三ヶ日みかん、驚きの甘さの秘密へ
このページでは『うまいッ! 貯蔵でおいしい!三ヶ日みかん(2026年2月1日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
静岡・浜松の三ヶ日みかんは、収穫して終わりではありません。数か月“眠らせる”ことで甘さが覚醒し、まろやかな味わいへ変わっていきます。その舞台裏には、職人の手しごと、巨大選果場のAI、そして地域に息づくみかん文化が息づいていました。
ひと粒の果実に込められた情熱が、今回あらためて鮮やかに浮かび上がります。
三ヶ日みかんとは?静岡・浜松の柑橘王国
NHKの食の番組『うまいッ!』が今回スポットを当てたのは、静岡県浜松市北部の産地ブランド、三ヶ日みかんです。
静岡県浜松市北区の三ヶ日町は、温暖な気候と浜名湖を望む段々畑に囲まれた、日本有数のみかん産地です。特に三ヶ日みかんは、甘さとほどよい酸味、濃厚なコクで全国的に知られる存在になっています。
三ヶ日町(静岡)は、急傾斜のミカン畑が多く、日当たり・水はけ・寒暖差という柑橘づくりに欠かせない条件が自然にそろった土地です。その環境に合わせて、地元農家は世代を超えて栽培技術を磨き上げてきました。
番組に登場した生産者・高橋良旨さんも、三代続くみかん農家。収穫の最盛期には20人ほどの人手をかけて、一気にみかんを摘み取っていきます。ここで行われていたのが「2度切り」と呼ばれる熟練のハサミ技。ヘタをギリギリで切り落とし、果皮に傷をつけないように収穫していきます。この“傷をつけない収穫”こそ、のちの貯蔵品質を決める第一歩になっています。
クイズで出てきた「軸が太い・細い、甘いのはどっち?」というテーマも、三ヶ日みかんの“味の作り方”そのものです。軸が太い実は水をたくさん吸い上げてしまうため味が薄まりやすく、逆に軸が細い実は水分量がほどよく抑えられ、糖度が濃縮されやすくなります。農家の人たちは、こうした細かな違いを見分けながら、“甘くてコクのあるみかん”だけを出荷しているのです。
貯蔵で甘さが覚醒!三ヶ日みかんが3か月寝かされる理由
三ヶ日みかんの最大の特徴は、「貯蔵することでさらにおいしくなる」ことです。収穫したみかんのうち、およそ3分の2が貯蔵用に回され、三ヶ日では3か月ほど“寝かせる”のが定番のスタイルになっています。
みかんは収穫後も生きていて、呼吸を続けています。そのエネルギー源となるのが、甘みのもとである糖と、酸味のもとであるクエン酸です。呼吸を続けるうちに、クエン酸が先に消費されていくため、時間が経つほど“酸が抜けて甘さが引き立つ”バランスになっていきます。三ヶ日ではこの性質を上手に利用し、収穫後に木箱へ丁寧に詰め、貯蔵庫でじっくり寝かせることで、まろやかな甘さを引き出しているのです。
ただし、1つでも腐ったみかんが混ざると、周りへ一気にカビや腐敗が広がってしまいます。そこで高橋さんをはじめとする生産者は、収穫段階から傷の有無を徹底的にチェックし、貯蔵前にも手作業で選別し直します。
貯蔵庫の内部では、さらに繊細な管理が行われています。温度と湿度を安定させる空調設備、庫内の空気を常に循環させるファン。そして、三ヶ日の農家がこだわっているのが低濃度のオゾンです。
みかんをはじめとする植物は、熟度が進むと「エチレンガス」という成分を出します。これは熟成を進める一方で、行き過ぎると腐敗を早めてしまう原因にもなります。そこで、貯蔵庫内にごく低い濃度のオゾンを流し、エチレンガスやカビの原因となる微生物を抑えながら、みかんの鮮度を長く保つ仕組みが取り入れられています。
オゾン装置の導入にはコストもかかり、そのぶん販売価格に反映される場合もあります。それでも高橋さんは「次も買ってこのみかんを食べたいと思ってもらえるようなみかんをつくりたい」という思いから、いち早くオゾン貯蔵を取り入れました。その姿勢に共感した農家が増え、今では三ヶ日町全体で、貯蔵技術と品質へのこだわりが共有されるようになっています。
日本最大級のAI選果場が支える三ヶ日みかんの品質革命
三ヶ日みかんの“最後の関門”となるのが、国内最大級の柑橘選果場です。三ヶ日町には、農協が整備した大規模な柑橘選果場があり、多い日には1日で500トンものみかんが搬入されます。ここでの主役が、最新のAI選果システムです。
JAみっかびが2021年に稼働させた新しい柑橘選果場は、延床面積約2万2400平方メートル、1時間あたり約66.9トンを処理できる日本最大規模の施設で、日本で初めて本格的にAIを導入した柑橘選果場とも言われています。
AIは、高速カメラと光センサーで流れてくるみかんの表面を撮影し、数万点の画像データから学習した“傷・病気のパターン”と瞬時に照合します。人の目では見落としかねない微細な傷や病斑も判別し、1秒間に200個以上のペースで良品と不良品を振り分けていきます。
このAI選果によって、生産者側の「家庭選果」の負担は大きく軽減され、その分の時間と労力を畑の管理や栽培技術の向上に回せるようになりました。高齢化が進む農業現場にとって、品質を守りながら省力化もできるこのシステムは、まさに“縁の下の力持ち”です。
