奥田民生が新潟県燕市へ!スプーンからバイク、美容室まで人とモノの魅力をめぐる旅
2025年5月19日放送の『鶴瓶の家族に乾杯』(NHK総合)では、ミュージシャンの奥田民生さんが新潟県燕市を訪れました。今回は、「ステキなアイテム探しの旅」と題し、燕市のものづくり文化や人々のあたたかさに触れる45分間。番組では、スプーン作りの現場から始まり、旧車のバイク店や地元のカフェ、美容室など多彩な出会いが紹介されました。鶴瓶さんと奥田さんがそれぞれ別ルートで人と出会い、技術と情熱、そして地域への想いがあふれる旅となりました。
奥田民生が感動した“スプーンの口抜け”
奥田民生さんが旅のはじめに訪れたのは、新潟県燕市にあるスプーンやフォークなどのカトラリーを製造している工場でした。ものづくりに関心を持つ奥田さんにとって、ここは非常に興味深い場所となりました。案内されたのは、スプーンの「口抜け感」を仕上げる工程。これはスプーンの縁や口元にあたる部分を、職人が一つ一つ手作業で丹念に磨き上げる作業です。
・使用されたのは、普及品のスプーンと仕上げ加工済みのスプーンの2種類
・仕上げ済みのスプーンは、表面が極めてなめらかで、指で触れてもその違いがはっきりと分かるレベル
・工場内には、大小さまざまな磨き用の道具や回転ブラシが整然と並べられており、高い技術力と整理された作業環境が見て取れた
奥田さんは、実際にそのスプーンを使ってコーヒープリンを食べるという試食体験もしました。見た目は同じに見えるスプーンでも、磨きの違いによってプリンを口に入れたときの感触が驚くほどなめらかで違和感がまったくないということに気づかされます。
・「口抜け」とは、食べものを口に運ぶ際にスプーンの縁が唇に当たるときのなめらかさ
・加工前はわずかな段差やザラつきがあり、加工後はそれがまったく感じられない
・工場では、ミクロ単位で研磨の仕上がりをチェックする体制が整っており、1本のスプーンにかける時間も相当なもの
その体験を通して、奥田さんは「道具は見た目だけでなく、使ったときにわかる良さがある」と再認識。スプーンという日常のアイテムにも、長年の経験と職人のこだわりが詰まっていることが強く伝わってきました。
燕市で受け継がれてきた金属加工の伝統は、こうした目に見えにくい細部にまで及び、食事の時間を豊かにするためのものづくりの精神が表れています。単なる道具ではなく、人の手と技術によって命を吹き込まれた一品としてのスプーンの価値が浮かび上がる瞬間でした。
鶴瓶が出会った“まちづくりカフェ”の仕掛け人
鶴瓶さんが訪れたのは、燕市内にある一軒のカフェ兼設計事務所でした。この施設は単なる飲食店ではなく、建築士の蓮沼さんが設計事務所とカフェを一体化させたユニークな空間です。入口を入ると、木の温もりを感じさせる内装と開放的なレイアウトが広がり、テーブル席にはお茶を楽しむ人々が集い、にぎわいを見せていました。
・店内では地元野菜や手作り雑貨を販売するマルシェが定期的に開催
・イベント時には子どもから高齢者まで多世代の人が訪れる場として機能
・店の一角には、設計図や建築模型が展示されており、暮らしとデザインを結ぶ場所になっている
鶴瓶さんは、こうした空間に驚きながらも、地元の人たちが自然と集まり交流できる場としての役割に強く惹かれていました。蓮沼さんは、建築士という職業を活かして、まちづくりそのものを空間づくりの延長と考えている人物です。
さらに蓮沼さんが案内したのは、自身が購入した大正時代の古民家。ここを新たに複合施設にするため、準備を進めているとのことでした。建物は木造の趣ある佇まいで、障子や格子戸など昔の建材を活かしつつ、現代的な用途を想定したリノベーション計画がなされていました。
・室内には昭和のレコードプレーヤーや雑誌などがそのまま残されている
・古材の風合いと新たなライティング設計を組み合わせた、温故知新の空間を目指している
・施設完成後は、ギャラリーやカフェ、コワーキングスペースとしても使える構想がある
鶴瓶さんはこの物件を見て、昔の良さを残しながら今の生活に合う形で再生する姿勢に深く共感。まちづくりという言葉の中に、人を集め、歴史を活かし、未来へつなぐという実践的な取り組みがあることを体感していました。
蓮沼さんのように、地域に根ざしながらクリエイティブな視点でまちを元気にする人の存在は、燕市の新しい魅力のひとつとして映し出されていました。住む人が中心になってつくる未来。それが静かに、でも確かに動き出していることを実感できる出会いでした。
古町の活性化とユニコーン愛が交差した出会い
燕市のまちづくりに情熱を注ぐ蓮沼さんは、実は奥田民生さんの大ファンであることが番組の中で明かされました。かつては、奥田さんが所属するユニコーンのコピーバンド活動もしていたという背景があり、今回のロケはまさに本人との“運命的な出会い”ともいえる展開となりました。まちを元気にしたいという行動力と、音楽への熱い思い。その2つが自然と重なった瞬間でした。
