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NHK【小さな旅】君ゆく海 〜福井県 坂井市安島〜|安島海女とめのこ文化、モッコ刺し子がつなぐ“海の記憶”|2026年2月8日

小さな旅
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君ゆく海に息づく安島の物語

福井県坂井市の海辺にある安島は、荒々しい日本海とともに暮らしてきた人たちの営みが今も残る場所です。海女の仕事、天日干しのめのこ、盆に響くなんぼや踊り唄、祈りを込めた刺し子のモッコ――どれも地域の時間を静かに語ります。
このページでは『小さな旅「君ゆく海 〜福井県 坂井市安島〜」(2026年2月8日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。

安島の海と海女文化の舞台を歩く

福井県の北部、日本海に面した 安島 は、断崖絶壁と青い海が出会う小さな漁の集落です。行政区分でいえば 福井県坂井市 の一部で、観光地として知られる 東尋坊 のすぐそばに位置しています。柱状節理の岩肌に波がぶつかる迫力ある景色と、夕日に染まる日本海の美しさで、写真愛好家にも人気のエリアです。

今回の「君ゆく海」では、そんな 福井県坂井市安島 を、旅人の 山本哲也 さんが訪ね歩きます。番組は、潮の香りがただよう港、海女さんたちが使う小舟や道具、崖の上に並ぶ家々を映しながら、海とともに生きてきた人たちの日常に静かに寄りそっていきます。

このページでは『小さな旅「君ゆく海 〜福井県 坂井市安島〜」(2026年2月8日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。

安島の海では、今も 海女 漁が続いています。江戸時代からこの一帯では、夫は北前船の船乗り、妻は海女として家計を支えていたとされ、今も春から夏にかけては、わかめやアワビなどを素潜りで採る姿が見られます。三国町の海女漁は、長い歴史を持つ漁法として福井県の無形民俗文化財にもなっていて、地域の誇りそのものです。

番組では、荒々しい日本海に向き合いながら生きてきた安島の女性たちに焦点が当てられます。海に潜る 海女 の姿だけでなく、家でわかめを干す手元、刺し子を施した着物「モッコ」に針を運ぶ指先、そして盆踊り唄を口ずさむ表情まで、一つひとつの所作から、この土地の時間の積み重ねが伝わってきます。

安島は観光地というより、“暮らしの現場”がそのまま風景になっている場所です。崖の上から日本海を望む街並み、港に集まる小さな漁船、風に揺れる洗濯物。そうした日常のひとコマごとに、海と共に生きてきた人たちの歴史が刻まれていることを、番組は静かな語り口で教えてくれます。

天日干しわかめ「めのこ」と安島の食卓

旅の途中、山本さんは、安島名物の めのこ を試食します。めのことは、このあたりの方言で「粉わかめ」を指す言葉。春に海女さんたちが採った天然わかめを、板状のまま天日でよく乾かし、それを手でもみほぐして細かくした保存食です。

安島産のわかめは、潮の流れが速く栄養豊富な海で育つため、肉厚で香りが良いことで知られています。漁のシーズンには、浜辺や家の庭先にすだれが並び、そこにわかめが一面に広げられて干されます。潮風と太陽をたっぷり浴びて乾いたわかめは、再び家の中に運ばれ、丁寧にもみほぐされて めのこ になります。こうして作られた粉わかめは、ご飯にかけたり、おにぎりに混ぜ込んだり、みそ汁の具にしたりと、日々の食卓で大活躍します。

番組に登場するのは、安島の海女である 石森実和 さん。自ら海に潜って採ったわかめを、家族の協力も得ながら天日干しし、ていねいにもみほぐして商品として仕上げていきます。商品名にも「坂井市三国町安島産」とはっきり書かれ、その土地の海が育てた味であることを大切にしているのが印象的です。

山本さんは、炊きたての白いご飯に めのこ をふりかけてもらい、ひと口味わいます。ひと噛みするごとに磯の香りがふわっと広がり、わかめのうま味がじんわりと口いっぱいに広がる――そんな表情が画面越しにも伝わってきます。福井県内では、粉わかめは「ご飯のお供として欠かせない逸品」とも言われていて、家庭の常備品になっている地域も少なくありません。