番組でも紹介されていたように、このAI選果場があるからこそ、「貯蔵で甘くなった三ヶ日みかん」の中から、見た目・サイズ・品質の揃った果実だけが全国へ安定して届けられる体制が整っているのです。
β-クリプトキサンチンの力!三ヶ日みかんの健康パワー
スタジオでは、貯蔵された三ヶ日みかんの味わいに加えて、その健康パワーにも注目が集まりました。カギとなるのが、みかんに多く含まれるカロテノイドの一種「β-クリプトキサンチン」です。
JAみっかびや大学などの研究チームは、三ヶ日町の住民およそ1000人を対象に10年間にわたる疫学調査、いわゆる「三ヶ日町研究」を実施しました。
血液中のβ-クリプトキサンチン濃度を測定し、その後の健康状態を追跡したところ、この値が高い人たちは、骨密度の低下、糖尿病、肝機能異常、脂質異常、動脈硬化症など、さまざまな生活習慣病の発症リスクが低い傾向にあることが報告されています。
さらに、β-クリプトキサンチンを豊富に含む三ヶ日みかんの果汁飲料を使った試験では、骨代謝のマーカーが改善する結果も示され、三ヶ日みかんの機能性表示食品としての届出も行われています。
番組では、こうした研究結果を紹介しながら、「三ヶ日みかんほどβ-クリプトキサンチンを豊富に含む食品はほとんどない」という点が強調されました。日常的にみかんを楽しむことが、ビタミンCだけでなく、骨や血管の健康にもプラスに働く可能性があると示されたのです。
もちろん、これはあくまで統計的な調査結果であり、「食べれば必ず病気にならない」という意味ではありません。それでも、冬のあいだに三ヶ日みかんをコツコツ食べる習慣が、長期的には健康リスクを下げる一助になるかもしれない、という心強いメッセージが伝えられていました。
国際線の機内食に採用!鶏の三ヶ日みかん鍋仕立ての魅力
番組の大きな見どころの一つが、三ヶ日みかんが国際線の機内食に採用されている、という話題でした。舞台となったのは、愛知県常滑市にある中部国際空港(セントレア)です。中部国際空港
ここでは、名古屋エアケータリング株式会社(NAC)が、浜松地域の生産者と連携して、三ヶ日みかんやみっかび牛などを使った特別メニューを開発しています。その一つが、番組でも登場した「鶏の三ヶ日みかん鍋仕立て」です。
この料理は、三ヶ日みかんの果汁や果肉を鶏肉やスープに組み合わせ、やさしい酸味とフルーティーな甘さをまとわせた鍋仕立ての一品。みかんの香りがふわっと立ち上がり、鶏のうま味と重なり合うことで、機内という乾燥しがちな環境でも食欲をそそる味わいに仕上がっています。
番組では、家庭でも作りやすいようにアレンジしたレシピが紹介され、スタジオの出演者たちも試食。みかんの甘さが主張しすぎず、鶏のだしと一体になっていることに驚いていました。
三ヶ日みかんと地元食材を組み合わせたこの機内食は、JALのビジネスクラス和食メニューとしても採用されており、浜松・三ヶ日エリアの魅力を世界中の乗客に伝える役割も担っています。
産地で大切に育てられたみかんが、貯蔵・選果・調理というプロセスを経て、飛行機の中で“ごちそうの一皿”として提供される——そんなドラマチックな食のストーリーが描かれていました。
三ヶ日のみかん大福と老舗和菓子店、甘いごほうび文化
もう一つ番組を彩ったのが、三ヶ日みかんを丸ごと包み込んだ和菓子「みかん大福」です。紹介されていたのは、三ヶ日町で80年以上続く老舗の和菓子店。三ヶ日みかんを使ったもなかやまんじゅうなど、地元の柑橘を生かした菓子づくりで知られています。
静岡県浜松市北区三ヶ日町には、昭和17年創業の和菓子店・三ヶ日製菓があります。三ヶ日製菓
同店の看板商品が、年間2万個以上売れるという「まるごとみかん大福」。皮をむいた三ヶ日みかんをシロップ漬けにし、自家製の白あんで包んだうえで、やわらかな羽二重餅でくるんだ一品です。
番組に登場した「みかん大福」も、まさにこのスタイル。冷凍状態で販売され、半解凍のタイミングで食べると、外側の餅と中の果汁たっぷりのみかんが、シャリッとした食感とともに口の中ではじけます。完全に解凍すると、シロップ漬けのみかんがよりジューシーになり、白あんと一体になった深い甘さが楽しめます。
番組では、地元の子どもたちに向けた大福づくり体験教室の様子も紹介されました。普段料理をしない人でも挑戦できるよう、店主が一つ一つ手ほどきしながら、三ヶ日みかんを餅で包む作業を体験させています。
店主の「三ヶ日の子どもたち全員に一度は自分の手でみかん大福を作ってほしい。それをきっかけに、三ヶ日みかんと三ヶ日という町をもっと好きになってもらいたい」という言葉には、この地域が“みかんとともに生きてきた町”であることへの誇りが詰まっていました。
スタジオ試食では、鶏の三ヶ日みかん鍋仕立てとみかん大福が並び、「機内食でもスイーツでも、最後の一口まで三ヶ日みかんを楽しめる」ことが強調されていました。出演者が「みかんって、こんなに手間ひまかけて作られているんだな」と感心する場面もあり、三ヶ日みかんが単なるフルーツを超え、“地域の物語そのもの”として伝わってきました。
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