・蓮沼さんの活動の中心は、燕市古町地区の活性化
・自身が関わるイベントや施設づくりに、音楽やアートの要素を取り入れている
・今回の奥田さんとの出会いも、「憧れの人と、まちを舞台に出会えた」貴重な時間
さらにその場には、蓮沼さんの知人である五十嵐さんの姿も。五十嵐さんは、笑福亭鶴瓶さんに対して、「本当にすごい人ってこういう人なんですね」と語っていたことが紹介され、視聴者に人のあたたかさや謙虚さが伝わるシーンとなりました。
このように、音楽を愛する一市民と、その憧れの本人、そして町を支える仲間たちが一つの場で自然につながるという構図は、まさに『鶴瓶の家族に乾杯』ならでは。出演者と地元の人々の距離が近く、一人ひとりの人生の背景や思いが丁寧に描かれる番組の魅力が存分に発揮された場面でした。
燕市の古町が単なる「町の名前」にとどまらず、人の思いと夢が重なる舞台になっていることが伝わってきました。出会いが出会いを呼び、音楽と地域愛が交差するこの一幕は、視聴者の心にも温かく響いたことでしょう。
奥田民生が旧車と出会ったバイク屋訪問
奥田民生さんは、旅の途中で「買い物がしたい」との思いから西燕駅で下車し、町を歩き始めました。すると視界に入ってきたのが、町の一角にひっそりと佇むバイク店。外観からは想像がつかないほど、店内には貴重な旧車バイクが所狭しと並べられており、その光景に奥田さんは足を止め、静かに店内を見渡しました。
・店内には1970年代〜80年代のヴィンテージバイクが整然と展示
・パーツのひとつひとつに経年変化の味わいと丁寧な整備の跡が感じられた
・エンジン部やメーター周辺の細部まで、手入れが行き届いた状態で保存されていた
奥田さんは機械そのものの構造やデザインに強い関心を持つタイプであり、旧車独特のフォルムや重厚感のあるパーツをじっくりと観察していました。バイク好きとしての目線と、ものづくりに携わる人間としての視点が重なり、メカの魅力と背景にあるストーリーの両方に惹かれている様子が見てとれました。
バイク店のオーナーである小野寺さんは、バイク整備一筋49年の熟練メカニック。これまで数多くの名車を手がけてきた経験を持ち、現在は家族とともに店を営みながら、次の世代への技術継承も行っているとのことです。
・整備場には専用工具やバイクの分解パーツが整然と並べられ、長年培われた職人技の現場としての空気を感じさせた
・店内はレトロな装飾が施され、バイクとともに時間を重ねてきた歴史がそこにあった
・後継者となる家族の存在が、今後の地域における技術の継続と安定を物語っていた
この出会いは、ただの「買い物」という動機から始まったものの、結果的には奥田さんが本質的に関心を寄せる“技術と情熱”に触れる貴重な時間となりました。バイクという乗り物を超えて、手をかけ、心を込めて残していくという生き方そのものに奥田さんが共鳴しているように見えました。
燕市の町並みにひっそりと溶け込むこの店から、日本の町工場文化と個人の情熱が今も静かに生き続けていることが感じられました。画面を通じて伝わるのは、単なる「モノ」ではなく、人と時間が重ねた証としてのバイクの存在でした。
鶴瓶が出会った“まちの宝”な86歳美容師
鶴瓶さんが町を歩いている途中に立ち寄ったのは、地元に根づいた昔ながらの美容室でした。そこで出会ったのが、86歳にして現役を続ける美容師・チヱさんです。小柄な身体にエプロンをまとい、ハサミを手にお客さんと向き合うその姿からは、長年積み重ねてきた経験と、変わらぬ情熱がにじみ出ていました。
・チヱさんは10代の頃から美容師として働いており、実に70年以上のキャリアを誇る
・店舗は昔ながらの造りで、木製の椅子や古い鏡台が時の流れを感じさせる空間
・髪を整えるだけでなく、お客さんとの会話や世間話を大切にする、地域の憩いの場でもある
現在も週に数日店を開け、常連のお客さんを中心に施術を続けているというチヱさん。特別な宣伝はしていないものの、その人柄と丁寧な技術が評判となり、「いつものチヱさんに切ってもらいたい」という思いで通う人が絶えないといいます。
店内は、昭和の面影を残しつつも整えられた清潔な空間であり、植物や日めくりカレンダーなどが飾られており、暮らしの一部として美容室が息づいていることが感じられました。
・店の奥にはチヱさんがこれまで使ってきた道具や、若い頃の写真が飾られている
・「一日でも長く、元気にハサミを持ち続けたい」と語るその姿には、強さと優しさが同居していた
地域の歴史を知る人としても、地元に暮らす人々から親しみを込めて「チヱさん」と呼ばれる存在。美容師としてだけでなく、まちの人々と世代を超えて関わる“まちの宝”のような存在であることが、番組を通して伝わってきました。
鶴瓶さんが出会ったこの瞬間は、人の一生が町とどう重なっていくかを映し出すようなシーンでもあり、視聴者にとっても忘れられない心温まる場面となったことでしょう。
