鳥海山に抱かれた人々の物語
このページでは『小さな旅 選「霊峰に守られて 〜秋田県 鳥海山麓〜」(2026年2月1日)』の内容を分かりやすくまとめています。
秋田と山形にまたがりそびえる鳥海山は、季節ごとに姿を変えながら、麓の暮らしを静かに見守ってきました。
獅子舞の祈りを受け継ぐ人、伏流水で酒造りに挑む若き蔵元、荒れる日本海で山を頼りに生きる漁師。
それぞれの人生に、霊峰が寄り添うように存在していることが伝わってきます。
鳥海山とともに暮らす山麓の営み
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秋田と山形の県境にそびえる鳥海山は、その姿の美しさから「秋田富士」とも呼ばれ、古くから人々に畏れと恵みの両方をもたらしてきました。噴火の歴史を持ちながら、豊かな伏流水を生み、農業や酒造り、さらには海の漁にもつながる命の源として親しまれています。山麓の集落に立つと、季節の光によって表情を変える山の存在感が圧倒的で、まさに“暮らしの中心”であることが伝わってきます。
番組では、中川緑がまず奈曽エリアを訪ね、金峯神社の境内に広がる奈曽の白滝を歩いていきます。落差26メートルの滝は霊気が漂うような雰囲気をまとい、古くから修験の場として知られてきました。この地域に住む人々が、山の神に祈りを捧げ続けてきた歴史が滝と社殿の景色に刻まれています。
奈曽の白滝と金峯神社に息づく祈り
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奈曽の白滝は、国の名勝に指定されるほどの景勝地で、鳥海山の溶岩流がつくり出した力強い地形が残っています。水しぶきが白く広がる滝壺の青さは神秘的で、古来より修験者たちが心身を整える場として大切に守られてきました。滝のそばに建つ金峯神社は、鳥海山信仰の中心のひとつで、地域に伝わる祭り「小滝のチョウクライロ舞」が奉納される神聖な場所でもあります。
ここで語られるのが、鳥海山の神が宿るとされる獅子頭を長年受け継いできた元舞い手の思いです。獅子舞に込められてきたのは、災いを払い、豊かな実りを願う切実な祈り。山の脅威と恵みを知る人々が、節目ごとに祈りを捧げてきた営みが、現在にも続いていることを感じさせます。
伏流水が育てた老舗酒蔵の挑戦
中川緑が次に向かったのは、鳥海山の伏流水を使った酒造りで知られる老舗・飛良泉本舗です。室町時代創業という長い歴史を持ち、鳥海山の恵みである澄んだ中硬水を仕込みに使うことで特徴ある日本酒を生み出してきました。山廃造りにこだわる酒蔵としても名高く、冬の厳しい寒さと山の水が酒の味わいを深く育てていきます。
若い世代の蔵元・齋藤雅昭さんは、伝統を守りながらも酒蔵の改革に挑み、地元の魅力をより多くの人に伝えようとしています。中川緑が試飲するシーンでは、鳥海山の空気や地形、そして人の情熱が一杯に凝縮されていることが伝わり、酒を口にする者の心にも山の存在が流れ込んでくるようです。
日本海の漁師が見上げる守り神
旅の終盤に登場するのが、日本海で漁を行う漁師の佐々木さんです。鳥海山は海上からの目印としても大切で、山にかかる雲の動きから天候を読み取る暮らしが今も続いています。山の伏流水が海に流れ込み、豊かな魚場をつくることで、日本海の漁にとっても鳥海山は欠かせない存在です。
佐々木さんは「鳥海山に守られているようで助かる」と語り、特に朝日が昇るときに見える山のシルエットは、長年漁を続けてきた自分への励ましのように感じるといいます。自然の厳しさを熟知した漁師だからこそ、山が示すわずかな変化も見逃しません。海と山が地続きでつながる地域特有の感覚が、日々の判断を支えています。
霊峰とともに生きる鳥海山麓の人々
番組を通して浮かび上がるのは、鳥海山を“守り神”として暮らす人々の姿です。獅子舞に息づく祈り、伏流水が育んだ日本酒、海を渡る漁師の勘。それぞれの営みはまったく違いながらも、根底には同じ思いがあります。それは、山の恵みに感謝し、山とともに生きるという姿勢です。
霊峰・鳥海山は、恐れを抱かせる活火山であると同時に、命の水を与え、食文化や地域の歴史を育ててきた存在です。麓の人々の暮らしを見つめ続けてきた山の“見守る力”が、この旅の物語に静かに流れ込んでいます。
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