなサインを見逃さず、早めに対策を取ることが、未来を守る第一歩になります。
腰痛改善に必須のインナーマッスル4運動
腰痛の大きな原因のひとつは、インナーマッスルが十分に働かず、背骨がぐらついたまま動いてしまうことです。本来、背骨のまわりを支える腹横筋・多裂筋が瞬時に働き、体の軸を安定させることで腰が守られます。しかし、長時間の座り姿勢や運動不足が続くと、インナーマッスルは“眠った”ように反応しにくくなり、その代わりにアウターマッスルだけが頑張ることで腰に負担が集中します。
番組で紹介された4つの運動は、この眠ってしまったインナーマッスルを呼び覚ます「スイッチ」。毎日少しずつ続けるだけで、腰の安定感が驚くほど変わっていきます。
ドローイン
仰向けになり、ひざを立ててリラックスします。そこから背中と床のすき間をなくすイメージで、おへその下をふっとへこませます。3秒キープすると腹横筋がじわっと働き始めます。背中の下に手を差し込むと、背骨が押し返してくる感覚があれば正しくできている証拠です。大きくへこませる必要はなく、ほんの少し“薄くなる”感覚で十分です。
四つ這い脚上げ
四つ這いになり、骨盤を軽く前に傾けて、おなかに軽く力を入れます。この姿勢を作るだけでインナーマッスルがスイッチオン。そこから片脚をゆっくり水平まで上げ、3秒キープします。脚よりも大事なのは骨盤がぶれないこと。ほんの少しの揺れでもインナーマッスルの働きが弱くなっているサインになります。反対側も同じように行い、軸の安定感を左右で比べることもできます。
骨盤を動かす運動
椅子に浅く座り、腕を胸の前で組み、肩の高さは固定したまま骨盤だけを動かします。まず限界まで後ろに倒して腹横筋を感じ、次に限界まで前に倒して多裂筋を意識します。大きく動かすよりも、「骨盤がどの方向に動いているのかを丁寧に感じること」が大切です。この感覚が目覚めてくると、日常のあらゆる動きで腰が安定しやすくなります。
背骨ロール(上級)
座った姿勢から、背骨を一本ずつ床に下ろすようにゆっくり倒れていきます。腰→背中→首という順番を丁寧に感じながら行うことで、背骨の連動とインナーマッスルの協調性が高まります。起き上がるときも同じく、首→背中→腰と逆順でゆっくり起き上がります。急いで行うとアウターマッスルだけが働くので、できる範囲でゆっくり、静かに動くことがコツです。
これらの運動を組み合わせると、インナーマッスルがしっかり働くようになり、背骨が安定し、腰への負担が軽減します。番組では、15年も見えない腰痛に悩まされた女性が、このエクササイズを続けたことで、3~4か月で痛みが軽くなり、半年後にはほとんど痛みがなくなった驚くべき例を紹介しました。
「もう治らない」と思い込んでいた痛みが消え、再び趣味を楽しめるようになったというエピソードは、多くの人に希望を与えるものでした。
インナーマッスルは、年齢に関係なく鍛えれば必ず応えてくれます。今日の一動作が、未来の腰を守る大切な一歩になります。
ストレスが腰痛を悪化させる理由
腰の痛みというと「筋肉の疲れ」「姿勢の悪さ」「加齢による変化」が原因だと思いがちですが、番組が強く伝えていたのは、ストレスが腰痛を大きく悪化させるという事実です。
私たちの脳には、本来“痛みを抑えるブレーキ”のような仕組みが備わっています。痛みを感じると、脳内ではドパミンなどの神経伝達物質が分泌され、痛みの信号を弱めてくれる役割を果たします。しかし、強いストレス・不安・過労・緊張が続くと、この仕組みがうまく働かなくなります。
その理由は、ストレスがかかると脳の血流が一気に減ってしまうからです。血流が減ると脳の活動が鈍り、ドパミンの分泌も低下。すると、痛みを抑える力が弱まり、通常なら耐えられる刺激も強い痛みとして感じやすくなります。
その結果、
痛みを感じる
→ ストレスが増える
→ 脳の抑制機能が弱る
→ 痛みをさらに強く感じる
→ 動けなくなる・気持ちが沈む
→ さらに痛みが増える
という“痛みの悪循環”が生まれます。
とくに、真面目な人、完璧主義、我慢しがち、責任感が強いタイプは、この悪循環に入りやすいと言われています。「これくらい大丈夫」と痛みを放置し、気持ちも無理を重ねてしまうことが多いためです。