奥田民生の“機械萌え”と工場地帯の探訪
番組の終盤、奥田民生さんが向かったのは、燕市小関エリアに広がる工場地帯でした。ここには金属加工に欠かせない多種多様な工作機械がずらりと並ぶ空間があり、その中に一歩足を踏み入れた瞬間、奥田さんは思わず目を輝かせました。配線、レバー、無数のボタンが並ぶ無骨な機械の造形に強く惹かれ、まるで少年に戻ったような表情で機械を見つめていました。
・フロアには旋盤やフライス盤、ボール盤などの重厚な機械が整然と配置
・操作パネルにはカラフルなボタンやダイヤルが密集し、視覚的にも圧倒されるデザイン
・奥田さんはそのディテールに目を奪われ、ボタンの形やレバーの感触などもじっくり確認
この場所は見た目以上に高精度な作業を支えるプロの現場であり、長年培われた技術が今も受け継がれています。油の匂いが漂う作業場に、工具箱や測定器が整然と並び、機械好きな人にとってはまさに「聖地」のような空間でした。
奥田さんは、機械そのものをアートのように見つめる視点を持っており、「萌える」と語ったのは見た目のかっこよさだけではなく、機能美や構造の緻密さに心を打たれたからと感じられました。特に、何層にも組まれた配線や複雑なギアの構造は、一般の人が見逃してしまうような細部の“美”であり、それを瞬時にキャッチする奥田さんの感性が際立ちました。
・工場の壁面には長年使い込まれた工具が吊るされ、職人の手跡がそのまま残されていた
・機械の一部には手書きで書かれたメモや修理の記録も貼られており、機械と人の関係性が感じられた
・現場の空気感に奥田さんは終始満足そうな様子で、「ずっと見ていたい」と思わせるほどの没入感を見せていた
この工場訪問を通じて、奥田さんは日常に埋もれている“ものづくりの美”を見つけ出し、それに喜びを感じる姿を見せてくれました。それは単なる物好きではなく、一つ一つの道具や機械の背景にある技術者の想いや努力を受け止める眼差しでもありました。
燕市の産業の心臓部ともいえるこの工場地帯で、奥田さんが感じたときめきは、まち全体のものづくり精神に呼応するものであり、視聴者にも新たな視点を与えてくれる場面となりました。機械に対する“萌え”は、そこに込められた人の手と心への共鳴でもあったのです。
中学生と鶴瓶の“二人旅”
町を歩いていた鶴瓶さんがふと声をかけたのは、制服姿の一人の中学生。道を聞いたのか、何気ない会話がきっかけだったのか、そのまま一緒に塾へ向かうことになり、短い“二人旅”が始まりました。番組では日常の中で偶然に生まれる交流が多く描かれますが、今回もその魅力があふれるシーンとなりました。
少年は、もうすぐ高校生になる生徒会長であり、部活動ではバスケットボール部に所属していると紹介されました。話し方や立ち居振る舞いからも、落ち着きがあり、責任感を持って日々を過ごしている様子が伝わってきます。
・通っている塾までは徒歩で移動する日常の風景
・歩きながらのやり取りには、勉強のこと、部活のこと、進学への意識などが自然と滲んでいた
・鶴瓶さんもその様子を静かに見守りながら、相手のリズムに合わせるように歩調を揃えていた
少年が語ったのは、これから始まる高校生活への期待や、生徒会長として過ごした中学校での経験。さらに、バスケ部での練習やチームとの関わりなど、自分の生活を一つひとつ丁寧に話す姿は、将来への希望に満ちたものでもありました。
・日常の中にある前向きな気持ちが自然に伝わるエピソード
・勉強と部活の両立、そして生徒会活動というバランスのとれた生活がうかがえた
・短い時間ながらも、成長の途上にいる少年のまっすぐな思いが画面越しにも届くようだった
鶴瓶さんは、終始相手の話をじっくり聞き、無理に盛り上げることなく自然体で接することで、少年の素の姿を引き出していたのが印象的でした。偶然の出会いでありながらも、世代を超えて心が通じ合う瞬間があったこの場面は、視聴者にとっても心温まる一幕となりました。
燕市の風景の中に溶け込むように、未来へと歩む若者の姿を静かに見守る“旅の伴走者”としての鶴瓶さんの存在が、番組全体のやさしさを際立たせていました。
まとめ:人と技が光る燕市の旅
今回の『鶴瓶の家族に乾杯』は、燕市が持つ「ものづくりの技」と「人のあたたかさ」に満ちた内容でした。奥田民生さんはスプーン、バイク、機械など物に宿る職人の技術と魂に心を動かされ、鶴瓶さんはカフェや美容室、学生など暮らしのなかにある人との出会いに心を通わせました。
道具への愛、地域への愛、人への敬意。
燕市をめぐるこの旅は、見る人の心に優しく残る風景とメッセージを届けてくれました。
放送日:2025年5月19日(月)19:57〜20:42 NHK総合
出演者:笑福亭鶴瓶/奥田民生/小野文惠アナウンサー
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