食文化の面から見ても、こうした保存食は、冬の荒海で漁に出られない時期の大切な栄養源でした。塩や砂糖と同じように、乾物は「海と山の恵みをいつでも食べられるようにする知恵」です。安島の めのこ もまた、海の恵みを無駄なくいただいてきた、暮らしの知恵そのものと言えるでしょう。

なんぼや踊り唄と小田原さん夫妻の記憶

続いて番組が紹介するのは、安島に伝わる なんぼや踊り唄 です。これは、三国町安島地区にある大湊神社のお盆行事で歌い継がれてきた盆踊り歌。輪になって踊りながら歌われ、かつては多くの歌詞が口伝えで残されてきました。歌詞には、北国の地名や遠くの海を思わせる言葉が出てきて、北前船の船乗りたちが南部地方から持ちこんだ歌が元になっていると言われています。

曲調はゆったりとしたテンポで、伴奏はなく、踊り手の手拍子だけがリズムになります。右手と右足、左手と左足を同時に動かす独特の振りが特徴で、昔ながらの盆踊りのスタイルをよく残している民謡です。夜の神社の境内で、提灯の明かりに照らされながら踊る様子を想像すると、どこか懐かしさと哀愁を感じます。

この なんぼや踊り唄 に、深い思い出を重ねているのが、小田原地区に暮らす 小田原怜子 さんです。番組では、怜子さんが亡くなった夫・ 小田原民雄 さんのことをゆっくりと語ります。民雄さんは漁師として長年海に出ていた人で、盆踊りの夜には、この唄を一緒に聞きながら夏のひとときを過ごしたといいます。

海の仕事は、今も昔も危険と隣り合わせです。漁に出た夫の無事を祈りながら、家で家事や子育てを担ってきた妻たちにとって、盆踊りの夜は、仲間とともに心をほどく時間でもありました。怜子さんが なんぼや踊り唄 を聞くたびに、夫と過ごした日々や、若いころの夏の夜を思い出すと語る姿には、「唄が記憶をつなぎとめてくれる」ような温かさと切なさがにじんでいます。

民俗学の視点から見ると、こうした盆踊り歌は、単なる娯楽ではなく、「地域の歴史と人々の記憶を保存する装置」の役割も果たしてきました。安島の なんぼや踊り唄 もまた、北前船の時代から続く海の暮らしを、今に伝える大切な文化財なのだと感じさせてくれます。

夫の無事を願う刺し子の着物「モッコ」と坂野上さん

番組後半で紹介されるもう一つのキーワードが、刺し子の着物 「モッコ」 です。モッコは、漁に出る夫の無事を願って妻が刺し子を施した仕事着で、安島独自の模様や色使いを持つ布文化です。布を二重に重ねて細かい刺し子を入れることで、生地が丈夫になり、冷たい海風から体を守る役割も果たしてきました。

この モッコ の技術を、70年近く途絶えていたところから復元し、地域に広めてきたのが 坂野上百恵 さんです。安島生まれ・安島育ちの坂野上さんは、もともと刺繍が好きで独学で針仕事を続けていましたが、2010年代に「安島の刺し子」に出会い、その美しさと意味に心を奪われたといいます。その後、古い着物を研究して模様の意味や縫い方を分析し、地域の女性たちとともに技術を復活させました。

現在、坂野上さんは「安島モッコの会」を立ち上げ、教室やワークショップを通じて、若い世代にも モッコ 刺しを伝えています。針と糸を手に、円を描くように布を囲んでおしゃべりしながら刺し子を進める時間は、かつて海女や漁師の妻たちが過ごしていた縫い物の時間とつながっています。糸を一針一針進めるごとに、「ケガをせずに帰ってきてほしい」「家族が元気でありますように」という祈りが布に縫い込まれていくようです。

番組では、坂野上さんが完成した モッコ を広げ、模様の意味を語る場面も描かれます。波を表す模様、家族の絆を象徴する十字模様、豊かな漁を願う幾何学模様など、一枚の着物にはたくさんの願いが込められています。今は日常の仕事着として着る人は少なくなりましたが、作品として作られたモッコ刺しは、坂井市龍翔博物館 のミュージアムショップでも販売され、館内にはモッコが施された法被も展示されています。

刺し子は、日本各地で見られる「暮らしの中から生まれたデザイン」です。寒さや貧しさを補うための工夫から始まったものが、今ではアートとして評価されるようになりました。安島の モッコ もまた、生活の知恵と祈りが凝縮した一つの“海の民芸”と言えるでしょう。