番組では、この「脳の腰痛」を疑うためのセルフチェックも紹介されていました。気分の落ち込み、睡眠の質、食欲、イライラ、疲れやすさなど、心の状態を点数化することで、ストレスの影響を見極められます。
抜け出すための対策は、薬や特別な機械ではありません。脳に“痛みを抑える力”を取り戻す日常の工夫です。
・好きなことをする
・信頼できる相手に不満や悩みを話す
・毎日「できたこと」を書き出して達成感を積む
こうした小さな行動でも、脳内のドパミンは確実に増えます。ドパミンが増えると、痛みを抑える回路が再び動き出し、長引いていた痛みが和らぎやすくなります。
番組の専門家・二階堂准教授は「脳は変わる。痛みの感じ方も変えられる」と語りました。ストレスに気づき、心のケアを始めることは、腰そのものを守る最短ルートでもあります。
痛みは体だけでなく、心にも負担をかけます。心の緊張をゆるめ、気分が少し軽くなるだけでも、痛みの世界は大きく変わります。
今日からできる腰を守る生活術+レシピ
日常の姿勢は腰痛改善のカギです。
座るときは、骨盤を後ろ倒しと立てる姿勢をこまめに切り替えるだけで負担が軽くなります。「よっこいしょ」と声を出して持つ動作は、自然と体幹が安定する合理的な仕組みでもあります。
番組では、腰に優しい温かい料理も紹介されました。栄養バランスが整い、筋肉の回復も助けてくれます。
かきとブロッコリーの豆鼓炒め
<材料>
・かき
・ブロッコリー
・ねぎ
・しょうが
・にんにく
・豆鼓
・とうがらし
・しょうゆ
・酒
・砂糖
・水
・かたくり粉
<作り方>
・ブロッコリーを下ゆでする
・薬味・豆鼓をみじん切りにして炒める
・かきを加え、火が通ったらブロッコリーを戻す
・調味料で味をまとめ、とろみをつける
あさりと豚肉の春雨スープ
<材料>
・あさり
・豚肉
・ねぎ
・高菜
・パクチー(根・葉)
・春雨
・花椒
・油
・水
・塩
・すだち
<作り方>
・あさりを下処理する
・豚肉・ねぎ・高菜・パクチーの根を炒める
・あさりを加え殻が開いたら水を注ぐ
・味を整える
・春雨を加えて火を通す
・パクチーの葉とすだちを添える
温かい料理は腰まわりの血流を上げ、体のこわばりもやわらげます。
痛みは、体からの小さなSOS。その声に気づくことで、未来は変わります。見えない段階で手を打てば、腰は必ず応えてくれます。今日からできる一歩で、軽やかな毎日を取り戻していきます。
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腰痛が悪化しやすい日常のクセ

腰痛は、特別なケガや病気がなくても、毎日の何気ない動きの積み重ねで悪化していきます。痛みを感じている人ほど、「いつもの生活」が原因になっていることに気づきにくいものです。ここでは、日常の中で特に影響が大きいクセを、事実に基づいて整理して紹介します。自分の暮らしを思い浮かべながら読んでみてください。
長時間同じ姿勢を続けてしまう
長く座り続ける、立ち続けるといった動きの少ない状態は、腰痛を悪化させやすい代表的なクセです。座っている姿勢は、実は立っているときよりも腰にかかる負担が大きいとされています。血の流れが悪くなり、筋肉が固まることで、腰まわりの違和感が強くなります。仕事や家事に集中していると、気づかないうちに同じ姿勢を続けてしまい、痛みがじわじわと積み重なっていきます。
前かがみや猫背が当たり前になっている
スマートフォンを見るとき、料理や洗面で前かがみになるときなど、背中を丸めた姿勢が習慣になっている人は少なくありません。この姿勢が続くと、腰の骨や筋肉に余計な力がかかり、腰痛が慢性化しやすくなります。本人は楽な姿勢のつもりでも、腰だけが無理をして支えている状態になりやすく、痛みが抜けにくくなってしまいます。
体を動かさない生活が続いている
痛みがあると動くのが怖くなり、体を動かさない生活になりがちです。しかし、動かさない時間が長くなるほど、腰を支える筋肉は弱くなります。筋肉が減ると、同じ動作でも腰への負担が増え、腰痛を繰り返しやすくなります。日常の動きが減ること自体が、腰の回復を遅らせる大きな要因になります。
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