Eテレ【チョイス＠病気になったとき】帯状ほう疹は何日以内の早期治療で痛みが改善する？後遺症を防ぐワクチン効果と受診タイミング｜2025年12月7日

「帯状ほう疹　早期治療で痛み改善」

帯状ほう疹は、突然の激しい痛みと赤い発疹で始まり、放置すると長く続くつらい後遺症を残すことがあります。この記事では、発症のしくみから早期治療の重要性、効果的なワクチンの情報まで、番組テーマに沿ってしっかりまとめています。

帯状ほう疹とは？赤い発疹と激痛が起こる理由

帯状ほう疹は、過去に水ぼうそうを経験した人の体に残った『水痘・帯状疱疹ウイルス』が、年齢・ストレス・疲れなどで免疫が下がったときに再び暴れ出すことで起こります。
このウイルスは神経に潜んでいるため、再活性化すると神経に沿って皮膚に向かって広がり、その部分に赤い発疹や水ぶくれが帯のように現れます。

痛みが強いのは、炎症が神経そのものを刺激するためです。刺すような痛み、焼けるような痛み、触れただけで強く反応する痛みなど、症状はさまざまです。発疹が出る前からピリピリとした違和感が現れることもあります。

放置が危険と言われる「後遺症」の種類と起こる仕組み

帯状ほう疹は自然に治ることもありますが、放置すると深刻な後遺症が残ることがあります。
もっとも代表的なのが『帯状疱疹後神経痛』です。これは、皮膚が治っても神経にダメージが残り、ズキズキ・ジンジン・ビリビリとした痛みが数ヶ月〜数年つづくこともある状態です。

また、顔に発疹が出た場合は注意が必要です。
目の周りなら視力の低下や角膜の障害、耳の周りなら難聴や耳鳴り、顔面神経麻痺などが起こることがあり、早期治療を逃すと回復に時間がかかることがあります。

皮膚の水ぶくれが破れて感染を伴うと、色素沈着や傷跡が残ることもあります。こうした後遺症は日常生活の質に大きな影響を与えるため、早い段階での対策がとても大切です。

早期受診が重要なワケ：抗ウイルス薬治療の効果

帯状ほう疹の治療の中心となるのは『抗ウイルス薬』です。ウイルスの増殖を抑え、症状の悪化を防ぐ働きがあります。できるだけ早く薬を始めることで、発疹の広がりや痛みが軽くなり、後遺症のリスクを下げることが期待できます。

特に痛みが強い場合や顔に症状がある場合は、早急な治療が必要です。神経の炎症を抑えることで、後に残る痛みを少なくする可能性が高まります。

どれくらい早ければ効く？治療開始の最適タイミング

帯状ほう疹は「時間との勝負」です。
体の違和感やピリピリした痛みを感じた時点で受診するのが理想的です。発疹がはっきりと出てからでも治療は可能ですが、開始が遅れるほど神経ダメージが蓄積し、後遺症につながる恐れがあります。

一般的には、発疹の出現から早い段階で抗ウイルス薬を使うほど効果が大きいとされており、迷ったら早めの医療機関受診が重要です。

予防の新たな選択肢「ワクチン」：効果と対象年齢

近年、帯状ほう疹を予防するためのワクチンが広く使われるようになりました。
主に50歳以上を対象としており、免疫の低下で帯状ほう疹が増えやすい年代を守る目的があります。ワクチンを接種することで、発症リスクを大きく下げるだけでなく、発症した場合の重症化や後遺症のリスクも減らせます。

帯状ほう疹は誰にでも起こりうる病気ですが、ワクチンはその確率を下げる有効な選択肢として注目されています。

番組で紹介される専門家のアドバイスと生活上の注意点

発疹が出たときに避けたい行動として、水ぶくれをつぶさないこと、過度に冷やさないことがあります。どちらも症状を悪化させたり、細菌感染のきっかけになる可能性があります。

また、免疫が落ちたときに再活性化しやすいため、日頃から休息や栄養を意識し、体を追い込みすぎないことも予防につながります。
顔や目の近くに症状が出た場合は、早急な受診が重要だと強調されています。

まとめ

帯状ほう疹は、見た目以上に体へ負担をかける病気であり、放置すると神経痛や視力障害などの後遺症を残すことがあります。
発疹が出たら早めに医療機関へ行き、抗ウイルス薬による治療を始めることで症状を軽くし、後遺症を減らせます。さらにワクチンという新たな予防手段も普及しており、発症リスクを下げる大きな助けになります。

松尾光馬先生について

しげゆき

ここでは、番組に登場する松尾光馬先生の経歴や専門分野について、筆者からの追加情報として紹介します。長く皮膚科診療に携わり、帯状ほう疹の診療と研究を続けてきた先生の歩みを知ることで、番組内容への理解も深まります。

所属と現在の活動

松尾先生は東京慈恵会医科大学附属病院 皮膚科で非常勤講師として診療にあたり、大学の医療現場で後進の育成にも関わっています。また、東京都中野区で中野皮膚科クリニックの院長として地域の患者さんの診察も続けています。大学病院と地域医療の両方で診療を行うことで、幅広い症例に向き合い、ウイルス性皮膚疾患の知見をさらに深めてこられました。

医師としての歩みと専門性

1995年に東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学の皮膚科で研修と診療を積み、のちにウイルス学教室で研究に従事しました。ここでヘルペスウイルスや帯状ほう疹の性質、感染のしくみなどを深く学び、臨床と研究の両面からアプローチする姿勢を築いてきました。その後も複数の病院での勤務経験を重ね、大学病院で約20年以上にわたり診療と研究に携わっています。2014年に開設した中野皮膚科クリニックでも、地域の患者さんの相談に応えながら、大学で培った知識を日々の診療へ活かしています。

専門分野と発信してきたテーマ

松尾先生が長く取り組んできたのが、帯状ほう疹や単純ヘルペスといったウイルス性皮膚疾患です。これらは症状の幅が広く、後遺症が残ることも多いため、正確な診断と早期の治療が大切になります。先生は帯状ほう疹後に続く強い痛み『帯状疱疹後神経痛』に関する解説も発信しており、治療や痛みの管理に関する知識を患者さんにもわかりやすく届け続けています。

メディア出演と講演

これまでに「チョイス＠病気になったとき」をはじめとするテレビ番組にも出演し、帯状ほう疹の治療と予防のポイントを紹介してきました。さらに日本皮膚科学会の市民公開講座では『予防できる！帯状ほう疹』をテーマに講演を行い、専門家として一般の人々に病気の理解と早期対策の重要性を伝えています。

このように、松尾先生は臨床・研究・啓発活動のすべてに取り組み、長年にわたり帯状ほう疹と向き合ってきた医師です。