海とともに生きる安島の女性たちと、これからの安島

「君ゆく海」というタイトルどおり、番組の中心にいるのは、海へ向かって歩き続ける 安島 の女性たちです。海に潜る海女、わかめを干す手、刺し子に針を走らせる指先、盆踊り唄を口ずさむ唇――そのどれもが、過去から現在へとつながる一本の線のように描かれていきます。

東京で暮らした経験を持ちながらも、ふるさとの海に引き寄せられるように戻ってきて 海女 になった石森さん。夫との思い出を胸に、今も なんぼや踊り唄 を口ずさむ怜子さん。途絶えかけた モッコ の技術を掘り起こし、次の世代へ渡そうとする坂野上さん。それぞれの選んだ道は違っても、「海と生きる」という点で確かにつながっています。

安島の人々にとって、海は生活の糧であると同時に、恐れと敬意の対象でもあります。荒れ狂う冬の日本海は、命を奪うこともある厳しい存在ですが、その一方で、豊かな漁場と美しい景観をもたらし、人を惹きつけてやまない魅力も持っています。番組のラストで映し出される夕暮れの海は、そんな二面性を静かに語っているように見えます。

近年、安島周辺では移住支援や文化発信にも力を入れており、海女文化や モッコ 刺しを紹介する動画や企画も増えています。坂井市の移住サイトや広報動画では、海と共に暮らす人々の姿が丁寧に紹介されており、「ここで暮らしてみたい」と思う若い世代も少しずつ増えてきています。

番組を通して伝わってくるのは、「特別な観光地」ではない、日常の風景の尊さです。朝の港、干し場に並ぶわかめ、盆踊りの唄、刺し子の着物。どれも派手さはありませんが、長い時間をかけて育まれてきた文化が、今もここで息づいていることが伝わってきます。

「君ゆく海」という言葉には、「あなたが向かう海」という意味と同時に、「先へ続いていく時間」へのまなざしも感じられます。画面の向こうで波が寄せては返すように、 安島 の暮らしも、世代を越えて静かに受け継がれていくのだろう――そんな余韻を残して、小さな旅は幕を閉じます。

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安島と東尋坊の地形が育てた海の恵み(追加情報)

しげゆき
しげゆき

安島の海の豊かさを、背景から紹介します。安島のすぐ近くにある東尋坊は、約1,300万年前の火山活動で生まれた火山岩が冷えて固まるときにできた柱状節理という特別な地形が広がっています。この岩が長い時間をかけて日本海の強い波に削られ、今のような切り立った崖と複雑な海岸線が作られました。岩の割れ目や入り江が多いことで、海の中にも岩礁が点在し、魚や海藻が成長しやすい環境が生まれています。こうした地形が、安島の海に豊かな漁場を作り、海女たちの活動を長く支えてきました。

柱状節理がつくる独特の海岸線

東尋坊の柱状節理は、六角形や四角形が並んだような特別な形をしていて、世界でも珍しい地形です。この硬い岩が波に削られていくと、小さな入り江や段差ができ、海の中にも同じようにゴツゴツした岩場が広がります。この岩場には海藻や貝が付きやすく、海の生き物にとって安心して育つ場所になります。そのため、安島の海は昔から海産物が豊かで、地域の人たちの暮らしを支える大切な場所になっています。

浅瀬と深みが入り混じる海の地形

安島の海には、浅い所と深い所がすぐ近くで切り替わる場所が多くあります。これは火山岩が波に削られて生まれた自然の地形です。この地形は、海女たちが潜るときにも利点が多く、浅瀬でわかめを採り、少し沖に行けばアワビやサザエが育つ岩場が広がっています。海底が安定しているので、海女が岩に手をかけて体を支えやすいという特徴もあります。

海女漁を続けてきた理由

安島の海女文化が今も続くのは、こうした地形のおかげです。岩が多い海底は魚や海藻が集まりやすく、季節ごとに採れるものが変わるため、長い年月をかけて漁の知恵が受け継がれてきました。東尋坊の荒々しい崖は観光地として知られていますが、その岩が海の中で形づくる世界は、安島の暮らしに欠かせない恵みを生み出してきました。

このように、安島と東尋坊の地形には深いつながりがあり、火山が残した地形が今の海の豊かさにつながっています。


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