日本人の心を彫り上げた巨匠の素顔に迫る
このページでは おとなのEテレタイムマシン「日本人の心を彫る 彫刻家 佐藤忠良」(1月27日放送) の内容を分かりやすくまとめています。
静かな表情の奥に力強い意志を宿す 佐藤忠良 の彫刻。その一体一体が、長い人生で見つめ続けた「人間の美しさ」を語りかけてきます。
アトリエに満ちる粘土の匂い、指先で形を探る瞬間、作品に宿る生命の鼓動。彫刻家が追い求めた“日本人の心”が立ち上がる瞬間を、番組とともにたどります。
佐藤忠良の歩みと“人間の美しさ”へのこだわり
佐藤忠良 は宮城に生まれ、北海道で少年期を過ごし、やがて東京で彫刻の道へ進みました。若い頃に出会ったフランス近代彫刻の力強さに心を揺さぶられ、「人間をまっすぐ見つめたい」という思いが生涯の芯になっていきます。
東京美術学校を卒業後は、新制作派協会の中心として活躍し、戦争をくぐり抜けながらも制作を続けました。特別な英雄ではなく、日常を生きる人の姿にこそ美しさが宿るという信念がありました。重さを抱え込むような姿勢や、ふとした表情の奥の静かな意志。佐藤はそうした瞬間に強い魅力を感じ、それを作品に落とし込んでいきました。作品を見つめていると、語りかけられているような不思議な感覚が生まれます。
「日本人の心」を形にした代表作
佐藤の名を広く世に知らしめたのが、男性像 『群馬の人』 です。素朴な顔つきの奥に、戦後の日本を生きる人びとの強さがにじみます。この作品は国の美術館に初めて収蔵された彫刻でもあり、日本の具象彫刻の流れを大きく変えました。
さらに、女性像の名作 『帽子・夏』 は、軽やかな姿勢の中に凛とした美が漂い、見る角度ごとに新しい表情が立ち上がります。子どもが遊ぶ姿をとらえたシリーズや、風に向かって立つ 『緑の風』 も、日常の一瞬を彫刻に閉じ込めたような鮮やかさを持っています。
番組では、これらの作品がどのような視点で作られたのか、細かな“面”の処理や、指先・肩のラインが語る物語まで丁寧に映し出されます。佐藤が目指したのは、ただ似せるのではなく、そこに“生きている人”が立っているように見せることでした。
アトリエで紡がれる創作の時間
今回の回で特に心を掴むのは、アトリエに密着した映像です。柔らかい粘土に手を入れ、時に大胆に削り、時に慎重に面を探る。佐藤が作品と向き合う姿は静かながら、内面には強い熱が宿っていることが伝わってきます。
モデルとの会話を重ね、自然な姿勢が現れる瞬間を逃さないよう目を凝らします。立ち姿のわずかな傾き、視線の角度、呼吸のリズムまで、すべてが作品の一部になるという意識の高さに驚かされます。
番組では、制作途中の原型や石膏、さまざまな段階の作品が映り、彫刻が一日では決して生まれないことがよく分かります。ゆっくり積み重ねた時間が形になり、その形が感情を宿していく。そのプロセスを覗ける貴重な内容になっています。
戦争体験が深めたまなざし
佐藤の作品が人々の心を打つ背景には、戦争とシベリア抑留という過酷な体験があります。極寒の地での生活は生死を分ける過酷な環境で、そこで見た人々の姿や思いが、のちの作品を深く支える視点になりました。
大声で語ることはあまりしなかった佐藤ですが、「普通に生きる人にこそ力がある」という思いは、作品の中で静かに語られています。『群馬の人』 の伏し目がちな表情、強く結ばれた口元には、耐え抜く力や誇りが宿っているように感じられます。
番組では、佐藤が戦争について語る場面も映り、その奥にある感情が丁寧に伝わってきます。単なる記録ではなく、作品に通じる“人を見つめる視線”がどのように育まれたのかを知ることができます。
宮城県美術館・記念館と全国に息づく彫刻たち
佐藤の世界を深く味わうなら、仙台市にある 宮城県美術館 佐藤忠良記念館 は欠かせません。代表作から初期作品、さらに素描までがそろい、佐藤の歩みを一望できます。現在はリニューアル休館中ですが、日本を代表する彫刻家の軌跡をたどれる重要な場所です。
また、佐藤の作品は各地の街角でも人びととともに生きています。仙台の台原森林公園に立つ 『緑の風』、釧路・幣舞橋の 『夏の像』、名古屋銀行本店ロビーの 『微風』。どれも、日常の中でふと足を止めて眺めたくなる存在感があります。
番組で紹介される彫刻は、今も街や美術館で静かに佇み続けています。画面越しに味わった魅力を、実際の作品の前で感じれば、素材の質感や空気まで含めた“本当の佐藤忠良”に出会えるはずです。
まとめ
佐藤忠良 が見つめ続けた“人間の美しさ”と“日本人の心”は、静かな彫刻の中に確かな強さとして刻まれています。作品誕生の裏側やアトリエでの姿、戦争体験が生んだ深いまなざしまで、番組は多角的に描いていました。紹介した内容は実際の放送と異なる場合があります。
NHK【時をかけるテレビ】老友へ〜83歳 彫刻家ふたり〜|佐藤忠良と舟越保武 60年の友情と芸術の軌跡【9月12日放送】
佐藤忠良の魅力をさらに紹介します

ここでは、番組内容を理解するうえで知っておきたい 佐藤忠良 先生の歩みや作品の背景を、追加情報として紹介します。どれも事実に基づいた内容で、作品をより深く見る助けになる部分です。
生い立ちと歩み
佐藤忠良先生は宮城県で生まれ、北海道で育ちました。自然が身近にある環境で過ごしたことが、人間の形や姿勢をじっくり観察する力につながったとされています。上京後は東京美術学校で学び、彫刻の基礎を徹底的に身につけました。戦争により一時的に制作から離れましたが、帰国後は再び作品づくりに向き合い、日本の具象彫刻を大きく前へ進めました。日常の中にある小さな動きや気配を大切にし、人の体重のかけ方や視線の向きなど、見逃してしまいそうな細部まで丁寧に形にしています。
代表作が生まれた背景
代表作 『群馬の人』 は、戦後を生きる人びとの強さを象徴する作品です。うつむき気味の表情や固く結ばれた口元には、当時の社会にあった緊張感や、未来へ向かって立ち上がる意志が込められています。この作品が国の美術館に選ばれたことで、日本の彫刻界に新しい流れが生まれました。続いて制作された 『帽子・夏』 では、若い女性の姿をスッと立ち上がるような軽やかさで表し、生活の中にあるやわらかな時間を感じさせてくれます。どちらの作品も、身体のラインや指先の角度が丁寧に調整され、人物がそこに息づいているように見える点が高く評価されています。
記念館と作品の広がり
宮城県美術館にある 佐藤忠良記念館 では、先生の作品や素描を見ることができます。展示室には彫刻の原型や石膏像も並び、どのように形が生まれていくのかが分かる工夫があります。また、先生の作品は全国各地の街角にも立っています。仙台市の台原森林公園にある 『緑の風』 や、釧路市の幣舞橋に設置された 『夏の像』 は、どちらも地域の風景と自然になじみ、長く親しまれてきました。街に立つ彫刻を見ると、作品が人々の生活とともにあることを実感できます。
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