NHK【小さな旅】メグロZ型復元はなぜ那須烏山市で甦った？聖地イベント『キャノンボール』の秘密｜2025年12月7日

「技と魂　眠らせず　〜栃木県　那須烏山市〜」

栃木県の小さな町に眠っていた『メグロZ型』の歴史が再び息を吹き返そうとしています。城下町として歩んできた 那須烏山市、戦後の産業を支えたメグロ工場の記憶、そして復元に挑んだ人々の思い。そのすべてがつながることで、この町は今、新しい光をまとい始めています。この記事では、番組で描かれるであろう技と魂の背景をまとめ、那須烏山市の魅力、そして『メグロZ型 復元』をめぐる熱い挑戦を紹介します。

那須烏山市ってどんな町？

栃木県東部にある 那須烏山市 は、江戸時代に 烏山藩 の城下町として発展しました。中心にあった 烏山城 は鎌倉時代を起点に長い歴史を持ち、戦国期から江戸期にかけて地域の要となる場所でした。

その後、明治以降の行政再編を経て、2005年に旧・烏山町などが合併し今の姿に。人口減少が続く中でも、農業と観光を軸にした町づくりが進んでいます。小さな旅の舞台として選ばれるのも、昔ながらの風景と人の温かさが今も変わらず残っているからです。

メグロと那須烏山のつながり

1919年に誕生した国産バイクブランド メグロ。大型バイクの草分けとして知られています。第二次世界大戦中、本社の東京工場が空襲被害を受けたことで、生産の一部が当時の 烏山町 に疎開しました。

この疎開工場は戦後もしばらく稼働し、再びバイク生産が再開されました。最盛期には、町の多くの人が関連工場に関わっていたほどで、「町全体でメグロを作っていた」と表現される時代もありました。その名残から、現在の那須烏山市は“メグロの聖地”と呼ばれています。

メグロの展示施設や関連イベントも行われ、地域の歴史として大切に受け継がれています。

伝説の『メグロZ型』復元に挑む思い

那須烏山市では近年、『メグロZ型 復元』が注目を集めています。疎開工場で作られていたモデルを再び形にしようと動いた人々がいました。

復元では外観だけでなく、当時の塗料の再現にまで踏み込み、細部の美しさまで追求されています。これは単に古いバイクを再生したのではなく、地域に刻まれた記憶と技術を再び目覚めさせる行為そのものです。

「眠らせたままにはしたくない」という強い思いが、Z型を現代に呼び戻したのだと感じます。

メグロのイベントで見える“技と魂”

那須烏山市で開催される メグロ キャノンボール那須烏山 では、全国からバイクが集まります。新旧のメグロをはじめ、旧車ファン、復刻モデルのオーナーなどが一堂に会し、町にエンジン音が響きます。

会場となる 山あげ会館 周辺では、展示、写真撮影、交流の時間が生まれます。参加者同士が愛車の歴史を語り合い、町の人々がその様子を見守る風景は、まさに“技と魂が息づく瞬間”と言えます。

そして、復元された『メグロZ型』が実走を披露する場面が予定されていることもあり、その音が再び町に響くことを楽しみにしている人は多いはずです。

那須烏山市を歩く時間

番組では、メグロだけでなく、伝統を守り続ける酒蔵や観光りんご園を訪ねるシーンが予告されています。まだ外部の公的な情報では詳細が分かっていませんが、地域で長く続く営みと、そこにある人の技と心に触れる旅となりそうです。

町を歩けば、城下町の名残や自然の風景がゆるやかに広がり、地域の人たちの暮らしと歴史が穏やかにつながっています。

まとめ

今回の小さな旅では、城下町の歴史を持つ 那須烏山市 と、国産バイクの源流である メグロ の物語が重なります。『メグロZ型 復元』をきっかけに、技を受け継ぐ人の姿や、町に眠っていた記憶が再び動き出す様子が描かれるはずです。

放送前のため、詳細は分かっていませんが、番組ではきっと“町に刻まれた技と魂”を感じられる旅が紹介されるでしょう。放送後、内容が明らかになり次第あらためて書き直します。

メグロブランドが川崎重工へ受け継がれた流れを紹介します

しげゆき

メグロは1924年に生まれた日本でも歴史の深いオートバイブランドで、大排気量バイクの文化を切りひらいてきた存在です。このブランドが後に川崎航空機（現在の川崎重工業）へ受け継がれていく過程には、日本のバイク史そのものが重なっています。ここでは、その歩みを追加情報としてまとめます。

メグロと川崎の提携までの道のり

メグロは高性能なバイクを作り続けてきましたが、1950年代後半に入ると販売が落ち込み、企業としての体力が弱まっていきました。一方で、当時オートバイ事業に参入しようと動いていた川崎航空機は、実績あるブランドの技術を必要としていました。この思いが重なり、1960年代に両者は業務提携へ進みました。メグロが積み上げてきた大排気量エンジンの技術や生産ノウハウは、川崎にとって喉から手が出るほど欲しいものでした。

川崎への統合とブランド吸収

1963年から1964年にかけて、メグロは「川崎-メグロ」として統合が進み、最終的に川崎のモーターサイクル部門に吸収されました。この統合によって、メグロで磨かれたOHVエンジンやツインエンジン設計の技術が川崎へと引き継がれます。これはのちに川崎の大型バイクを支える土台となり、現在でも語り継がれるバイクづくりの基盤になりました。

メグロの技術が川崎の名車につながる

統合後に発売された川崎の「Wシリーズ」は、メグロが積み上げてきた大型スポーツバイクの設計思想が色濃く反映されています。メグロの技術が無ければ誕生しなかったと言われるほどで、日本の大型バイク文化を形づくる大切な流れになりました。メグロが残した技術は、川崎だけでなく、日本のモーターサイクルの未来にまで影響を与えています。

現代に受け継がれるメグロという名前

2020年代に入り、川崎は再びメグロブランドを世に送り出しました。最新技術を備えたモデルでありながら、クラシックな姿やパーツの質感には、メグロらしさが丁寧に反映されています。かつての伝統が途切れることなく現在へと続き、バイクを愛する人たちの記憶の中で生き続けていることを強く感じさせる復活です。メグロが歩んだ歴史と、その魂を受け継ぐ川崎の姿勢は、長く語り継がれる価値があります。